今月のお笑い 27本目 [バックナンバー]
ウエストランド井口と作家飯塚が語る「2024年7月のお笑い」
ワンピース歌舞伎、好感度上がった高野に説教、ハナコ秋山と岡部の顔、キャプチャ問題
2024年8月1日 20:00 50
構成
※取材は7月27日に実施。
金魚番長はしょぼい系
──前回取材日の関係でできなかった「ツギクル芸人グランプリ」の話をまず聞いてもいいですか?
井口 「ツギクル」の放送中は「オトステ」(
優勝ありそうです
飯塚 えびしゃとはまだ関わってない?
井口 まったく会ったことないので、今調査中ですね。すぐその場で「えびしゃってどんな奴?」というLINEを送って、探ってます。大会に関してちょっと思ったのは、「ツギクル」とか「THE SECOND」とか、タイトル自体がコンセプトになっている大会はそれに当てはまる芸人に票が入りやすいのかなという気がしました。特に「ツギクル」は出場資格が広いから、もし
飯塚 「ツギクル」は地上波プライムタイムでレギュラー番組を持ってない芸人が出られる大会だから、キュウ、ファイヤーサンダー、ママタルトとかも出られるけど、自主退学というか。事務所の判断(※)で次の人に枠を渡してるところはあるかもね。
※編集部注:「ツギクル芸人グランプリ」は地上波プライムタイムのテレビ番組レギュラーを持っていないことに加え、「日本音楽事業者協会加盟プロダクションに所属する各社推薦の精鋭芸人」が出場資格となっている。
井口 今のところちゃんと「次来る」っぽい人しか優勝していないけど、おじさんが優勝することもいつかはあるのか。
飯塚 予選を見た感じだと
井口 だから、案外同じネタでもいけるってことですよね。そんなにみんな見てないというか、見てたとしても大丈夫だったりもするし。
飯塚 「UNDER5」でツンツクツン万博が審査委員のチョコプラ長田さんにリーゼントの小道具の作り方が甘いって指摘されていて、「ツギクル」のときは言われた通り芯を入れてまっすぐになるように直していたんだけど、その結果、重くなったのかズレやすくなっていた気がした。あのリーゼントは絶妙な調整によって保ってたんだなと思った(笑)。
井口 で、「ABCお笑いグランプリ」は令和ロマンが優勝したのか。よく勝ちましたよね。
飯塚 すごいことをしているよね。優勝キャラというか、自分たちでものすごいハードルを上げまくって臨んでる。そんな人って今までいなかった。
井口
──仮屋さんが当日に「仮屋そうめん」への改名発表して、そうめんギャグを連発していました。
井口 そうなんですか? ふーん。
飯塚 金魚番長の「ワンピース歌舞伎」(※)がXで話題になっていたのは今っぽい出来事だなと思った。賞レースで、優勝した人を差し置いて自分たちが目立とうとする行動って、一昔前だとけっこう怒られる気がするけど、今ってバズった者勝ちというか。
井口 まあ、令和ロマンが優勝だったからできたんでしょうね。
飯塚 それはそうだね。青色1号が優勝だったら空気は違っていたかも。
井口 この前、金魚番長に初めて会ったんですけど、思ってるほど僕が噛みつく感じじゃなかったんですよ。意外としょぼい系で。本人にも言いましたけど、もっとゴリゴリのよしもとの人気者みたいな奴だと思ったら、視野広い系というか、よしもと以外の事務所にも理解ある系。で、顔もしょぼい系だったから、がっかりしました。そろそろケビンスのことばっかり言うのもかわいそうだから違う奴いないのかなと思っていて、金魚番長がいたか!と発見できた気がしたんですけど、しょぼい系でしたね。
飯塚 しょぼい系(笑)。つまりちゃんとしてるってことでしょ?
井口 ほかの事務所のライブも出たりして、ちゃんと視野広い系というか、凝り固まってない系、よしもとの常識で生きてない系。肩すぼめて歩いてる系だったんですよ。
飯塚 バランス感覚あんのかよ!っていう(笑)。
井口 僕が(やいのやいの)言う感じじゃなかったですね。
──それって褒め言葉でもありますよね?
井口 でも、僕としてはよしもとの感じでいてほしかったですね。堂々と生きてて、シュッとしてて、人気がめっちゃあることを祈ってたんですけど。普通にいろんなライブにがんばって出ていて。がんばってる系でした。
飯塚 努力型だ。
井口 努力型だったんで(笑)。がっかりです、こっちとしては。
飯塚 NSC首席なんだよね?
井口 その触れ込みはあったので、もうちょっとやってくれると思ったんですけどね。
※編集部注:1stステージの結果発表直前にダウ90000蓮見が「2本目はミュージカル」と言ったのにかぶせて、金魚番長・箕輪が「2本目はワンピース歌舞伎をやる」と発言。金魚番長はその場で敗退が決まったが、急遽舞台裏で衣装をかき集め、メイクも施してもらいエンディングでワンピース歌舞伎を披露した。
ワンピース歌舞伎
7月は嫌なことばっかり
飯塚 ワンピース歌舞伎もそうだけど、今っていかに“真面目にやらないか”が重要になっている節があって。例えば朝の番組の食リポでいかに変なことをやって、いかに崩すか、ということばかり注目される。でもそれってちゃんとやっている人をフリにしてるから、踏み台にされてる側の気持ちも考えちゃう。
井口 まあ、立ち行かなくなりますよ。ずっとそのやり方でやってたら。
飯塚 そればっかり流行ると今度は「もうそれやってるのサムい」になってくるだろうね。「ちゃんと味の感想も伝えつつ最後に面白い一言でまとめる人がスゴい」になるかもしれないし。
井口 ちゃんとできるうえで崩してるならいいですけどね。できないから逃げで崩していたら「もういいよそれ!」ってこっちも言いますよ。
飯塚 バズるが勝ちみたいな話の余談だけど、マユリカ中谷さんが、「ラヴィット!」(TBS)で928万円の車を買っていて。
井口 そうだ! それ言おうと思ってたんですよ。これは引きましたね。はっきり書いておいてください。ドン引きです! よしもと以外の芸人は全員ぶち切れてますよ。そんなのを買うのを見せつけられる絶望感。マユリカで900万買えるの!?っていう。
マユリカ中谷、928万円のジープを買う
飯塚 昔みたいに「こんなに大金使って大丈夫!?」みたいなのもあんまりないしね。井口くんの宣伝効果もあって、よしもとの芸人さんたちはお金持ってると思われているだろうし、いいマンションに住んでる話も自分でしているから、「買えるんだなあ……」っていう(笑)。
井口 みんな、嫌だろ! 声上げていこうぜ!
飯塚 でも、そういう企画が多すぎて、せっかくの高額買い物があんまり話題になっていないってこともイジられてるよね(笑)。視聴者も慣れちゃって、単純に欲しいものを買っただけになってる。
井口 にしてもすごいわ。このあとよしもとのライブのゲストに呼ばれていますけど、言いまくるしかないですよ。もう応援なんかしなくていいよ、お金あるんだから。
飯塚 井口くんもお金はあるでしょ?
井口 マユリカのほうがとんでもないですよ! とんでもなく金あるらしいですから。
飯塚 あるらしい?
井口 あるらしいです。噂ですけど(笑)。なんか、そう思うと今月は嫌なことが多かったですね。
──ほかに嫌だったことはなんですか?
井口 やっぱり、「水曜日のダウンタウン」(TBS)できしたかの高野がいい人みたいになっていることです。
飯塚 モニタリング番組で、隠し撮りしていた
井口 いい人だからなんなんだよ!? 前から言ってますけど、SNSっていい人かどうかしか書かないから。「面白かった」でいいのに。「いい人だ」「こんな人の部下になりたい」って、高野の部下になりたいわけないだろ! よく考えてみろ、あんな暗いハゲいないぞ! オンエアのあと高野に会ったから、大説教してやりましたよ。
飯塚 何を説教するの?(笑)
井口 好感度なんか上がったってなんにもいいことないぞってことです。だから、あのドッキリはクロちゃんとかみなみかわさんで見たかったですね。
飯塚 仕掛け人のジグザグジギー池田さんも泣いてた。現場でも言ってたし、オンエア後にXでも言ってた。
井口 言っときますけど、マセキにそんな絆ねえだろ! 「オトステ」で激詰めしときましたよ。
飯塚 あとは「木田さんの演技がすごい」というのも言われているね。
井口 木田のこと知らないからそんなこと言えるんですよ。木田なんか、めちゃくちゃ嫌な奴なんだから。多少演技がよかろうが、許される存在じゃないんだから。
飯塚 オンエア直後にXで4000円の利尻島noteを売ろうとしてた。最初にポストするのそれなんだ(笑)。
井口 「コントがんばってます!」とかじゃなくて(笑)。
飯塚 利尻島noteが代表作みたいになってる。
ガクヅケ木田
井口 まあでも逆に言うと、それで好感度を上げないからいいかもしれませんね。好感度なんか上がったら終わりですから。僕はもう本当に、「詐欺に遭うぞ!」って注意喚起したいんですよ(※)。泣けばいい人だと思うじゃないですか。本当にやめてくれ! みんな涙を見た瞬間にいい人だと思うんだから。「粗品が結婚式で泣いてた、いい人」とか。なんで全部を忘れてそう思えるんだよ? 言っときますけど、凶悪な犯罪者でも映画観て泣くからな!? なんで高野が泣いてたらいい人なのかも理解できないし。僕としては、「面白かった」というだけですね。
飯塚 ラランド・サーヤさんが木田くんのことしゃべったり、ヒコロヒーさんが高野さんとよく共演していたり、実力のある女性芸人さんが推してると憎めない人なんだろうなって思っちゃう。「この2人が言ってるってことは、いい人なんだ」みたいなところもありそう。
井口 いやいや、あんなもんダメですよ。みんな騙されないでほしい。一つも自発的にしゃべんない、暗いハゲなんだから。
※編集部注:井口は「2022年12月のお笑い」のときからみんなが詐欺に遭わないか心配していた。
「27時間テレビ」井口の感想
飯塚 井口くんは「FNS27時間テレビ」(フジテレビ)には1秒も出てないの?
井口 出てないですね。
飯塚 去年は、baseよしもとの時代、人気者たちのどちらかというと陰になっていた千鳥、ダイアン、かまいたちが、ようやくフジテレビの「27時間テレビ」というもっとも華々しい舞台に立ったのが“おじさんたちのドリーム”という全体の雰囲気になっていたけど、今年は“若い人たちの夢”という感じが対比としてあったよね。
井口 学生をターゲットにして、ちゃんと若い人たちの反響があって視聴率も取れたのは成功と言っていいですよね。ただ、僕は一番感動と青春が嫌いなんで。昨日ちょうど
飯塚 最低だ!(笑) でも、あのメンバーが照れない世代なんだろうね。ちょっと昔気質の芸人さんはダンスとか歌って照れるし抵抗感があったと思うけど、照れないでできるのは番組に必要だったと思うし、一生懸命やっていることに嘘がない、本当に学生さんたちといいものを作ろうとしているんだなって感じた。井口くんがいかにうまく踊ってたとしても、「この人、本当にやりたいのか?」みたいになると思う(笑)。
井口 そうかもしれないですね(笑)。でも、特に秋山くんとか岡部はとにかくすごい顔してましたから。「花巻東を勝たせたくて……」じゃなくて! 何をやってんだ!っていう。芸人なんだから笑わせろよ!
飯塚 「27時間テレビ」はわりと絶賛の声が多いから、そういう声は新鮮(笑)。SNSとかは思ってても、今って言えない空気が生まれるしね。
井口 そうなることが一番よくないので、僕だけは言っていきますよ。
飯塚 「内村プロデュース」(テレビ朝日)復活のニュースがあって、僕もすごい見ていたからうれしさももちろんあるけど、昔の人気番組の復活とか、大御所と大御所の共演みたいなことでしかお祭りにならないさみしさもあるから、「新しいカギ」を中心とした「27時間テレビ」みたいに今の番組で話題になることがあるのはすごくいいと思う。
井口 昔の番組のリバイバルじゃなく、若手でやってるっていうのはすごいと思います。
飯塚 深夜に、
井口 本当に変な奴ですもんね。似てるとか似てないとかじゃなく、変な奴。やり切る奴。
飯塚 友近さんやミラクルひかるさんみたいな、「もう本人がやりたいんならしょうがない」っていうモードに入っている(笑)。
井口 あと、技術が上がってるっていうのもあるんでしょうね。
飯塚 似せる技術もすごいし、キングボンビーとか映画「シャイニング」とか選んでくる題材も独特。
井口 僕は「27時間テレビ」に出てないので、粗品に嫌われてないかなって不安になっちゃうっていうのはありますね。
飯塚 「出てない」=「粗品に嫌われてる」、ではないから(笑)。
井口 嫌わないでね~って思いますね。「嫌わないでね~」って書いておいてもらっていいですか?
──わかりました(笑)。
飯塚 「27時間テレビ」が終わったあとに、すぐ粗品さんとかせいやさんがYouTubeで感想を出していて。ああいうのってこれまでだとラジオまで取っておいたと思うけど、すぐYouTubeで出すのが今のスピード感なんだろうなって。
井口 せいやがダンス企画の趣旨を間違えてましたと謝っていましたけど、間違えてないぞせいや! それでいいんだからな! 見ただろ、秋山と岡部の顔! あんなもん怖くて見てらんないよ! せいやのほうが合ってるぞ! 「花巻東勝たせたかった」じゃないよ!
9番街レトロ、人気街道を突っ走ってくれ
飯塚 あれは見てない? 前回応援するって言っていた「ナイチン街レトロ」(テレビ朝日)。
井口 あ、見てなかったです。いつかは(ゲストとして)行けるんじゃないかなと思うんですけど、それも「研修テレビ!!」(テレビ朝日)とやることは同じで、「何やってんだ」と言いに行くだけになるでしょうね。「何やってんだ」って言って回る仕事ですよ(笑)。
飯塚 でも「研修テレビ」で井口くんが「何やってんだ」と言って回るだけで1回分を作れるっていうのはすごい。なかなかそういう人はいないと思う。永野さんか井口くんか。キャラクターが浸透しているから、別に何を言われても本人もそのファンも傷つかないっていう(笑)。
井口 こっちも本当に「何やってんだ」と思って言ってますからね。
飯塚 「ナイチン街レトロ」の初回は、ナイチンゲールダンスと
井口 そうなんですよ。前回も話しましたけど、先輩ゲストを呼んでばっかりにはならないでほしいですね。
飯塚 余談だけど、京極さんが彼女いるってインスタのストーリーズで言ったら、ショックだっていうファンがたくさんいて……。
井口 ああーありましたね。まあそれは、そうなんじゃないですか?
飯塚 最近はあんまりいなくない? 彼女がいるなんてショック!ってなる芸人さん。
井口 そうなんですよ。僕としてはもっとそうなってほしいです。そういう思いで金魚番長に会ったらしょぼい系だったんで、9番街レトロがやっぱいいなって思いました。よしもとの人はそうあるべきですよ。「彼女いるなんて嫌だ」っていうファンがいっぱいいる芸人に出てきてほしい。9番街レトロには突っ走ってほしいですね。
テレビ番組のキャプチャ問題
飯塚 「クレバーなクレーマー」(テレビ朝日)で永野さんとくるまさんが話してた、テレビのキャプチャの話なんだけど。
井口 なんか話題になってましたね。
飯塚 いろんなライブや「27時間テレビ」でもネタにされてたから、話題にはなってたのかな。作家として番組に関わっているからか、僕にも「謝罪しろ」ってDMが来たりしたんだけど……。話を整理すると、テレビのスタッフはキャプチャされることを意識して番組を作ったりしているけど、テレビ局としては「著作権があるからキャプチャは認められない」というスタンスで、そこは今まで通りだし、実質あんまり今回の件とは関係ないと思ってる。で、くるま氏の「自己肯定感の最下層」という言葉があって、実際はバズらせ目的だけでやっている人たちに向けた言葉なんだろうけど、傷ついてしまった人が多かった。で、それは井口くんが言っていたら刺さんなかったんだろうなと思って。
井口 僕が思うに、そもそもみんなくるまのことを信頼しすぎだったんですよ。くるまのこと好きだし、いい奴だし、「我らの仲間」みたいな感覚でいたから、言われてショックだった。これ、僕も気持ちがわかるというか。昔から「オンバト」(NHK)が大好きで毎週録画していたんですけど、芸人になって初めて「オンバト」に出たときにめちゃくちゃ叩かれたんです。昨日まで(オンバト好きの)一緒の仲間だったのに、こんなの言われるんだって今まで芸人やってきた中で一番ショックだった、というくらいショックで。まあ芸人始めてすぐの頃だったっていうのもありますけど。仲間だと思ってた奴が、急に飛び出してきてキツいこと言ってきて、敵になったっていうことの衝撃が、大きい反発になったんじゃないかなとは思いますね。
飯塚 感覚も最先端だし、「M-1」も優勝しているし、いろんなものを知っているから、くるまさんのことを今の時代の象徴みたいにとらえていたらショックは大きかったと思うけど、そんなショックを受けなくていいことというか、「自分とは考え方が違うな」でいいはずだと思う。
井口 そうなんですよ。「テレビのことを思ってやってた」とか、そういう問題じゃない。くるまなんか雑魚なんだからな! 気にすんな!
飯塚 あの発言はテレビ業界全体の見解でもないし、いち出演者から、その瞬間たまたま口から出た言葉だから、それを重く感じなくていいんじゃないかなと思う。この話に関連すると思うんだけど「番組存続のために投票してください」とか「第2弾のためにTVer回してください」とかお願いするのはどうなんだろうと思っていて。個人的には言わないようにしているんだけど、最近そういうのが多いからか、視聴者が「観てあげてる」「応援してあげてる」という気持ちになってきて、だから例のくるまさんの発言とかを聞くと「応援してたのに!」となるんだと思う。テレビは斜陽産業だと思われているから、「僕たちがなんとか力を貸して盛り上げよう」って思っていた人からすると、裏切られた感じになったと思う。番組を続けるために視聴者やファンに圧をかけるのは、健康的じゃない距離感になってしまうなというのは個人的には思う。「面白いから見てください」だけでいいよね。
井口 ラジオの書き起こしもそうですけど。
飯塚 それも問題になってたね。
井口 ラジオの書き起こしって、最近思うのは、「面白いから知ってほしい」ってことならいいんですけど、人の嫌がることばっかり書くんですよ。「タクシー蹴った」とか「いぐちんランド」のことばっかり書いてる。もう、そんなの嫌な奴じゃん。
飯塚 バズり社会の功罪みたいなものだよね。最初は本当に面白いから紹介していたけど、いいねが増えたりリポストされると、それ自体が楽しくなって、バズりやすいほうに寄っていくこともあると思う。
井口 バズったからなんなんだってことですよね。
飯塚 いいね数もリポスト数も出なくなったら、もっと世の中平和になるかもしれないよね。
平場最強タレントは梅沢富美男
井口 この前「ダウンタウンDX」(読売テレビ)の収録があったんですけど、梅沢富美男さんってやっぱりすごいなと思いました。梅沢富美男さんが一番すごいかもしれない。70歳超えて、こんなに面白い人っていない。全部が計算されてる、と言ったらあれですけど、威張っている感じを出しておいて浜田さんに口を押さえられたらちゃんとシュンとするとか、「そういうことじゃないですよ」って指摘されたときに、ベテランの人だったら照れて「あ、ごめんごめん」となるところを、そうならずに「なんだよ!」と返すとか。「俺は昔はすごかった」というフリを入れて、「なんでこんなことしなきゃならねんだよ!」って言いながらやって、できなくてかわいらしい部分もある、というのが完璧すぎて。芸人でも、あのキャリアであの年齢でできる人いないと思うんですよ。平場最強の人だと思うんですよね。
飯塚 お笑いファンはあまり意識してないと思いますけど、テクニックをテクニックと見せない。傍若無人に振る舞って、うるさいこと言ってるなと思っているかもしれないけど、全部梅沢さんの手のひらで転がされてる(笑)。
井口 よく考えてください、誰よりも問題も起こしてないですから。むちゃくちゃやってる感じですけど、一番時代にアジャストしてやってるし。
飯塚 自分で着火させて、自分で落として、自分で負け顔して、全部0から作れる。
井口 そうなんですよ。なんにもないところに自分から煙立てて(笑)。
飯塚 梅沢さんが一番すごいね。
井口 どの話題でもいけますしね。ギャルとも普通に絡むし。
飯塚 もう、お笑いナタリーだよね。
井口 本当に。梅沢さんの情報はお笑いナタリーで取り扱ったほうがいいですよ。一番お笑いなんだから、あの人が。
ラブレターズと光代社長のいざこざ、これにて一件落着!
井口 あと今月は、
太田光代社長がラブレターズの単独ライブ大阪公演を観劇
井口 飯塚さんはラブレターズの単独観ました?
飯塚 東京公演を観に行った。めっちゃ面白かったよ。仕事柄いろんなコントを見るけど、人間の弱さとか、人間にフォーカスしているネタのほうが、すごい複雑な設定とか大裏切りとかより自分の年齢的にもいいなって最近思う。ラブレターズの単独ライブあるあるなんだけど、ここ最近、ダウ90000の蓮見さんが1本ネタを提供しているから、「一番面白いネタが蓮見氏のネタだったらどうしよう」って複雑な気持ちになるんだよ。エンドロールでコントのタイトルと作者が出るから、答え合わせして安心したり戸惑ったり(笑)。
井口 頼むなよ、蓮見になんか! そんなことになるんだから。
飯塚 全然関係ないけど、最近子供が「喫茶店! 喫茶店!」ってめっちゃ言ってて。
井口 「わらたまドッカ~ン」(NHK Eテレ)でやってたんですよね。
飯塚 そこからめちゃくちゃハマってて、ジグザグジギーに。
井口 ジグザグジギーも面白いネタがいっぱいありますからね。それこそ、高野の「水曜日のダウンタウン」のドッキリでも、ライブを観てたディレクターさんが「めちゃくちゃ面白いっすね」って言ってくれたらしくて、確かになんかやけにそのネタの映像長めに使われていたんですよ。そこはドッキリと関係ないのに(笑)。
飯塚 もう1回、2組で決勝行ってほしいね。
井口 がんばってほしいですよ。
飯塚
井口 いろいろ噂になってるところだと、や団とかシティホテル3号室とかが調子いいって聞くんですけど、情報源を突き詰めたらともしげさんでした(笑)。
僕はあのちゃんの何?
飯塚
井口 それがある種の一発屋になっていますよね。そんな中、チョコプラさんがTT兄弟で「アメリカズ・ゴット・タレント」に出るっていう。チョコプラさんのとんでもなさもありますよね。
飯塚 チョコプラさんが全部を抑えてるよね。「27時間テレビ」もやって、YouTubeも面白くて、単独ライブもすごくて。
井口 話変わるんですけど、この前「めざせ!切り出し職人」(テレビ朝日)の収録に行ってきたんですよ。「あのちゃんねる」代表で。
飯塚
井口 僕のみです。「あのちゃんねる」を代表して井口が行くっていうわけわかんないことがあって。ここまでやってるのになんにも言われなくて、僕はなんなんだよ、あのちゃんの!(※)
飯塚 都合のいい男(笑)。
※粗品とあのの“そしあの”は話題になるが、“いぐあの”は話題にならない、と「2024年6月のお笑い」でも話していた。
井口 そんで、切り出される中に僕が出てる回がなかったんだから。
飯塚 今キテる人とかじゃなくて井口くんをフックアップしてるところが、あのちゃんカッコいいなって思う。
井口 あのちゃんがフックアップしてくれてるのか、僕がしがみついてるのかわかんないですけど。あと、「TGC松山」のMCもやってきましたよ。普段バラエティに出ている人たちのモデルとしてのすごさを痛感しましたね。みちょぱってすごいんだ、とか。
飯塚 すごさを気づかれてない人っているよね。梅沢さんしかり。
井口 梅沢さんだったらTGCでも爆笑取ってるでしょうね(笑)。
プロフィール
井口浩之(イグチヒロユキ)
1983年5月6日生まれ、岡山県出身。2008年、河本太(コウモトフトシ)とウエストランドを結成。2013年4月に「笑っていいとも!」(フジテレビ)のレギュラーに抜擢され、最終回まで不定期で出演した。2012年から2014年に「THE MANZAI」認定漫才師。「M-1グランプリ」では2020年に初の決勝進出を果たし、2022年に優勝! ラジオ形式の番組「ウエストランドのぶちラジ!」をYouTubeなどで配信中。とろサーモン久保田とのレギュラー番組「耳の穴かっぽじって聞け!」(テレビ朝日)は毎週火曜26:34~。タイタン所属。
飯塚大悟(イイヅカダイゴ)
1982年4月13日生まれ、新潟県出身。テレビ、ラジオの構成作家。現在の担当番組は「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」「家事ヤロウ!!!」(テレビ朝日)、「水曜日のダウンタウン」(TBS)、「ヒルナンデス!」(日本テレビ)、「オドオド×ハラハラ」(フジテレビ)、「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)など。書籍「深解釈 オールナイトニッポン~10人の放送作家から読み解くラジオの今~」(扶桑社)。
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