小野賢章が語る「美女と野獣」|思わず親目線?生まれ変わったベルにぞっこん

子役時代、泣きながら「やらせてください!」

──今回、アラン・メンケンによる新曲も3曲ありました。野獣がベルを思って1人で歌うシーンもそのうちの1曲です。

「美女と野獣」より、ルミエール(ユアン・マクレガー)。

あのシーンは新曲だったんですね。野獣の人間味あふれる部分というか、ベルを愛する思いが強く伝わってきました。

──家に帰って思わず口ずさんでしまいそうな曲はありましたか?

やっぱり「美女と野獣」ですかね。すごく記憶に残っている曲でした。あとはルミエールが食事を用意するシーン(「ひとりぼっちの晩餐会」)はパレードを観ているみたいで。きっとこの映画を観るとディズニーランドに行きたくなっちゃいますよね。

──ディズニーランドはよく行かれるんですか?

小野賢章

いえ……最後に行ったのはいつだろう。2年前くらいかな? それも1時間ぐらいなんですけど(笑)。舞浜アンフィシアターでのイベント前日、前乗りしていた共演者たちと、ちょっと今から行かない?って。園内の雰囲気を楽しんで、食事して帰りました。ほんの一瞬でも、ほかのお客さんたちの楽しそうなオーラに触れるだけで幸せな気持ちになれますよね。

──ディズニーランドのお話が出たところで、ディズニー作品にまつわる思い出をお伺いできればと思います。小野さんが初めて触れたディズニー作品は?

「ライオンキング」ですね、ミュージカルに出たときです。ディズニー作品って、主人公が何かを乗り越えていく要素がありますよね。悲しいことが身に降りかかっても強くたくましく生きて、自分の居場所や愛する人を見つけ、最終的にハッピーになる。ヤングシンバを演じたとき、これがディズニーか!と思いました。

──当時の印象深い出来事はありますか?

そうですね……四季時代のことは若干トラウマと言いますか(笑)。厳しかったですよ、デビューまで10カ月かかりましたから。しかも舞台稽古までして、いよいよデビューするぞっていうところで親と一緒に呼び出されて、「ちょっと今のままじゃ難しいかな」と三者面談になりまして。まだ僕は子供だったんですけど泣きながら、やらせてください!と。夢のような舞台の裏側にはたゆまぬ努力があるという(笑)。

──そんな舞台裏があったんですね……。

ほかに思い入れが深いのは「トイ・ストーリー」シリーズです。「トイ・ストーリー」は吹替版の印象が強い人が多いと思うんですけど、「トイ・ストーリー3」で(17歳の)アンディ役をやらせていただけたのは単純にすごくうれしかったです。当時お世話になった音響監督の松岡(裕紀)さんが、今回のプレミアム吹替版も担当されていたみたいで。エンドクレジットが流れたときに、ああやっぱりなと思って、そこも個人的にテンションが上がりました!

小野賢章27歳、真実の愛を語る

──先ほど小野さんがおっしゃったとおり、「美女と野獣」も「自分の居場所や愛する人を見つけ、最終的にハッピーになる」物語ですね。

「美女と野獣」より。

実写版では、ベルと野獣以外にもより深くさまざまな愛の形が描かれていました。愛がテーマだからこそ「美女と野獣」は時代を超えて愛されてきたんだと思います。「地位や見た目といった要素を取っ払って誰に対しても優しい心を持ちなさい」というメッセージが込められていますが、それってどんな時代でも変わらないことですよね。

──ずばり小野さんの考える真実の愛とは、どういうものでしょうか?

うーん……27歳で愛を語るのは相当難しいんですけど(笑)。さっき話したように、いろいろな愛の形があっていいと思うんです。恋愛に限らず、家族や友情も。それで周囲の言うことは気にせず、お互いが真実の愛だと思っていれば、それが真実の愛になるんじゃないでしょうか。

──本人たちの気持ち次第だと。ちなみに野獣はベルと互いに思い合っていることを確信したにもかかわらず、彼女を父親のもとへ帰してあげました。この行動は男性から見て理解できるものですか?

小野賢章

できます。野獣がベルにそうであったように、好きな人が大切にしているものは自分も大切にしてあげたいという気持ちが生まれるんじゃないかと。だからこの野獣の行動はすごく自然というか、そうするよねって共感できました。逆にガストンはベルを絶対行かせないはず(笑)。それは愛なのか?と言われると、違う。自分のことしか考えていないんだろうなと思います。

──なるほど、ありがとうございます。男性視点でもいろいろな観方があるかと思いますが、最後に小野さんから男性へのオススメポイントを教えてください。

エマ・ワトソンがかわいい!

──それに尽きますか(笑)。

男って単純ですから、それだけでも観に行くんじゃないかなと。まあそれは置いといて(笑)。やっぱりディズニー作品はシンプルでわかりやすいのがいいと思うんです。普段生活していて、人間関係や仕事だったり複雑なことが多いじゃないですか。でも自分がいかに深く考えすぎていたかなと気付かせてくれる。好きなら好きでいいとか、大切なことってシンプルだよねと改めて教えてくれる作品になっています。

特集「美女と野獣」を語る
コミックナタリー 「いつかティファニーで朝食を」マキヒロチ
映画ナタリー 小野賢章
ステージナタリー 藤田俊太郎
音楽ナタリー NONA REEVES 西寺郷太
作品解説・キャラクター紹介
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「美女と野獣」
2017年4月21日(金)公開

ある城に、若く美しく傲慢な王子が住んでいた。嵐の夜、寒さをしのぐため城へやって来た老婆を冷たくあしらった王子は、老婆に化けていた魔女の呪いで醜い野獣の姿に変えられてしまう。その呪いを解くには、魔法のバラの最後の花びらが落ちる前に王子が誰かを心から愛し、その誰かから愛されなくてはならなかった。長い年月が過ぎ、あるとき町娘のベルが城にたどり着く。村人から変わり者扱いされても自由にたくましく生きてきたベルと触れ合う中で、外見に縛られ心を閉ざしていた野獣は本来の自分を取り戻していく。しかしベルに恋する横暴な男ガストンが、彼女を自分のものにしようと残酷な企みを考え……。

スタッフ
監督:ビル・コンドン
作曲:アラン・メンケン
作詞:ティム・ライス、ハワード・アシュマン
キャスト ※()内はプレミアム吹替版
ベル:エマ・ワトソン(昆夏美)
野獣:ダン・スティーヴンス(山崎育三郎)
モーリス:ケヴィン・クライン(村井國夫)
ガストン:ルーク・エヴァンス(吉原光夫)
ル・フウ:ジョシュ・ギャッド(藤井隆)
ルミエール:ユアン・マクレガー(成河)
コグスワース:イアン・マッケラン(小倉久寛)
ポット夫人:エマ・トンプソン(岩崎宏美)
チップ:ネイサン・マック(池田優斗)
マダム・ド・ガルドローブ:オードラ・マクドナルド(濱田めぐみ)
プリュメット:ググ・バサ=ロー(島田歌穂)
カデンツァ:スタンリー・トゥッチ
小野賢章(オノケンショウ)
1989年10月5日生まれ、福岡県出身。「ハリー・ポッター」シリーズの日本語吹替版で全作にわたり主人公ハリー・ポッター役を担当した。俳優、声優、歌手などジャンルを超えて活動し、近年の出演作にミュージカル「ロミオ&ジュリエット」、劇場アニメ「映画『聲の形』」「劇場版 黒子のバスケ LAST GAME」、テレビアニメ「遊☆戯☆王 ARC-V」「ReLIFE」、実写映画「燐寸少女 マッチショウジョ」など。現在テレビアニメ「恋愛暴君」「BORUTO-ボルト-NARUTO NEXT GENERATIONS」が放送中。主演舞台「舞台『黒子のバスケ』OVER-DRIVE」が6月から7月にかけて上演される。

2017年4月27日更新