今月のお笑い 23本目 [バックナンバー]
ウエストランド井口と作家飯塚が語る「2024年3月のお笑い」
今さら「R-1」振り返り、井口出演「バラバラ大作戦」、芸人もテレビも軸が大事、南キャンの進化
2024年4月5日 19:00 87
構成
※取材は4月2日に実施。
「R-1」決勝では伝わりづらいB級感
井口 けっこう日は経っちゃいましたけど、「R-1グランプリ」は飯塚さんどうでした?
飯塚
井口 もう嘘がすごいところまで行ってますからね。僕としては、
飯塚
井口 1ウケだったみたいな話も聞きました。
飯塚 ライブだったら手作り感あふれるセット、フリー音源に決してうまいわけではない歌を乗せている感じが、味になって面白いっていうのもプラスされていたと思うんだけど、テレビのゴールデンタイムの立派なスタジオでやるとどうしてもそのあたりの面白さが伝わらないんだなと改めて思った。
井口 小さい劇場だったら段ボールで作った小道具のほうがかえっていいけど、テレビでやるとダサい、ちゃっちいっていうのはありますよね。逆に劇場で本物使ってたらなんか笑えない、みたいな。特に、お抹茶のあのネタは道具のクオリティを上げればいいのかっていう部分もあるし。あのクオリティだから面白いわけですから。
飯塚 あと、「そういう人だ」って認識されていたら違ったのかもしれない。初めて観た人はお抹茶がどういう人か知らないから。
井口 もう中学生さんみたいになっていれば。
飯塚 そうそう。単純に「完成度が低いもの」だと思われちゃうと、面白さがうまく伝わらないんだなと思った。
井口 完成度も低いし、(音源の)規約違反してるし、最下位だし。もう最悪ですよ(笑)。
飯塚 ルシファーさんはちゃんと書割を作ってたね。
井口 ずっとルシファーさんも書割を置いてなくて、「置いたほうがいいんじゃないか」みたいな話をしていたんですよ。それで、決勝で置いたらやっぱりよかった。1個1個、これがいい、これはダメの確認の作業をしていくしかない。
飯塚 だからお抹茶のネタはめちゃくちゃ面白かったのに、会場と合わなかったのが残念だし悔しかった。後日、同じ作曲者の人にお抹茶専用の曲を作ってもらって、「
井口 作った人も怒ってるわけじゃないけど、音源サイト内で決まっているルールだからダメってことですもんね。だから限りなく似ているものを作ってくれたっていう。
飯塚 こんな騒動になるなら最初から頼んでおけばよかったんだって、きっとお抹茶も悔しかっただろうなと思う。
井口 まあ、とにかくお抹茶が悪いですよ。本人にもキツく言っときました。
──
井口 そういうことですよね。確認しておかないと。
飯塚 まあ、「R-1」側も確認してよ、とは思うけど。
井口 でも「R-1」は何があるかわかんないんだから、自分でやらないとダメなんですよ。
飯塚 井口くん、いろんな場で「R-1でやっぱり何かが起こる」って予言してたもんね。
井口 そうですよ。今回は何も起こらなかったと思っていたら、時間差で起こったので。やっぱり起こりました。
飯塚 決勝で点数の誤表示もあったよね?
井口 ありました。でもそれくらいではもう誰も驚かないので。
飯塚 予想の範疇?
井口 桜木花道のミスみたいなもんですよ。想定の範囲内。
MCとして大会を背負う霜降り明星
飯塚 寺田くんって昔から大喜利強いしめっちゃセンスあると思っているんだけど、寺田寛明という人間が“センス芸人”って世間に認められていたら、同じネタでももっとウケそうだなとも思った。例えばバカリズムさんみたいな存在になっていたら。
井口 今はどう思われてるんですかね?
飯塚 まだ人間の部分はそこまで知られてない気もする。アイドル好きだったり、メイド姿になるライブに出てたり、とらえどころのない人ではあるよね。
井口 ピンの人って暗いですからね。お抹茶が「最下位だったのに明るくていい」みたいに言われていますけど、あいつ暗いですからね!? あいつが明るいと感じるくらい、ほかのみんなが暗い。真面目で暗いから。もっと気楽にやってくれよとは思いますよ。みんな真面目で暗くて堅い!
飯塚 あはははは(笑)。
井口 勝手に論争が巻き起こっちゃうんですよね。本人は何も言っていないのに。
飯塚 そう。あと、MCの
井口 僕が思ったのは、いつまで「R-1」VS井口の構図でやるんですかね?(笑) 「R-1」のことを言ったの一昨年なんですよ。
飯塚 田津原理音さんをまたいで、まだ「夢あります!」って言われてる(笑)。
藤井隆チルドレンの登場
飯塚 YouTubeで公開されている「R-1」直後のぴんくさんの密着動画を観ていたら、「
井口 「Matthew's Best Hit TV」(テレビ朝日)の影響なんですかね?
飯塚 世代的にはそのへんなのかな。藤井さんって当時、芸人のマッチョイズムみたいなものとは違う道にいる、独自の存在だった気がする。だからよしもと的な本流の笑いがそこまで刺さらなかった人たちの受け皿になっていたのかなと思って。それ以前はダウンタウン一択だったけど、こういうお笑いだったらやりたいって思える選択肢として藤井さんが存在していて、20年くらい経った今、じわじわ藤井隆チルドレンが出てきてるんだなと。
井口 今後もっと出てきそうですよね。ダウンタウン以外の、いろんな人に憧れているチルドレンが。
サツマカワRPG♥でか美ちゃん
井口 「R-1」生放送直後に
──「やめようよ」と言っててほしいということですか?
井口 言っててほしいです。できるだけ抗っててほしい。夫婦のLINEのやり取りとかを公開しているのもけっこう意外ではありました。
飯塚 「スナックあの」(ABEMA)に2人で出て、めちゃくちゃわかりやすくラブラブな感じを出してたよ(笑)。サツマカワがいつものキャラじゃなくて、「好き好き」って言ってる感じ。でか美ちゃんってお笑いファンでもあるから、お笑いファンからどう思われるかとか腹くくってる感じがした。ワーワー言う人も少なからずいるから。
井口 僕も(2人が)嫌なことを言われてないかチェックはしたんですよ、一応。今はないみたいですけど、今後、この感じをどこまでやるのか。
飯塚 ずっとラブラブ感を見せつけるのか。「もういいよ!」ってなるかもしれないし、それが面白くなるかもしれないし(笑)。
井口 最終的にかつみ♥さゆりさんみたいになるかもしれないですね(笑)。あと、でか美ちゃんの結婚報告に「(サツマカワRPGは)孤高の天才」って書いてあって、それは「違うよ?」と思いました。
飯塚 「暗い」?
井口 「孤高」っていうか「暗い」ね? っていう(笑)。
配信番組化する地上波深夜バラエティ
飯塚 井口くん、「バラバラ大作戦」で番組が始まったね(※)。
※編集部注:当連載では「ウエストランドと1から企画を作り上げていきたい若いディレクターはいない」という話をかねてからしていたが、4月から若手ディレクターによるチャレンジ枠「バラバラ大作戦」でとろサーモン久保田と井口がMCを務める「耳の穴かっぽじって聞け!」がスタート。
井口 初回はコンビの解散がテーマで、元ゾフィー上田航平さんの今の本音を紹介しているんですけど、収録から放送日までにもいろんなコンビの解散が発表されたのでより意味を持つ感じになっちゃいましたね。
──テーマやゲストを決める打ち合わせではお二人が意見を出していく?
井口 スタッフさんが希望を聞いてくれますし、久保田さんがいろいろ動いて、出てほしい本人に連絡してくれたりもするので、ありがたいですね。ついていくだけというか。僕はそこで言いたいことがあれば言うっていうスタンスなので(笑)。
──記者会見のときに「視聴率より配信をいかに回すか」ということをテレビ局サイドが強く訴えていたのが印象的だったのと、番組でしゃべったことがネットニュースになる前提で話していて、こたつ記事を歓迎しているムードにも考えさせられてしまいました。
飯塚 最近は「バラバラ大作戦」の投票制についてもいろんな声が出てきていますよね。テレビ局側がオファーして演者に出てもらっているわけだから、「番組を続けさせてください」みたいな選挙アピールを演者にさせるのに僕は少し違和感があって。選挙結果や配信の再生回数が理由で仮に番組が終わっちゃったときに「自分たちのせいなのかな?」って負い目を感じてしまう視聴者も少なからずいそうだし。
井口 面白くて、みんなが観て、人気を得て続くっていうシンプルな本質を見失って、「ただ配信回せばいいんだ」みたいなことになるとわけわかんないですからね。
飯塚 だから、「面白かったら観てもらえるはずだ」という気持ちでやっていればいいけど、「続けるために回してください」というふうになりすぎるとどうなのかなって。
井口 悲しくなりましたもん。地上波テレビでレギュラー番組が始まって喜んでたんですけど、配信番組みたいにも思えてきて。
──会見でも言っていましたね。
井口 僕らはテレビが好きでこの世界に入ってきてますし、配信、配信ってあんまり言われると、「配信番組なのか……」ってなる(笑)。まあ、それを僕も久保田さんも会見とか番組の中で言っちゃうから全然いいですけどね。言えないとストレスになりそうですけど。あと、僕が「TVerで観てください」って言っているのは、応援したいけどどうしていいかわからない人へのガイダンスなんですよ。テレビの録画を何回も観るよりは、TVerで観るほうがいいよっていう。
飯塚 番組が面白くて応援したいからTVerで観るのはいいことだと思う。ただ、自分たちの応援が足りなかったとかはまったく思う必要がないと思う。それは番組側の問題なんだから。
井口 面白ければ観られる、というだけですからね。応援してくれている人以上の人数が観てくれるくらい面白くないと、意味ない。
「終王ノブ」
──ちなみに「バラバラ大作戦」の1つだった「
飯塚 「終王ノブ」(※)観ましたよ。ランジャタイはああいうのが得意ですよね。先輩をイジるのが好き。
※編集部注:「ランジャタイのがんばれ地上波!」の最終回には千鳥ノブ扮する、終わりゆく番組の匂いが大好きな“終王ノブ”が登場。ランジャタイは登場しないまま終了した。
井口 「お笑いの日」(TBS)でコラボしたダイアン津田さんとか。
飯塚 ウンナンさんとか巨人師匠とか、先輩をクレイジーに茶化すっていうもともと得意だったことで、思っきりフルスイングしたらああなるんだなっていうのが見えて面白かった。ランジャタイの番組って不思議で、2人が回しに徹して全然しゃべらない回もけっこう多いんですよね。地下の仲間をテレビに出そうとがんばってたのはすごく感じた。
井口 優しいと言えば優しいですけど、僕にはそういう気持ち1ミリもないんですよね(笑)。「お前がまず誰なんだ」って自分がやってたとしても思っちゃうだろうし。たまにいるじゃないですか、テレビに出始めて、すぐ仲間を呼ぶ人。あれはなんなんですかね?
飯塚 ちょっと前のテレビだったら、ランジャタイがライブの仲間を呼ぶなんてめちゃくちゃ内輪なことを地上波の電波使ってやるなよ、っていう考え方もあったけど、今って、それこそほぼ配信番組に近いから、内輪をやってもいい空気も出てきてる。広くたくさんの人に観てもらうことを目指したい、でもそれができないんだったらコアなファンにめっちゃ刺さるものを作る。テレビの制作者はそのどちらに行けばいいか迷いながらやっているんじゃないかなと。
──確かに、MCが近しい仲間をゲストに呼ぶ番組は増えている気がします。
井口 同じ高みでたまたま一緒になるのはいいんですけど、「紹介したい」っていうのがよくわかんないんですよね。自分にはない気持ちなので。
飯塚 それを視聴者が楽しんでいる面もあるよね。「これ地上波か!?」みたいな。
井口 ああー。「大丈夫か?」系(※)ですね。でも、それをどれだけの人が観るのかっていうのはありますからね。
※編集部注:2022年10月に虹の黄昏が「ラヴィット!」(TBS)に出演した際、「虹の黄昏が朝の情報番組!? 大丈夫か?」と心配しつつ期待するお笑いファンを井口は「大丈夫か?」系と呼んでいた。
飯塚 「有田ジェネレーション」(TBS)とかはまた違うよね。メンバーは中野twlの人たちでも、MCの有田さんがいることによって一般化してくれるから。
井口 「ランジャタイのがんばれ地上波!」はイベントもやって、盛り上がってる感じはしましたけど、それでも終わるんですね。
飯塚 イベント化できたくらいでは足りないんだろうね。
井口 そう思うと、だいぶでかいムーブメントにしていかないと続かないってことですよね。ランジャタイ、真空ジェシカ、Aマッソ、ダウ90000とか、お笑いファンにとっては人気者じゃないですか。でもその人気だけではどうにもならない。一般的に関心の高い話題にならないと。でもまあ、僕は久保田さんとやってるから安心感はありますね。内容も話しながら決められるし、久保田さん自身が軸がある人なので。
令和ロマンの評価は一旦保留で
飯塚 「
井口 世間にはどう捉えられてるんですかね?
飯塚 見出しが「もうテレビに出ない」みたいになっていたから、「テレビに出ないんだ」ってたぶん思われていて、「ラヴィット!」木曜レギュラー就任が発表されたときに「どっちだよ!」と言ってる人はちらほらいた。
井口 あとYouTuberとのコラボで「がっかり」みたいな声も挙がっていましたよね。令和ロマンが優勝して以降、僕がずっと「なんだあいつら!」って言い続けていたときは「いや、これが新しいスタイルです」とか擁護していたくせに、自分が気に入らないことがあると「違う」とか言って、なんなんだよ、お前ら! もしかしたら、令和ロマン自身がいろんな活動をすることでそういうのをふるいにかけてるのかもしれないですけど。
飯塚 どうなるか気になるよね。いわゆる「テレビを1周」とかじゃなく、YouTuberとコラボしたり、雑誌に優先して出ていくとどうなるのか。本人もそういう作戦で活動してみたらどうなるんだろう?って思いながらやっているのかもしれないし。レギュラー番組ってカロリー高いわりに毎週毎週は話題にならないけど、雑誌の表紙とか、星野源さんの代打ラジオとか、ニュースになるようなことを積極的に狙いにいってるのが今っぽい感じもする。「ラヴィット!」もレギュラーとはいえ話題になりやすい番組だから、そういうのもあって決めたのかな、とか勝手に想像してる。それに、「テレビ出ないんだって?」とかMCに振られても「あれは違うんですよ」とか言い訳しないところが肝が座ってるなって思う。
井口 令和ロマンが世間にどう捉えられているかわからないですよね。
飯塚 みんな時代を読み間違えたくないから、評価保留にしている感じはある。
井口 それが腹立つんだよなあ。僕が優勝したときは、本当に隙間なく働いても「ウエストランド見ねえな」とか言う奴がいて。でも令和ロマンは何のテレビにも出てないのに「見ねえな」って声がないんですよ。
飯塚 「テレビ出てない」がカリスマっぽいからね(笑)。「テレビ全然出てないじゃん」って令和ロマンに言うのは間違ってるかもしれないから、みんな安易には言えない。
井口 その様子見してる情けなさ! バカ。本当にバカ! 自分から動き出さない、どうしようもない奴らですよ(プンスカしている様子で)。
飯塚 視聴者も冷静に分析しようとしているよね。テレビに出てほしいって思うのは自由なのに。
井口 自信がないんですよ、自分の感覚に。自分の気持ちが本当にないなって感じがします。みんなが絶賛している映画とか音楽とか、本当かな?っていう。僕は全員が好きなものに恐怖を感じちゃうので、自分の気持ちを言えばいいじゃんって思いますけどね。
飯塚 SNS以前は自分が楽しいかどうかしか基準がなかったけど、今は感想どころか「何を見たか」すら見られているからね。みんなが評価しているものに対して「わからなかった」って言えない空気があるし、みんなが異論を唱えてたら、「これは異論を唱えていいんだ」ってなる。
井口 その怖さを感じますね。……令和ロマンのせいで!(笑)
飯塚 でも、井口くんみたいな人が「テレビに出てないじゃないか!」と言ってくれるのって本人たち的にはありがたいんじゃないかと思うけどね。触れづらい話にはならないでほしいし。
井口 令和ロマンに関してはけっこう序盤からいろいろ言ってますからね。「あいつらテレビ断ってるんで、僕らが出ます」とか(笑)。最初はスタッフさんに言っても「ははは……」みたいな感じで目をそらされましたけど、言い続けてたらありになってきました。
飯塚 「よるのブランチ」(TBS)でも令和ロマンについてめっちゃ言ってたね。全然関係ないのに(笑)。
井口 全番組で一応言ってみてるんですよ(笑)。この前、令和ロマンと収録で一緒になって、あいつらもそういうのやりたそうではありましたよ。バチバチではないけど、楽しくできたらなっていう感じはあったので、みんなが腫れ物みたいにしないで「おい、テレビ出ろよ!」とかでいい気はしますけどね。
──ちなみに令和ロマンは今までも「ラヴィット!」に頻繁に出演してましたし、レギュラーといっても隔週出演です。
井口 隔週レギュラーになると出る回数減るっていうパターンがありますからね(笑)。モグライダーとか、隔週レギュラーになってから減ってないか?って思いますもん。
飯塚 もはや誰がレギュラーかわからないよね。ウエストランドも隔週くらいで出てない?
井口 出てます。だからもう、レギュラーってなんなんだっていう(笑)。
「背低い芸人」は付け焼き刃じゃない、人生の話
飯塚 前回、井口くんが「テレ朝にずっといる」って言ってたけど、本当にめちゃくちゃ出てるね。
井口 一時期、住み着くぐらいテレ朝にいましたから(笑)。「アメトーーク」もプレゼン大会に続いて2週出てますし。
飯塚 うちの奥さんが、普段そこまで芸人バラエティを観ていないんだけど、「M-1」で観て以来、久々にちゃんと井口くんをプレゼン大会で観たらしくて、「井口さんっていう人はいつの間にこんなにみんなから受け入れられるようになったの?」って驚いてた。番組の軸みたいになってたから、「今こんなことになってるの?」って(笑)。
井口 あはははは(笑)。そう思ってもらえたら1年間がんばってきたかいがありますね。出続けることで「このくらい言っていいんだ」とかもわかってきますし。プレゼン大会はたまたまデカい人が集まるっていうラッキーな奇跡があってよかったですよ。
──「背低い芸人」のプレゼン中に、アンガールズ田中さん、カズレーザーさんなど180cm超えの芸人さんに囲まれる構図がインパクト大でした。
飯塚 井口くんのプレゼンの仕上がり方がすごかったね。今まで「ぶちラジ」とかで話してきた集大成。
井口 付け焼き刃的に考えたやつじゃないですからね。「背低い芸人」なんて、人生を話してるだけですから。
もっと自分の思うことを貫けよみんな!
井口 話が戻っちゃうかもしれないんですけど、「深夜のハチミツ」(フジテレビ)でも視聴者投票していたじゃないですか。
──視聴者投票で4月からのレギュラー出演者8組を決定しました。
井口 僕もこういうのに参加したことがあるから思うんですけど、決める責任は番組側に持ってほしいなと思っちゃいましたね。「ロケットライブ」(フジテレビ)(※)のこととか思い出して。落ちたときは「なんで選ばれないんだよ!」ともちろん思いましたけど、それが糧になったし、選ばれたら「テレビ局の人がおもしろで認めてくれた」って自信にもなる。
※編集部注:2012年10月から放送された深夜バラエティで、さまざまな若手芸人が週替りで出演。その中から選抜された6組で「明日のナイナイを目指す番組」として「バチバチエレキテる」がスタートした。選抜されたメンバーはうしろシティ、ラブレターズ、ニューヨークら。ウエストランドは選ばれなかった。
井口 まあ、世間を巻き込む意味では投票もいいのかもしれないですけど。番組がもし不評で終わったとして、「視聴者投票で選んだメンバーだったので」と言うのはずるい気もするんです。
飯塚 こうなると、全部投票でいいじゃんってなってくるよね。「新番組でMCしてほしい人、リクエスト募集!」とか。確かに投票を呼びかけるという名目で番組に関するSNS投稿をたくさんしてほしいっていう狙いもあるのかもしれないけど。
井口 芸人ががんばるのはもちろん、番組側にも人気者にあやかるだけじゃなくて「自分たちが選んだメンバーでがんばってやっていくぞ」と思ってもらいたいですし。それがお互いにとっていいと思うんですよね。
飯塚 自信がなくなってるんだろうね、テレビが。「これは芽がある」って制作者が思えば残していいと僕は思うけど、それすら放棄したら「テレビ局ってなんなんだ」ということになってくる。
井口 (制作者の)感覚で勝負してほしいというか、自分を信じてほしい。ある意味、もっと偉そうでいいというか。番組側は「これが面白いんだ!」という気持ちでいてほしいですけどね。
飯塚 自信がない時代なのかもしれないね。作り手も、受け手側も。
井口 もっと自分の思うことを貫けよみんな! 結局、芸人も軸があるかどうかなんですよ。こっちの番組ではこれ言う、あっちではこれ言うってやってるとわけわかんなくなっちゃうから。僕なんか、どの番組出ても同じことを言ってるだけなので、言い方悪いですけど“手ぶら”で行けるから、しんどくならないっていうところはあります。
飯塚 井口くんもそうだし、永野さん、Aマッソ加納さんとか、ヒコロヒーさん、もっと言えばバカリズムさんやカズレーザーさん。他者評価によって自分の感覚がブレない人が求められてる感じがあるね。それで言うと、令和ロマンも。
井口 世間の人もみんな不安だから、方向を示してくれる人についていきたくなるのかもしれないですね。要は、制作者の独断で選んだってこっちは怒らないのになっていう話でした。
飯塚 もともとは投票制じゃなかったから、いろんな事情があるんだろうなとは思うけどね。現場の制作者の意図とは違うのかもしれない。
井口 それはそうですね。続けていくために、何かテコ入れをせざるを得なかったとかもありますし。
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