音楽ナタリー PowerPush - DREAMS COME TRUE

祝・デビュー25周年「ATTACK25」特集

中村正人インタビュー

DREAMS COME TRUE「ATTACK25」特集のラストを飾るのは、中村正人の単独インタビュー。新作の話題はもちろん、創作の秘密やアメリカ進出で経験した挫折など、25年間の紆余曲折を語ってくれた。

CDが死を迎えたあとに

──25周年という大きな節目を記念してのオリジナルアルバム。制作にあたってどんなことを考えていましたか?

中村正人

いや、実は25周年はまったく意識してなかったんですよ。

──そうなんですか?

もう忙しくて。20周年のときは早くからいろいろ考えてたんだけど、ここ数年はDREAMS COME TRUEを存続させることに必死でしたから。CDというプロダクツが死を迎えてからは、加速度的なんて甘い言葉じゃ表せないくらいのスピードで状況が変化したので、その対応に追われてたんです。

──そんなにシビアな認識を?

はい。やっぱりCDだけで食べていくのはもう無理なので。

──CDが一番売れていた時代、ドリカムはそれを象徴する存在だったと思うんです。その中村さんから見てもCDはやはりもう厳しいですか。

レコード会社の人には申し訳ないですけど(笑)。

──でも今回のアルバムもCDでリリースするわけですよね。それはCDというパッケージに愛着があるから?

いやいや、愛着とかそういうんじゃないんです。例えばキャンバスや和紙に絵を描いてきた画家は、どんなにデジタルが普及してもそこに表現の場を移したりはしない。我々も同じです。それに今のところはCDで売るしかないんですよ。こうやって手に持てて、ジャケットがあって、ブックレットが入っているという、アナログ時代から引き継いできた形が確かにあって。スペック的にはハイレゾ音源に劣るとしても、配信はまだ定着しきっていない。だったらCDという形態が今のところは一番いいだろうっていう判断なんです。

売れるフォーマットから離れて

──このアルバム「ATTACK25」は非常に変わった構成になっていますよね。前半8曲がアルバム用の新曲で、後半8曲はすべてタイアップが付いた既発曲。ちょうど半分ずつに分かれています。

アルバムを作ろうと思った時点で、すでに7~8曲のコラボレーションソングが完成していたので、僕としては新曲をあと4曲くらい入れて1枚のアルバムとして成立させればいいかなって思ってたんです。でも吉田(美和)がまったくそれに同意しなくてですね。

──というと?

すでにあるタイアップ曲と同じ分量の新曲が必要だって言うんです。その結果「我々が皆さんに聴いてもらいたいドリカム」と「皆さんが求めるドリカム」が半分ずつ入ったアルバムになった。

──なるほど。

中村正人

このアルバムは、我々にとってはまったく新しいステージに立つための作品なんです。これからどう音楽と向き合っていくかを考えて、“商品”ではなく、あくまで“作品”として作ったアルバムですね。

──商品から作品へ。作り方を変えた部分はあるんですか?

はい。例えば今回のアルバムの収録時間は70分を超えてるんですけど、今まではそれはやれなかった。商品であればやっぱり1時間弱で収めたい。売れるアルバムのフォーマットを意識しなくなったっていうことは言えると思います。

──じゃあ今回の作品は売れなくてもいい?

いやいや、“作品”として買ってもらいたいんですよ。画家は絵を描いて、それを売りますよね。その作品を売ることがプロの画家の仕事です。我々もそれと同じで、商品ではなく作品として売りたいと思ってるんです。

アートとビジネスのせめぎ合い

──新曲がたくさん入ったことで「作品になった」とおっしゃいましたが、この新曲8曲も決して独りよがりな「わかる人にだけわかればいい」といった曲ではないですよね。すごくポップだし、感動が伝わる曲になっている。個人的にはどこか1stアルバムっぽい印象も受けました。

1stアルバムは売れなかったんですよ(笑)。今回の新曲も、音楽が好きな人はニヤッとしてくれると思うけど。

──最初に中村さんが考えていた既発のシングル8曲に新曲を4曲加えたパッケージが、“売れるフォーマット”だったわけですね。それを吉田さんがイヤだと言ってひっくり返した。

中村正人

この世界、プロの仕事っていうのはアートとビジネスのせめぎ合いですからね。今のドリカムはそれがフィジカルに2つに分かれているんだと思います。

──中村さんがビジネスを考え、吉田さんがアートを追求する?

僕はやっぱり売れたいと思ってますから。売れ続けることによって音楽を作り続けたい。でも吉田はそういうことも大事だとわかってるけれど、大前提として自分のアート、自分の音楽をどう作るかっていうのがあるんです。それはもうせめぎ合うしかないですよね。僕も譲るし、吉田が理解してくれるところもあるし。

CONTENTS TOP
中村正人×百田夏菜子(ももいろクローバーZ)対談
中村正人×ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)対談
中村正人×亀田誠治対談
著名人アンケート「私の好きなドリカム」
中村正人インタビュー
ニューアルバム「ATTACK25」 2014年8月20日発売 / UNIVERSAL SIGMA
初回限定盤 [CD+DVD] / 4104円 / UMCK-9725
通常盤 [CD] / 3240円 / UMCK-1525
CD収録曲
  1. THE CHANCE TO ATTACK WITH MUSIC
  2. ONE LAST DANCE, STILL IN A TRANCE
  3. あなたにサラダ以外も
  4. I WAS BORN READY!!
  5. MONKEY GIRL - 懺鉄拳 - (懺鉄拳の懺は懺悔の懺)
  6. 軌跡と奇跡
  7. FALL FALLS
  8. MORE LIKE LAUGHABLE
  9. さぁ鐘を鳴らせ
  10. 愛して笑ってうれしくて涙して
  11. 想像を超える明日へ - Album Version -
  12. MADE OF GOLD ―featuring DABADA―
  13. この街で
  14. MY TIME TO SHINE
  15. 愛がたどりつく場所
  16. AGAIN - Album Version -
初回限定盤DVD収録内容

撮り下ろし&レア映像満載の豪華85分。25周年を記念したスーパーでスペシャルな架空テレビ番組「THE CHANCE TO ATTACK WITH MUSIC」。なんと!あの日本テレビ系列の人気音楽番組「LIVE MONSTER」の制作チームが全面協力!アタックマン、チャンスウーマンの2人が登場し、さまざまなレアコンテンツを紹介!

DREAMS COME TRUE(ドリームズカムトゥルー)

吉田美和(Vo)と中村正人(B, Arrangement , Programming)による2人組バンド。1989年にメジャーデビューし、1992年発売の5thアルバム「The Swinging Star」は当時の日本記録となる300万枚以上のセールスを記録する。その後もシングル、アルバムともにミリオンヒットを連発し、ソウル / R&Bを基軸にしたサウンドが老若男女問わず幅広い層から支持されている。2014年にはデビュー25周年を迎え、同年8月20日に通算17枚目のオリジナルアルバム「ATTACK25」をリリース。8月23日からは全国13都市32公演におよぶ全国アリーナツアーをスタートさせる。なお1991年より4年に1回のペースで「史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND」と題したイベントを実施しており、エンタテインメント性を追求した内容で多くのファンを魅了し続けている。