ナタリー PowerPush - THE BAWDIES

セルフプロデュースで自分たちを解放 “もう1枚の1stアルバム”完成

“ロックンロールバンドの自然のサイクル”

──収録曲がこれだけバラエティに富んでると、ライブがどうなるのか楽しみです。レコーディングしたものを再現するのも難しそうですが。

TAXMAN 僕らもちょっと不安ですね。

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MARCY(Dr) 今回のアルバムは、バラードみたいな僕たちの新しい部分も出てるから、それを人にどうやって伝えるか、今までにはない表現力をライブで出せるようにならないとな、というのはやっぱりありますね。

──実はこの1年の間に、あるタイミングからTHE BAWDIESのライブがすごく変わったなって思うタイミングがあったんです。

MARCY ROYがテレビに出始めたからじゃない?

一同 (笑)

──夏フェスが終わって秋頃にTHE BAWDIESのライブを観たときに、演奏力や表現力という部分とはまた違った、ライブの見せ方、盛り上げ方がうまいバンドになったなと。お客さんとのやり取りや乗せ方が、格段にうまくなったなと思ったんです。

JIM 夏フェスって俺らのことを知らない人たちもいっぱい来てくれるんで、そこで初めて観てくれる人もそうだし、たまたまうちらの次に出る人目当てでステージを観てる人にもTHE BAWDIESのライブを観てもらうことになりますよね。だから、夏フェスに出るって決まったときから「どういうふうにやろっか?」って話になったし、それまでとは違うライブの仕方を自分でも意識するようになりました。

──夏フェスって、ライブハウスとはまた違う世界ですしね。

ROY 対バンのときもあるけど、ライブハウスだと基本はTHE BAWDIESを観に来てくれてるお客さんだけに向けて演奏する。でもフェスだと、THE BAWDIESというバンドに対する情報が少ない中、通りすがりで「あれ、なんか面白そうなのやってる」と集まってくれる人もたくさんいたと思うんです。そういう人たちにもしっかり足を止めてもらえるように、自然と自分たちの中で、何か違うものをいつも以上に発散しないとお客さんに伝わらないんじゃないかなという気持ちは、どこかにあったのかもしれないですね。

JIM お客さんとの距離も遠いので、その距離を近づけなきゃというのも考えました。フェスって刺激が多い場だし、しかもフェスに出るぐらいの人たちとなるとみんなライブが素晴らしいですし、お客さんも音楽を楽しみに来てるからのっけから120%で来てくれるような人たちが多くて。本当に音楽を楽しんでる姿は、やってる側から見ても刺激になるし、だからそこから学んだことが多かったんじゃないかな。

──対バンツアーが夏まで続いて、秋にはワンマンツアーもあります。ここからまた、どう変化していくのか楽しみです。

TAXMAN 僕ら、ライブやツアーで得るものがいつも大きくて、2009年はフェスやツアーで得た成果がこのアルバムになったと思うんで、今回のツアーでまた得るものもいっぱいあると思うんです。

ROY やっぱり作ったものを生で伝えて、そして返ってきた反応で得たものからまた新しいものを作るっていうのが、ロックンロールバンドの自然のサイクルなので。このサイクルがうまく回っているというのはバンドがすごくいい状態だと思うし、去年からそれがずっとできてるなと思います。

フジロックは僕らにとってひとつの目標だった

──フェスといえば、フジロック出演も決まりました。2007年のROOKIE A GO-GOステージ以来ですよね。

ROY 僕ら、あのROOKIE A GO-GOが初野外だったんですよ。ホント、今まで生きてた中で一番うれしかった瞬間があのライブだったんです。

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JIM ライブでうれしい瞬間ってフェスに多くない?

ROY 多いね。

TAXMAN フジロックは僕らにとって、ひとつの目標だったんですよ。

ROY 学生の頃から遊びに行ってた場所だったんで。

JIM 前回は600人くらい集めたのかな。でも、今回はROOKIEじゃなくて入口のゲートをくぐった先でやれるんで、もう今からヤバイっすよ!

ROY あのときは自分たちの出番の前にWHITE STAGEでYOUR SONG IS GOODを観て、元気もらってからライブに挑んだんです。もしかしたら、今年は僕らのライブを観てからROOKIEに挑むバンドもいるかもしれない。

JIM 俺らのライブを観て元気をもらったバンドが、今度は1000人集めるかもしれないしね。

ブラックミュージックという土台は一生変わらない

──最後に、今後の展望について質問したいと思います。THE BAWDIESはここまでとても順調に、着実に成長していますが、この先はどういう方向に進んでいくのかなと。THE BAWDIESのようなスタイルのバンドが2年後、3年後、あるいは5年後にどういうアルバムを作ってるのかということを、想像すると面白いなと思ったんです。

一同 ああ。

──例えばTHE BEATLESは「ラバー・ソウル」みたいに、どんどん緻密なサウンドに進化していきました。THE ROLLING STONESはその時代その時代でいろんな要素を取り入れつつも、ソウルやブルースを軸にしたスタイルを突き通してます。その一方で、RAMONESみたいにかたくなに同じスタイルを固持するバンドもいる。それを踏まえた上で、THE BAWDIESってどういう方向に転がっていくのかな、どうなっていきたいのかなって。

ROY 自分たちでもわかんないですよ(笑)。

JIM どう変化していくのか見えない分、楽しみですね。

ROY 今回のアルバムではレコーディングを2回に分けたんですけど、その2~3カ月の間でもだいぶ音が変わったし。ただ言えるのは、ブラックミュージックという土台は絶対に変わらないですね。一生変わらないと思います。そして、自分たちの持ってるセンスに関しては自信を持ってやっているので、これからもいいものを絶対に作り続けます。ロックンロールを楽しんで、それを生でしっかり伝えていって、いい音楽を作るってことは変わらないと思いますよ。

MARCY 僕らはソウルやロックンロールのコピーを経て、オリジナリティを出すとこからスタートしたバンドだから。今はブレないルーツがあるから何があっても大丈夫だし、たぶん次は今以上にTHE BAWDIESらしさが出ると思います。ただ、具体的にどうなっているかは想像つかないけど。

TAXMAN オペラみたいなのやってたりしてね(笑)。

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THE BAWDIES(ぼうでぃーず)

小学校からの同級生であるROY(Vo,B)、JIM(G)、MARCY(Dr)と、高校からの同級生TAXMAN(G,Vo)によって2004年1月1日に結成。メンバーが敬愛するリトル・リチャード、レイ・チャールズに代表される、リズム&ブルースやロックンロールをルーツとする。唯一無二の圧倒的なボーカルを武器に、ロックンロールの本来持つピュアな魅力やエネルギーをストレートに伝える楽曲やライブが各地で噂を呼ぶ。
2006年3月に1stアルバム「YESTERDAY AND TODAY」、2008年2月に2ndアルバムとアナログ盤「Awaking of Rhythm And Blues」をリリース。2度のオーストラリアツアー、34公演にわたる全国ツアーを成功させ、数々のロックフェスにも出演。さらに自主企画「FREE FOR ALL」を実施するなど、めざましい活躍を見せ、着実に知名度を高めていく。
2009年3月、先行限定7インチアナログ盤+配信シングル「EMOTION POTION」を発表。2009年4月には、NAOKI(LOVE PSYCHEDELICO)初プロデュース曲を含む、メジャー1stアルバム「THIS IS MY STORY」をリリースする。2010年2月には同作で第2回CDショップ大賞を受賞。同年3月にシングル「HOT DOG」をリリースし、オリコンウィークリーチャートトップ10入りを果たす。4月にメジャー2ndアルバム「THERE'S NO TURNING BACK」をリリース。5月からは40本以上におよぶ全国ツアーも決定している。