今月のお笑い 21本目 [バックナンバー]
ウエストランド井口と作家飯塚が語る「2024年1月のお笑い」
ついに「焚き火」、お抹茶がキテる、NEXTフジモン、ヤーレンズのラジオの笑い
2024年2月2日 21:45 54
構成
※取材は1月26日に実施。
井口ついに「焚き火」出演
──今年も「今月のお笑い」よろしくお願いします。年末に開催した「ライブ!!今月のお笑い」はどうでしたか?
井口 とにかく打ち上げができたのがよかったですね。ああいうことを今後もやっていきたいです。仕事として仲間と集まって、そのあと飲むっていう。
飯塚 打ち上げ初めてだったよね。ウエストランドの「M-1」優勝以降、ようやく一緒に飯に行けたよ。
井口 前回のイベントのときは「M-1」優勝直後で僕がボロボロの状態でしたしね。今回はラブレターズに加えてヨネダ2000もいたのがいつもの会とは違う感じにもなって楽しかったです。記事の反応はどうだったんですか?
──いつも以上によく読まれましたし、コメントもたくさんいただきました。ちなみに井口さんはイベントのあと「もうお笑いの話はしない!」と言っていましたね。
井口 僕がお笑いの話をしても誰も聞いていないというか、けっこういい話もしているのに結局コアラのこと(※)しか印象に残ってないんだなと思って。コアラはおまけなんだから。
※編集部注:「ライブ!!今月のお笑い」では、「チャンスの時間」に登場したコアラの動画の話題でラブレターズと再び大盛り上がり。井口は泣くほど笑っていた。
──そんなことはないですよ。井口さんの分析にうなる声も寄せられていました。
飯塚 「焚き火」(※)もちゃんと話題になっていたし。ずっとこの連載で言っていたからね。「焚き火に出たい」って。
編集部注:テレビ朝日のYouTube「動画、はじめてみました」の企画「焚き火で語る。」のこと。井口は「ネタに定評がないから全然呼ばれない」と常々嘆いていたが、ついに出演を果たした。対談相手は昨年ツーマンライブ「猛毒の宴」で共演したとろサーモン久保田。
井口 久保田さんとだったのでよかったです。相手が後輩だと、僕がバーっと言う感じになっちゃったと思うので。「M-1」の直後の公開だったから反響も大きかったですね。
飯塚 YouTubeの「急上昇」にも入ってた。すべてのことに共通するけど、やっぱり世の中の人はギャップが好きだよね。「あの井口と久保田がこんなに真面目に語ってる!」みたいな。
井口 何度も言ってますけど、それなりに芸歴重ねてきた芸人、全員考えてるから! 焚き火の前で言うかどうかだけで。
飯塚 芸人って普段はふざけてるから、お笑いに熱いところを見せたり、エモい話をしたりすると食いつかれる。井口くんの太田さんとのエピソードもかなり反響があったと思うけど。
井口 打ち合わせしたわけじゃないですけど、久保田さんが
飯塚 あれはちょっとやられたよね。「来年も出ます」ってオンエアで言っちゃえばいいんだっていう。あとから言うと「え、出るの?」となりそうだけど。
井口 あの瞬間、クッとなりましたよ。「おおー! さすが令和ロマン!」みたいな空気にもなっていたので、「ふざけんなよ、ぶっ潰してやるよ!」という気持ちにはなっちゃいました。
──井口さんは今年の「R-1グランプリ」にも挑戦中ですし、賞レースでしか味わえないヒリヒリ感をいまだに求めていますね。
飯塚 井口くんが「最下位奮闘劇」って言っていたけど、「焚き火」のあとちょうどやってたね、「ロンドンハーツ」(テレビ朝日)の格付けで。
井口 そうなんですよ。図らずも直後の放送だったので恥ずかしかったです(笑)。
──「魅力に欠ける男」というテーマの格付けでした。
飯塚 思ったんだけど、僕の近しい人ってみんな下位グループで……。井口くんしかり、去年単独ライブを手伝ったみなみかわさんしかり、三四郎・小宮くんもワースト4位で。1位になるようなキラキラした人と関わってきてない。
井口 だから、飯塚さん自身もそうなんじゃないですか?
飯塚 そう思った(笑)。
井口 やっぱり、“出“ですよね。僕らは地下の出なので。出は変えられないなって思います。コットン西村に「薄っぺらだな!」とかいくら言っても、出がいいから簡単にはイメージは覆らないんですよ。
飯塚 最近よしもとの最下位担当っていないよね。「ギャンブルします」とか言ってクズをアピールしても、今のお笑いファンにとってはマイナスにならない。むしろ「カッコいい」になる。そんな中、井口くんは特に何もアピールせずに、プレーンな姿で最下位争いしてるっていう(笑)。
井口 よしもとの芸人は堂々と生きてるからいいんでしょうね。地下でやっていた“あの頃”のことがあるから、僕らがいくらお金をたくさんもらうようになってもなんかくすんでるんですよ(笑)。
飯塚 よしもとの若手で久保田さん、ナダルさんに続くような最下位担当が出てきて、井口くんを脅かしてほしいね。
井口 マユリカとか、「キモい」とは言われているけど人気はとんでもないもんなあ。だからこそヨシモト∞ホールのライブに出て発掘していかないと……。あ、出られないか(笑)。
飯塚 あははは(笑)。よしもとの劇場にまつわる騒動が。噂だけが飛び交ってるけど。
井口 「#吉本鎖国」がトレンドに入っちゃってましたね。
飯塚 定期的にあるよね、ガラッと方針が変わることが。
井口 じわーっと変わればいいんですけど。急にコロッと変わるからみんなドキッとしちゃうという。まあ確かに、よしもと以外の若手が出まくってはいましたけどね。今までが。今後どうなるんでしょうね。
飯塚 今までは「上が決めたら従うしかない」って雰囲気があったけど、現場の声がちゃんと届いてたらいいなって思う。
お抹茶に笑っちゃう
──井口さんの「R-1」準々決勝進出が先日発表されました。
井口 いやー、出るんじゃなかったです。エンジョイ勢として出ていたときは楽しかったんですけど、気楽に出られる感じじゃなくなっちゃったので。プレッシャーとか不安とか緊張感もあるし、僕が思っていた「R-1」のよさはなくなりましたね(笑)。
飯塚 「M-1」チャンピオンが出てきたらお客さんも身構えるだろうしね。
井口 今回、エントリー数が過去最多なんですよ。かつての「R-1」を支えたメンバーからテレビの人気者まで、群雄割拠の大会になっていて。
飯塚 芸歴制限が撤廃されたことで今まで出ていなかった人もみんな出てる。アルティメット感がすごい。
井口 それがゾクゾクします。見てるだけにすればよかったなあ……。
飯塚 決勝に行きそうなメンバーを挙げていったらすぐファイナリスト9枠埋まるよね。
井口 トンツカタンお抹茶が最近すごいって聞きましたよ。
飯塚 え、お抹茶きてる?
井口 お抹茶が最近トンツカタンのネタも書いてるらしいんです。まさかの、史上初途中でブレーンが変わるっていう(笑)。そんなの聞いたことなくないですか?
飯塚 それ面白いね(笑)。お抹茶、去年準決勝まで行ってたけど面白かった。
井口 それを超すくらいのネタがあるみたいです。2回戦が僕と同じ日だったんですけど、その日はお抹茶がイチウケだったって聞きました。お抹茶だったんかい! トンツカタンのブレーン(笑)。森本くんが忙しくなって、書いてみたらめちゃくちゃ開花したっていうことなんですかね。
飯塚 お抹茶、笑っちゃうんだよなあ。「お抹茶ってなんだよ」(※)ってまだ思うし。
井口 まだ名前で笑えるっていう(笑)。
※編集部注:2020年8月に本名の菅原から「お抹茶」へ改名した。「お抹茶にハマっちゃえ~!」がお決まりの挨拶。
仲間だらけの「爆笑ヒットパレード」
──年末年始の特番で印象に残っているものはありますか?
井口 「爆笑ヒットパレード」(フジテレビ)はオープニングからひな壇に座らせてもらって、時間帯によっては三四郎がいて、ニューヨークがいて、マシンガンズがいて……っていうのはちょっと感慨深かったですね。出てくる芸人もみんな知ってる奴らだし。ちょっとずつ僕ら世代が中心になってきているのかなっていううれしさはありました。
──漫才中にひな壇から飛んでくるガヤに言い返していましたね。
井口 ずっとひな壇にいて、それから漫才だからもう変な感じにはなってるんですよ(笑)。何か言ってることはわかるけど、言っている内容までは聞こえなくて、「うるせえ!」って返すしかなかったです。小宮さんがどうせ「河本言い返せ!」とか言っていたと思いますけど。
飯塚 ウエストランドのネタはそういうのをやっていいっていうのが魅力だったりするよね。ギリギリ、ガヤを入れてもいい漫才。
井口 こういうメンバーだったからガヤが飛んできたとも思います。仲間だし、「ヒットパレード」ってお祭りだし。
──年末の「クイズ☆正解は一年後」(TBS)はどうでした? ウエストランドも登場する番組発のNintendo Switchソフト「クイズ☆正解は一年後 presents あつしの名探偵」もリリースされましたが。
井口 自分がゲームになったのはうれしいです。この年に出ていなければなれなかったわけですから。
井口 賞レースの優勝予想で、「キングオブコント」王者を
飯塚 今まで蓄積してきたライブでの余談が電波に乗るようになった。
井口 「M-1」以降に僕らを知ってくれた人が多いので、「この人と関わりあるんだ」って驚かれることがけっこうあります。10年以上ライブで一緒にやってきたことがここへ来て日の目を見てます。なんだかんだ、続けてる奴はみんな世に出てきましたからね。
飯塚 浜村(凡平太)さんは……。
井口 浜村さんは「R-1」落ちちゃいましたね。大丈夫かな……。
フジモンを継ぐ者
飯塚 井口くんがゲスト出演した「イワクラと吉住の番組」(テレビ朝日)を観て思ったんだけど。
井口 なんですか?
飯塚 街頭インタビューから出題するクイズに答える企画なのに、井口くん全然クイズをやらなかったよね。クイズに答えるふりして、ともしげさんのエピソードを話したり、関係ないことばっかり言っていて。その感じが、フジモンさん不在の今、NEXTガヤ王になれるんじゃないかと思って。あれをやれる人ってあんまりいない気がするから、そういう生き方もあるんじゃない?
井口 知ってるメンバーだからできたっていうのもありますね。イワクラと吉住と、Aマッソ加納さん、パンサー向井さん。甘えていいみたいな空気だったので(笑)。全然知らないところに放り込まれたらさすがにできないと思います。ただ「イワクラ吉住」に関しては、あの回の放送前にもう次の回に呼ばれました(笑)。
──もうおかわりが。
飯塚 クイズと井口くんの相性がいい。あるなしクイズの漫才もそうだけど。
井口 「クイズに答えているだけですよ」ってことにしてなんでも言えるシステムですからね(笑)。「イワクラ吉住」は、前から吉住に「出してよ」って言ってたんですよ。ゆったりしゃべる番組のイメージで言ってたんですけど、いざ行ったらテーブルにピンポンが置いてあって、思っていたのとは全然違う出方ではありました。
しゃべり続ける能力が生きた「ドキュメンタル」
飯塚 「ドキュメンタル」の話はもうしていいですか?
──配信開始から1カ月以上経ちましたのでぜひお願いします!
井口 しんどかったですね。去年は「M-1」直後もめっちゃ忙しくて大変でしたけど、「ドキュメンタル」が決まってからが一番しんどかったかもしれないです。同じくらいの時期に単独もあったし。自分としてはカウンターで行くのが武器というか、準備してやるのは得意じゃないなと思いつつ、やっぱり準備はしないといけないから1カ月くらいずーっと頭の片隅に「ドキュメンタル」があって。スタッフさんが「もっと準備しなくていいんですか? ランジャタイなんかやばいですよ」みたいなことを言ってくるし……。いざ現場に行ってみると、フットボールアワーさん以外はみんな初参戦だから、どこでどうボケを出していいかわからないんですよ。僕らは漫才をやろうかと思って一応漫才衣装も用意していたんですけど、フットさんが急にトークで漫才やりだしたから、「これはできないわ」って引っ込めるとか。そういう駆け引きもありました。笑わないのが前提なので、手応えもまったくなくて。終わったあとも「これ大丈夫なのかな?」という気持ちで帰ったんですけど、配信されて、好意的な意見が多かったのは安心しましたね。「井口、進行しててよかった」とか。
飯塚 「ドキュメンタル」にはそれが必要だよね。現場を回す人が。
井口 でも「回してやろう」とかは1ミリも考えてませんでした。もう必死で。そんな感想が来るとは思ってなかったからめちゃくちゃうれしかったです。確かに見返したら、積極的に話しかけてはいるんですよね。何か言わないと始まらないと思って必死にやってたことが、「ちゃんと仕事している」みたいな評価につながったのは意外でした。
飯塚 それもさっきのフジモンさんの話に通ずるけど、いてくれると現場が面白くなる人っているよね。悲しいかなその人自身が「面白い」という評価にはならないこともあるけど、気づく人は気づくし、スタッフは「この人がいると違うな」って絶対思う。井口くんがそういう存在になってきているのかもしれない。
井口 「ドキュメンタル」が一番苦手なジャンルだと思っていましたけど、「しゃべり続ける体力だけはある」っていう唯一の武器を生かせたのかなと思いますね。「さんまのお笑い向上委員会」(フジテレビ)でも、「井口どうや?」とかハイハイって自分で手を挙げて発言する機会ってほぼないんですよ。でも放送では僕がずっとごちゃごちゃ言っているところをちゃんと拾って使ってくれているんですよね。ピンスポを浴びてしゃべることが注目されがちですけど、ピンスポの外でもがんばっていてよかったというか、「これでいいんだ」って思えるというか。
飯塚 最近の芸人さんって、自分のターンが回ってきたときにちゃんと結果を出すタイプの人のほうが多いだろうね。井口くんみたいに、外からかき回す人はあんまりいない。
ひょうろく、まだ謎のままでいて
飯塚 「ドキュメンタル」は
井口 ひょうろくの時間が一番耐えるの大変でした。国崎さんが笑いそうだったから、これを利用して落としてやろうと思ってがんばって話しかけたんですけど、話しかければかけるほど自分が笑いそうになって。
飯塚 めっちゃ面白かったから、「これはひょうろくに仕事来るぞ」と一瞬思ったけど、すぐ「いやそんなことないか」と思った。あれから派生させられることはそんなにない(笑)。
井口 刺客としてチョイスされているのがすごいですよね。知名度とかポジションとか、謎の感じがちょうど面白い。
飯塚 出方も面白かった。なんにも気負ってないし、自信はなさげだし。誰に感想を伝えればいいかわかんないから、とりあえず(さらば青春の光のマネージャーの)ヤマネさんにLINEした。
井口 一応、主にさらばのYouTubeに出ているわけですからね。
飯塚 そういう謎の人ってすぐ周りが紐解いちゃうじゃん。インタビューとかして。ラブリースマイリーベイビーのときもそうだったけど、まだ知りたくないんだよ。もうちょっと謎のままでいてほしい。ひょうろくの過去とか知らないまま、もうちょっと楽しみたい。
井口 出ないでほしいですね。
飯塚 まだあんまり掘り下げないでほしい。夢を壊されたくない。ミッキーみたいな存在だから(笑)。本人はきっと出たいだろうから「あんま出ないで」っていうのも勝手な話なんだけど。
永野2度目のブレイク
飯塚 年末に放送された令和ロマンの特番「令和ロマンの娯楽がたり」(テレビ朝日)で、「5年後、天下を獲るのは誰なのか」というテーマのときにAマッソ加納さんが「ある意味、永野さんが今天下を獲ってるんじゃないか」って言ってみんなで永野さんを褒める時間があったんだけど。
井口 実際今、めっちゃ永野さんいろんな番組に呼ばれてますよね。鬼越トマホークとか東野さんのYouTubeに出たのも話題になっていますし。
飯塚 坂上忍さんや有吉弘行さんみたいに、人気者が一度沈んで再び世に出るきっかけの1つとして“毒舌”があると思っていて。東野さんもラジオで「おしゃべりクソ野郎」以降の有吉さんが再ブレイク流れと、昨今の「永野現象」をリンクさせて話してた。一度売れてから、一定期間を置いて“本当のことをスバスバ言う人”として再ブレイクすることがあるから、永野さんももしかしたら真ん中の人になる可能性もなくはないんじゃないかなと思う。
井口 この勢いで永野さんMCの番組が始まっても全然おかしくないですよね。
飯塚 永野さんの魅力って、守るものがない “持たざる者の強さ”って部分もあると思うんだけど、仮にもっと人気が出てMCの番組が始まったりすると「変わったな」とか「昔はキレキレだったのに」と言い出す人が絶対いると思うんだよ。それ、「もういいよ」って思っちゃう。
井口 それの繰り返しですよね。
飯塚 その人の本質を好きになって応援していればそうはならないと思う。「今これを面白いと言っておけばわかってる感じでしょ」みたいな、SNSの空気の読み合いみたいなところは少なからずあって。「今それを言うのは遅れてる」とか関係なく、好きなものは堂々と応援すればいいし、興味がなくなったら静かに去ればいいと思う。そういう風潮だからこそ、誰も「ウエストランド好き」って言わないんだろうし(笑)。もちろん好きな人はいると思うけど、公言しちゃうと周りから「え、ウエストランド好きなの!?」ってなるから。
井口 本当ですよ。変わり者だと思われたいなら「ウエストランド好き」って言ったほうがいいぞ!? 僕は「あいつは変わった」とか言わせないように、かわいく思われたい、テレビに出たい、人気者になりたいって常々言ってますからね。
飯塚 今は「M-1」優勝直後すぎてあえて言わない、とかもあるよね。2年後くらいに「ウエストランド好き」=「わかってる」になる時代も来ると思う。その探り合いをする感じ、どうせ一生続くんだろうけど、一石は投じたい。
紅しょうがと令和ロマンとヤーレンズのANN
井口 年始にあった「
飯塚 そうそう。めっちゃ面白かった。最近はセンス系の芸風のほうが好まれる傾向にある気がするけど、紅しょうがって人間として2人ともめちゃくちゃ面白い。熊元プロレスさんがミスするのとか、焦ってとっさに出てくる言葉が面白くて、霜降り明星せいやさんみたいな感じがあった。天然であり、天才というか。あと、稲田さんは熊プロさんの話にめっちゃ笑うんだよね。それがラジオ向きでいいなと思った。即興力が高いからリアルタイムで来るメールへの返しもうまくて。年末年始は特番でいろんな人の「オールナイトニッポン」があるけど、ウエストランドは去年の特番以降ないの?
井口 まったくないですね。おかしいなー。反響はあったはずなんですけどね?
──「令和ロマンのオールナイトニッポン」「
飯塚 新しいラジオの形なのかもしれないですね。ラジオって、エピソードを披露したり「自分はこういう人間なんですよ」っていうのを話したりして面白がってもらうものだったけど、漫才に近いテンポでいっぱいボケていくのがそのままラジオにもなるんだっていうのは今っぽいのかもしれない。
井口 特番だからこそできたことなんでしょうけどね。
飯塚 令和ロマンは配信ラジオをたくさんやっているんだけど、全部ムードが違って、使い分けてるんだと思う。Artistspokenは有料だから「そんなことまでしゃべるの?」っていうことまでしゃべってる。「M-1」優勝した今聴くとめちゃくちゃ面白いと思う。どういう人が落ちてどういう人が受かるとか、優勝するための方法を相当細かく話しているから。
井口 分析好きの人にはもってこいじゃないですか。
飯塚 そうそう。「ああ~!」(※)って一番なると思う(笑)。裏側を語るコンテンツが飽和状態になってきているから、そろそろどこかでひっくり返るのかなという気もしていて。芸人を掘り下げるYouTubeもめちゃくちゃ多いから。そういう意味でも、令和ロマンもヤーレンズも逆を行ったのかもしれない。あまりにも裏側を搾り取られてるから、今さら自分たちの番組で裏話をしてもっていう。裏話をするにしてもYouTubeやPodcastでしゃべってすぐ出すほうが早いから、ラジオは“音声でできる即興性のあるお笑い”みたい位置づけになっていくのかも。
※編集部注:ウエストランドが「M-1グランプリ2022」決勝1本目で披露した、お笑いファンが芸人の裏側を知ったときのリアクション「あ、あ、あぁ~! 佐久間さ~ん!」。裏側を話したり分析したりしてお笑いファンを感嘆させることをこの連載では「あぁ~系」と言う。
目指せテレビ・ラジオで大活躍
飯塚 「オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム」が(取材日から)3週間後なんです。
井口 ついに迫ってきましたね。
飯塚 ラジオのイベントなので、聴いてない人には伝わりにくいかもしれないけど、「お笑い芸人が東京ドームで単独ライブをやる」って考えてもらえばもう少し伝わるのかな。世の中には「ファンを集めて悦に浸ってるだけ」みたいな言い方をする方もごく一部いるんだけど、ラジオの力でこういうムーブメントを起こせるって証明できれば、オードリー以外のラジオにもめちゃくちゃプラスになるはずだと思う。今は当たり前に楽しめてるいろんなラジオ番組も、この先もずっと続くかというと全然そんなことはないので。大げさに言ったら、深夜ラジオという文化が今後も存在できるかどうかも担ってる部分もあると思う。
井口 松本(人志)さんのこともあったからか、幕末みたいな感じになってきていますよね。何が残って、何が滅ぶか全然わからない。けっこう動乱の世に突入している感じはします。
飯塚 そうだね。今までは「テレビに出て、冠番組を持つこと」しか、お笑いの成功者と認められてなかった気がするけど、コントライブだけで全国回れる人が出たり、YouTubeメインで活躍する人も現れたりして、そういう生き方も認められるようになってきた。だからこそラジオでこの5万人規模のイベントをやるってすごく歴史的なことだと思う。ちょっとでも興味の湧いた方は、ライブビューイングや配信でも観られるので、ぜひ観てみてほしいなって思います。
井口 今後、テレビがなくなって全部が有料コンテンツになっちゃうかもしれないけど、それでもがんばってやっていきましょう!
──何をですか?
井口 テレビ、ラジオで大活躍を目指してやりましょう!ってことですよ!
──大活躍してください! この連載は春には3年目に突入しますし、「今月のお笑い」ネタライブというのもやれたらいいなと考えています。
井口 僕も最近は全然見られていないので、飯塚さんとナタリーチョイスの若手のネタとか見てみたいですよ。
飯塚 呼びたい人たくさんる。若手芸人さんと知り合う機会があまりないから普通に会いたいのと、2年後くらいに賞レースの決勝に出そうな人と早めに接触したいっていう(笑)。
井口 いいじゃないですか。僕もすり寄っておきたいんで。
飯塚 令和ロマンもすり寄り成功してるもんね。
井口 すり寄りすぎて、「アナザーアナザー」(YouTubeで公開されている「M-1」密着動画)に僕の声ばかり入ってますよ(笑)。不快極まりないくらい楽屋にズカズカ入っていったんで。
──お二人MCで、ネタとちょっとしたトークを展開する内容にできたらと思いますので読者のみなさんチェックしておいてください!
プロフィール
井口浩之(イグチヒロユキ)
1983年5月6日生まれ、岡山県出身。2008年、河本太(コウモトフトシ)とウエストランドを結成。2013年4月に「笑っていいとも!」(フジテレビ)のレギュラーに抜擢され、最終回まで不定期で出演した。2012年から2014年に「THE MANZAI」認定漫才師。「M-1グランプリ」では2020年に初の決勝進出を果たし、2022年に優勝! ラジオ形式の番組「ウエストランドのぶちラジ!」をYouTubeなどで配信中。タイタン所属。
飯塚大悟(イイヅカダイゴ)
1982年4月13日生まれ、新潟県出身。テレビ、ラジオの構成作家。現在の担当番組は「ヒルナンデス!」(日本テレビ)、「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」(テレビ朝日)、「水曜日のダウンタウン」(TBS)、「ヤギと大悟」(テレビ東京)、「オドオド×ハラハラ」(フジテレビ)、「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)など。書籍「深解釈 オールナイトニッポン~10人の放送作家から読み解くラジオの今~」(扶桑社)。
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