映画ナタリー Power Push - 「映画 みんな!エスパーだよ!」

園子温×池田エライザ×真野恵里菜インタビュー 性春映画、あっぱれ! Wヒロインと監督の意外な信頼関係

やっぱり園子温ってすっごい人なんだなって(池田)

──何度もご一緒されてる真野さんから見て、園組というのはいかがですか?

真野 でも基本的に園組っていうのは一緒ですね。何が起こるかわからないので武者震いする感じで、どの作品でも楽しいです。現場でどんな変更が出てもそこに柔軟に対応して、この作品と役を楽しんだ者勝ちだなと。監督のOKだけを頼りにやってたら、役者やってる楽しみがなくなるんだろうなと思うので、変更でもなんでもかかってこいと思ってやってます!

 じゃあ今度真野さんとやるときは、厳しくめっちゃいじめ倒します。

真野 うわあ……がんばります(笑)。

 毎日号泣させてやる。

真野 いや、絶対泣かない!

──今回の現場で悔し泣きする場面はありました?

真野 「エスパー」はなかったですね。園さんの現場でこれまでに悔し泣きすることは……あまりなかったかも。

 真野ちゃんに対して僕は優しいからね。でも、この人アイドル出身だから、もとが強いんだよ。

──池田さんはいかがでした?

池田 悔し泣きかあ……。現場ではなかったんですけど、ホテルに帰ってから……あれはどう言うべきかな?

真野 うーん。葛藤?

池田エライザ

池田 なんだろう、自分の知識が足りなくて、何について考えるべきなのか、むしろこれは考えるべきなのかが全部わかんなくなって、うわーってなったときはあったんです。だからそういうときは真野ちゃんに聞いたりしました。あと、クライマックスに美由紀が泣くシーンがあったんです。美由紀の気持ちが一番表れる場面なんですけど、私は本当に単純だから、カメラの動きとかを考えてたら、気持ちがからっぽなままやっちゃって。わざと演じて、できない自分をごまかしちゃったんです。でもそれがやっぱり園さんにはバレるので、「全然ダメだ!」「まだ泣ける、まだ泣ける」って。いつもモニターの横でふんぞり返ってる園さんがカメラ横まで来てくださって(笑)。

真野 うふふ(笑)。

池田 そのシーンだけずっと横で声をかけてくださったんです。そのとき初めて厳しく指導してくださって。そのときの涙は、カメラが回ってたので美由紀としてのものでしたけど、エライザの普段外に出ない部分からの涙でもあったと思います。私も初めて「こんな涙がでるんだ」って不思議な感じでした。私の知らない私を監督が引き出してくれて、それに対して驚きとちょっとの悔しさと……「自分のこと、ここまで知らなかったんだ」って。いつもジョークを言って人を笑わせてるけど、やっぱり園子温ってすっごい人なんだなって思いました。

 ふん。

──ありがとうございます。では最後に、作品を観ていただく方にコメントをお願いします。

左から池田エライザ、園子温、真野恵里菜。

池田 そうですね、最近いろんな青春映画がありますが、その中でもっとも男子目線で最もキラキラ輝いてる青春映画です。ある意味とってもピュアな映画だと思うので、ぜひ、学生諸君は大人数で行って気まずくなればいいし(笑)。間違いなく面白くて、お金払う価値も絶対にあると思うので、スクリーンで観てください!

真野 私がこの「エスパー」をやって変わったのは、男子が言う下ネタに心を許せるようになったことです。最初の頃は「下ネタで盛り上がってる男子ってなんなの? 本当に気持ち悪い!」って感じだったんですけど、最近は「あ、男の子はこういうほうが健全なんだな」って思えるようになったんです。だから下ネタとかちょっと嫌だなっていう女の子も、この映画を観て「男って馬鹿だね」って笑えるようになったらいいなって思います!

──では最後に監督お願いします。

 うん。至極健全でまともな男子映画、青春映画になってるはずなので、もちろん男子は全員観に来るべきです。あと、男子に連れられて女子もみんな来てください!

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「映画 みんな!エスパーだよ!」2015年9月4日より全国公開

「映画 みんな!エスパーだよ!」

若杉公徳のマンガを原作に、2013年に深夜ドラマが、2015年4月にスペシャルドラマが放送された青春コメディシリーズの劇場版。監督の園子温、主演の染谷将太のほか、真野恵里菜、マキタスポーツ、深水元基、柾木玲弥、神楽坂恵、安田顕といったレギュラーメンバーがテレビシリーズから引き続き出演し、オーディションで選ばれた新キャスト・池田エライザがヒロインを務める。さらに高橋メアリージュン、冨手麻妙、サヘル・ローズ、今野杏南、星名美津紀、篠崎愛、清水あいり、星名利華ら豪華女優陣が集結する。

ストーリー

愛知県東三河。いつの日か運命の彼女に出会えると信じている平凡な高校2年生・鴨川嘉郎は、ある日突然人の心の声が聞こえるテレパシー能力に目覚める。東京からの転校生・浅見紗英に心惹かれつつ己の能力に翻弄される嘉郎だったが、テレキネシスでスカートめくりをする喫茶店マスターの輝光、全裸でテレポーテーションする露出狂の榎本、透視能力で相手の臓器を見ることで快感を得る矢部、そして自分と同じテレパシー能力を持つ幼なじみの美由紀たちの存在に気づく。そんな中、東京からやってきた超能力研究の第一人者で紗英の父・浅見教授と助手の秋山により集められたエスパー一同は、悪のエスパーによってこの街に危機が迫っていることを知る。それまでエロいことにしか力を使っていなかったものの、自分たちの使命を自覚する嘉郎たち。そして教授の予見通り、街中の女性たちがエロ化していくという事態が発生し……。

スタッフ

監督:園子温
原作:若杉公徳
脚本:田中眞一、園子温
音楽:原田智英
主題歌:岡村靖幸「ラブメッセージ」

キャスト

鴨川嘉郎:染谷将太
平野美由紀:池田エライザ
浅見紗英:真野恵里菜
永野輝光:マキタスポーツ
榎本洋介:深水元基
矢部直也:柾木玲弥
秋山多香子:神楽坂恵
浅見教授:安田顕
ポルナレフ愛子:高橋メアリージュン
その他キャスト:柄本時生、冨手麻妙、サヘル・ローズ、今野杏南、星名美津紀、篠崎愛、清水あいり、星名利華 ほか

©若杉公徳/講談社 ©2015「映画 みんな!エスパーだよ!」製作委員会

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園子温(ソノシオン)

1961年、愛知県豊川市生まれ。1987年、「男の花道」でPFFグランプリを受賞。2008年「愛のむきだし」の第59回ベルリン国際映画祭フォーラム部門 カリガリ賞・国際批評家連盟賞受賞を筆頭に、2011年の「冷たい熱帯魚」「恋の罪」、染谷将太が主演した2012年の「ヒミズ」、2013年の「地獄でなぜ悪い」などが各国の映画賞に輝く。2015年には「新宿スワン」「ラブ&ピース」「リアル鬼ごっこ」など監督作が次々と公開された。「みんな!エスパーだよ!」や「時効警察」などで深夜ドラマの脚本・演出も手がけている。

池田エライザ(イケダエライザ)

1996年、福岡県生まれ。2009年にニコラモデル・オーディションで1万4000人の中からグランプリを受賞、同誌の専属モデルとしてキャリアをスタートさせる。2013年6月にCanCamの専属モデルとなってからは、“自撮りのカリスマ”と呼ばれ注目を集め、自身のTwitterアカウントはフォロワー18万人を超える(2015年8月現在)。女優としては2011年の「高校デビュー」と2013年の「絶叫学級」に出演しているが、本格的な演技に挑むのは本作が初となる。

真野恵里菜(マノエリナ)

1991年、神奈川県生まれ。2009年にハロー!プロジェクトよりソロ歌手としてデビューし、2013年に同プロジェクトを卒業。女優としての出演作に、テレビドラマ「SPEC(スペック) ~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿」や、映画では2013年の「劇場版 SPEC~結(クローズ)~」や2015年の「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」などがある。2015年は「新宿スワン」「ラブ&ピース」といった園子温監督作へ立て続けに参加し、「リアル鬼ごっこ」ではトリプルヒロインの1人を務めた。

スタイリスト / 宮本茉莉

ヘアメイク / 南野景子(池田エライザ)、野中真紀子(真野恵里菜)