DOESはもともとアンチテーゼから始まっている

──そして、今年に入ってリリースされた「夜明け前」から後のシングル曲は、バンドの次へのステップを示すものになってると思います。

ワタル　そうですね。ギターも変えてるし（笑）。

──歌い方も変わってますよね。声を張る感じじゃなくて、優しくなったというか。

ワタル　そのへんに関しても、今年に入ってきっちり見直してるからね。本当の俺の声は何なの？ってくらい毎日試行錯誤してるんで。曲と声の相性もあるし、歌い方が変われば曲の感じも変わってくるんで。

──では、今「THE WORLD'S EDGE」までの“第1期DOES”というものを総括するならば、どういう時期だったと言えます？

ワタル　なんだろうなあ？ まあ、ブヨブヨしてる感じですね（笑）。ふやふやして、しまりのない感じ。

──え？（笑） ちょっと補足をしていただいていいですか？

ワタル　なんというか、成長過程だったのかな。過渡期みたいな感じですね。いい曲ができたとは思うけど、もうちょっと広い意味で音楽をやっていきたいということになったのが今年なんで。「バクチ・ダンサー」を作って「これだ！」と思ったら、ああいう結果も出た。だからこれを出そうという気持ちになったんでね。

ケーサク　何もわからずに東京に来て、周りに流されたり、必死にバンドを固めようとしたり。そういう時期ですね。でも、少しずつ成長してきている過程でもある。それが自分でもわかりますし。このタイミングで1回区切るのはいいんじゃないかなと思います。

──今、DOESというバンドって絶妙な位置にいると思うんです。もともと異端で邦楽へのアンチテーゼで始まったバンドが、今はロックへの入り口にもなっている。その両面を持っているという。

ワタル　両極端ですからね。でも、うちらはもともとアンチテーゼから始まっている。人が右に行くなら、左に行く。逆らってるものが好きだという。うちらはオルタナティブなんですよ。それが自分たちにしたら当たり前すぎて、周りの人にはわからなかった。だからこれからは言い切っちゃおうと思う。パンクの中でもオルタナティブです、オルタナティブな中でもパンクです（笑）。

次はあんまり聴いたことのない質感のものができますよ

──今は新作に向けての曲を作っているところなんですよね。“第1期DOES”の次となるイメージは、どんなものですか？

ワタル　なんだろうな。うまく言えないんですよね。あんまり聴いたことのない質感のものができますよ、としか言えないですね。

──勝手な推測ですけれど「バクチ・ダンサー」のリズムの感じとか「星を集めて」のキラキラしたポップ感からすると、DOES流のブルックリンシーンの解釈のような気もしたんです。MGMTとかVAMPIRE WEEKENDあたりという、今のUSオルタナティブの流れとリンクしてるような。

ワタル　ああ、確かにそれはあるね。MGMTとかは、去年くらいからずっと聴いてますからね。これは来たな！ って思ったんですよ。新しいって思った。基本的に古い音楽は好きなんだけれど、閉塞的になってもダメだから。彼らは古い音楽を今の解釈と新しい発想でやっている。それは賛同できますね。日本の3ピースのギターロックとして、そういう刺激をどう昇華していくのか。そういうことをずっとやってますね。この新しい質感っていうのは、あんまりないんじゃないかなって思いますよ。

──DOESの曲には日本語の響きもあるから、最先端の洋楽とリンクしたサウンドの感触も、独特のものになりますよね。

ワタル　そうそう。歌詞とか歌の乗せ方で、まったく違うものになるんですよね。どうしても日本語しか乗らないし、響きも全然違うから。そのへんをどう融合させるか、ですね。

──期待してます。

ワタル　うん。まあ、いい感じになる予感がします。