ウエストランド井口と作家飯塚が語る「今月のお笑い」

今月のお笑い 44本目 [バックナンバー]

ウエストランド井口と作家飯塚が語る「2026年2月のお笑い」

古希還暦、営業とライブの違い、トンツカタンの解散話、メロいランキング、井口手術

28

364

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 102 262
  • 0 シェア

フォローするとこの連載の更新時にお知らせを受け取れます。

優勝しない限り何も変わらない、同じ日々を送るだけ

飯塚 「R-1グランプリ2026」の決勝進出者が決まった(※)。

関連記事

※編集部注:今井らいぱち、トンツカタンお抹茶、九条ジョー、しんや、さすらいラビー中田、ななまがり初瀬、真輝志、ルシファー吉岡、渡辺銀次の9人。

井口 ルシファーさんはすごいっすよね。8大会連続って。ちょっともう異常ですよ(笑)。

飯塚 「漫才工房」メンバーのさすらいラビー中田くんは?

井口 なんか、決勝進出者発表の動画で泣いていたとか? どういう気持ちなんだよ!? ピン芸なんてもともとやってもいなかったわけだし、なんなんだよ?っていう。だからまったくネタも知らないですし。準決勝の前に「漫才工房」があったので、「調子に乗るなよ」とは言っときました。そしたらあいつも「なんで準々決勝で落ちた奴は怒られなくて、準決勝に残った奴が怒られるんだ」って嘆いてましたけど(笑)。決勝決まったあとも一応LINEはしておきました。「なんも変わらないからな、別に」って。この日も、3月21日(決勝)も、その次の日も同じ日々を送るだけなんだから。

──厳しいですね。

井口 優勝しない限りは何も変わんないですからね。九条ジョーもよく行きましたね。準決勝トップバッターだったんですよね。去年一緒に出ていたときは3回戦くらいで落ちちゃって、大丈夫かなと思っていたけど、1人でちゃんとまたがんばっていて。

飯塚 初瀬さんが決勝に行ったことで、ななまがりは「THE SECOND」「ダブルインパクト」「キングオブコント」「R-1」でコンビ2人ともファイナリストになった。

──“ダブルクアドルプルファイナリスト”と言うらしいです。

関連記事

飯塚 初瀬さんのピンネタはお笑いファンにはおなじみですけど、テレビでどうウケるのか未知数で楽しみです。今井らいぱちさんが盛り上げてくれそう。しんや、今井らいぱちというネタ順も、大会としていい流れになりそう。

井口 準決勝に関して僕が1つ言えることは、芸人審査がなくなって最高ってことだけですね。芸人審査はピン芸人を優遇する傾向にあると僕は思っていて、前回僕は明らかにそれで落とされたと思ってます。今回はピンじゃない人もけっこう受かってますから。

飯塚 個人的には、お抹茶が通ってよかった。トンツカタンが「バナナマンのしらバナ」(TBS)でも解散しそうなほどの悩みを吐露していたから。

井口 また言ってるんですか?(※)

飯塚 「トンツカタンこれからもっとがんばっていこう」と始めた3人のラジオの#1で解散の話をしていて、それ以降#2が上がってないくらいには不穏ではある。

井口 今回お抹茶が決勝に行けていなかったら解散話がより濃厚になっていたたかもしれませんね。これでお抹茶自身がトンツカタンの中での尊厳を保てたと思うので。

飯塚 僕はトンツカタンの問題に関しては、森本くんが売れてないせいもあると思う(笑)。要は、それこそ「しらバナ」でも“トリオ内の格差”の話をしていたけど、世間から見たらそこまでの格差はない気がして。もっともっと売れて、世間一般にも認知されきったらトンツカタン、お抹茶にもプラスの影響があるんじゃないかな。だから、森本くんもっとがんばれ!と思ってます。

井口 お抹茶も狭い世界でしか考えてないですからね。誰も知らないんだよ、お前らのことなんか! あと、解散するならすればいいし。ウジウジうるさいよ!と僕は思いますけど。

※編集部注:本人いわく、たまに解散話を引き起こしてしまうそう。(参考記事:お抹茶が語る、楽しかった「R-1」決勝から規約違反が発覚し謝罪して新曲を作ってもらうまで

コラム

「R-1」からフリップ芸が消えた

飯塚 あと思ったのが、もうフリップ芸をやってる人がいない。準決勝は配信で全部観たんですけど、フリップっぽいのも映像にグレードアップしているし、映像を見せるだけじゃなくて映像とコントが一体化してるみたいな人もいて多彩になってる。そういうネタがいろいろあるから逆に身ひとつでやっているルシファーさんや渡辺銀次さんが映えていた。ピン芸というもののあり方がこの数年でだいぶ変わったのは改めて感じましたね。

──変わったのはなぜだと思いますか?

飯塚 「R-1」の決勝で審査員が言及したからじゃないですかね。今まではチープな小道具や演出が“味”として大事にされてきたけど、ゴールデンのテレビ番組で披露するときに本当にその見せ方でいいのかと出場者たちが真剣に向き合ったときに、そこは変えていかないといけないんだと思い至った結果、ちゃんとモニターを使うとか、小道具やセットのクオリティを上げることに繋がったのかなと思います。これが進んでいくと、逆に今度はめちゃくちゃシンプルなフリップ芸の人が出てきたりするんでしょうけど。

──大きいモニターの導入は2020年に野田ゲーネタで優勝した野田クリスタルさんが苦労されていました。

井口 オジンオズボーン篠宮さんと野田さんで30万を折半して巨大モニターを借りたりしていましたよね。それ以降、大会側が貸してくれるようになったみたいですけど。

飯塚 ただ、テレビを見据えるからといっても小さいライブ会場ではモニターでネタをやるのは難しい。

井口 確かに。そうすると、ライブではフリップ、本番ではモニター、みたいに2軸でやるとかになってくるかもしれませんね。

マヂカルラブリーinfo(@madilove_info)がまとめている野田クリスタルのモニターとの戦い

きむらバンドがメロい芸人13位なわけない

井口 ニューヨークチャンネルの「メロい芸人ランキング」が話題ですけど、(たくろう)きむらバンドが13位なわけないじゃないですか、普通に考えて。お前ら本当に夏過ぎまできむらバンドを応援しているのか!?って聞きたい。3カ月先、半年先の自分をもっと想像して生きたほうがいいよ。いいわけないじゃないですか、きむらバンドが。

──いいわけないってことはないと思いますが……。

飯塚 1位がエバース佐々木さんで、3位がドンデコルテ渡辺銀次さん。

井口 渡辺銀次も、みんなが思っているような人じゃないでしょ、どうせ。これまで何度もあったじゃないですか。すぐ好きになって、「イメージと違った!」って嫌いになって……。それはそれで楽しい人生なのかもしれないですけど、怖くなってきましたよ。カナメストーンが「M-1」で一気にファンが増えて、例のラジオ(※)ですぐ嫌いになって、そのあと弁明のラジオを聴いて「やっぱり好き」って、そんなに好き嫌い好きってコロコロ変わるなんて。じゃあもう「嫌い」のとき何も言うなよ! 自分をもっと疑って生きてほしいです。本当にバカ! 僕は本当に覚えておきますからね。きむらバンドが13位だったことを。去年バッテリィズ・エースにあんなにメロついてたのに今100位ですよ? たった1年で。

──では半年後にこの話をまたしましょう。

井口 そのときには誰もきむらバンドのことなんか好きじゃないですよ!

飯塚 自分に素直ってことなのかな。(メロいランキングの企画を実施した)ニューヨーク本人も言っていたけど、普段ニューヨークチャンネルを観ていない人たちも参加したからこの結果になったみたい。いろんな芸人さんが自分のラジオとかで話題にしていて、以前も言いましたけどニューヨークチャンネルが1つのメディアになっているなっていうのがわかる現象でしたね。

井口 「抱かれたい・抱かれたくないランキング」とか「男前・ブサイクランキング」がなくなっていて、久々にこういうのがあったから余計に盛り上がったんでしょうね。

飯塚 あと、「メロい」というのがいいんだと思う。これが「カッコいい」「付き合いたい」とかだとまた受け取られ方が違うと思う。「メロい」がなんなのかはっきりしてないところが、いい。

井口 誰もちゃんとは説明できないですからね。

──いろいろ含めて、「メロい」。

飯塚 ウエストランドは入ってたの?

井口 僕らは両方入ってないですけど、相方が入ってるのに入ってないで言うと、マヂラブが野田さんは上位なのに村上さんが入ってないっていうのは見つけました。

飯塚 デブは入らないし、相方がデブだとポイント高いとも言われていたね。

井口 早口な奴は入らないとか。

飯塚 でも、きむらバンドさんいいよね。はしゃいで楽しんでやっている感じが愛らしい。ドンデコルテ小橋さんも、なんか脇が甘い感じがいい。ラジオで「今月の月収2000万行きそう」とか、言わなくていいことも言っちゃう感じ。このSNS時代にみんなが炎上しないように気をつけている中で、1人だけ逆行してる感じがすごく好感度高い(笑)。そういう部分で渡辺さんとのバランスが取れていていいコンビ。

井口 めちゃくちゃ浮かれてますよね(笑)。

※編集部注:ポッドキャスト「カナメストーンのカナメちゃん村」で「メロい芸人ランキング」の話題になり、「M-1」以降人気が急上昇する中で「面白い」以外の尺度で見られることへの困惑を吐露。それを聴いた悪意のないファンにまでショックを与えたことから「緊急」と題して追加配信を行った。

メロさを自ら崩していく作業

井口 エバース佐々木が番組で「セクシー女優さんにDM送った」と言ったり、銀次さんが「チャンスの時間」(ABEMA)のカミングアウト漫才で「改札前でキスするタイプ」と言ったり、上位の人たちが持ち上げられすぎないように自らイメージを崩していくっていう謎の作業をしなきゃいけないことにもなっていますよね。勝手にショックを受けちゃう人もいるし、大変ですよ。怖いです。僕のことも今は好きでも絶対嫌いになるじゃん、と思うし。いつかは絶対イメージにそぐわない発言をするんだから。

飯塚 ファンの熱が意図しない方向に行っちゃうのを自分たちで防がないといけない。

井口 でも、それに全力で乗っかるきむらバンドもいるわけでしょ? (相方との)プリクラとかXに載せて。なんなんだあれ!(※)

※編集部注:前回の「2026年1月のお笑い」でも怒っていた。

飯塚 カナメストーンの件は、本人たちが「関係性売りをしていこう」なんてセルフプロデュースしているわけでもなく、普通に仲がよくて一緒に住んでいただけだから、急にそこに注目が集まると対応するのが難しいんだろうなと思った。「そういうふうに見られちゃうんだ」という戸惑いもあるだろうし。

井口 東京ホテイソンが急に「仲良いって言うのやめてくれ」という動画をYouTubeに上げていたんですけど、僕はそれすごく気持ちがわかるというか。面白いと思って出したものに対して、「お互いがお互いに依存してて愛を感じる」みたいなコメントが付くの、嫌じゃないですか。芸人なんだから。でもわざわざ動画に出してまで言わなきゃいけない。何度も言うけど、和牛が解散しただろ! お前らはそれを見抜けなかったんだから、何も見えてないと思わないと! 仲が良いとか、わかり合っているとか、押し付けるなよ。まあ、SNSがあるからなんでしょうけどね。ダウンタウンとかもそういう人気だったんでしょうけど、芸人本人まで届かなかった。

飯塚 応援していたのにはしごを外されたように感じてショックを受けたとき、自分の気持ちを保つためにSNSに投稿する人もいると思う。それはその人にとっては必要かもしれないけど、その結果、思っている以上に応援してきた人を追い込んでしまうことがあるから、そこが難しい。

──投稿すること自体は自由だけど……という。

飯塚 そんな言葉があるんだ、と思ったんですけど、「ファンろ過」って言うんですね。

井口 ワーキャーファンを“ろ過”するっていう。

飯塚 そうそう。井口くんはずっとファンろ過しているんじゃない?(笑)

井口 そうですよ。相当厳しくやってますから。それで「僕らのことなんか誰も応援してなくて」とか言うじゃないですか。そしたら「応援した人も過去にいたはずなのに、その人に対して失礼だ」とか言う奴がいるんですよ。少なくともお前は関係ないだろ! 当時の人はそんなのわかってるから、いちいち便宜上言わないんだよ! 僕は何度も言っていますけど、みんなファンにビビらなくていいんですよ。気を使う必要もない! それがいつの間にかファンが喜ぶことをやるようになっちゃうんだから。それが終わりなんだよ。まあ、ほとんどの人はまともだと思いますけどね。まともな人はSNSでごちゃごちゃ言ってないから、見えていないだけで。僕のファンなんて誰もSNSやってないんだから。

──SNSで見えているのは一部の意見ということは念頭に置きたいですね。

飯塚 SNSをいい意味で気にしないとか、SNSを使って盛り上げるのが得意とか、そういうものも芸人の素質の1つになっていますよね。ネタや平場は強くても、そこが苦手な人が割りを食っている部分もあるんだろうなと思います。

井口 だから本当に、3日SNS見なければだいたいのことは終息しているじゃないですか。例えば選挙特番のたびに「太田さん、大丈夫ですか?」みたいに気にしてくる奴がいるけど、大丈夫だよ! どうなると思ってるんだよ。もしSNSで気を病む人がいたら2、3日目をつぶってれば終わってますから。「炎上」と言われていることのほとんどが本当になんでもないことなんだから。特に芸人の騒動なんて。

──そうかもしれませんね。

井口 逆に、きむらバンドのことをみんな好きになればいいのかもしれない。(ファンの希望を)受け入れて、やってくれる人だから。佐々木とかは嫌だろうから。

飯塚 「俺たちそういうんじゃないから」ってかわすと「いやいや、心の中では相方と繋がってるんでしょ」みたいになるから、逆にそこを売りにして、ファン側が「もう冷めた!」となるまで供給していくとかね。

井口 とにかく、自分が1年後、2年後、3年後、恥ずかしくないように生きてほしいです。「私なんであんなにきむらバンド、きむらバンド言ってたんだろう」ってならないように!

飯塚 どんだけ「きむらバンド」って言うんだよ(笑)。

「メモドライブ」のギャラクシー賞とテレビの危機

飯塚 「有吉クイズ」(テレビ朝日)の「メモドライブ」がギャラクシー賞の月間賞に選ばれた。僕も加担してるし、井口くんもやっているからあれなんですけど、今の深夜番組、人と人がしゃべっている番組ばっかりじゃないですか。

井口 そうですね。

飯塚 それって究極、テレビ局が介在する意味ないじゃんと思って。「配信が回るから」という理由だけだったら、演者さんが自分たちでやろうと思えばYouTubeでできるし。やっぱりテレビは企画を考えて、それに最適な演者さんを呼んで、面白いものを作るということをちゃんとやろうよ、と改めて僕は思いました。制作者も「TVerを回せ」と言われると、とにかくTVerが回る企画をやろうと考えて、とんでもない暴露をしたり、悪態をつくだけの企画になって、それでTVerが回って「よかった」で終わっていいのか。「有吉クイズ」みたいな番組が評価されないとテレビが危ないなと、自戒の念も込めて思います。

──予算の問題も関係するんでしょうか?

井口 でもその中で企画を考えればいいわけですからね。

飯塚 新企画って、ルールを視聴者に理解してもらうのが難しいんですよ。だから人気コーナーを何回もやることになって、新しい企画が生まれない。だから初見でもわかりやすい暴露企画、トーク企画に収束していく。努力を諦めちゃってると思うんですよ。芸人さんたちはネタからは逃げられないのに、テレビマンが企画を考えることから逃げたら、本域のところが揺らいじゃうと思います。がんばらなきゃな、という話です。

関連記事
次のページ
これから未曾有のことが起きるかもしれないんだから自分で考えて行動できるようにならないと本当に大変なことになるぞ!

この記事が役に立ったらいいね!をお願いします

いいね!をすると、Xのタイムラインであなた向けのナタリーの記事が表示されやすくなります。

いいね!する

読者の反応

ウエストランド井口 @westiguchi

読んでねー!!!
反響もお願いしますー!!
#今月のお笑い https://t.co/JiATgWVSYO

コメントを読む(28件)

ウエストランドのほかの記事

リンク

関連商品

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャのお笑いナタリー編集部が作成・配信しています。 ウエストランド / 明石家さんま / 爆笑問題 / 青色1号 / ママタルト / トンツカタン / ルシファー吉岡 / 今井らいぱち / しんや / ななまがり の最新情報はリンク先をご覧ください。

お笑いナタリーではお笑い芸人・バラエティ番組のニュースを毎日配信!ライブレポートや記者会見、番組改編、賞レース速報など幅広い情報をお届けします。