コミックナタリー PowerPush - 「青の祓魔師」劇場版
画面にまつわるスタッフ大集合!原作者・加藤和恵×キャラクターデザイン・佐々木啓悟×美術監督・木村真二が座談会
昨年12月に公開された加藤和恵原作によるアニメ映画「青の祓魔師」劇場版のBlu-ray&DVDが、7月3日に発売される。監督は「千と千尋の神隠し」で監督助手を務めた高橋敦史が担当。脚本は「けいおん!」の吉田玲子、美術監督は「鉄コン筋クリート」「ヒピラくん」などの木村真二と、豪華スタッフが集結し、話題を呼んだ作品だ。
コミックナタリーではこのリリースを祝し、原作者の加藤和恵、キャラクターデザインの佐々木啓悟、美術監督の木村真二と、画面に関わったスタッフの座談会を敢行。加藤が描き下ろした特典イラストの話から、キャラクターデザインの過程まで、絵にまつわるエピソードを中心に劇場版を振り返る。また3人による貴重な合作イラスト色紙も公開する。
取材・文/坂本恵
オムライスの色を間違えちゃいました
──今回は「青の祓魔師」劇場版Blu-ray&DVDの発売直前ということで、みなさまにお集まりいただきました。完全生産限定版のパッケージには、加藤さんの描き下ろしイラストが使用されてますね。
加藤 実はこれ、失敗しちゃったんですよね……。
佐々木 えっ? どこがですか?
加藤 オムライスのごはんをチキンライスにしちゃったんです。でもこれ、本当はチャーハンなんですよ。劇中で「スーパーイエローオクムラリンスペシャル」って燐が言ってたし、ごはんの色も黄色いよっていう意味なんですよね、きっと。塗り出したときは覚えてたのに、塗ってるうちに忘れちゃってたんですよー。失敗したー!
佐々木 映画では燐がうさ麻呂に振舞ってたけど、今回はみんなで作ったっていうことにしたらいいんじゃないでしょうか?
加藤 そうですね、そういうことにしておきましょうかね……。無念です。エビはちゃんと入れたんですけどね。
佐々木 実は最初、本編中のオムライスにエビは入ってなかったんですけど、コンテを見た加藤先生が「美味しそうになるんですよね?」っておっしゃったので、監督もプレッシャー感じてたみたいで(笑)。「佐々木くん、これちょっと直せない?」って言われたので、エビとかいろいろ加えました。
キャラクターの配置を計画的に描いてます
──そうだったんですね(笑)。でもこれだけたくさんキャラがいると、見てて楽しいイラストですよね。ずっと見てても飽きないです。
加藤 映画にはもっとキャラが出てると思うんですけど、入らなかったです。
木村 このイラストに1話分のお話が詰まってるよね。それでまた、雪男の表情がいいんだよな。
佐々木 いいですよね。なんとも言えない表情で。
加藤 黙々とオムライス食べてますね。
木村 (絵をまじまじと見ながら)……いやあ、しかしキツイなあ。
佐々木 え、どういうことですか?
木村 いや、こんな細かくて盛りだくさんな絵を描くのって、一体どういう神経してるんだろうって……。
佐々木 それ、木村さんにいちばん言われたくないですよ(笑)。あんなに緻密な背景を描いてる人が。
加藤 ははは、本当ですよ!(笑) でもなんとなく描いているように見えて、実はこれでも計画的なんですよ! 人気のあるキャラクターが奥にいたらだめだし、関係性も違和感ないように芝居をさせなくちゃいけない。さらに3面開きのパッケージなので、3つに分かれても1枚ずつちゃんと絵になるようにしなきゃいけないとか、私にとってはかなり挑戦的な絵でした。でも配置さえできればあとは塗っちゃうだけなので、そこからはそんなに大変ではないんですけど。
私、バランス感覚だけでここまできたので
木村 加藤さんって、色の勉強はされてたんですか?
加藤 何もしてないです。
佐々木 それはすごいですね。
加藤 特殊な塗り方は一切してないです。凝ったことは何もしてなくて、ただ塗ってるだけ。加工技術がないので……。
佐々木 塗りというか、色の配置とか色の面積の取り方とか、そのバランスがすごいですよね。
加藤 すごくはないですが、ありがとうございます。私はバランサーなんです。色もそうなのかわからないですが、特にストーリーが得意というわけでも、絵がめちゃくちゃうまいってわけでもないんですが、バランス感覚というんですかね? それだけでやってきたところがありまして。
佐々木 そこが難しいんですよ。僕は本当に色の才能ないので。うらやましいです。
- DVD / Blu-ray「青の祓魔師」劇場版 / 2013年7月3日発売 / アニプレックス
- 完全生産限定版 [Blu-ray] / 8400円 / ANZX9151
- 完全生産限定版 [DVD] / 7350円 / ANZB9151
- 通常版 [Blu-ray] / 5040円 / ANSX9151
- 通常版 [DVD] / 3990円 / ANSB9151
あらすじ
11年に一度の祝祭を前に、高揚感と喧騒で溢れかえる正十字学園町。悪魔の侵入を防ぐため、祓魔師たちは結界張り替えに勤しんでいた。一方、暴走する幽霊列車(ファントムトレイン)の退治にあたった奥村燐は、任務の途中、少年の姿をした幼き悪魔に出会う。
加藤和恵(かとうかずえ)
1980年7月20日生まれ。東京都在住。赤マルジャンプ2000年SUMMER(集英社)に掲載された「僕と兎」でデビュー。2005年、月刊シリウス創刊号(講談社)より「ロボとうさ吉」を連載。その後、ジャンプスクエア(集英社)に活動の場を移し、同誌2009年5月号より「青の祓魔師」を連載開始。2011年4月にはTVアニメ化を果たす。