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お抹茶が語る、楽しかった「R-1」決勝から規約違反が発覚し謝罪して新曲を作ってもらうまで

「かりんとうの車」は机に向かって考えたネタ

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トンツカタンお抹茶が「R-1グランプリ2024」で披露したネタ「かりんとうの車」の新たな楽曲が完成し、既報の通り3月24日(日)に東京・西新宿ナルゲキにて開催する「かりんとうの新車発表会」で初披露する。これに先がけて、お笑いナタリーではお抹茶にインタビューを申し込み、「R-1」当日から楽曲使用に規約違反が発覚するまでを振り返ってもらったほか、「当初の曲と遜色ない」という新曲について聞いた。

取材 / 狩野有理

「かりんとうの車」とは

「かりんとうの車」は、お抹茶が「かりんとうで作った」という車を運転しながらフリーBGMにオリジナルの歌詞を付けた歌を歌うユニークなネタ。448点で最下位に沈んだものの、「思わず口ずさんでしまう中毒性がある」と好評で、元の楽曲である「天水のユーロビート」にも注目が集まった。しかし、音源元の規定に沿わない形で使用していたことが発覚し、本人と所属事務所のプロダクション人力舎はダウンロードサイトと作曲者に謝罪。該当するネタをTVerやYouTubeから削除する騒動となったが、「天水のユーロビート」の作曲者であるマニーラがお抹茶のための新曲を制作するといううれしい展開を見せていた。

お抹茶のもとを訪ねたのは「R-1グランプリ2024」決勝から10日後の3月20日。撮影中は、東京カリントから贈られた宇治抹茶かりんとうをカリッとするポーズもカメラに披露してくれた。

トンツカタンお抹茶の 「かりんとうの新車発表会」

お抹茶 インタビュー

──今日はお時間いただきありがとうございます。

よろしくお願いします。(小声で)お抹茶にハマっちゃえ。

インタビューに応じるお抹茶。

インタビューに応じるお抹茶。

──「R-1グランプリ」決勝から10日ほど経ちましたが、今はどんな毎日をお過ごしですか?

決勝を終えた瞬間から数日はずっと浮かれていました。というか、決勝進出が決まった日から毎日浮かれていて、「ファイナリストなんだぞ」という気持ちで楽しく過ごしていました。決勝当日も、最下位だったけど楽しくてたまらなかったんですけど、規約違反ということがわかり、浮かれていた気持ちは一気になくなって、今はただのトリオの一員に戻りました。反省の日々です。

──とはいえ、ピンのお仕事も増えたのでは?

打ち合わせをいっぱいさせてもらってます。打ち合わせ、打ち合わせで。打ち合わせがすごく楽しいです。規約違反でなくなっちゃった仕事もあるんですけど……。打ち合わせはいっぱいやってます。

──その打ち合わせしたものが今後形となって見られるわけですよね。「R-1」前と今では生活は変わりましたか?

埼玉に住んでいて、今までは1カ月ほぼ丸々埼玉にいたんですが、最近はけっこう県をまたいでます。毎日と言っていいくらい上京してますね。東武スカイツリーラインっていうカッコいい名前の電車で通っていて、家からだと2時間くらい。往復4時間かけて埼玉と東京を行き来する日々です。昨日はYouTubeの収録で、23時半終了だったんですが、終電が23時35分なのでちょっとだけ早上がりさせていただいて、急いで駅に向かって間に合いました。家に着いたのは1時過ぎでした。

──今後もっと売れっ子になったら大変ですね。

なるべく早い電車に乗るしかないですね。特急とか使えたら使うし。お金持ちになったら、お抹茶専用の電車とか作りたいです。

──では改めて、「R-1」当日の様子を教えてください。

朝にリハーサルがあって、そこから本番まで7時間くらい空くんです。ほかのみなさんがどう過ごされたかはわかりませんが、お抹茶は「まだまだお笑いの赤ちゃん」というユニットを一緒にやっている、真空ジェシカのガクさんとさすらいラビーの宇野とお台場の街を散策しました。あとから後輩のネギゴリラ酒井と鈴木コウジロウも合流して、小籠包を食べ、ウインドウショッピングをし、「優勝したらこのブルゾン買っちゃうよ?」とか言ったりして。すごい楽しかったですね。

──楽屋ではどうお過ごしでしたか?

まず、楽屋にいる人数が少ないなって思いました。居心地よかったですね。いつもトリオとかコンビで集まるので、密集してて息苦しいなと思っていて。ピンだと自分のスペースがあって、のびのびできました。

──緊張はしませんでしたか?

緊張するかなと思っていたんですが、そんなことよりもトイレにめっちゃ行きました。

──それは緊張からくるものではなくて?

緊張していたのかもしれないです。水を一口ずつ飲んでいるのに、それ以上のものが出るというか。けっこうトイレに立ってばかりだったので、楽屋で過ごせてなかったです。本番が始まったら、モニターでスタジオの様子をみんなで観ていました。すごい楽しかったです。盛り上がりました。

かりんとうの車を運転するお抹茶。

かりんとうの車を運転するお抹茶。

──そして8番手でスタジオに登場します。

ネタ中はめちゃくちゃ楽しかったです。ただ、ネタ自体が思ったよりはウケなくて。準決勝までは大爆発の日々で、周りのみんなからも「このまま決勝も行けるんじゃない?」と言ってもらっていたので、自分でもちょっと期待していた部分があったんです。「あんまりウケてないな」と思った瞬間に今までの楽しかったことが走馬灯のように流れてきて、審査員さんのほうを見たら微笑んでいたので、「うれしいな」と思っていたらちょっとだけ歌詞飛ばしちゃいました(笑)。ぼーっとしちゃってたっていうのはありますね。そのくらいリラックスしてできました。

──大会を満喫できたんですね。規約違反に気付いたのはいつですか?

決勝の2日後、月曜日の午後でした。楽しく終わって、浮かれてたピークだったんですけど、音源のダウンロードサイトの運営の方から連絡が来ている、とマネージャーさんから知らされました。青ざめて、申し訳ないという気持ちと、今まで浮かれてた分、恥ずかしい気持ちと。2回戦から同じ曲を使っていたので、けっこう前から違反していました。

──BGMとしての利用だったら問題なかった?

そうなんです。歌詞を勝手に付けてしまったのがダメでした。そこからサイト運営の方や、作曲者さんに謝罪のご連絡をさせていただいたんですが、どちらも怒っているとかではなくて。こちらの説明を聞いてくださったうえで、「特例を認めるわけにはいかないので」ということでTVerやYouTubeからネタを削除するという対応になりました。ただ、あのネタはどうしてもやりたかったので、作曲者さんにお願いさせてもらったところ、お抹茶専用の曲を作っていただけると。めちゃくちゃ優しい方で、マニーラさんという方なんですが、僕、気になって、販売されている曲を買っちゃったりしました。ぜひみなさんもマニーラさんをチェックしてみてください。

──今回の件をきっかけにほかの曲も聴いたという人も多そうです。

マニーラさんの曲全部いいんですよね。「かりんとう車(ぐるま)」のネタには使っていないんですけど、元の曲のCメロがめっちゃよくて。あそこも本当は使いたかった。規約違反ですけど……。めっちゃいいので、元の曲を全部聞いてほしいです。

──マニーラさんは「R-1」をご覧になったんでしょうか。

いや、騒動があって、僕が謝罪のご連絡をしたときに初めて知ったみたいです。

──まさか自分の曲がこんなことになっているとは。

カッコいい曲を作ったと思ったら、勝手にかりんとうの歌詞乗っけられて……。本当にご迷惑をおかけしました。でも、カッコいい曲だからこそ選んだんです。「かりんとうの車」とのギャップがよかったので。

──新曲についてはどんな要望をマニーラさんに伝えましたか?

「『天水のユーロビート』にできるだけ近い楽曲にしてほしい」とお願いしました。僕が最初に使った「天水のユーロビート」が、そもそもマニーラさんのユーロビート曲の中でも最新版で、前作を超えてできた曲。それを、なぜか僕が超えさせてしまうという申し訳なさもあったんですけど、めちゃくちゃいい曲を作っていただいたので早くみなさんにも聞いてほしいです。僕の意図を汲んでくださって、「天水のユーロビート」と変わらないテイストの、素晴らしい曲に仕上げていただきました。完成した曲が「karinto's car」というファイル名で届いたのもうれしかったです。DMでやり取りさせてもらったんですけど、「(新曲を使った)ネタの公開楽しみにしてます」と言ってくださっていました。

宇治抹茶味のかりんとう。

宇治抹茶味のかりんとう。

──「かりんとうの車」のネタはどうやって作ったんですか? 曲から発想が生まれたのかなと思うくらいぴったりでしたが。

もともと「かりんとう車」の発想があって、そのあと曲を探しました。僕、ネタに使うBGMを探すときにフリー音源サイト100ページ分くらい全部聞くんですよ。これでもない、これでもない、みたいな感じで。でも、あの音源は2ページ目くらいで見つけたんです。聞いた瞬間、「ええー!」ってなって、運命の出会いでした。求めていた、キャッチーなサビ、イントロまでの時間、全部が完璧で。だから使っちゃったんですけど。

──歌詞が先にあって、曲に当てはめた?

歌詞にまではなっていない、大喜利の案をまず考えていました。サビでネガティブなことを言おうとは考えていて、「雨が降ったら潰れちゃう」とか。歌詞は文字数があるので曲が決まってから当てはめましたけど、発想が先で、あとから「これだ!」というピッタリの曲が見つかったということです。

──「かりんとうの車」という発想はどこから来ているんでしょうか。

前回の「R-1」で「ピアノ刀侍」というネタをやったんですよ。侍が、持っている刀を抜くとピアノの鍵盤になっているというネタ。そういう、この世に存在しないもののネタをやりたくて、なおかつ存在しないもののあるあるをやりたいなと思っていたんです。それで考えたのが「かりんとう車」なんですけど、これをどうやって思いついたかってことですよね? 僕、もともと「車」が面白いと思っていて。みんな当たり前のように乗ってますけど、普通に危ないじゃないですか。高級車もあれば軽とかもあって、なんでこんな種類あるんだよ?とかも思うし。「車」関連のネタはほかにも3つほどあって、それくらい「車」が好きなんです。そんな「車」と結びつかなそうなもの、と考えたときに、「かりんとう」がポンと出てきた感じです。

──それを考えるときは、机に向かって一生懸命絞り出すんですか? それとも日常の中でふっと思いつく?

僕の場合、めちゃくちゃ「机に向かって」です。意外なんですけど(笑)。ほぼ毎日喫茶店に行って、ノートを開くんです。すぐには書き始めないで、アプリをいじったり、ぼーっとしたりしているときに、急に脳が動き出す瞬間が来るので、それを書き出す。そして脳が動かなくなってくるのを待っていると、いつの間にかできている、という感じです。脳がスカスカになった状態を待って、深夜のテンションみたいなところまで行って絞り出されたのが「かりんとう車」や「ピアノ刀侍」でした。恥ずかしながら職人気質で、納得がいく案が出ない限りネタを作り始めたくないんです。「かりんとう車」みたいな案がほかにも何個か出ていると思うんですけど、「誰かが思いつきそうだな」と思ってボツにしています。

インタビューに応じるお抹茶。

インタビューに応じるお抹茶。

──お抹茶さんがトンツカタンのネタを手がけるようになり、最近では「ブレーン交代説」も聞かれます。いつ頃からネタを書くようになったんですか?

ちゃんとトリオのネタを書き始めたのは30歳(4年前)からです。トンツカタン森本が1人で売れ始め、森本ばっかり選ばれて僕は選ばれないという状況が続きました。そんなフラストレーションが溜まっているタイミングに、ライブでトンツカタンと吉住のトークコーナーがあったんです。「トンツカタンの中で彼氏にするなら誰?」という話題で、森本と櫻田が選ばれてお抹茶だけ選ばれないという事態になり、爆発しました。「また森本ばっかり。なんでお抹茶は選ばれないんだ!」と。そのライブは結局怒って帰っちゃいました。そのあと、トンツカタンのLINEグループに「話し合いましょう。解散も考えてます」と連絡し、翌日に会議を開いたところ「もっとトンツカタンは3人で集まったほうがいい」という話になって、継続的に新ネタライブをやることになったんです。でも森本は忙しくてネタを書くのが大変そうだったので、「お抹茶も書いていいですか?」と。だから、吉住がトリガーを引いた形ですね。

──解散危機があったんですね。

解散危機というか、定期的にお抹茶が引き起こしてしまうやつで。もちろん僕は毎回本気で「解散したほうがいいんじゃないか」と思って言っているんですけど、結局続いて、また数年後に「解散しよう」となることが何回かありました。まあ、申し訳ないです。ネタを書くようになった理由は、「時間がすごいあるから」というのもあります。暇だしっていう。本当は、もとからネタを書きたいタイプだったと思うんですけど、「俺が書くわ」と言える人間じゃなかったので。だから相方に「俺が書く」と言われてイエスマンとしてやってきた。それが、例の事件で爆発した感じです。

──「新車発表会」はどんな内容になる予定ですか?

「かりんとうの車」を新車として披露するのと、トンツカタンがゲスト出演するので、お抹茶が今まで作ったトンツカタンのコントをやろうと思っています。お抹茶のコントって、新ネタライブで下ろしてもそのあとやらないで終っちゃうんですよ。二度と実現不可能というか。水とか使っちゃうので。こういう機会なので、もう1回やろうと思います。あと、お抹茶のことを応援してくれている人からのビデオメッセージも流させてもらう予定です。あと何かやったほうがいいことありますかね? チケットは即完ではなかったんですが、じわりじわりと、2、3時間かけて完売しました。配信があるのでぜひたくさんの方に観ていただきたいです。

「R-1」ポーズのお抹茶。

「R-1」ポーズのお抹茶。

──「R-1」には来年も挑戦したいですか?

「賞レースの決勝に行ってみたい」っていう目標でやってきたので、今回決勝に行けてゴールした感じはあって。悔いないんですよね。

──悔いないんですか?

お笑いに悔いなくて。でも、大先輩たちがラジオやYouTubeで褒めてくれていたので、その人たちに見てもらうためにまた挑戦したい気持ちも徐々に出てきました。

──今回の「R-1」でほかのファイナリストとの交流は生まれましたか? kento fukayaさんとの楽しげなお写真を拝見しましたが。

kentoさん最高でしたね。今このインタビュー中も会いたいですし、4月から東京に来るということなので、来たらまず一緒に飲ませてもらいたいです。公園とかで。「kentoさんと一緒に飲める公園探しておきます」とは伝えてあります。あと、どくさいスイッチ企画さんともLINEを交換させてもらいました。「大阪呼んでください」って言ってたんですけど、どくさいさんも上京されるみたいなので、東京で会えそうですね。

「お抹茶にハマっちゃえ」。

「お抹茶にハマっちゃえ」。

作曲者マニーラ コメント

「かりんとう車」を知ったきっかけは、Xのタイムラインで「天水のユーロビート」の動画URLに対して「かりんとうの車」というコメントがありまして、調べた結果トンツカタンお抹茶さんのネタに辿り着きました。

ネタを拝見したところとても平和で愉快な歌でありましたが、ライセンス違反ではあったので使用停止になるかと残念な気持ちになりました。ただその後、お抹茶さんご本人から真摯な謝罪とご依頼を頂けてとても嬉しかったです。

ネタに合った楽曲で「天水のユーロビート」に寄せてほしいというご要望でしたので、参考のネタ動画を頂きまして何回も拝見しました。そこでメロディと歌詞の文字数など合わない箇所がありましたので、一から雰囲気を損なわずに明るく楽しいという思いを込めて作曲致しました。お抹茶さんには今後も皆さんを笑顔にしていってほしいと応援しております。

お抹茶(オマッチャ)

2012年、同じスクールJCA21期生の森本晋太郎、櫻田佑と共にトリオ・トンツカタンを結成。2016年に「第7回 お笑いハーベスト大賞」で優勝し、2019年に「ABCお笑いグランプリ」決勝、2021年と2022年に「NHK新人お笑い大賞」決勝に進出した。近年、季節ごとに「○○のトンツカタン」と題した新ネタライブを開催している。「R-1グランプリ2024」ファイナリスト。

トンツカタンお抹茶の「かりんとうの新車発表会」

日時:2024年3月24日(日)19:20開場19:30開演
会場:東京・西新宿ナルゲキ
料金:配信1500円 ※会場チケットは完売。
配信視聴期間:3月27日(水)23:59まで
チケット:ZAIKOにて販売中。
<出演者>
トンツカタン・お抹茶
ゲスト:トンツカタン

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