“ネオ渋谷系漫才師”EXITの軌跡|やれること全部やるのがチャラ男

~EXIT誕生から現在まで、そしてNEXTフェイズへ~

──ここからは結成から現在までの怒涛の活躍を振り返っていきましょう。

2017年8月
即席コンビとして「M-1グランプリ」に挑戦
2017年12月
正式にコンビ結成
「M-1グランプリ2017」に挑むEXIT。

──思い出作りで出場した「M-1」ですが3回戦まで駒を進めました。その後、正式結成したということはご自身としても手応えはかなりあった?

兼近 準々(決勝)は行ったべ?くらいの手応えはありました。

りんたろー。 なんなら1回目のネタ合わせをやったときに、「これ、あるな」って思いました。新しすぎるなと。いいところまで行く予感はありましたね。

──どんなネタだったんですか?

りんたろー。 雰囲気は今みたいな感じです。そのネタ1本で3回戦まで行って。めっちゃウケたんですよ。

兼近 1回戦ですでに俺が歩んできた全芸歴のウケ、超えました。

りんたろー。 どんだけだよ(笑)。

兼近 これマジなんですよ。今までの俺なんだったん?っていう(笑)。

2018年1月
東京・ヨシモト∞ホールにて初舞台

──初舞台はバトルライブですか?

りんたろー。 はい。∞ホールのランキングシステムで一番下からのスタートだったんですけど、たまたまぶち抜き企画をやっていて、ライブ2本勝ち上がったらいきなりセカンドクラスまで行けました。

EXIT
2018年4月
テレビ初出演(4月15日放送「シューイチ」)

りんたろー。 収録したのは7月オンエアの「ゴッドタン」のほうが先だったんですが、「シューイチ」は生放送だったのでテレビに出たのはこれが初です。

──反響はありましたか?

兼近 ほぼなかったです(笑)。

りんたろー。 でもこれがなかったらほかの番組にも呼ばれていないと思います。「こいつら使っていいんだ」ってわかってもらえた。

兼近 朝の情報番組にチャラ男出すってマジ勇気ありますよね(笑)。

2018年4月
ヨシモト∞ホールで初単独ライブ
初単独ライブ「Entrance」の様子。

──EXITのお笑いナタリー初登場はこのニュースでした(参照:∞ホールで躍進中、りんたろー。&兼近の新コンビ「EXIT」単独グッズ販売)。チケット即完したそうですが、劇場ではすでに人気だったんですか?

りんたろー。 まだ芸人界隈だったと思います。お笑い好きな人がちょっと反応しているくらい。

──“チャラ漫才”の新しさが噂になっていた?

兼近 芸人さんたちが広めてくれていた感じですね。鬼越トマホークさんとかインディアンスさんとか、打ち合わせや取材などで「今キテる芸人誰ですか?」っていう質問にEXITの名前を出してくれていました。

りんたろー。 それで出演に結びついた番組もたくさんあります。それこそ「シューイチ」も「ゴッドタン」も。

2018年7月
「ゴッドタン」初登場

──「この若手知ってんのか!?」という若手を紹介する企画に「今のバラエティで売れそうな若手芸人」部門1位として出演しました。やはりこれが世間に知られるきっかけとして大きかったですか?

インタビューに答えるEXIT。

兼近 世間というか、業界のみなさんに知っていただきましたね。めちゃめちゃおいしくしてもらって。

──「実は真面目」というのをMCのみなさんが見抜いてくれて。

りんたろー。 早かったなー。初めてのテレビですよ?

兼近 ガチ焦りしました。「終わった!」って。ゆくゆくそうなるのはいいんですけど、一発目のテレビ収録でバレるって早すぎません? 高速で終わらされたと思いました。

──収録の時点では「まずいぞ」という気持ちだった?

兼近 そうっすね。リハでもめっちゃ止めてましたもん。「絶対やめてください!」って。こんな若手が指示出すなんてありえないんですけど(笑)。

──結成11カ月のコンビがルミネtheよしもとで単独ライブを打つのは史上最速のことでした。

単独ライブ「eleven~MAJI 卍 NIGHT~」チラシ

兼近 ルミネ(theよしもと)に仲のいい社員さんがいて、俺が「ルミネ単独やらせてください」って言ったんです。でも結果残してないとダメっていうのがあって。

りんたろー。 よしもとの中では暗黙の了解になっているんです。賞レースの成績だったり芸歴だったり、決め手がないとできない。だから聞かないんですよ、普通の芸人は。聞いたところで結果は明らかだから。けど、もうアホなんで聞いちゃうっていう。で、通っちゃうっていう(笑)。

兼近 絶対あの速さでやらないともったいないと思っていたんで。勢いを演出できるじゃないですか。その頃、俺らたまたま「ネタパレ」に初登場したんですけど、その仲のいい社員さんが劇場の支配人に映像を見せたら「面白いからやらせてみようか」ってことになったんです。

──社員さんたちの後押しもあって実現したんですね。私も当日伺って、まず劇場ロビーからして最高だと思いました。

ルミネ初単独ライブ後のEXIT。

兼近 ですよね!

──照明を落としてEDM調の曲を流すクラブ風の演出をしていて。さらにバニーガールのコスプレをしたもぎりの女性スタッフがいたり、SPがボディチェックしたりなど、お笑いライブとは思えない雰囲気でした。

兼近 それを体験させたかったんです。テンション上がるじゃないですか。「いつもと違うぞ!」って。そういう気分でネタを見たほうが楽しいに決まってるんですよ。

──まんまとその戦略にハマりました。

兼近 戦略っていうか、俺はただ楽しくやりたかっただけっすけどね。

りんたろー。 かねちは根本に「楽しませたい」っていう信念があるんだと思います。

──満席のルミネtheよしもとに立ったご感想は?

兼近 んー、これくらいは普通かなっていう。

りんたろー。 あ、そう!?

兼近 特別思い入れがある場所でもないんで。お客さんに対して「集まってくれてありがとう」って気持ちはありますけど、そのくらいですね。

──りんたろー。さんは?

りんたろー。 「ルミネ即完」って芸人からしたらすごく誇らしいことですし、絶対にこのコンビじゃなきゃ無理だったと思うので、やっぱり感動はありました。

兼近 でもまだまだっすね。ルミネ単独をやるのは決まってたようなもんなんで。

りんたろー。 すごいね(笑)。

EXIT

──「おはスタ」出演は「ゴッドタン」2度目の登場の際に、シンガーソングライターの眉村ちあきさんが子供番組への出演を勧める即興ソングを歌ってくれたことがきっかけでした(参照:EXITが明日「おはスタ」登場、「ゴッドタン」で明かした夢叶う)。

りんたろー。 偶然がめっちゃ重なったんですよ。まず「子供の番組をすればいい」って即興で歌ってもらったことも奇跡ですし、おぎやはぎさんと劇団ひとりさんも「おはスタ」出られるよって言ってくれて。

兼近 たまたまそれを「おはスタ」火曜担当のディレクターさんが観ていて、その彼女さんが「出せば?」みたいに言ってくれたらしいんですけど、もちろんそんな簡単に出せるわけがないじゃないですか。でもまあ一応ってことで調べたら、りんたろー。さんと同い年で同じ誕生日だったんですって、そのディレクターさん。「これはもう一緒にがんばりたい」って思ってくださって、1回目の出演が決まりました。

──すごい偶然ですね。そして視聴者投票を経てレギュラーの座を獲得します。

兼近 さすがにこれは兼近も予想外でした。チャラ男、朝イケるんだっていう(笑)。

──5月からは初の全国ツアーも控えていますし、今までできなかったことをEXITでたくさん実現させてきましたね。

りんたろー。 マジで辞めなくてよかったってめっちゃ思いますね。

兼近 俺はまだ景色一緒だなって感じです。周りの人には「売れたな」って言われるんですけど、自分的に少しも変わってねえっていう。これで売れたと思ってたら君たちどうすんの?って思っちゃいます。

──兼近さんの中ではEXITはどこまで行けると思いますか?

インタビューに答えるEXIT。

兼近 まだまだです。海外にはやっぱ行きたい。日本じゃ狭いっすね。

りんたろー。 あはははは!(笑) じゃあ俺、海外でウケるネタ書かなきゃいけないの? 無声映画みたいな?

兼近 いいっすね。チャップリン的な。

──チャラ男のチャップリン(笑)。

りんたろー。 “チャラップリン”っていうのにしようよ。

兼近 やりましょう。で、たまにしゃべっちゃうっていう。

りんたろー。 あはははは!(笑)


2019年4月19日更新