お笑いナタリー PowerPush - もっとたりないふたり

番組演出・安島隆が語る山里&若林

番組演出・安島隆インタビュー

今回のシリーズはすごくドキュメント感がある

──今回のDVDにはオンエア分に加えて追加映像がかなりのボリュームで収録されていますね。一番の注目点は?

安島隆

今回のシリーズはすごくドキュメント感があるんです。放送では2人の即興漫才があまりにもうまくいってるので、「即興じゃないんじゃないか?」って思われたかもしれないけど、全然そんなことなくて。DVDのロングバージョンを観てもらうと、本当に即興だってわかると思います。放送ではうまくスイングしたところだけを使いましたけど、実はそうじゃないところもいっぱいあって。パンチ出しかけたけどやめたりとか、そういう攻防が余すところなく見られます。そこは本当に面白いと思うので、ぜひ観てほしいです。

──シーズン1とシーズン2で、打ち合わせの段階で変わったところは?

単純に2人のスケジュールがめちゃめちゃ忙しくなって、前回みたいに頭からお尻まで全部あんこ詰めるようなやり方はできなかったんです。何回か電話で決めたこともありますよ。「俺の40歳」(#6)とか。そのときは、どういうことが当日行われるのかはこちらもあまりわかってなかったです。

──山里さんの40歳像にはこれまでと変わっていない姿が見られましたが、若林さんの40歳像には“ひょっとこ”“サバイバル”という振り切ったキーワードが出てきましたね。

山ちゃんは相変わらず妄想がどんどんどんどんどん出てくるんですよね(笑)。若林くんに関しては、あの新しい“あるあるモノマネ”みたいなキャラがすごく面白い。彼の中にもそういう部分があって、それを面白いなあと客観視できるからうまいんじゃないかなと。

地鳴りのような拍手が2人に刺さった

──即興漫才(#5、#7、#9)も、時間がない中で生まれた企画ですよね。

2人の関係性が相当できてるから、昔に比べて打ち合わせのやりとり自体がすごく面白いんですよ。なので、ちょっとやってもらったら、それがやっぱり面白くて。じゃあ舞台でやってみましょうと。

──2回目は最初から想定していたんですか?

いえ、1回で終わる企画でした。きっと2人のプライドに懸けてうまく終わらせようとするとは思ってたけど、僕は別にうまくできなくてもいいかなくらいに思ってて。ドキュメントだと思って観ていただければというつもりでやったら、うまくいったと。2回目をやった理由は何個かあるんですけど、1つはお客さんの反応。やっぱりそのときの地鳴りのような拍手が、僕ら制作者もそうだし、何より2人に刺さって。ライブ形式だから、「お客さんに芯からウケてるな。やっぱりこれすげーな」っていう印象を2人が受けたんだと思うんです。なので「もう1回やりますか?」って打診したとき、割とスルッとやることになりました。やる前もやったあともサッカーの試合後みたいにぐったりだったんですけど、やっぱり2人とも漫才をやりたいんじゃないかと。

──3回目の即興漫才は、飲み屋で山里さんが「俺のこと凡人だと思うなよ」とくだを巻いていた衝撃映像がきっかけとなって行われることになりました。あの映像はどういうふうに安島さんのもとに届いたんですか?

安島隆

山ちゃんがスタッフと飲んでるというのは知っていて。あの回だけじゃなく、「自分がダメで、若林くんがすごい」って毎回言ってると。だから2回目の即興漫才のあとに飲みに行くと聞いたとき、ディレクターに「動画で撮っといて」ってメールして。そしたらやっぱりそうなってたから、ほんとに思い通りでした(笑)。

──素晴らしい関係性と連携プレーですね。

3回目をやりたかったんですけど、きっかけがほしいところもあったんです。そこには1個ストーリーがあったほうがよくて、あれがちょうどいいストーリーになったなと。山ちゃんは昔から自分に厳しい人だから、特にあの2回目の即興漫才終わりだったら、きっとそうなるだろうと。

──「ベストアンサー」(#3)も、2人で世の中に提案するっていうテーマでしたけど、途中から互いにボールの投げ合いみたいになって、最終的には若林さんが山里さんに暴投を放るような展開に見えました。

そうですね、あれはもうほんとに主旨が変わっちゃって。最初はもうちょっと一般的なテーマだったんですけど、結果2人の試合みたいになって。ネタ帳の企画はその最たるものじゃないですか。

DVD「もっとたりないふたり」/ 2014年8月22日発売 / バップ / VPBF-10997
[DVD5枚組(本編4枚+特典1枚)] 12096円 / VPBF-10997
収録内容

本編:オンエアバージョンのほか、未放映シーンを加えたロングバージョンを収録。

特典映像:「たりふた日誌2014」(メイキング)、公開収録後説、座談会の模様を1枚のディスクに収録。

収録時間:本編823分+特典映像

安島隆(アジマタカシ)
安島隆

生年月日:1973年5月30日

出身地:東京都

日本テレビ制作局所属。これまでに「コレってアリですか?」「潜在異色」「君の席」「ナイナイアンサー」などの番組・ライブを企画演出。