新境地を開いたニューシングルに3人が込めた「DOESの美学」
一躍ブレイクを果たしたアルバム「The World's Edge」から約10カ月。DOESのニューシングル「夜明け前/チョコレート」が、2月17日にリリースされる。
アグレッシブな曲調を中心に骨太なバンド感を追求してきたこれまでの楽曲からは一転、広がりと深みを感じさせるサウンドが印象的な新作。Mary's「トーキョーチョコレート」ショートムービー主題歌として書き下ろされた「チョコレート」の柔らかで切ないポップセンスも新鮮だ。
新境地を見せた今、果たして彼らはどこに向かおうとしているのか? 氏原ワタル(Vo,G)、赤塚ヤスシ(B,Cho)、森田ケーサク(Dr)の3人にインタビューを敢行し、あらためて「DOESの美学」を語ってもらった。
取材・文/柴那典 撮影/中西求
──ニューシングルはバンドの新たな境地を感じる1枚ですね。前のアルバム「The World's Edge」で、メジャーデビュー以降にDOESというバンドが突き詰めてきたことが1つの到達点に達した印象があったんですけれども、それを踏まえての変化があったんじゃないかと思います。実際はどうでした?
ワタル 特に楽曲制作のアレンジ面で、そういうところはありますね。メジャーに来てからずっと、ライブと音源がさほど変わらないような音作りをしてきて。もともと激しい音は好きだし、一緒になって盛り上がる方向をやりたいとはメンバーとも話してたんです。でも、「The World's Edge」でそれをやり尽くした感覚が強かった。だから、一度昔のように、自由に音源を作ってみようかと思ったんですね。
──3ピースのシンプルな編成のロックをやり続けようとは思わなかったわけですね。
ワタル そうですね。もちろんそれもできるけれど、もうちょっと立体的で、奥行きのある音がやりたいと思ってたから。キーボードもアコースティックギターも積極的に使っていこうと。ただ、実際に曲を作ろうとしたら、今までの作曲方法に慣れすぎていて、そこを抜け出すのに時間がかかりましたね。なかなか見えなかった。そうやって「わけわかんねえ」となったときに、昔の音源を聴いたんですよ。7〜8年前のデモCDだったかな。その中に「薄明」が入っていた。僕がドラムを叩いて宅録みたいにして作ったデモで。これが面白かった。すごく自由で、アレンジもキチガイじみてるし。「こんな感じを忘れてたな」って思った。それがきっかけになって「夜明け前」ができた感じでしたね。「薄明」がギアチェンジのキーになった曲だった。
──では、「夜明け前」はどういうモチーフから膨らんでいったんでしょう?
ワタル これはもう全部自分が作りましたね。最初はギターのリフを思いついて、そこからどういうドラムを乗せるかを考えて。今までのドラミングのパターンではない感じでやりたいと思った。何より肌触りを変えたいと思ったから。だから僕が打ち込みで作って完成させたんです。たぶん、ケーサクに任せてたら出てこないから(笑)。
──DOESの楽曲って、実はリズムにすごく凝ってますよね。
ワタル それはやっぱり気を付けてるからね。そういう音楽が好きなんですよ。普通に聴こえるんだけど、よく聴くと普通じゃない感じがするようなものが。
──そこにギターの音が何本も重なって、どこかロマンティックで包容力ある感じもします。
ワタル そうですね。やっぱり90年代のシューゲイザーとか、MY BLOODY VALENTINEとか、あのへんの感じは僕らの中に普通にあるので。ラウドな中にすごく静かな感じがある、そういうサウンドは好きですね。僕らのルーツはやっぱりオルタナティブなところにある。その影響の中でいかに普遍的なものを作るかということに興味があるから。
──普遍性ということにあたっては、メロディの強さはキーになりますよね。DOESの魅力においては、歌謡性というものも大きくなっているように思うんですけれど。
ワタル 確かに、より伝わりやすい感じにはしたいですね。惜しげもなく出すという。
──歌詞の世界観についてはどうですか? 「これからの日々が輝きますように」という言葉には、優しい感じもありますけれど。
ワタル これは自分に対しての言葉でもありますね。ずっとハッピーでありたいし、これからの日々が輝いてほしいと、本当に思う。そういう一人称の感情を込めていこうかなって思うんです。そうすると、そういうのを聴いて「いいなあ」と思う人が他の曲の歌詞で何言ってるかさっぱりわからないのも面白いだろうし。その逆で、渋いことやってんなあってDOESのことを思っていた人が、ストレートな歌詞を見て「刺さるね」って感じてくれるのも、ワクワクするし。

2000年に結成された、福岡出身のスリーピースロックバンド。クラブイベント出演や音源製作を中心に、精力的な活動を展開する。数度にわたるメンバーチェンジを経て、2005年8月より現在の編成となる。2006年には活動拠点を東京に移し、初となる全国ツアーを敢行。同年9月にはシングル「明日は来るのか」でメジャーデビューを果たす。2007年5月発売のシングル「修羅」はオリコン初登場9位を記録。現在人気急上昇中のバンドとして注目を集めている。