何気ない会話から生まれるすれ違いこそ面白い
──シーズン1から3までの中でお気に入りのシーンを教えてください。
シーズン1では後半、天竺鼠・川原さんが攻め始めた頃が好きですね。すごく「ドキュメンタル」らしいシーンだなと思ったのが、あまりにも笑わない川原さんが「1回笑ってみろ」と言われて本当に笑ってみせたシーン。ルール上やっぱりアウトになるじゃないですか。でも全員を笑わせてもおかしくない大胆な攻撃だなって感動した覚えがあります。最後、残ったメンバーでなんとか盛り上がろうとする場面もシーズン2、シーズン3のあとにもう一度見直すとより面白い。
──優勝者が決まらないというのもリアルですよね。
実験感が強くて、シーズン3までで考えるとシーズン1が一番好きです。シーズン2は爆発力のあるボケが多かったので、逆に僕は味わい深いところが気に入っています。
──味わい深いというのは?
具体的に言うと、藤本さんの「ドッグノーズ」がすごい好き。
──藤本さんが「杏里」から「キャッツアイ」、「キャッツアイ」から「ドッグノーズ」と連想ゲームのようにボケていた場面ですね。
「何言ってるんだろう、この人?」と思った瞬間に小峠さんも「何言ってんの?」って表情で聞き返したんです。さらに藤本さんもそれを受けて笑いそうになっていて、そのシーンは何回見ても笑えます。爆発したシーンではまったくないですが、これぞ「ドキュメンタル」だなって感じ。僕としてはすごく大きいことが起こるよりもちょっとした会話のすれ違いが笑える。だからもっとみんなテーブルに座って話しててほしいと思って観ています(笑)。芸人さん同士の会話が見たいんですよね。
──ふとした瞬間に生まれる笑いが好き?
そうですね。「笑え!」と思って仕掛ける笑いは地上波でもできると思うんです。6時間ずっとカメラ回しっぱなしの中で、芸人さんたちの何気ない会話から生まれるすれ違いこそ「ドキュメンタル」でしか観られない気がする。
──たしかに、地上波ではおそらくカットされるような場面ですもんね。では清水さんが「ドキュメンタル」に出演するとしたら、そういう会話のズレみたいなものが弱点になりますか。
絶対出ないですよ(笑)。出たところですぐ死んじゃうと思う。仮にあの場に自分がいるとしたら、自分発信で起こることに笑ってしまうかな。自分が面白いと思って仕掛けたことに対するツッコミであったり、自分が仕掛けたことをあとでもう1回掘り返されたり。自分の言動に藤本さんがものすごいスピードでツッコんできたら、絶対に笑っちゃいます。
くっきーは地上で暴れてる海の生き物
──シーズン3のご感想も聞かせてください。
とにかく、くっきーさんがエグかった(笑)。僕くっきーさん大好きで、いろいろ拝見していて思ったのが、くっきーさんが地上波のテレビで狂った世界観を表現するのは地上波だからこそなのかなって。だって空間自体がすでに狂っている「ドキュメンタル」だとくっきーさん、ちょっと普通じゃないですか? 地上波で見るより常識人っぽいというか(笑)。ただ、それによって奇をてらわずとも面白いっていうのがわかってより好きになりました。発言一つとっても面白いんですよね。
──狂った空間に長時間いる姿を見ることで、くっきーさんの素の面白さを感じられる。
海の生き物が地上に出ると呼吸できなくて暴れるじゃないですか。くっきーさんも「ドキュメンタル」っていう海ではナチュラルなんだけど、地上波に出たときは暴れずにいられないのかなって。これ、僕の勝手なイメージですよ?(笑)
──あははは(笑)。わかる気がします。シーズン3は脱落者が一時的に復活し、残っている人を全員笑わせられればノーコンテストになる「ゾンビタイム」が導入されたのが大きなルール改定でした。
ゾンビタイムはなんとも言いがたいですね。笑ってもいい人が混ざることで緊張感が緩んでしまいますから。でもお笑いファンとしては、ケンコバさんとロバート秋山さんのコラボなど、貴重な組み合わせを見られたりするから楽しみでもある。
長く残っていてほしい人ほど速攻いなくなるのが歯がゆい!
──シーズン4は途中までご覧いただいていますが、現時点でどんな感想を持ちましたか?
すでにこれまでで一番面白いです。「ドキュメンタル」って芸人さんそれぞれの戦いとはいえ視聴者に観てもらうものだから団体戦だと思っていて。だからみんなで一つのショーを作るっていう感覚は絶対必要で、それが備わっている素晴らしいメンバーだと思いました。予期せぬところから球が飛んできてもみんなそれを逃さず拾っていて、一瞬も目が離せない。暗黙の連携を取りながらこんな勝負していたら、芸人さんたちもきっと楽しいでしょうね。
──清水さんが期待を寄せる千鳥はお二人とも早々にペナルティカードをもらっています。
ノブさんの優勝はないだろうと思ってるんですけど(笑)、大悟さんは途中で持ち直しましたね。攻め始めてもいて、けっこういいところまでいけそうな気がしています。
──千鳥とは反対にクロちゃんはかなり防御力が高いです。
優勝候補じゃないですか? 笑う気がしないですもん。どうやったら笑うんだろう。クロちゃんのような、作り上げた自分になりきるのが得意な人はやっぱりディフェンスが強い。
──今後の「ドキュメンタル」に期待することはありますか?
観ていて一番思うのが、長く残っていてほしい人ほど速攻いなくなる!(笑) というのも、面白いことを思いついたり、面白いことを発信したりできる人って、目に入ったものを敏感に面白さと直結させてしまうからすぐ笑って退場になってしまうんです。“面白い”という答えにたどり着くのが速い。そのバランスをどうにか取れないのかなって歯がゆいときもあるんですが、そこを変えたら「ドキュメンタル」じゃなくなっちゃうのかなとも思います。
──最後に、まだ「ドキュメンタル」を観たことがないという人にメッセージをお願いします。
たしかにわかりやすくはないですし、玄人向けのシーンもたくさんあります。だけど、少しでもお笑いが好きだと思うなら観ないといけない、何より観るべき作品だと思いますね。少なくとも僕にとっては今、一番面白い番組です。あとこれはAmazonさんにお伝えしたいんですが、ぜひVR用も作ってほしいです。これ僕の夢で(笑)。「ドキュメンタル」を楽しむには、自分も現場にいる感覚になることが一番。ぜひシーズン10くらいで実現させてほしいです。
- 清水翔太(シミズショウタ)
- 1989年生まれ、大阪出身のR&Bシンガー。2008年2月にシングル「HOME」でメジャーデビューを果たし、同年11月に1stアルバム「Umbrella」を発表。2009年5月にリリースした加藤ミリヤとのコラボシングル「Love Forever」は同世代リスナーの大きな反響を呼んだ。2012年には小田和正をフィーチャーしたシングル「君さえいれば feat. 小田和正」やカバーアルバム「MELODY」、2013年1月には初の日本武道館公演の模様を収めた映像作品「Naturally Tour 2012」をリリースした。2015年2月、初のベストアルバム「ALL SINGLES BEST」を発売。以降もコンスタントにリリースとライブを重ね、デビュー10周年を迎える2018年1月にシングル「Good Life」をリリース、2月には10周年イベント「SHOTA SHIMIZU 10th Anniversary Event for Family」を東京・大阪・名古屋で開催する。
- 清水 翔太 OFFICIAL WEBSITE
- 清水 翔太 | ソニーミュージック オフィシャルサイト
- 清水翔太 (@sshota0227) | Twitter
- 清水翔太 | Facebook
- 清水翔太の記事まとめ
- 清水翔太「Good Life」 2018年1月24日発売 / SMR
-
初回生産限定盤 [CD+DVD]
1700円 / SRCL-9605~6 -
通常盤 [CD]
1300円 / SRCL-9607
- Amazonオリジナル作品「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」シーズン4
-
出演者雨上がり決死隊・宮迫 / FUJIWARA藤本 / ずん飯尾 / 野性爆弾くっきー / スピードワゴン井戸田 / 千鳥・大悟 / 千鳥ノブ / 森三中・黒沢 / ダイアン西澤 / 安田大サーカス・クロちゃん
- 「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」とは
-
「面白いとはなんなのか」を突き止めるべく、松本人志が仕掛ける実験場。招待状を受け取った10人の芸人が1つの部屋に集い、制限時間6時間で笑わせ合う。最後まで残った者には優勝賞金1000万円を贈呈。参加者の様子は松本人志が30台以上のモニターでチェックし、笑った者にはイエローカード、オレンジカード、即退場のレッドカードが出される。シーズン2からは敵を笑わせるごとに1ポイントを付与する「ポイント制」が導入され、2人以上で制限時間を迎えた場合はもっともポイントの高い参加者が勝者に。またシーズン3からは脱落した芸人が一時的に復活できる「ゾンビタイム」が登場。生き残っている参加者全員を笑わせることができた場合、ノーコンテストとなり参加費は返還される。
-
出演者シャンプーハットこいで / 東京ダイナマイト・ハチミツ二郎 / バッドボーイズ清人 / 森三中・大島 / ロバート秋山 / とろサーモン久保田 / ニューロマンスおにぎり / スリムクラブ内間 / トレンディエンジェル斎藤 / 板東英二
- パイロットシーズン
-
出演者FUJIWARA藤本 / 宮川大輔 / ジミー大西 / ダイノジ大地 / 野性爆弾くっきー / 東京ダイナマイト・ハチミツ二郎 / とろサーモン久保田 / 天竺鼠・川原 / トレンディエンジェル斎藤 / マテンロウ・アントニー
- シーズン1
- Amazonプライム・ビデオとは
Amazonプライム会員(月間プラン400円/月、年間プラン3900円/年)向けのサービス。数千本もの人気映画やテレビ番組、またAmazonスタジオ制作によるオリジナル作品をいつでもどこでも、見放題で楽しめる。
©2017 YD Creation
- 「ドキュメンタル」シーズン4 特集
-
» ジョイマン高木特別寄稿
&現場潜入レポート - » 千鳥インタビュー
- » くっきーインタビュー
- » 清水翔太インタビュー