EXIT、マヂカルラブリー、かが屋の3組との田﨑さくらが出演する「マイクロコントラボ」(フジテレビ)の第2弾が完成した。これは芸人同士が「こんなことをしてもらいたい!」と互いにリクエストを送り合い、コントを作っていく実験的コンテンツ。リクエストを受けた芸人が持ちネタではないことに挑み、意外な魅力が引き出されるのが特徴だ。フジテレビの地上波で放送され、配信サイト・FODでは完全版が楽しめる。
一連の収録を終えた出演者7人にこのたびお笑いナタリーがインタビューを実施した。「自由度が高い」と彼らが口を揃える“コントの実験”の中身とは?
取材・文 / 成田邦洋撮影 / 後藤壮太郎
FOD「マイクロコントラボ」
仲はいいが、そこにいない人の悪口を言う
──お互いにリクエストを送り合ってコントを作る「マイクロコントラボ」ですが、第2弾のコントと反省会トークの収録を終えてのご感想を聞かせてください。
EXITりんたろー。 僕は第1弾がまったく理解できなかったんですけど(笑)、第2弾は「マイクロコントラボ」が理解できるところまで降りてきてくれました。わかりやすくなっているので、ぜひこの第2弾からでも観てほしいです。
EXIT兼近 みんな「なんとなくこんな感じにしたらオモロいかな」と考えながらリクエストしていると思うんです。それがなんとなく形になって、なんとなく今の反省会でコントを観終わって、最高の仕上がりでした(笑)。自分の言ったことが「いいじゃん」と肯定してもらえて、「これはこうしたらどう?」って“Yes,and”されるのが楽しいです。
かが屋・賀屋 「ここにアドリブ入れるんだ」とか「ここにこだわるんだ」と思いながら収録していました。兼近さんが「マッスル番付」で何度も撮り直していて「本気だ、この人」と(笑)。ちゃんと熱量を持っている。「シットコム」のときの野田さんも、もっと面白くなるようにしていて、「すごい人たちとやらせてもらっているんだな」と感じました。
かが屋・加賀 りんたろー。さんが「第2弾からでも観てほしい」と言っていましたが、「変態ヒーロー」のネタ、第1弾を観ていないとたぶん1つもわからないと思います(笑)。いきなりMr.ガンマという存在を観てもわからない。そういう意味では極端な番組になっていると思います。
りんたろー。 第1弾はFODで観られるんですよね。おさらいは、そこでできます。
加賀 「ポンポンくん」のオープニングもそうですけど、第2弾を観る前に知っていたら面白いことがたくさんあります。
田﨑さくら 加賀さんも言っていたように「ポンポンくん」のオープニングみたいに第1弾をふまえて「まさか、ここやる?」というところをやっています。皆さんと仲がよくなっているのもコントに反映されているんじゃないかなと思います。
マヂカルラブリー村上 打ち合わせの段階で「こんなのをやりたい」とざっくりしたイメージを言って、こっち側は“見えてない”んですけど、制作サイドの方たちもあんまり“言ってこない”んですよ。「これはこういうことですよね?」とか。それが収録の日になると台本として出来上がっているんです。お互いの信頼関係があるということです(笑)。通じ合っているので、すごくいいチームワークだなと。あとテレビの持っている“形にする力”はすごいなと改めて思いました。
マヂカルラブリー・野田クリスタル (田﨑が)「仲がよくなっている」と言っていたんですが、収録のときに出番がない人たちが一緒に収録を見ながら、出番がある人の悪口を言うんですよ(笑)。その流れができちゃって。僕はあの時間が好きですね。今後、出番が来るのが怖いです(笑)。
加賀に変なスイッチが入っちゃってる
──ここからはコント1本ずつについて注目ポイントを教えてください。コント名と、誰が誰にこのコントをやらせたかったのかを挙げていきます。
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シットコム
(かが屋が見たい!マヂカルラブリー)ベッドの上でスマホのアラームが鳴り、目覚める男(野田)。室内のちゃぶ台でつまずくと、どこからか海外のコメディドラマを思わせるような大きな拍手と笑いが聞こえてくる。異変に気づいた野田はどういう状況なのか探り始め……。FOD版では野田を中心にキャストが全員集合する。
野田 “音”がどこから出ているかだけを、ずっと考えていました。脳内なのか、外からなのか。やってる最中に答えを見つけようとしたんですけど、見つからなかったです(笑)。
賀屋 怖がりながらもなんとか答えを見つけようとするのがマジで野田さんっぽかったです。
野田 脱出系の映画の雰囲気をちょっとやりながら。
りんたろー。 テレビコントの場合、1つ目のツッコミで「こうやって見るんだよ」というのを教えるじゃないですか。だから普通はアメリカンコメディみたいにやっているんだよというのを教えると思うんですが、1本目はまるごとリアクションだけでしたもんね。
村上 「おい、なんだよこれ!」とでも言ってくれれば、もっとポップなのにね。
野田 かが屋のコントがやれて非常にうれしかったです。
加賀 あんなのやってないです!
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ビデオボーイ
(EXITが見たい!マヂカルラブリー)「テレビに映った人を目の前に呼び出せる」という謎の装置を手にした田﨑。そのテレビに映し出されたのはエクササイズをするマッチョな男(野田)だった。イケメンを呼び出したい田﨑だが、リモコン操作を誤り、実際に呼び出したのは大食いに励むマグナム村上。田﨑は「違う違う! あんたじゃない!」とマグナム村上を拒むのだが……。
──村上さんの意外な男前ぶりが印象的です。
村上 僕の活かし方をすごくよくわかっているなと(笑)。「これこれ」と思いました。
兼近 ここまで“カッコいい寄せ”をするとは思っていなかったです。特に後半。でも面白かったです。すごい仕上がりだなと。
村上 息を吐く演技とかね。「りんたろー。」とただ言うんじゃなくて、「りんたろー。……」と吐息を漏らしていく、イケメンのしゃべり方をやってみました。
兼近 恋愛リアリティショーとか恋愛ものが好きなので、それにほぼ近いものが仕上がったかなと。若者に向けたものができました。
りんたろー。 これを恋愛ものと捉えているんだ?(笑)
村上 僕の見た目じゃないところでイケメンを感じてほしいです。自信がある男。若い子に向けても「自信がある男を探しなさい」とメッセージを送りたいです。
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フリースタイル将棋
(EXITが見たい!かが屋)りんたろー。名人と賀屋7段が将棋のタイトル戦に臨む。対局は賀屋の優勢で進められ、名人が防衛戦に敗れるかと思いきや、これは将棋とラップが交互に行われる「将棋ラップバトル」なのだった。名人はマイクを片手に立ち上がり……。実況・加賀が盛り上げ、兼近が解説する対局の行方とは。
野田 これは面白かったな。
兼近 くだらないことがやりたかったんですよ。将棋とラップという真逆なものを合わせた競技があったら面白いなと。
りんたろー。 ただ、僕のラップはリハが一番うまかったです(笑)。
兼近 リズムに乗れないシーンがちょっとあったかもしれないですね。
村上 実況と解説の2人もよかったですね。なんでこうなったのか、ちゃんと理由もあるし。
兼近 ちゃんと観たら深いんですよ。
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変態ヒーロー
(マヂカルラブリーが見たい!かが屋)賀屋が男のロマンを求めて彼女(田﨑)と共にヒーローショーの観覧へ。ステージには怪しい覆面男(りんたろー。)と、覆面男に追われて助けを求める兼近が現れる。さらにそこへ、番組第1弾にも登場したパンツ1枚のMr.ガンマ(加賀)が。“戦隊”ヒーローかと思いきや、“変態”ヒーローだったのだ。
野田 ガンマが1回で終わるのはもったいないと思ってましたからね(笑)。
村上 ガンマはすごくピシッとして、指先まで神経が行き届いているんだよね。
加賀 前回より上手にやれた気はします(笑)。本番でガンマになるので、それまで服を脱がずにいたんですよ。
賀屋 変なスイッチ入っちゃってる(笑)。
兼近 りんたろー。さんもガンマの横で助手をやっている。このコントだけは“裸OK”にしてくれたんですよ。
りんたろー。 本来は“裸NG”なんですけどね。
──どうしてこれだけOKだったんですか?
りんたろー。 “作品”なので(笑)。台本を読んで「わかりました」と。「ちゃんと撮ってくださいね」というのはありました。
村上 「女優さんが映画だと脱ぐ」みたいなパターンだ。あと、賀屋の女の子役もいいんだよね。
──かが屋さんはコンビでのシーンがあります。
加賀 2人きりだったんですよ、この時間。
賀屋 俺はまだいいけど、(加賀にとっては)嫌だろうな。
加賀 「終わった!」と思いました(笑)。