ナタリー PowerPush - BUMP OF CHICKEN
充実したバンドの“現在”を伝える「宇宙飛行士への手紙 / モーターサイクル」
デモを聴いてすぐにもうカッコよすぎるだろうと
──一方「モーターサイクル」は、シニカルな視線や感情が変則的なビートともに疾走していく。BUMP OF CHICKENというロックバンドのクリエイティビティが、ダイナミックに、キャッチーに響いてきます。
藤原 この曲は去年の4月に「魔法の料理 ~君から君へ~」が書けて、それから1週間もしないうちに書けた曲なんです。なので先程お話した、新しい曲作りのやり方を始める前に書いた曲なんですね。ずっと「魔法の料理」の濃厚な匂いの中にいた時期だったんですけど、一気に切り替わってそのときに思っていたことがポロポロと出てきて曲になったんだと思います。
──そのときはこういうシニカルなモードだったんですか?
藤原 きっとそうだったんでしょうね(笑)。この曲の歌詞に関しては、特にあれこれ言えないなぁという気持ちが大きいですね。
──そういうムードが歌詞にもそのまま表われていますよね。
藤原 そう、だからそこは言わずもがなという感じなんですけど。
──3人はどうですか?
直井 デモを聴いてすぐにもうカッコよすぎるだろうと。まずドラムを聴いてもリズムの頭がどこにあるかよくわからないし、和音もよくわからないし、それでいてメロがしっかりしている点もよくわからない(笑)。そういう意味でも衝撃を受けたし、早く鳴らしたいと思いました。
升 僕も初めて聴いたときは「カッコいいな!」のひとことでしたね。しばらくしてから「あ、このドラム、俺が叩くのか!」と(笑)。
一同 (笑)。
升 でも、これを生で叩けたら絶対カッコいい曲になるなってデモの段階で確信しましたね。
──レコーディングも苦労した?
升 そうですね。やっぱり理解するのに時間がかかりました。でも、一度理解するとメロディアスなビートなんですよ。
直井 キャッチーなんだよね。
升 うん。ただ変則的というよりは、歌えるビートだなって。ライブで演ったら僕らもお客さんも盛り上がれる曲だなと思います。
──増川さんはどうですか?
増川 2人が言うようにとにかくカッコいい曲だし、早く音を鳴らしたいと思いましたね。かなり難しい曲ですけど、それだけにやりがいのある曲です。デモと最終的な音源の形はあまり変わってなくて。リフとかも含めてデモの段階からあったものをそのまま採用しているんですね。デモを聴いて「カッコいいな。よし、やってみるか」って耳コピして、そのあとスタジオで藤くんを除いた3人で合わせる機会があって。そしたらまったくできなかった(笑)。なぜかというと、この曲って歌がないと自分がどこを弾いているかわからなくなるんですよ。
藤原 なるほどね(笑)。
増川 だからこそ、すごく挑戦しがいのある曲です。
レコーディングの合間にも新しい曲が生まれてる
──アルバムに向けてのレコーディングをしながら、新しい曲もどんどん生まれているんですか?
藤原 生まれてますねえ。
直井 生まれてるんですよ。
藤原 去年の夏から冬くらいにかけてが一番ピークで。それよりはペースは落ちているんですけど。ただ、それはなぜかというと今その書き続けていた曲をレコーディングしているからで。それでも合間にちょいちょい新しい曲はできていて。
──いいっすね。
藤原 はい、楽しいです。
──レコーディングも充実していますか?
藤原 かなり充実してます。空きの時間はトランプばっかりやってます(笑)。
──アルバム、楽しみに待ってますね。
一同 ありがとうございます。
藤原 僕らも早くみなさんに届けたい気持ちでいっぱいです。
BUMP OF CHICKEN(ばんぷおぶちきん)
藤原基央(Vo,G)、増川弘明(G)、直井由文(B)、升秀夫(Dr)の幼なじみ4人によって、1994年に中学3年の文化祭用バンドとして結成。高校入学後に本格的な活動をスタートする。地元・千葉や下北沢を中心にライブを続け、1999年にインディーズからアルバム「FLAME VEIN」を発表。これが大きな話題を呼び、2000年9月にはシングル「ダイヤモンド」で待望のメジャーデビューを果たす。その後も「jupiter」「ユグドラシル」といったアルバムがロックファンの熱狂的な支持を集め、2007年には映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」主題歌に起用されたシングル「花の名」を含むメジャー3rdフルアルバム「orbital period」をリリース。2008年には全国33カ所41公演、22万人動員の大規模なツアーを成功させている。