ナタリー PowerPush - Galileo Galilei

"10代バンド"としての覚醒を示すニューシングルの全貌を語る

25歳になったときには10代が書く曲はもう書けない

──さっき、地元の友達の話もしてくれましたけど、歌詞には今のみなさんの19歳とか17歳っていう年齢らしい葛藤も出てる気がするんですね。そういう、今の自分たちならではの気持ちを表現していきたいと思いますか?

雄貴 デビュー当時は「10代、若いですね」って言われるだけで「何だよ!」って気持ちになってたんですけど、でも考えてみたら俺ら確かに10代だし、今俺らの音楽を受け取ってくれてる人たちに10代が多いっていうのもあるし。例えば俺らが10代なのに、無理して難しい言葉とかを使って、自分でも説明のつかない歌詞を書いたところで、受け取ってくれる人も少ないだろうし、俺もそんなものは書きたくないと思って。振り返ると、いろんな人に今だから書ける歌詞だし、今だから作れる曲だよねって言われてきたんですけど、それが何となく自分でもわかってきて。来年の5月には20歳になるので、今10代である気持ちを形にして残したいと思うようになりました。特別意識してるつもりはないけど、自然と10代らしさ、今の俺らしさが出てると思います。

──10代であることを、ポジティブに捉えられるようになったんですね。

雄貴 そうですね。フルアルバムを出す機会があるとして、前は「こいつら10代じゃねぇだろ」って言われるとんでもない作品を作ろうとしてたんですけど……とんでもない作品は作ろうとしてるんですよ。でも、世界観としては、今だからできるものを作りたい。俺が25歳になったときには、10代が書く曲を書けないと思うんですよ。10代の人が背伸びすることはできると思うけど、逆はできないっていうことが、何となく今わかってきたんですよ。稚内にいたときと今の歌詞の違いも客観的に見れてきてるし。驚きも提示したいけど、今だから作れるものを作りたい。それが一番威力を発揮して、聴く人に突き刺さると思うので。

岩井 誤解を招く言い方かもしれないけど、僕らの音楽は中高生にしか響いてないのかなって思っていたところがあって。それって決して悪いことじゃなく、うれしいことだけど、昔の俺はそう思えなかった。でも、2回目のワンマンのときに、お客さんも俺らと一緒に成長してる感じがしてうれしかったんです。なので、これからどんどんお客さんと一緒に成長していけるんだなって考えたら愛しくなって、ポジティブに考えられるようになりました。10代でデビューしないとできないことですからね。それに、10代で俺らみたいにキラキラした等身大のポップミュージックができてるバンドはそんなにいないと思ってるので、そのへんは自信がありますね。

女性メンバーがいるバンドに憧れる

──ではカップリングの「ありがとう、ごめんね」に関しては?

雄貴 これは「閃光ライオット」で優勝するちょっと前くらいからあった曲です。俺ら、曲を作ってもどんどん忘れて演奏できなくなっちゃうんですよ。「できた!」ってテープに録って、覚える前にどんどん次を作ってきたんで、ボツになりかける曲がたくさんあって。ところが、信頼できるスタッフさんがこの曲をいいって言ってくれたんで、じゃあちゃんとレコーディングしてみようかなって。そしたらめっちゃいい曲じゃんって自分で思えたんです。歌詞は実話だし、今の俺らの音楽の根っこに位置するような曲だし。あと、冷たいところで歌ってる感じ、そういう温度感をバンドの持ち味としてこれから大事にしていきたいと思ったんで、アレンジも工夫しました。

──具体的にはどんなところですか?

雄貴 チャイムの音を入れたりしたんですよ。あとは「四ツ葉さがしの旅人」もなんですけど、女性コーラスが入ってて。前からバンドに女性キーボーディストを入れたいと思ってるんですよ。THE SMASHING PUMPKINSやPIXIESみたいに、女性メンバーがいるバンドに憧れがあって。コーラスもキュートだし。さっき言ったとおり、俺はスウェディッシュポップみたいに、お茶目でキュートで、だけど毒があるバンドが好きなんで。メンバーはなかなか見つからないんですけど、レコーディングには、インディーズ作品の頃からコーラスをお願いしているchimaさんに参加してもらいました。自分の憧れていた世界観が形になるのがうれしかったですね。ニヤニヤしちゃうっていうか(笑)。

──いい組み合わせになりましたね。さらに3曲目の「Invader」はインストですが。

雄貴 シングルにずっとインストを入れていきたいっていうのはメンバー全員で決めてるんです。シングルで3曲入りって個人的に疲れちゃうなって思ってて、1曲インストとか実験的なものがあればいいのになって。インストは肩肘張らずに、間抜けなものだったり、技術が伴えば、エレクトロニカの綺麗なものを入れたいと思ってるんですよ。RADIOHEADの「KID A」みたいなものを俺らなりに作って入れていきたいと思ってて。

──なるほど。

雄貴 それで、今回は間抜けな、変な世界観のものを作るために、バンドとしてMacBook Proを手に入れたんですよ。俺と和樹はエレクトロニカが大好きで、バンドでやりたいと思ってるんですけど、そこまでパソコンをわかってないんで、とりあえず自分のギターの音を録って、どれだけの音にできるかやってみようと思って。マスタリングとかはスタジオでやったんですけど。

自分たちにとって復活の作品になった

雄貴 あと俺、犬が好きで、稚内でこたろうって名前の犬を飼ってるんです。それでいずれイヌトロニカってのをやりたいんですよ。犬が生活してて鳴る音を使って音楽を作るってことなんですけど。そこで今回はレコーディング中に親に電話して、こたろうの声を録って、パソコンに送ってもらって、それを切り取って貼り付けて使ったんです。犬の声が目立ってるのは導入部分だけなんですけど、その後もめっちゃエフェクト掛けて使ったりしてて。まだ目指す作品にはなってないけど、へんてこな雰囲気で終わる感じが作れたし、「ありがとう、ごめんね」がヘビーな曲なんで、それとのコントラストもつけられて、いい曲になったんじゃないかなって。和樹がリズムを組んで、仁司がベースをのっけて、俺や岩井くんがギターをのっけてと、コンセプトを決めずにそれぞれの思いで作ったんで、面白い感じが出せました。

和樹 自分の思いついたフレーズを突っ込んで、楽しみに待つっていうか(笑)。みんなはどんな音を入れるんだろうって、そういうのも初めてで。だから完成したときはびっくりしましたね。

雄貴 最初は超変則なドラムで(笑)。こんなもん作れるかよって、普通の8ビートにしてもらったんですけど。

和樹 抜きまくって(笑)。

佐孝 ベースも「四ツ葉さがしの旅人」以上に悩みました(苦笑)。AメロあってBメロあってって流れが一切なかったから、フレーズが出てこなくて、これでいいかなって入れたのが良かったりして。面白かったですね。

──いろんな挑戦や思いが詰まった1枚になりましたね。

雄貴 思い入れも強い曲ばかりだし、バンドとしてのスイッチというか、いいきっかけになりました。表にはバンドのテンションがどん底まで落ちてたことは見えなかったと思うんですけど、俺らとしては復活の作品なんで、世にぶっ放してたくさんの人に届けばいいと思います。

2ndシングル「四ツ葉さがしの旅人」 / 2010年9月22日発売 / 1223円(税込) / SME Records / SECL-905

  • Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. 四ツ葉さがしの旅人
  2. ありがとう、ごめんね
  3. Invader

レコチョクで着うた® 着うたフル® 配信中!

Galileo Galilei(がりれおがりれい)

2007年に北海道・稚内で結成された4ピースロックバンド。メンバーは尾崎雄貴(Vo,G)、岩井郁人(G)、佐孝仁司(B)、尾崎和樹(Dr)。もともと音楽や映像が大好きだった雄貴&和樹の尾崎兄弟が、自宅のPCでさまざまなライブ動画を観たことをきっかけに自宅にあった楽器に触れるようになる。この"遊び"が母体となり、佐孝とともにGalileo Galileiを結成。バンドオーディションに送ったデモテープがきっかけとなり、5,000組超の参加者の中からファイナルステージまで昇りつめグランプリを獲得する。2009年11月に岩井が加入し現在の編成に。同年末に屋内フェス「COUNTDOWN JAPAN 09/10」に初出演を果たし、翌2010年1月にはデビュー前にもかかわらず「ハマナスの花」がau「LISMO!」CMソングに起用される。この曲を含むミニアルバム「ハマナスの花」で、同年2月にメジャーデビュー。春には高校卒業を機に、活動の拠点を稚内から東京に移した。3月に東京と大阪で開催した初のワンマンライブのチケットは一般発売直後にソールドアウト。人気・実力ともに急上昇中のバンドだ。