先日、BiSHが自身最大規模のキャパシティとなる千葉・幕張イベントホールでのワンマンライブ「BiSH NEVERMiND TOUR RELOADED THE FiNAL“REVOLUTiONS”」を成功させた(参照:BiSH、7000人の清掃員と迎えた“約束”の幕張ワンマン)。音楽ナタリーでは幕張公演を終えたばかりのBiSHにインタビューを実施。メンバーそれぞれが思う素直な心境や、今後の展望などについて話を聞いた。当日、取材に同行していたプロデューサー・渡辺淳之介(WACK)に行った単独インタビューとあわせて、楽しんでもらいたい。
取材・文 / 大山卓也 撮影 / 後藤倫人
6人の空気感がよかった
──まずは幕張公演おつかれさまでした。ライブを終えて数日経った今の心境を聞かせてください。
ハシヤスメ・アツコ 今はとりあえずホッとしてます。幕張が決まってからは、歌もダンスもMCもちゃんとやらなきゃとか、体力持つのかなとか、満員にしたいなとか、いろんなプレッシャーを抱え込んでいたので。今はそれがなくなって、一気に肩の荷が下りた感じです。
リンリン 幕張が終わってからは、気分的に雨の日でも晴れてるみたいな毎日。頭の中も、いつも見てる普通の街とかも、何をしてても明るく見えてます。
──ライブの内容的にはどうでしたか?
アイナ・ジ・エンド 6人の空気感はめちゃくちゃよかったですね。自然にアイコンタクトしてたし、6人がちゃんと感じ合ってるなって思えた。過去最高くらいによかったと思います。
セントチヒロ・チッチ たぶん個々で「間違えちゃった」とかそういうのはたくさんあると思うんだけど、6人の空気感がよかったっていうのはすごくわかる。今まで以上に入念に6人でミーティングを重ねてきたから安心感があったというか。
──6人のミーティングではどんなことを話すんですか?
チッチ とにかく自分の気持ちを話したり、誰かが不安に思ってることを言って、それについてみんなで考えたりとか。
──事務的な確認ではなく、もっと深い話なんですね。
チッチ 振り付けや歌の確認ももちろんするんですけど、例えば「幕張に向けてこう思ってるんだけどどうかな?」とか「この曲を歌うときにこの気持ちがそろってたらいいよね」みたいな。みんなの気持ちの話が多いかもしれないですね。
幕張が目標だったわけじゃない
──これは少し意地悪な質問かもしれませんが、今回7000人キャパの幕張イベントホールを満員にしたものの、BiSHはもともと幕張を目標にしていたわけではないですよね。
アイナ ないですね。
全員 うん。
アイナ チッチは「東京ドームツアーが目標です!」って言ってたもんね。
モモコグミカンパニー 東京ドーム、1つしかないけどね(笑)。
──なので、今回の幕張が皆さんにとってどういう位置付けのライブだったのかを教えてほしいんですが。
チッチ 幕張が到達点じゃないし、この先を見てるっていうのは全員同じ気持ちです。これで満足だって思ったことはまったくない。幕張が終わってから渡辺(淳之介)さんにメールしたら「やっとBiSHが始まったと思ったよ」っていう返事をもらって。ホントにそうだな、ここがBiSHのスタートだなって思ってます。
──MCでファンやスタッフに対する感謝の気持ちを伝えていたので達成感があるのかと思いましたが、そういうわけではない?
アイナ 確かにそういう雰囲気は漂ってしまってたかもしれないけど、たぶん6人とも口下手だから、感謝の気持ちを伝えたいっていうところにフォーカスしすぎちゃったんですよね。でもみんな「ここで止まりたくない」って思ってたし、そう言ってたつもりです。
チッチ うん、感謝の気持ちは伝えたかった。そこから先につながる言葉ももっと言えたらよかったのかなっていうのは思うけど。
リンリン ふふふ(笑)。
アイナ え、リンリンどうした?
リンリン いや、思い出しちゃった。ハシヤスメのMC。「来れない人のこともわかってます」って。
──場内がざわついたMCですね。
ハシヤスメ いやいや、ほら、幕張は当日券なかったけど、当日ダメもとで来てくれた人もいたみたいだし、Twitterのリプとかで「仕事で行けない」って人もいたんで。会場にいた7000人だけじゃないんだなっていう。
アイナ そういう意味のMCだったんだ? 「わかってます」って、なんか占い師みたいだなって思ってた(笑)。
モモコ 今やっと真相が聞けた。
ハシヤスメ 笑いが起きちゃったけど、すごい真面目に話してたんで。
アイナ あとハシヤスメは「BiSHに入って3年になります」っていうのも言ってた。
──BiSHの結成からまだ2年半ですけどね。
ハシヤスメ あれは間違えちゃいましたね。
アイナ めっちゃ面白い(笑)。
ハシヤスメ MCで何言おうかっていうメモの段階からずっと「3年」って書いてたんですよね。
アイナ・ジ・エンド「みんなの助けでどうにかやれてる」
──皆さんやっぱり大舞台ならではの緊張とプレッシャーを感じていたんですね。
モモコ そうですね。私も幕張の朝めっちゃゲロ吐いてたし(笑)。自分でもびっくりした。
アユニ・D 私もすごい不安になって家で吐いてたけど、誰にも言わなかった。
チッチ 言わない派だ。でも身体に出るんだよね。
アイナ モモコはずっと首を掻いてたもんね。
──首を掻いてた?
モモコ ストレスなのかな? かゆくなっちゃうんですよ。アイナと2人でタクシーで帰ったときがあったんですけど、そのとき私ずっと犬みたいな感じで無意識に首んとこ掻いてて(笑)、5分ごとにアイナが「モモちゃん」って言って手を押さえてくれるの。
──お母さんみたいですね。
モモコ うん、アイナは本番前に1人ずつ手紙をくれたりもして。うれしかった。
アイナ 何もできないけど何かしたいと思ったんですよね。みんな緊張で負けちゃいそうな感じだったし、肌が荒れてたりするのも見てたので。自分自身もずっと気を張ってるし、人のこと気にしてる場合じゃないなっていうのはあるんですけど。
──自分も大変なのにメンバーのことを気遣ってしまう?
アイナ おせっかいババアなんですよね。変なとこで関西のおばちゃんが出てきちゃうんです(笑)。
──そうやってアイナさんがグループをまとめていく場面は多いんですか?
アイナ いや、そんなことないです。逆に私が喉の手術をしたとき(参照:BiSHアイナ・ジ・エンドが声帯手術、活動休止前にフリーライブ決行)、ステロイドを飲みまくってたせいで全身パンパンになって、それが毎日イヤすぎて、なんでこんな地獄みたいな毎日送んなきゃいけないんだろうって自分のことばっかり考えちゃってて。でもライブになると普段通りに歌えない私のためにリンリンが「じゃあ私、今日叫びながらダイブする」って言ってフォローしてくれたり、チッチがそのぶん歌ってくれたり、ハシヤスメが寄り添ってくれたり。みんなが助けてくれるからどうにかやれてるんだなって。いつもそう思ってます。
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リンリン「ずっと運動会の前日みたいな気分」
- BiSH「GiANT KiLLERS」
- 2017年6月28日発売 / avex trax
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初回限定盤
[CD2枚組+Blu-ray]
10800円 / AVZD-93683~4/B -
LIVE盤 [CD+DVD]
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iNTRODUCiNG BiSH盤 [CD2枚組]
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通常盤 [CD]
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- BiSH(ビッシュ)
- アイナ・ジ・エンド、モモコグミカンパニー、セントチヒロ・チッチ、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dの6人からなるアイドルグループ。BiSを作り上げた渡辺淳之介と松隈ケンタが再びタッグを組み、彼女たちのプロデュースを担当する。2015年5月27日に1stアルバム「Brand-new idol SHiT」をリリース。同年5月には東京・中野heavy sick ZEROにて初のワンマンライブ「THiS IS FOR BiS」を開催し、以降のライブは各所でソールドアウトを記録する。2016年1月に2ndアルバム「FAKE METAL JACKET」を発表。同年5月にはメジャー1stシングル「DEADMAN」をリリースしavexよりメジャーデビューを果たした。さらに6月から10月にかけて全国ツアー「BiSH Less than SEX TOUR」を開催し、ツアーファイナル「帝王切開」では東京・日比谷野外大音楽堂で単独公演を成功させた。同年10月にメジャー1stアルバム「KiLLER BiSH」を発売。2017年1月から全国6都市を巡る「BiSH NEVERMiND TOUR」を実施した。同年3月にメジャー2ndシングル「プロミスザスター」をリリースし、6月にミニアルバム「GiANT KiLLERS」を発表。7月22日には千葉・幕張メッセ イベントホールにてグループ史上最大規模のワンマンライブを行った。