ナタリー PowerPush - Galileo Galilei

"10代バンド"としての覚醒を示すニューシングルの全貌を語る

旅人のようにふらふらいけばいい

──歌詞にはどんな思いが込められているのでしょうか。

雄貴 今回のレコーディングまでは、歌詞どころか曲があまり書けなくなっていて。上京して慣れない環境ってのもあるし、バンド内もケンカしてるわけじゃないんですけど、あんまりうまくいってなくて。自分の状況がわからなくなって、どういうことを書けばいいのか、頭から抜けちゃったんですよ。でも、ワンマンライブでお客さんの顔を見たときに、「こんなに受け取ってくれる人たちがいるじゃん、じゃあ俺は楽しいと思える音楽をいい形で伝えよう」って思えて。

──ライブやファンに救われたんですね。

雄貴 はい。それで、上京してから混乱していたそのままの気持ちを、俺がいいと思える世界観で描けたらなって考えに行き着いたんです。そしたら書いてるうちに楽しくなっちゃって。これが俺の言いたいことだ、俺ってこういう状況なんだってことが、歌詞を書きながら明確になっていったんです。今までの歌詞に思い入れがないわけじゃないですけど、今作はさらに思い入れが強いというか。今のバンドや俺の気持ちを切り取った歌詞が書けました。

──“四ツ葉”とか“旅人”っていうファンタジックなキーワードは出てきますけど、内容はリアルですよね。

雄貴 そうですね。今回、歌詞を書いてるうちに、なんで音楽をやってるのかも考えたんです。楽しいからやってるんですけど、メジャーシーンでメンバー4人でバンドをやるには辛いこともあるし、4人である故の孤独感や衝突もあって。それについて俺は悩み続けてたんですけど、でも辞めようとは思わないし、まだまだ楽しいと思ってる。それって結局、音楽で幸せになりたいからだなって結論に至ったんですよ。あと、札幌で高校のときの友達と再会したら、うまくいかなくてニートになってる奴とか、夢を語ってたのに学校辞めてどうしようもなくなってる奴とかいて、それも寂しかったんです。一緒に走ってると思ってたけど、周り見たら誰もいなかった、みたいな。そんな今だからこそ、音楽で幸せになりたいって気持ちを歌詞に書きたいなって思ったんですね。でも、幸せって言葉は照れ臭い言葉でもあるし、俺って幸せなんだろうかって考えると怖くなったりするんで、使いたくなくて。もっと素敵な言葉はないかなと探したら「四ツ葉さがしの旅人」って言葉が出てきたんです。

──確かに、上京してから書いたんだろうなと思える歌詞でした。

雄貴 俺たちの育った稚内って、小さくてスローな街なんですよ。だから練習スタジオもなくて、練習は仁司んちの車庫で、お父さんの車を追い出して(笑)やってたんです。そういう環境から東京に来たんで、ギャップがあって。稚内ではゲームとかやってたくせに、曲ができるスピードは速くて、メンバーが無理しなくてよかったし、不自由はあったけどのびのびやれてたんです。その分東京に来てからはみんな悩んで。スタジオに入るのも、最初は「俺らバンドマンぽくてカッコいい!」って思ってたんですけど(笑)、しばらくするとあの部屋に帰りたいって思ってしまったんですね。 だからって、決意をして上京したんで稚内に逃げ帰るわけにもいかないし。でも決意が俺をがんじがらめにしてた部分も、決意が俺の背中を押してる部分もあるし、どうしようと。非常に混乱してました。実は、歌詞を書き終えた今も答えは見つけてないし、この先どうしようかも考えてない。北海道に戻ってやりたいって気持ちも、東京に残ってやりたい気持ちもあるんで、そこは“旅人”っていうか、ふらふらいけばいいかなって。

──じゃあ「四ツ葉さがしの旅人」っていうのは自分たち自身のこと?

雄貴 そうですね。俺の歌詞の中に、メンバー以外が出てくることってあんまりなくて。自分のことで精一杯なんで、歌詞も自分の置かれている状況になってしまうんですよ。俺は寂しがりやなんで、寄り添ってくれる“君”って存在は出てくるんですけど、それも具体的に誰かは設定はしていなくて。女の子でも男の子でもない。俺の中では“君”は音楽なのかもしれないし。この歌詞は駆け落ちっぽい感じのストーリーですけど、音楽と駆け落ちしていきたい気持ちはあるんで、それが出てるのかもしれません。

2ndシングル「四ツ葉さがしの旅人」 / 2010年9月22日発売 / 1223円(税込) / SME Records / SECL-905

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CD収録曲
  1. 四ツ葉さがしの旅人
  2. ありがとう、ごめんね
  3. Invader

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Galileo Galilei(がりれおがりれい)

2007年に北海道・稚内で結成された4ピースロックバンド。メンバーは尾崎雄貴(Vo,G)、岩井郁人(G)、佐孝仁司(B)、尾崎和樹(Dr)。もともと音楽や映像が大好きだった雄貴&和樹の尾崎兄弟が、自宅のPCでさまざまなライブ動画を観たことをきっかけに自宅にあった楽器に触れるようになる。この"遊び"が母体となり、佐孝とともにGalileo Galileiを結成。バンドオーディションに送ったデモテープがきっかけとなり、5,000組超の参加者の中からファイナルステージまで昇りつめグランプリを獲得する。2009年11月に岩井が加入し現在の編成に。同年末に屋内フェス「COUNTDOWN JAPAN 09/10」に初出演を果たし、翌2010年1月にはデビュー前にもかかわらず「ハマナスの花」がau「LISMO!」CMソングに起用される。この曲を含むミニアルバム「ハマナスの花」で、同年2月にメジャーデビュー。春には高校卒業を機に、活動の拠点を稚内から東京に移した。3月に東京と大阪で開催した初のワンマンライブのチケットは一般発売直後にソールドアウト。人気・実力ともに急上昇中のバンドだ。