ナタリー PowerPush - でんぱ組.inc

これが私の生まれてきた意味 「W.W.D」3万字インタビュー

コスプレサラブレッドとの再会

──新メンバー加入にちゃんと意味があって、運命的になってるのがすごいですよね。

夢眠 そういえばそうですね、ピンキー(藤咲)も。

藤咲彩音

藤咲 そう、梨紗ちゃんとのつながりが。

相沢 もともとコスプレイヤーとして、お互いまったく関係ないところで活動していて。

──存在は認識していたんですね。

藤咲 私はわかってなかったんですけど、梨紗ちゃんが。

相沢 知ってたんですよ。

藤咲 私の写真を撮ってたらしくて。

相沢 写真、撮ってました。「一緒にお願いします」みたいな感じで。ちっちゃいから覚えてないと思うんですけど。

藤咲 もしかしたらホントに私の記憶の隅にいたかもしれない。

──いくつぐらいのときですか?

藤咲 私はたぶん小学生?

相沢 もっとちっちゃいと思う。

夢眠 コスプレイベントって、コスプレしてる人も一眼(レフカメラ)を持ってて、お互いを撮り合ったりするんですよ。

相沢 私、結構先輩の友達が多かったんで、中学校ぐらいからそういう現場に手伝いに行ってたんです。ピンキーは小学生とかでしょ?

藤咲 イベントには、ほんとに小さな頃から行ってて。

相沢 ちっちゃい子がしっかりした衣装を着てて、なんでこの子こんなちっちゃいサイズの衣装を持ってるんだろうって思ったら、親が作れるっていうことで。

藤咲 両親がコスプレイヤーで、その影響で。

──1歳ぐらいからコスプレやってたんでしたっけ?

藤咲 1歳からやってます。自分から「やりたい!」って。

夢眠 1歳で?

──1歳でできるコスプレなんてサイボーグ001ぐらいですよ(笑)。

藤咲 でも、そのとき格闘ゲームがホントに好きで。

夢眠 1歳で格闘ゲームできないでしょ。

藤咲 やってました。

最上 ハイハイの前にボタン押す、みたいな。

藤咲 カメラがこの位置で、どの角度にしたらきれいに撮れるのかっていうのも、最初からわかってたらしくて。

全員 へぇーっ。

──生まれついてのコスプレイヤー!

夢眠 サラブレッド!

相沢 で、もう忘れちゃってたぐらいにディアステに急に入ってきて。初めは成長してたからわからなかったんですよ。「こういう子だよ」って言われて、「私その子知ってるよ、写真もたぶん家にあるよ」って言ってたら、「でんぱ組にも入ってくる」って言われて、食い込んできたと思って。

──相沢さんがメイド長になったときに再会して。

相沢 そうなんですよ。メイドやってて会えるとは思ってませんでした。

「えいたそですよね?」「見つかりましたか!」

最上 ぼくもさっきは未鈴ちゃんとの出会いの話だけしてたんですけど、よくよく思い出したら、ねむとえいちゃんも知ってたんですよね。

夢眠 え、初めて聞いた!

最上 一方的に知ってるだけなんですけど。

夢眠 怖い!

最上 全然でんぱ組に入る前だし、そういう話も出てないときに、たまたまディアステージに行ったことがあって。そのときに未鈴ちゃんが「みりかる★ファンタジー」(古川未鈴ソロシングル)を出したぐらいのときで。デカいポスターがあって、「この子がいま、ディアステージで一番人気なんだよ」みたいなことを言われてて。最初はすごい痛い子だと思ってたんですよ。しかもゲームアイドルって言われてて、ゲームアイドルってなんだろうってずっと思ってて。かつ、えいちゃんが昔出してたCDをぼく聴いてたんです。

成瀬 ディアステージに入る前、アニソンがすごい好きで、アニソンのリミックスCDなんかにボーカルで参加してて。

最上 2~3年ぐらい前になぜか知り合いにもらったCDに「えいたそ」って書いてあって、うわーって。

夢眠 何それ!

最上 全然昔で、それを聴いてたんですよ。声とかも特殊じゃないですか。それで加入してよくよく話をしてみたら、「あれ、えいちゃん?」みたいな。

夢眠 当時、そういうアニソンアレンジの、普通のアキバっぽい子が歌うみたいなのが流行ってたときに、私がちょうどDJを始めて、かけやすそうなのないかなと思ってレンタルショップに行って、ふつうに手に取ったらえいたそだったんで。そのとき、ねむとはもう知り合ってて、もうメイドを辞めてた頃だったんで、「あれ? えいたそですよね?」みたいな。

成瀬 「見つかりましたか!」みたいな。

世間って狭い

藤咲 私も実はあるの。未鈴ちゃんのコスプレ写真をネットで見たことがあって。

相沢 私も実はあるんだよ。

夢眠 私もある!

相沢 未鈴ちゃんがメイドさんをやってた頃に、メイドDVDっていうのをアキバ中の店舗で出したんです。

古川 それぞれのメイド喫茶の代表の子が1人出て、写真とか撮ったりするみたいなイベントで。

相沢 そのインストアイベントで私は初めて未鈴ちゃんに会ってて。

古川 出てたんですよ、私も。

相沢 メイドさんでこんなアイドルみたいな子いるんだと思って。

──別の店同士で知り合って。

古川 別の店同士で。

相沢 そのあとお互い店を辞めて。

成瀬 ディアステージに集まってくる(笑)。

古川 「お久しぶりです」みたいな感じになって、今では同じでんぱ組にいるわけなんですけど。

最上 ねむのことは友達がすごい好きで。いきなり動画見せられて、「見て見て、ねむきゅんって子かわいくない?」みたいに言われて。

夢眠 あら恐縮です(笑)。

最上 そのときはたぶんDJしながらMOGRAで体操着で。

成瀬 あれだ、わくわく大運動会。

最上 それを見せられて、すごいかわいいって思ってたから、DJねむきゅんっていう存在がいるっていうのは知ってた。

夢眠 あ、DJで知ってたんだ。

最上 そう。でんぱ組じゃなくてDJとして知ってた。

相沢 世間って狭い!

成瀬 私、梨紗ちゃんのメイド喫茶、大好きだった。私もメイド喫茶に入ったばっかりで、メイド喫茶めぐりにハマッたんですよ。そしたら、すごいごはんが美味しい店があって。

相沢 えいちゃんが食べてるごはんとかケーキとかカレーとか全部作ってたんですよ。

夢眠 すごーい! 私とえいたそは同じメイド喫茶で働いてたんですけど、そのときウチらの店って観光客とかも来るタイプの大手って言われてるところで、メイドDVDを出してるのは密着型っていうか、ホントにメイドが好きな人が行く店舗の方々で、ガチメイドって感じで。選ばれてる各店舗のメイドがポスターになってるのをアキバのDVD売ってるところで見たら、梨紗と未鈴がいるんですよ。そのときはもちろん知らないんですけど。

──スターメイドだったわけですね。

夢眠 そう。だから各店舗の代表なんだ、みたいな。ちょっと伝説感があるのを見て。

成瀬 ウチら、そのときは全然違うものだと思ってたんで、ふーんと思ってました。

古川 いろいろ交差してるわけですね。

ディアステがライバル店だった

──ねむきゅん、えいたその出会いも感動的ですもんね。

夢眠 私は豪さんの取材でも言ってると思うんですけど、美大に通っててギャラリー燃やしたいとか言ってた時期があって。

──いろいろこじらせてる頃ですよね。私はいつも1人で学食にいるのに、みんな仲良くギャラリーとかで楽しくやりやがって、みたいな感じの。

夢眠 こじらせてる時期に。グループ展ってなんだよ、みたいな。そういう気持ちでアキバ系の歌を聴いてたときにメイド喫茶に行って。常連さんとかもいなそうな平日の午前中を狙って行ったんですよ。そのときにえいたそに接客してもらって、すごいな、みたいな。

──えいたそ接客術がすごいっていうのは伝説ですよね。トイズファクトリーの契約取ったのも、えいたそ効果だったっていう話があるぐらいで。

成瀬 ロフトプラスワンでもいろいろ言われたんですけど、盛りすぎ感があって。

古川 トイズの稲葉社長がえいちゃんに接客されて、「現代のナイチンゲール」って言ってたんですよ。

──お忍びでディアステージに行ったときに。

夢眠 私も「この破れかぶれの気持ちを現代のナイチンゲールに癒された」って。

成瀬 癒されたっていうか、衝撃を受けたっていうか、逆に傷をえぐられたんじゃないかって(笑)。お店に来てくれた方には平等に全員思いっきり楽しませたいっていう気持ちがあって。お店にはメイドになりたい女の子もいっぱい来るんですよ。この子あとで面接を受けに来るな、視察に来てるなっていうのはわかるんですけど、ねむきゅんはそういう感じじゃなくて。よくわかんない感じでホワーッと来て。

古川 えいちゃんはそのときのこと覚えてるの?

成瀬 最近思い出した。この子、変な子だなと思ったんですけど、まさかそのあとメイドになるとは思わなかった。

夢眠 しかも、そこ何店舗もあるんです。ドンキの上とか、ビルの中でも3店舗あるのに、同じところに配属されて。その店舗が結構変わった子が多かったんですよ。で、そこに来てるご主人様とかに、「マジ梨紗ちゃんかわいい!」みたいなのめっちゃ見せられてて。

相沢 ディアステができて、私が働き始めた頃から、外でお客さんがそれを言ってくれてて。

夢眠 メイド喫茶とかはだいたい夜10時に閉店するんですけど、ディアステは深夜営業もやっていて、ご主人様方がみんなそそくさと帰るようになっちゃったんです。何してるんだろうと思って、「このあとどこ行くんですか?」って言うと「ディアステ」とか言われて。「ディアステって何?」みたいな。

成瀬 話題持ちきりだったよね。

夢眠 ライバル店だから。

相沢 9時過ぎからライブがあるから。

夢眠 みんな早めに帰るんですよ。いつもしぶってたくせに。で、聞いたらヲタ芸みたいなのをやってるらしいって。私たちのところではご主人様はあんまり動いたりはしなかったんで。

成瀬 ミニライブはあったんですけど。

夢眠 ミニだから手拍子ぐらいで。ディアステはとにかくお客さんが動くし、女の子もすごい動くし、お茶漬けが美味しい。

最上 なんだそれ!

相沢 出汁茶漬けだったから。

夢眠 そうそう、出汁取って。

古川 やたら料理が凝ってたんだよね。

夢眠 ちょっとショックを受けて。絶対そんな店、嫌だよね、みたいな変な結束があったんですけど、店を辞めてから思い出して。それで入ったんですよ。

ニューシングル「W.W.D / 冬へと走りだすお!」 / 2013年1月16日発売 / TOY'S FACTORY / MEME TOKYO
初回限定盤A[CD+DVD] / 1500円 / TFCC-89414
初回限定盤B[CD+DVD] / 1500円 / TFCC-89414
通常盤A[CD+DVD] / 1500円 / TFCC-89416
CD収録曲
  1. W.W.D
  2. 冬へと走りだすお!
  3. W.W.D(Off vocal)
  4. 冬へと走りだすお!(Off vocal)
初回限定盤A DVD収録内容
  1. W.W.D(Music Clip)
  2. W.W.D(Music Clip メイキング映像)
  3. 第1回でんぱ組.inc 台湾観光案内
初回限定盤B DVD収録内容
  1. 冬へと走りだすお!(Music Clip)
  2. 冬へと走りだすお!(Music Clip メイキング映像)
  3. W.W.D(Music Clip Dance shot ver.)
でんぱ組.inc (でんぱぐみいんく)

古川未鈴(みりんちゃん)、相沢梨紗(りさちー)、夢眠ねむ(ねむきゅん)、成瀬瑛美(えいたそ)、最上もが(もが)、藤咲彩音(ピンキー)からなる6人組アイドルユニット。2008年の結成後、秋葉原のライブ&バー「秋葉原ディアステージ」をホームグラウンドに精力的なライブ活動を展開する。2011年11月からはTOY'S FACTORYともふくちゃんの共同設立によるレーベル「MEME TOKYO」に所属。同年12月に1stアルバム「ねぇきいて?宇宙を救うのは、きっとお寿司…ではなく、でんぱ組.inc!」をリリースし話題を集める。メンバーはそれぞれゲーム、アニメ、コスプレなど秋葉原オタクカルチャーに造詣が深く、趣味を生かした課外活動でも知られる。2013年1月16日にニューシングル「W.W.D / 冬へと走りだすお!」をリリース。