コミックナタリー Power Push - 「アトム ザ・ビギニング」

佐藤竜雄監督×オープニングテーマ担当・After the Rain対談 オープニングテーマ「解読不能」は、A106と同じく“段々と感情的になっていく”曲"

4月15日23時よりNHK総合テレビにて放送されるテレビアニメ「アトム ザ・ビギニング」は、手塚治虫「鉄腕アトム」を原案とし、アトム誕生までを描く物語。マンガはカサハラテツローが手がけ、コンセプトワークスとしてゆうきまさみ、監修として手塚眞がそれぞれ参加している。

コミックナタリーではアニメ化を記念し、全2回の特集を展開。この後編では各界著名人からの応援コメントを掲載するほか、オープニングテーマ「解読不能」を歌うAfter the Rainの2人と佐藤監督による座談会を実施し、主題歌制作の裏話などを聞いた。

各界著名人から、「アトム ザ・ビギニング」アニメ化を記念したコメントが到着!

石黒浩

原作のアトムよりも、より現実的な設定になっている点はおもしろい。自我を持つロボットというのも考えさせられる点である。特に、原作のように強いロボットとしても描かれていて、優しい自我と無敵の強さのバランスというのは本当にバランスするのだろうか?

するとしたらそれはどのような理由なのだろうかと、設定がよりリアルになっているために、原作よりもより深く考えさせられる。

プロフィール
石黒浩

1963年滋賀県生まれ。大阪大学基礎工学研究科教授。人間酷似型ロボット研究の第一人者で、ロボット工学と認知科学、脳科学を融合し、「人間とは何か」を探るアンドロイドサイエンスを提唱する。日本テレビ系のバラエティ番組「マツコとマツコ」のために作られたアンドロイド「マツコロイド」や、3代目桂米朝の米寿を記念した「米朝アンドロイド」の制作にも携わった。主な著書に「ロボットとは何か-人の心を映す鏡」(講談社)、「どうすれば『人』を創れるか」(新潮社)、「アンドロイドは人間になれるか」(文藝春秋)など。

一本木蛮

原作マンガでカサハラテツロー氏の細密に煌く絵柄に、ゆうきクンのコンセプトワーク。これがあれよあれよとすっごい面白いわけで…どこまでゆうきクンがネーム起こしに手を出してるの?といつも思う「アトム ザ・ビギニング」。はたしてこの柔らかで優しくダイナミックで切ない原作漫画をどうアニメにするんだろう?と、手塚眞くんにアニメ化を知らされた時、すっごい楽しみな気持ちと…正直心配な気持ちもありました。この味は、よっぽど丁寧に描いてもらわないと出ないんじゃないか…と。

でも、その心配は吹っ飛びました(笑)

改めて、マンガにはマンガの、アニメにはアニメの構成と描き方があるんだなと。

すでにアトムを知らない世代の皆様にも、「ロボットものには興味ないわ?自分、腐女子なんで」という皆様にも、確実に響くアニメになっています。
(ここでこんなこと言っていいのかわかりませんが、これで夏のコミケにアトムものの薄い本も並ぶぞ!という秘めたる確信も湧きました。)

今後もちょいと目が離せない作品。毎週のお楽しみが一つ増えました。

海外のアニメファンの反応も楽しみです。

ありがとうございます!!!!!!

プロフィール
一本木蛮

1965年、神奈川県生まれ。中学時代から雑誌へのハガキ投稿を始め、1982年にファンロード(ラポート)でプロデビュー。主な作品として「一本木蛮のキャンパス日記」「勇者コジロー2」「同人少女JB」「戦え奥さん!!不妊症ブギ」「じてんしゃ日記」など。マンガ家以外にもコスプレイヤー、バンド活動、DJ、映画出演、ドラマ「アオイホノオ」での総作画監督、芸術大学講師など活動は多岐にわたる。手塚眞、手塚るみ子との交流は深く、2015年、2016年には、東京・吉祥寺で開催された手塚治虫のトリビュートイベント「手塚治虫文化祭」に参加した。

大谷ノブ彦(ダイノジ)

ヤバいヤバいヤバい!
ヤングお茶の水博士とヤング天馬博士の青春物語が面白くないわけない。

手塚作品の汎用性の高さの凄さよ。
普遍的なのに奥行きがあるから、解釈やカバーに耐えうるスタンダードになるんだなって。願わくばここから手塚作品に触れるきっかけになると素晴らしいなと思う。1989年、平成元年、手塚先生が亡くなられた年から僕たち喪失を繰り返してきた。

取り戻すんだ、未来を。

プロフィール
大谷ノブ彦(ダイノジ)

1972年6月8日生まれ。大分県出身。1994年に中学時代の同級生、大地洋輔と本格派漫才コンビ・ダイノジを結成。演芸・ネタ番組などに出演しながら、ライブにも精力的に力を注いでいる。サブカルチャーにも精通しており、洋邦問わず音楽・映画への造詣が深い。映画関連の仕事も多数携えながら、DJダイノジとして全国各地の数多のロックフェスに出演。真剣楽しいをモットーに今日も日本中を駆け巡る。

奥浩哉

天馬博士とお茶の水博士がホームズとワトソンを彷彿とさせました!AIの進化がめざましい今こそ面白い題材だと思います!若き日のひげおやじなども出て来てこれからのA106の活躍が楽しみです!

プロフィール
奥浩哉

1967年9月16日福岡県福岡市生まれ。1992年より「変 ~鈴木くんと佐藤くん~」で連載デビュー。同作は1996年にはテレビドラマ化されるヒットを記録。マンガの背景にデジタル処理を用いた草分け的存在として知られ、2000年より週刊ヤングジャンプ(集英社)で連載された「GANTZ」はスリルある展開で好評を博し、アニメ、ゲーム、実写映画化などさまざまなメディアミックスがなされた。2014年よりイブニング(講談社)にて「いぬやしき」の連載を開始。同作は2017年10月からテレビアニメ化、2018年には実写映画化が予定されている。

片桐仁(ラーメンズ)

それはそれは有名な、手塚治虫先生の「鉄腕アトム」。でも原作をほとんど読んだことないので、大丈夫かなー?と心配しましたが、そんな僕でも楽しんで読めました。おじいさんのイメージだった、お茶の水博士や天馬博士が大学生で、若い二人が作った「A-106(読み方を変えればアトム。この語呂合わせに気づくのにも時間がかかりました…)」。この無機質すぎるデザインが、どうなんだろう?と思いましたが、あえて人間っぽい見た目にしなかったことで、だんだん人間らしく、カワイイ存在に見えてくるのが素晴らしいと思いました。アナログな画風も好きです。

子供が読むとどうなんだろう?と思いましたが、長男6年生があっという間に全巻読んでました(毎日学校に持って行くほど、ハマりました)。4月からのアニメ、楽しみです。

プロフィール
片桐仁(ラーメンズ)

1973年11月27日、埼玉県生まれ。多摩美術大学在学中に小林賢太郎と共にラーメンズを結成。以後舞台を中心にテレビ、ラジオ、粘土創作など、様々な分野で活動している。現在NHK Eテレ「シャキーン」、TBSラジオ「エレ片のコント太郎」にレギュラー出演中。4月26日からは舞台「サクラパパオー」に出演、4月28日からは全国イオンモールのイオンモールにて個展「ギリ展」を開催。

片渕須直

アトムは僕らの世代の出発点です。
けれど、アトムはいつの間にか僕らの隣にいた。
思えばどこから来たのかよく知らない友人だった。
ああ、ゆうきさんカサハラさんは、
アトムと友だちになり直そうとされてるんだなあ。

プロフィール
片渕須直

1960年生まれ。アニメーション映画監督。日大芸術学部映画学科在学中からテレビアニメ「名探偵ホームズ」に脚本家として参加。映画「魔女の宅急便」では演出補を務めた。1996年、テレビアニメ「名犬ラッシー」で監督デビュー。2009年に監督した「マイマイ新子と千年の魔法」は口コミで評判が広がり、異例のロングラン上映とアンコール上映を達成した。2016年の監督作「この世界の片隅に」は第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞、第90回キネマ旬報ベスト・テン日本映画ベストワンなどを受賞。同作で監督としても第67回芸術選奨文部科学大臣賞、第59回ブルーリボン賞監督賞、第90回キネマ旬報ベスト・テン日本映画監督賞などを受賞した。

上條淳士

その後の天馬博士やお茶の水博士の運命を想うと切なくもなりますが、そもそも手塚作品に特有の「異形なモノ」への哀しさを、ゆうきまさみ氏とカサハラテツロー氏のなかで「ロボットは切ない」という約束ごと(自我システム)として描かれていて、その一点においても信用のできる「アトム ザ・ビギニング」。

特にシックスのキャラクター性は抜群です。

今回アニメ化ということで、どこまで原作に寄り添えるのか、期待も膨らみます。

プロフィール
上條淳士
撮影:地引雄一

1963年、東京都生まれ。1983年、少年サンデー増刊号(小学館)に「モップ★ハンター」を発表しデビュー。1985年から週刊少年サンデー(小学館)で「To-y」を連載。シャープな絵と、独自の鋭いセンスが、多くのファンの支持を受ける。その後も「SEX」「赤×黒」「8-エイト-」などヒット作を生み出した。現在、代表作のひとつ「SEX」の誕生30周年を記念した完全版「SEX 30th AnniversaryEdition」全4巻を刊行中。

コージィ城倉

作中本編に登場するロボット・A106(エーテンシックス)には、まだアトムのような自我は芽生えていない。しかしA106からはアトムに通ずる「魂」を感じることができ、これから始まる壮大な“ロボット叙事詩”への期待が一気に高まりました。一方、やがてはアトムへ辿り着いて行く若き日の天馬博士とお茶の水博士…ロボット製作への情熱で繋がる二人の「青春」描写が、これから訪れる苦難を知っている身としては第1話から本当に切なくもあり、そして眩しく映りました。実力派揃いの声優さん達との相性もバッチリ! オンエアが楽しみでしようがありません!!

プロフィール
コージィ城倉

代表作に「砂漠の野球部」「愛米」「ティーンズブルース」「おれはキャプテン」など多数。「チェイサー」では手塚治虫をライバル視するマンガ家・海徳光市を描いている。4月からはグランドジャンプ(集英社)にてちばあきおの名作「キャプテン」続編執筆が決定し、話題を呼ぶ。また森高夕次の名義でマンガ原作者としても活動。原作者としての代表作は「グラゼニ」「江川と西本」など。

村田蓮爾

「アトム ザ・ビギニング」放映おめでとうございます。「鉄腕アトム」の前日譚ということで興味深く読ませていただきました。カサハラテツローさんの嫌味のないアレンジのキャラデザインや、テンポの良い展開にあの世界への懐かしさとワクワク感を感じます。天馬、お茶の水両博士のパーソナルを広げつつ、これからどうやって物語をつなげていくのか、命とは、人格とはといった原作の持っている命題にどう向き合うのか、デジタル処理を生かしたアニメーションで新しくなったアトムを一視聴者として楽しみにしています。

僕が「鉄腕アトム」を知ったのは小学生の頃にテレビでやっていたアニメ版でした。生き生きとした動きと喜怒哀楽に溢れた表情は、ロボットとは思えなかったのを覚えています。僕と同じような子供がジェットで空を飛び、10万馬力のパワーで敵を倒していくのは痛快でまさに夢のスーパーヒーローでした。しかしそのうち段々とアトムが悲しい目にあったり、悩んだりするのを見るのが辛くなっていきました。人間の欲や悪意に翻弄されながらもあくまで純粋に人間を守ろうとする故の悲痛なアトムの顔を見たくなかったのです。だから後半は見るのをやめてしまいました。同じ時期にやっていたアニメも辛いものはあったはずなのにアトムだけは特別でした。──多分僕はアトムを友達のように感じてたんだと思います。

プロフィール
村田蓮爾

イラストレーター、デザイナー。ウルトラジャンプ(集英社)、COMIC快楽天(ワニマガジン社)、画楽.mag(ホーム社)の表紙イラスト、季刊エス(飛鳥新社刊)のピンナップ連載、ゲーム「豪血寺一族」やアニメ「青の6号」「LAST EXILE」「シャングリ・ラ」「ラストエグザイル-銀翼のファム-」のキャラクターデザイン、児童書「タラ・ダンカン」のカバーイラストなどで幅広い層の人気を確立。そのほかイラストやキャラクターデザインを多数手がけ、国内外で高い評価を得ている。2013年より京都精華大学マンガ学部キャラクターデザインコースに准教授として勤務。

米村でんじろう

科学を好きになった大きな理由のひとつが「鉄腕アトム」のマンガであり、アニメでした。少年時代、「鉄腕アトム」の活躍と夢のような未来の技術をワクワクしながらテレビの前にかじりついて見ていたのを、よく覚えています。人工知能を搭載したロボットの誕生など、少年の頃に見たアトムの夢の世界の話が、約50年後の今、現実味を帯び、夢ではない世界になりつつあります。そのような時期に、また鉄腕アトムにまつわるアニメが見られるというのは不思議なめぐり合わせですね。楽しみにしています!

プロフィール
米村でんじろう

1955年、千葉県生まれ。東京学芸大学大学院理科教育専攻科終了後、自由学園講師、都立高校教諭を勤めた後、広く科学の楽しさを伝える仕事を目指し、1996年に独立、1998年には「米村でんじろうサイエンスプロダクション」設立。現在、サイエンスプロデューサーとして科学実験等の企画・開発や、各地でのサイエンスショー、実験教室、研修会、各種メディアの企画・監修・出演など、さまざまな分野で活躍中。今後開催予定のサイエンスショーについての詳細は、公式サイトで確認できる。

吉崎観音

吉崎観音イラスト

プロフィール
吉崎観音

九州出身。1989年小学館新人コミック大賞佳作でデビュー。マンガ、イラスト、キャラクターデザインなど多岐にわたって活躍。1998年に読み切り「ケロロぐんそー」を発表する。1999年2月より「ケロロ軍曹」本編を連載開始。2005年には「ケロロ軍曹」が第50回小学館漫画賞児童向け部門を受賞。代表作に「宇宙十兵衛」「アーケードゲーマーふぶき」「ドラゴンクエストモンスターズ+」ほか多数。

コラム:アトムの本当のお父さんは誰?佐藤竜雄×藤咲淳一 対談 / 本広総監督 コメント 第1回特集はこちらから

テレビアニメ「アトム ザ・ビギニング」2017年4月よりNHK総合テレビにて放送

スタッフ
  • 原案:手塚治虫
  • プロジェクト企画協力・監修:手塚眞
  • コンセプトワークス:ゆうきまさみ
  • 漫画:カサハラテツロー(「月刊ヒーローズ」連載)
  • 協力:手塚プロダクション
  • 総監督:本広克行
  • 監督:佐藤竜雄
  • シリーズ構成:藤咲淳一
  • キャラクターデザイン:吉松孝博
  • 総作画監督:伊藤秀樹
  • 音響監督:岩浪美和
  • 音楽:朝倉紀行
  • アニメーション制作:
    OLM×Production I.G×SIGNAL.MD
  • オープニングテーマ:After the Rain「解読不能」
  • エンディングテーマ:南條愛乃「光のはじまり」
キャスト
  • 天馬午太郎:中村悠一
  • お茶の水博志:寺島拓篤
  • A106:井上雄貴
  • 堤茂理也:櫻井孝宏
  • 堤茂斗子:小松未可子
  • お茶の水蘭:佐倉綾音
  • 伴俊作:河西健吾
  • 伴健作:飛田展男
    ほか
After the Rain ニューシングル アニメ「アトム ザ・ビギニング」オープニングテーマ「解読不能」2017年4月12日発売 / NBCユニバーサル・エンターテイメント
「解読不能」
初回限定盤 [CD+DVD] 1728円 / GNCA-0468
通常盤 [CD] 1080円 / GNCA-0469
南條愛乃 ニューシングル アニメ「アトム ザ・ビギニング」エンディングテーマ「光のはじまり」2017年5月17日発売 / NBCユニバーサル・エンターテイメント
「光のはじまり」
初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / GNCA-0477
通常盤 [CD] 1296円 / GNCA-0478
カサハラテツロー
カサハラテツロー

1967年生まれ。1993年、3年の科学(学習研究社・当時)掲載の「メカキッド大作戦」でデビュー。メカニカルなロボットの描写に定評がある。「アトム ザ・ビギニング」のほかの代表作に「RIDEBACK」「ザッドランナー」「フルメタル・パニック! 0」など。

手塚治虫(テヅカオサム)
手塚治虫

1928年11月3日大阪府豊中市生まれ。5歳のとき現兵庫県宝塚市に引越し、少年時代をここで過ごす。1946年、少国民新聞大阪版に掲載された4コマ作品「マアチャンの日記帳」でデビュー。1950年、漫画少年(学童社)にて出世作となる「ジャングル大帝」の連載を開始。以降「火の鳥」「リボンの騎士」といった歴史的ヒット作を連発し、人気マンガ家としての地位を確立した。1963年、自身の設立したアニメスタジオ「虫プロダクション」にて日本初のテレビアニメとなる「鉄腕アトム」を制作。現代のマンガ表現における基礎を打ち立てた人物として世界的な知名度を誇り、その偉大な功績から“マンガの神様”と呼ばれ支持されている。1989年2月9日胃癌のため死去、享年60歳。

ゆうきまさみ
ゆうきまさみ

1957年北海道生まれ、B型。1980年、月刊OUT(みのり書房)に掲載された「ざ・ライバル」にてデビューし、1990年には「機動警察パトレイバー」にて第36回小学館漫画賞を受賞。代表作に「究極超人あ~る」「じゃじゃ馬グルーミン★UP!」「鉄腕バーディー」など。現在は週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館)にて「白暮のクロニクル」を連載しており、単行本は10巻まで発売中。また月刊!スピリッツ(小学館)でシリーズ連載中の「でぃす×こみ」は2巻まで発売されている。

手塚眞(テヅカマコト)

東京生まれ。ヴィジュアリスト。高校時代から映画・テレビ等の監督、イベント演出、CDやソフト開発、本の執筆等、創作活動を行っている。1999年映画「白痴」でヴェネチア国際映画祭招待・デジタルアワード受賞。テレビアニメ「ブラック・ジャック」で東京アニメアワード優秀作品賞受賞。手塚治虫の遺族として宝塚市立手塚治虫記念館、江戸東京博物館「手塚治虫展」等のプロデュースを行う。著作に「父・手塚治虫の素顔」(新潮社)、「トランス位牌山奇譚」(竹書房)ほか。