新境地を開いたニューシングルに3人が込めた「DOESの美学」
──「チョコレート」についても訊きたいんですけれど。まず、この曲はタイアップの話が先にあったんでしょうか?
ワタル そうですね。うちのスタッフから「チョコレートのタイアップがあるんだけど、どう?」って言われて。「いやあ、ちょっとお門違いでしょ」って思ってたんだけど(笑)。でも僕も女性ボーカルの曲も大好きだし、優しい音の曲も好きだから。その話をもらって、一晩で書いたんです。でもなんか、恥ずかしくて。「一応あるから、聴いてみてくれる?」って言ったら、それが採用になっちゃって。
──こういう曲を作ることによって、もしバンドに"硬派"なイメージがあったとしたら、それに対する痛快なカウンターになると思いますね。
ワタル 実際、僕のことをよく知ってる友達は「すごくいい曲だね」って言ってくれるんですよ。でも「曇天」とか、ああいう激しい曲が大好きな人にとっては、わけわかんないかもしれない(笑)。まあ、それはそれでいいと思うけど。
──「チョコレート」というお題から、どういうイメージが広がっていったんでしょう?
ワタル チョコレートって、溶けるじゃないですか。溶けてなくなって、甘い香りがする。それが、女の子みたいな感じがして。そこから、気付いたら女の子がいなくなっているみたいな歌になった。そういうかわいらしい感じですね。切なくもあり、ポップでもあり、という。
──Mary'sのウェブサイト(http://tokyo-chocolate.jp/)のショートムービーとも世界観が合ってましたよね。
ワタル ただ、恥ずかしいですよね。ああいうすごく女の子チックな世界でうちらの曲がかかると「いいんですか?」って気になる(笑)。世の女性がこれを聴いてDOESを気に入ってくれたとして、アルバムを買ったらガッカリするかもなって(笑)。
──3曲目の「薄明」は今のバンドの方向性のきっかけになった曲だということですけれど。過去の曲を再録音してシングルに収録したのもそれが理由なんでしょうか。
ワタル そう。やっぱり、聴いたときの衝撃が大きかったから。この曲を作った頃はポップアートとかモダンアートとかミニマリズムとか、そういうところにハマってたから。周りを何も気にせずに、自分のやりたいことをただやっていた。そういう部分は、最近ちょっと見失ってたかなって思う。そこに立ち返らせてくれた曲ですね。
──Aメロのミニマルな乾いた感じと、中盤からのドラマティックな展開も印象的ですよね。
ワタル それでも、サビで爆発するんじゃなくて、逆に落としてたりするからね。終わり方もそっけないし。エグイことやってたなって思いますね。こういうのは、まあ玄人向けです(笑)。
──それでも、「夜明け前」と「薄明」にはどこか通じる部分があって。それはいわば音の隙間をみせる美学のような感じもしましたけれど。
ワタル 限られたツールの中でいかにやるかというところで、工夫するんですよね。そこに面白い部分がたくさんあるんです。それこそがイマジネーションだし。やはり俺の場合はいかに手数を少なくしてうまくやるかというところが好きなので。
──そういうDOESならではの美学って、3人に共通している感覚だと思います?
赤塚ヤスシ 普遍的なものをやるというのは共通しているとは思いますけれど。
森田ケーサク 根本的なところで一本芯が通ってる感じはありますね。「チョコレート」にしても、DOESらしさがあるし。
──その「一本芯が通ってるDOESらしさ」って、どういうところなんでしょう?
ワタル やっぱりアンチテーゼみたいなものですかね。人と違うことをずっとやってきたから。人に合わせるんじゃなくて、いかに人と違うことをやるかということばっかり考えてきたから。
──そういう反骨精神とポップセンスが、両方あるんでしょうね。
ワタル そうですね。両方ありますね。だからわかりにくい部分もあるんだろうけど。そのへんが、ひねくれてるからね。
──でも、ひねくれたままできっちりと多くの人に届いたというのは自信になりました?
ワタル 痛快でしたね。そもそも、いかにも売れそうという感じのバンドじゃないし。でも、こういう存在があるんだって伝わったらいいなって思う。そういう意味で、より多くのリスナーと共感しあえたらいいなと思いますね。
──そして、そういう「DOESらしさ」を何よりもわかりやすく伝えるのがライブの場になってくるわけですよね。
ワタル そうですね。僕らはもともとライブバンドだし、これからも基本的にライブバンドとしてやっていきたいと思ってる。それが一番のテーマですからね。だから3月に「2days ACME」というイベントも立ち上げるし。今年からはリリースに関係なくライブをどんどんやっていこうと思ってます。

2000年に結成された、福岡出身のスリーピースロックバンド。クラブイベント出演や音源製作を中心に、精力的な活動を展開する。数度にわたるメンバーチェンジを経て、2005年8月より現在の編成となる。2006年には活動拠点を東京に移し、初となる全国ツアーを敢行。同年9月にはシングル「明日は来るのか」でメジャーデビューを果たす。2007年5月発売のシングル「修羅」はオリコン初登場9位を記録。現在人気急上昇中のバンドとして注目を集めている。