不安や迷いがあっても、それが私たちだから

──五五七二三二〇の皆さんは、不安や不満、いらだちなど、どこか世の中にフラストレーションを抱えているように感じます。

少女D　「半世紀優等生」も「ポンパラペコルナパピヨッタ」も、50年間ずっと地味な存在だったココナッツサブレの欲望や悩みを歌っている歌なんですが、「変われない自分へのいらだち」「変わりたいという衝動」「変わったけど、本当に変わってよかったのかという葛藤」は、十代が感じるそれとすごく似ているのかもしれません。私たちも歌いながら、自分の気持ちと重ね合わせて歌っていた気がします。

少女F　たまにふと、自分の将来を考えるときがあります。具体的な不安ではないんですけど、心がざわっとする瞬間、みたいな。そんな気分を表現しているからなのかもしれませんね。

少女H　ココナッツサブレと十代の若者って、一見まったく違う気がするのに、共通項があるなんて不思議ですね。

──今年3月に発表されたデビュー曲「半世紀優等生」では、エキセントリックな音楽性とギター5人にドラム3人という編成、どこか鬱屈とした佇まいが注目を集め、大きな反響を呼びました（参照：ギター5人ドラム3人の女子中学生「五五七二三二〇」ソニーからデビュー）。

H　ほかのアーティストとは違う個性が見せたかったのかもしれません。

──普通に「バンドを組もう」と考えたらなかなかこういう編成にはならないですよね。常識を打ち破ることのほうが大事？

F　本当のことを言うと、自分たちがやりたい楽器で集まったら、自然とああいう形になったというか（笑）。

──「半世紀優等生」はKenKenさんが提供した楽曲です。歌も演奏も非常に複雑で難解だと思うのですが。

D　常識にとらわれない楽曲だったので、いろんなことに悩んでいた私たちの鬱屈した思いを吹き飛ばすような快感がありました。

──3月には東京・新宿ステーションスクエアでデビューライブが行われ（参照：五五七二三二〇はエビ中だった！雨の新宿で“初ライブ”）、8月には私立恵比寿中学のライブ「エビ中 夏のファミリー遠足 略してファミえん in 長岡2015」（参照：エビ中「ファミえん」、新潟の国立公園で9000人と水浸し）への出演もありました。生演奏で大きな音を鳴らすのはやはり気持ちがいいものですか？

F　大きな会場で好きな音楽を鳴らすのは気持ちいいです。

──すごく無表情でぶっきらぼうなパフォーマンスですが。

D　そうですか……？ 緊張していたからだと思います（笑）。初めての人前でのライブだったので。でも、別に飾る必要はないと思っているので。そのままの私たちを観てもらえればうれしいです。