お笑いナタリー Power Push - SICKS-シックス- みんながみんな、何かの病気
テレビ東京「SICKS」が視聴者を魅了したわけ
3月6日、「SICKS」のBlu-rayおよびDVDの発売記念イベントが開催された。このイベントではおぎやはぎ、英勉監督、佐久間宣行プロデューサーが撮影中の思い出から「SICKS」の今後まで、ざっくばらんにトークを展開(参照:「ちょうどカンヌ行きたいと思ってた」おぎやはぎ、SICKS映画化を目論む)。お笑いナタリーではイベントを終えたばかりの4人を直撃し、おぎやはぎを中心に改めて「SICKS」という一風変わった番組について振り返ってもらった。
おぎやはぎが語る「SICKS」
佐久間さんがやるからどうせ面白いんでしょ?
──佐久間プロデューサーから「SICKS」の企画を聞いたときは率直にどう思われましたか?
おぎやはぎ矢作 オードリーがいるから気楽だし、しかも佐久間さんがやるってことだからもう安心。「どうせ面白いんでしょ?」っていう感じです。
──コントとコントが繋がっていくという番組の構造の説明は最初から受けていたんですか?
おぎやはぎ小木 なんとなく聞いたような。きっちりは説明受けてないよね?
佐久間宣行プロデューサー きっちり説明しましたよ(笑)。
英勉監督 何回かしてますね。
佐久間 監督がわざわざ「ゴッドタン」の現場に来てくれて、コントがこうやって繋がって……って説明してくれたの、覚えてないんだ(笑)。
小木 覚えてないなー。
矢作 まあ、ちゃんと聞いていてもわからなかったと思います。
佐久間 (笑)。でもこれがおぎやはぎのよさですよね。わからないものでも、とりあえずやってくれるっていう。「ゴッドタン」でもそうなんですけど、ほかの演者さんだったらできないような実験企画もおぎやはぎはやってくれるんです。
──佐久間さんとの相性のよさやこれまでに築いてきた信頼も大きく関係しているのでは。
矢作 そうです。わけわかんない人に言われたら「どういうこと?」ってなるけど、佐久間さんとはもう長いですから。変なことにはなりませんよ。
──「SICKS」のオンエアはご覧になっていましたか?
矢作 観てました。初めてじゃないかな? 自分の出演している番組を毎週毎週ちゃんと観たなんて。面白いからけっこう毎週楽しみにしていました。
小木 ほかの人のパートを知らないから純粋に楽しめるんですよね。自分が出ているコント以外、まったく情報が入ってこなくて。「こんなことやってたんだ!」って毎回驚きました。
──演じた役柄とご自身で共通する部分は感じましたか?
矢作 「煽りの神様」の時村は、ああいう適当な感じとかゴシップが好きなところが俺っぽいなって思います。実際あの仕事してたら、ああいうことやりかねない。
小木 俺が思っていることとか言いそうなことが書いてあるから、台本見て笑っちゃいました。あんな台本初めてですよ。
佐久間 「煽りの神様」は主にお笑い番組に携わっている構成作家の永井ふわふわくんが書いているんですけど、彼は矢作さんをずっと好きで。小木さんの「イケ!イケ!イケ!」を担当しているのは、マッコイ斉藤さんと一緒にやってきた大井洋一くん。おぎやはぎのことをよく知っている2人が書いているからそうなったんだと思います。
──その場での即興の掛け合いが多いように感じたのですが、役がご自身に近い分アドリブも入れやすかったのでは。
小木 結果的にそうなりました。気持ちが乗っているんでしょうね、もう完璧に酒井という人間が乗り移って、自分でも何を言ったか覚えてないくらい。ただ大声出すのは辛かったです。リハから大声出しちゃってたから。
佐久間 だから監督が小木さんのコントだけすごい早く回してくれたんです。
英 そう。もう早くしないと大きい声出し始めちゃうから、「回しちゃえ回しちゃえ!」みたいな(笑)。小木さん、大声出してテンション上がってワーッてなるんですけど、2テイク目にはもう真っ白になるんです。で、1回目とほぼやってることが違うという。
小木 大声出すと真っ白になるんですよ。
──矢作さん演じる時村がラブレターズ塚本さん演じるニュース編集者の顔面をイジるくだりは悪口のバリエーションが多彩でした。
佐久間 「ダニ」とか「ゴミ虫みたいな顔してる」とか言ってるんですけど、それは完全なアドリブです。台本には書いてません(笑)。
矢作 うわ、そんなこと言った? だってひでえ顔してるんだもん、あいつ(笑)。
「SICKS」は「オンエアで観るものじゃない」?
──「SICKS」に参加して、お互いに発見したことはありますか?
矢作 数年に一度しか出さない“いい小木”っていうのがあって、それが出てましたね。基本的に、俺は小木の演技がうまいとは思ってないんだけど(笑)、小木でもハマり役というものを与えるといい感じになるんだなって思いました。
小木 ありがたいね。矢作は何といっても安定感ですよ。もう相方として見てないから。普通のドラマの役者として見てるから、俺は。
一同 あはははは!(笑)
──共演者で印象に残っている方は?
矢作 マユリコ(コント「腐った友情」の清水富美加と℃-ute中島早貴)はすごかったですね。尊敬しちゃった。と同時に、役者って仕事は大変だなと思いました。マユリコのセリフが自分に来たら地獄ですもん。俺だったらズルすると思う。自分でコントとか書いていたから、「こうしたほうが伝わりやすいよ」とか言って自分が楽なように書き直してもらおうって発想が出ちゃうの。
佐久間 小木さんは「イケ!イケ!イケ!」で共演した佐藤仁美さん?
矢作 小木と佐藤仁美さんのコンビよかったよねえ。小木についていけるってすごいことですよ。小木のああいうノリについていける女優さんってほとんどいないと思う。
小木 たしかに安心できましたね。あの人じゃなかったら俺もできなかったと思います。
──最後に、まだ「SICKS」を観ていないという人にメッセージをお願いします。
矢作 観てない人はむしろラッキーですよ。一気に観られるんでしょ? オンエア観ていない人ほど買うべきじゃないかな。
小木 そうだね。これはオンエアで観るものじゃないからね。
一同 あはははは!(笑)
矢作 そんなことないよ(笑)。
小木 いろんなフリが新鮮なうちに次の話を観られますから。あ、だから毎週観てたって人にもオススメです。けっこう見落としてるフリがあると思うので、DVDで隅々まで確認してほしいですね。
おぎやはぎ
小木博明(オギヒロアキ / 写真左)と矢作兼(ヤハギケン / 写真右)が1995年に結成したコンビ。プロダクション人力舎所属。「SICKS」では小木が撮れ高病の豪腕テレビディレクター・酒井を、矢作が煽り見出しを付ける達人・時村とコンプライアンスを気にするあまり出動できなくなる「公務員戦隊コンプラー」のレッドを演じた。
- Blu-ray / DVD「SICKS-シックス-みんながみんな、何かの病気」/ 2016年3月28日発売 / テレビ東京 / Loppi・HMV限定販売
- 「SICKS-シックス-みんながみんな、何かの病気」
- Blu-ray BOX 15984円 / TXRS0051
- Loppiでのお申し込み 商品番号083915 受付期間:~2016年3月18日
- DVD BOX 12312円 / TXRS0050
- Loppiでのお申し込み 商品番号084342 受付期間:~2016年3月18日
収録内容
本編
・全12話ディレクターズカット版
特典映像
- ・メイキング オブ SICKS(仮)
- ・撮り下ろしスピンオフコント「その後の…シックス」
- 時村と中田杏「最高のラブレター」
- 発田とつばめと魔人「私が名づけます」
- 酒井と晴海「酒井のタイミング」
- マユとリコ「リコの秘密日記」
- ・幻の名コント
- 時村とライフニュース「エピソード0」
- 天才医師町田「リテラシーゼロ病エピソード3.5」
番組概要「SICKS-シックス- みんながみんな、何かの病気」
テレビ東京、テレビ大阪ほかで2015年10月~12月に放送された新感覚コント番組。「現代病」をテーマに全12回にわたって展開された。おぎやはぎ、オードリーといった芸人や、俳優、アイドルなどバラエティに富んだキャストが集結。アドリブ満載の完全オールロケーションによる撮影に臨んだ。
スタッフ
監督:英勉
脚本:福原充則(ピチチ5主宰) / 土屋亮一(シベリア少女鉄道主宰) / 大井洋一 / 永井ふわふわ
出演者
おぎやはぎ / オードリー
清水富美加 / 中島早貴(℃-ute) / 岸井ゆきの / 大倉士門 / 佐藤仁美 / アンガールズ田中
高橋メアリージュン / 入江雅人 / オクイシュージ / ラバーガール / ラブレターズ / 根本宗子 / 野口かおる / 宮崎吐夢 / 東京03飯塚 / 今野浩喜 / どきどきキャンプ佐藤 / ザ・ギース / ハライチ澤部
古舘寛治 ほか
2016年3月25日更新