「ハイガクラ」田村心&佐奈宏紀によるこの記事限りのキャラ完全再現ショット 一葉と滇紅の魅力は“完璧な絆”

累計発行部数130万部(※電子含む)を突破し、現在TVアニメも放送中の高山しのぶ「ハイガクラ」。一迅社のWebマンガサイト・ゼロサムオンラインで連載中の同作は、歌士の一葉いちようと従神の滇紅てんこうが、世界を支える四凶と呼ばれる神々を探し求める壮大なファンタジー作品だ。

コミックナタリーでは、そんな「ハイガクラ」の魅力を伝えるべく、俳優・田村心と佐奈宏紀に新装版1巻、2巻カバーイラストの一葉と滇紅に扮してもらった。この記事限りの撮り下ろし写真とインタビューをお届けする。2.5次元舞台を中心に活躍する2人は、このインタビューのために用意された圧巻のクオリティの衣装を「一度だけなんてもったいない!」と大絶賛。佐奈が熱弁をふるえば、田村が楽しそうに相槌を打つなど、終始和やかな雰囲気で対談は進んだ。撮影を終えた直後の興奮冷めやらぬ2人に、「ハイガクラ」の魅力を余すことなく語ってもらった。

取材・文 / 阿部裕華メイク / 田中紫央撮影 / 武田真和

「ハイガクラ」

「ハイガクラ」1巻

神仙と人間が暮らす“仙界”は、世界を支える四神“四凶”のうち二神が逃げ出したことにより、崩壊の危機に瀕していた。逃げた神々を連れ戻すため、歌と舞で神々を連れ帰る歌士官たちは、各地を飛び回る。舞は完璧だが音痴のため落ちこぼれ呼ばわりされる歌士・一葉と、その従神で記憶を失った滇紅もまた、それぞれの目的を胸に四凶を探し求めるのだった。

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奇跡のジャストサイズに「もったいない!」と絶賛

──今回、田村さんには一葉に、佐奈さんには滇紅に扮して撮影に臨んでいただきました。改めて、キャラクターの衣装とウィッグを身にまとい、メイクをしたご自身の姿を見て、率直なご心境はいかがでしたか?

佐奈宏紀 本当に率直に言っていいですか?

──ぜひ……!

佐奈 この日のためだけの衣装なんて、もったいないです!

田村心 あはは(笑)。でも、それはそう!

佐奈 この1回で終わるには、もったいないクオリティですよね。衣装もメイクもこだわって作ってくださっていて。「この取材だけで終わってしまうの?」って正直、今でも思っていますね。

田村 舞台の衣装合わせで初めてキャラクターの衣装に袖を通したときと同じくらいの高揚感でした。

佐奈 しかも、フィッティングなしでジャストサイズだったんですよ。

田村 当日にパッと着て、こんなに肌になじむことはあるのかと驚きました。手袋とかもすごかったです。

佐奈 ね! もともと体の一部だったかのようなフィット感でした。衣装師さんの技術がすごすぎて、“感動”の2文字しかないです。

左から田村心扮する一葉、佐奈宏紀扮する滇紅。

左から田村心扮する一葉、佐奈宏紀扮する滇紅。

──お互いの衣装をまとった姿を見ての感想もぜひ!

佐奈 めっちゃ「ぽい」です。

田村 僕もそう思った! マンガを読んでいるときから、滇紅は佐奈っぽいなと思っていたんですけど、衣装をまとったらより滇紅は佐奈っぽいなと。

佐奈 心くんも見た目は本当に一葉のまんまだけど、中身は一葉と正反対な感じだよね?

田村 そうだね!

──おふたりとも舞台でさまざまな役柄を演じられているだけあって、撮影時の表情やポージングも、即座に一葉と滇紅になりきっていましたよね。

佐奈 心くんが、陰陽師のようなポーズをしていたのが印象的でした(笑)。

田村 (笑)。今回の撮影は、舞台で初めてキャラクターを演じるときと同じ感覚で臨んでいて。舞台のときも、最初のビジュアル撮影だけだと役になじんでいないから、どういう雰囲気を出せばいいのか探りながら、表情やポーズを作るんですよ。それと同じような感覚でした。

佐奈 わかります。台本があるわけでもないしね。だけど、ちょっと僕のことを見て、「合っているかな?」みたいに探っている心くんがかわいかったです(笑)。

田村 ふふ(照れ笑い)。あと、舞台と違って写真だけとなると、声を発せないし、アクションもできないわけなので、どうやって雰囲気を出すのかという難しさはありました。一葉も滇紅も、二面性・三面性のあるキャラクターだから。僕が扮した一葉でいうと、笑顔が見えるときもあるけど、気だるそうなときもあるし。そういうのを探りながら撮影していました。

佐奈 そうだね。しかも、滇紅になれるのはこの撮影1回だけだと思ってしまうと、ここに僕の思い描く滇紅のすべてを乗せなきゃと思ってしまい……ネタバレしそうでした(笑)。物語が進むごとに表れる滇紅の一面を表情で全部説明したくなっちゃって。一葉と滇紅の関係性も、「どの巻の話までなら表現して大丈夫かな!?」「こんな雰囲気の2人も表現したいな……」と。

田村 たしかに。1巻のときの一葉と滇紅の関係性と、その後の巻の2人の関係性ではまた印象が違って。だから、「どっちで撮影すればいいんだろう?」と考えていました。

佐奈 そうそう。僕は15巻まで読み進めてしまっていたから、伝えたいことがたくさんありすぎて(笑)。それを隠すのが大変でした。

田村心扮する一葉。

田村心扮する一葉。

佐奈宏紀扮する滇紅。

佐奈宏紀扮する滇紅。

──佐奈さん、かなり読み込まれていますよね。撮影中に田村さんへ解説しているのが印象的でした。

佐奈 仕事が重なっていたから読めるところまで読めたらいいかなと思っていたんですけど……とりあえず3巻まで読んだら続きが気になりすぎて、もう止まれなかった(笑)。

田村 それはわかる。すごく先の展開が気になりました。

佐奈 「ハイガクラ」って伏線が多いマンガですけど、キャラクターの衣装1つとっても伏線につながる小道具が仕込まれていて。リアルに再現された衣装を見て、「これは……!」といち読者として興奮してしまいました(笑)。

田村 読み込んでいる佐奈との撮影は心強かったです。それに、半年くらい同じ舞台に出ていたので、気心も知れているし、黙っていても気まずくない相手なので。何も身構えることなく撮影時間を過ごせました。

佐奈 そうだね。一葉と滇紅の仲睦まじい感じは、僕らだからこそ出せたと思っています。

高山先生の手のひらで転がされている感覚に

──ここからは、「ハイカグラ」という作品の魅力について教えてください。特に心惹かれた要素はありますか?

田村 先がどうなるかが全然わからないのが面白いですよね。伏線も、しれっと描かれているのが魅力的です。普通は伏線回収って大々的に描かれるものじゃないですか。でも「ハイガクラ」は、よく読まないと回収されていることに気づけない。「へえ、こんなところに隠れていたんだ!」という驚きがあって面白いです。

佐奈 作者である高山先生の手のひらで転がされている感覚になるんだよね。読み進めていくと、「うそ!」「ええ!?」と四方八方から波がザバーンザバーンと打ち付けてくるような気持ちになります。「読み手はもう、この波の上にいざなわれるだけだ……」と思っています(笑)。誰が敵で誰が味方なのかもわからないので、登場人物が信用できなくて怖い。これはもはやホラーマンガですよ!(笑)

左から田村心扮する一葉、佐奈宏紀扮する滇紅。
左から田村心扮する一葉、佐奈宏紀扮する滇紅。

左から田村心扮する一葉、佐奈宏紀扮する滇紅。

──読み進めていくと、最初に抱いた印象からどんどん変わっていきますよね。

田村佐奈 そうそう!

田村 僕は撮影前に1巻からまた読み返していたんですけど、だいぶ印象が違います。

佐奈 張り巡らされた伏線が回収されていくたびに印象が変わりますから、今後また伏線が回収されたときにどういう気持ちになるのか、今から気になります。

田村 未だに完結していないのが熱いですね。

佐奈 そうそう。まだまだ、いろんな展開が残されている。

田村 リアルタイムで完結を楽しめる物語だね。

佐奈 いいマンガに出会えたなと思っています。

──個性豊かなキャラクターが登場するのも本作の魅力の1つですが、気になるキャラや好きなキャラはいますか?

田村 僕は、まず一葉ですね。普段気だるげで、人に興味なさそうなのに、ふとしたときに優しさや温かさがにじみ出ていて。特に流を助ける話は、一葉の優しさが感じられて好きでした。あとは、比企ひきも好きです!

佐奈 比企も読み進めるとかなり印象変わるからね!

田村 今のところ、僕の推しキャラです。

佐奈 比企はめっちゃいいよ……! 僕は、神獣の白豪はくごうが刺さっています。舞台で神様の役を演じていたので、神から見た人間ってどういうものなのかが、白豪を通して学べるのが面白かったです。あと、りゅう金雀きんじゃくも好きですね。この2人の関係性がいいのよ……。

「ハイガクラ」1巻より、白豪。一葉の育ての親で、仙界崩壊を避けるべく人柱に封じられている。

「ハイガクラ」1巻より、白豪。一葉の育ての親で、仙界崩壊を避けるべく人柱に封じられている。

「ハイガクラ」3巻より、比企。四凶の一柱で、足を切られて人柱に封じられている。

「ハイガクラ」3巻より、比企。四凶の一柱で、足を切られて人柱に封じられている。

──今回、おふたりに扮していただいた一葉と滇紅の関係性も、本作の大きな魅力の1つだと思います。

佐奈 一葉と滇紅の出会いの話から、何があって2人がああいう関係性になったのか、その過程が面白いんですよね。

田村 僕もまだ途中までしか読めていないのですが、一葉と滇紅の出会いから考えると1巻のときの2人の関係性とはだいぶ違っていたので、今の2人の関係性になった経緯がすごく気になっています。最初は単純な凸凹コンビなのかなと思って読んでいたんですけど、どうやらそんな単純な関係性ではないみたいなので……。

「ハイガクラ」3巻より、子供の頃の一葉と封印されていた滇紅が出会うシーン。
「ハイガクラ」3巻より、子供の頃の一葉と封印されていた滇紅が出会うシーン。

「ハイガクラ」3巻より、子供の頃の一葉と封印されていた滇紅が出会うシーン。

佐奈 あと、2人の魅力は“完璧な絆”ですよね。滇紅は一葉に対して絶対的な信頼を寄せているので、あの2人の関係性がちょっとうらやましい。滇紅があそこまで一葉に全幅の信頼を置いているのは、調教した龍井りゅうせいがすごいというのもある。

田村 4巻から出てくるキャラだよね。

佐奈 そうそう! 滇紅が一葉に対して健気なのは、龍井のおかげだから。いい感じに調教してくれたんだなと思っています。