金魚番長

今、知っておきたい超若手芸人 Vol.1 [バックナンバー]

「UNDER5 AWARD」初代王者・金魚番長(後編)

「UNDER5 AWARD」で出会った強敵たち

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ネタ以外のパーソナルな部分を知る機会の少ない芸歴5年目以下の“超若手芸人”に注目するインタビュー企画。1組目はNSC東京校24期生の首席であり、「UNDER5 AWARD」初代王者の金魚番長が登場。

コンビ結成の経緯やネタへのこだわりを語ってくれた前編に続き、後編では「UNDER5 AWARD」の裏側、同期のライバルたち、今後の夢などについて話を聞いた。

取材・/ 塚越嵩大

「こんな強敵がいたのか!」UNDER5 AWARDで受けたショック

──「UNDER5 AWARD 2023」の話を詳しくお聞きできればと思います。5年目以下の大会が始まると聞いたときの心境は?

古市勇介 ラストイヤーなのでいきなり最後のチャンスでしたし、初代王者という響きがカッコいいと思っていたので、本気で獲りにいこうという感じでした。

──優勝して改めて大会を総括すると?

箕輪智征 「キツかった」です。正直舐めてました。こんなにキツいとは。

──キツいというのは?

古市 「こんな面白い人たちがいるんだ!?」っていうショックですね。正直、普段から一緒にやってる“自分たちの周りの面白い奴ら”が決勝に残って、そいつらと戦うと思ってたんです。でも実際のファイナリストが予想していたメンツとはまったく違っていて、「他事務所にこんな強敵がいたのか!」とビックリしました。

──1回戦から決勝までで一番キツかったのは?

箕輪 これはマジで3回戦です!

古市 ぶっちぎりです。ウケ的にかなりギリギリかなと思って、準決勝では急いでネタを変えました。

──準決勝では東京会場のトップバッターでしたけど、それも結構ハラハラしたんじゃないですか?

古市 ハラハラというより普通にムカついてました(笑)。でも、そのおかげで緊張しなかったです。会場に着いてすぐ出番だったので「やったるぞ!」という気持ちを保ったまま、ネタができました。

「UNDER5 AWARD 2023」で優勝した金魚番長。左から箕輪智征、古市勇介。

「UNDER5 AWARD 2023」で優勝した金魚番長。左から箕輪智征、古市勇介。

──決勝では圧倒的な強さを見せていました。優勝後は先輩たちがお祝いしてくれたそうですね。

箕輪 マリーマリーの増田さんに桜上水の「あぶら~亭」という、とてもおいしいラーメン屋をおごってもらったのがうれしかったです。

古市 当日にマリーマリーのお二人、軟水の大河内さん、そいそ~すのナベさんにお祝いしてもらいました。あとオズワルド畠中さんと素敵じゃないかの柏木さんにも誘っていただいたんですが、これは行けなくて……。すごく行きたかったんですけど。

──なんで行けなかったんですか?

古市 お母さんとごはん食べてて……。

箕輪 珍しっ! そこは(優先させるのは)お母さんか?

古市 一応、畠中さんに正直に言ったら「その時間は大事にしてくれ」って言われて。

箕輪 畠中さんたちはお前のお母さんのこと知ってるの?

古市 知らないでしょ。

箕輪 知らないんだ(笑)。僕は優勝直後のお母さんからLINEのメッセージが「しばらくお米買わなくていい?」でした。

同期の天才・高田柾希

──面白いと思う同期芸人は誰ですか?

箕輪 ゼロカランはずっと面白いなと思っています。お客さんウケが悪いけど、芸人は笑ってるみたいなことも結構あって。僕はツッコミのワキと一緒にネタを書いていて、すごくストイックなところも知っているので、常にライバルだなと感じています。

古市 僕は狛犬。櫛野と仲がいいんですけど、NSCのときから“関西のちゃんとしたツッコミ”という感じで完成度が高かったので、負けたくないという思いはずっとあります。

箕輪 櫛野は何か結果を残すたびに煽ってくるんですよ。

古市 煽り合いになってます(笑)。

箕輪 あとはイチゴかな。

古市 あー! イチゴはすごいです。

箕輪 唯一無二の発想が武器のコンビなんですけど、努力家でもあるんですよ。ああいうぶっ飛んだネタをやるコンビって努力しなさそうなのに、「UNDER5」の決勝では直前まで2人でネタを練っていて。見ていてヒリヒリしました。

金魚番長。左から箕輪智征、古市勇介。

金魚番長。左から箕輪智征、古市勇介。

──まだ世間にバレていない“知る人ぞ知る天才”みたいな人はいますか?

箕輪 高田柾希という奴がNSC時代からすごくて。

古市 最初見たときはビックリしました。

箕輪 学生時代、面白い奴に「○○の松本人志」みたいな異名がついたりすると思うんですけど、高田はNSCの松本人志(笑)。

古市 最初のインパクトは本当すごかったんですよ。今もすごいんですけど。

箕輪 ずっと面白いです。

──孤高のセンス系みたいな?

古市 マジでそうです! 本当に天才タイプ。めちゃくちゃすごいネタをしてるんですけど、しゃべったら、そこまで尖りを感じさせなくて、楽しい奴なんですよ。明るいし、イジったらめっちゃ返してくれるし。そういうところがいいなと思います。

──ずっとピンでやっている方なんですか?

箕輪 ずっとピンだったんですけど、昨日コンビを組んでました。

──昨日!?

箕輪 はい。タイムリーなんですけど(笑)。昨日、Twitterで「デンニキグングンというコンビを組みました」って報告してました。機会があれば、ぜひネタを見てあげてほしいです。

悪夢から3年

──お二人はこのインタビューのあと、NSC生への特別授業も行うんですよね。2020年、ミルクボーイさんがNSCで特別授業をした際、1年目のお二人がアシスタントも兼ねてMCをしていたかと思うんですけど、そのときの古市さんのツイートが切なくて……。

金魚番長が見切れてしまった集合写真。

金魚番長が見切れてしまった集合写真。

古市 こんなこと言ってました?

箕輪 思い出した! そりゃ写真にも見切れるわってくらい、このときの僕らのMCが酷かったんですよ。終わったあと、ちゃんと叱られたような気がする。

古市 何年目のときでしたっけ……?

──デビューして1年目だったと思います。授業のアシスタントをされていて。

古市 (即答で)あぁ、あのときはダメだ。

箕輪 (笑)。

古市 今はMCが苦手なことも自覚してるし、開き直って全力でやってはいるんですよ。そのときは開き直ってもいなくて、うまくやろうとしてる分、酷かったです。

箕輪 人見知りだし、緊張してるし、ミルクボーイさんとの関係性もないし。

──そこから3年後、今度は自分たちが講師側というのは、なかなか感慨深くないですか?

古市 確かに! 感慨深いです。3年経ってできることは増えたと思います。

──NSCの現役生たちにはどんなことを伝えたいですか?

古市 未経験の人にもがんばってほしいとエールを送りたいです。最初は経験者と未経験者でけっこう差があるんですけど、努力で埋められますから。

──今は学生芸人が台頭しているので未経験の人は不安だと思うんですが、そういう人たちにとって金魚番長さんは心強い存在なんじゃないでしょうか。

古市 そう思ってもらえたらうれしいです。

NSC現役生を相手に特別講義を行う金魚番長。

NSC現役生を相手に特別講義を行う金魚番長。

やっぱりすごい人は売れるんだ!

──お二人の憧れてる先輩芸人も教えてください。

古市 やっぱりダウンタウンさんです。いつか共演したいです!

箕輪 僕はずっと千鳥さん。僕が大学生になった頃、ちょうど千鳥さんが上京してきて、見る機会が増えたんですけど、正直最初はすごさがわからなくて。でも大阪時代の映像とかを見ているうちに「こんなすごい人たちがいたんだ!」って気付き始めて、そこからどんどん千鳥さんにハマっていったんです。僕が大学を卒業する頃には芸人界のトップに昇りつめていたので、「やっぱりすごい人は売れるんだ!」と実感できた存在です。

──今後、出てみたい番組は?

古市 「情熱大陸」(MBS・TBS系)とか「アナザースカイ」(日本テレビ系)。もちろんバラエティ番組にも出たいですけど、ゆくゆくは密着されたいです。舞台の合間の過ごし方とか(笑)。

箕輪 バラエティ番組は出てみたいものばかりですね。「人志松本のすべらない話」(フジテレビ系)にも出てみたいし……。

古市 「相席食堂」(ABC)は?

箕輪 いいね! マジで出たいなあ。ロケをやりたいです。「笑神様は突然に…」(日本テレビ系)とか。

──箕輪さんは芸人になる前はネタだけに興味があったとおっしゃってましたが、今はロケもやってみたい?

箕輪 そうですね。千鳥さんが売れてから強くなった傾向だと思うんですけど、もはやロケもネタの一環みたいになってきてるというか。自分のネタの中にも「これはロケでも使えそうだな」みたいなボケが結構あるし、むしろモノがあったほうが面白いボケも多いだろうし、そういうのを試してみたいです。

──最後に、お二人が目指す芸人像を教えてください。

箕輪 直近の目標は「M-1」優勝。

古市 僕は歌を出したり、アイドル番組のMCをやったりしたいです。

──お二人の意見をまとめると、「M-1」優勝して、歌を出して、アイドル番組のMCをやりたい。

古市 そうですね(笑)。でもルミネの舞台とかにもずっと立っていたいです。吉本の売れてる先輩たちはみんな舞台に立ち続けていて、それがカッコいいなと憧れているので。

箕輪 止まることなく、面白いネタをやり続けられたらいいなと思います。

金魚番長

金魚番長

金魚番長

箕輪智征(ミノワトモユキ)
1994年9月12日生まれ、東京都出身。

古市勇介(フルイチユウスケ)
1994年4月15日生まれ、東京都出身。

略歴
NSC東京校に24期生として入学した箕輪智征と古市勇介が結成。2019年2月に「NSC大ライブTOKYO 2019」で優勝し、同年4月にデビュー。神保町よしもと漫才劇場を拠点に活動しており、「前略、西東さん」(中京テレビ)や「有田ジェネレーション」(TBS)といったネタ番組に出演している。2023年6月、芸歴5年目以内の若手芸人を対象とした賞レース「UNDER5 AWARD 2023」で優勝した。

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たいが(ゼロカラン) @taigamin

箕輪めちゃくちゃありがたいんやけど
ちょっとだけいらんこと言うてるかも(^◇^;) https://t.co/CprLa8GmzR

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