「馬鹿な男の話になった」ベネチアが北野武監督に熱狂

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昨日9月3日、イタリア・ベネチアで行われている「第69回ベネチア国際映画祭」にて、「アウトレイジ ビヨンド」の記者会見が行われ、北野武監督が登壇した。

第69回ベネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品作品「アウトレイジ ビヨンド」の北野武監督。(c)若山和子

第69回ベネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品作品「アウトレイジ ビヨンド」の北野武監督。(c)若山和子

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同映画は、第69回ベネチア国際映画祭コンペティション部門での日本からは唯一の正式上映作品。第63回カンヌ映画祭(2010年)のコンペティション部門にて上映された前作「アウトレイジ」に続き、2作品連続の世界三大映画祭へのコンペティション部門正式上映という快挙となる。

今作の舞台は、関東最大の暴力団組織・山王会の抗争から5年後。熾烈な下克上劇は決着がついたはずだったが、ヤクザ壊滅を図る警察が動き始める。利用されたのは“死んだはずの男”大友(ビートたけし)。やがて“騙し”“裏切り”の火種がくすぶりはじめ、“関東VS関西”の巨大抗争へと発展していく。

1997年に「HANA-BI」で最高賞の金獅子賞を、2003年「座頭市」で監督賞にあたる銀獅子賞を受賞している北野作品と同映画祭との関わりは深く、記者会見には世界各国から多くのマスコミが来場。質疑応答が飛び交う熱気を帯びたものとなった。会見で北野監督は、「今回の映画は自分なりのエンターテインメント性を追求した。そうすると、自分にとっては、家庭、女、女房、子供とかは排除する結果になり、馬鹿な男の話になった」とコメント。震災の影響については「世の中、絆、愛、支えとか、表面的なものばっかりでイライラした。こういうときこそヤクザ映画を撮ってやろうとやる気が起きた」とも語っていた。会見終了後には北野監督に写真撮影やサインを求められるなど大盛り上がり。その後のフォトコールでは熱狂するカメラマンからの呼び声に、北野監督も真摯に応じていた。授賞式は現地時間9月8日(日本時間9日)。映画は10月6日より新宿バルト9、新宿ピカデリーほか全国公開される。

北野武監督コメント

――警察・ヤクザなど、この映画が描いたものは?

イタリアンマフィアがいるということは聞いている。日本のヤクザとの違いは看板がかけられているかどうかで、イタリアも日本もほとんど同じだと思う。警察・ヤクザの関係は世界共通ではないか。日本でも警察の不祥事が多く何をやっているんだと思う。映画は極力シンプルに描いたけれども、現実とそんなに変わらないと思う。

――エンターテインメント性について

暴力描写を褒めてくれるマニアックな人々がいるのは嬉しいことだけれども、今回の映画はエンターテインメントだと割りきって自分なりのエンターテインメント性を追求した。そうすると、自分にとっては、家庭、女、女房、子供とかは排除する結果になり、馬鹿な男の話になった。かなり割り切った作り方をしたが、エンターテインメント性を追求するとこんな感じになる。そのほうが楽しんでもらえるかなと思った。また、「アウトレイジ」「アウトレイジ ビヨンド」に関しては、自分が撮りたい映画というよりも、観客のことを考えて作った。けれども、いつでもお客さんの入らない映画を作る準備もしているよ(笑)。

――震災で1年撮影が延期されましたが。

震災で確かに映画の撮影は1年延びた。震災後の1年間は、逆に自分は怒りを感じている部分があった。世の中、絆、愛、支えとか、表面的なものばっかりでイライラした。こういうときこそヤクザ映画を撮ってやろうとやる気が起きた。

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