新型コロナウイルス感染拡大防止のため外出自粛を余儀なくされ、お笑いライブも続々と中止が発表されている昨今。そんな状況に気を落としている読者に向けて、お笑いナタリーでは芸人におすすめネタを聞き、コメントと共に紹介していく連載企画を展開中。第6回は
ヒコロヒーのおすすめネタ
ジャルジャル「人質のチョイス間違えた奴」
ななまがり「山口晶」
銀兵衛「パン屋の店員…」
※動画は現在非公開です。
とにかくMOROHAみたいな口ぶりで一心不乱に語りかけてくる左の子と、左の子がMOROHAみたいになっている間、ツッコむでも説明を入れるでもなくなんなのかわからない表情でただ佇んでいる右の子。奇妙な違和感の中、奇怪な口ぶりの奇抜な思想がなぜかどんどん説得力を帯びていくさまは、そこに飲み込まれていく悔しさがありつつもひたすら面白い。私はパン屋の店員のことを基本的に尊敬している。
コメント
世界を救うために、命をかけて悪役と死闘を繰り広げなければならないわけでも、政治家の家に忍び込んで機密文書を盗まなければならないわけでも、自分で武器と水を入手して戦闘し生きながらえていかねばならないわけでもない。私たちは世界を救うために、ただ家にいればいいという。しかもネットフリックス可。お菓子も可。寝るの可。漫画可。かなりこっち寄りの好条件で簡単に世界を救えそうである。
こんなヒーロー側にゲロあま設定のパンデミック映画があったって「なんやこの設定? 家おったら命を救う? どういうジャンルの設定? なんやこれ税金対策で作った映画か?」と観ないはずだが、しかし実際問題、この世界は今、確かにこの設定なのである。
とんでもない設定だけれど、家にいることで世界を救う、世のため人のためと家にこもるこの日々を、これはこれでと可笑しみ、自分の毎日を「ない」ものに焦がれるのではなくて「ある」ものに満足していくふうにできればいいと思う。喫茶店が恋しいと嘆くよりも、家で淹れたコーヒーがちょうどの温度だったとか、こっちの目だけ二重やなとか、些細なくだらないことでもあるものを楽しんでいきたい。
典型的なモンゴロイドフェイスのくせにヨーロッパの訓戒なんかを持ち出して恐縮ではあるが、ドイツのことわざに「ユーモアとは『にも関わらず』笑うことだ」というものがある。つい疲弊してしまう瞬間は必ずあるかもしれないけれど、そんなときこそ、こんな設定にも関わらず、という気持ちで、皆さん一人ひとりのユーモアの感性をもってして「にも関わらず」笑いながら、みんなで前代未聞の設定ガバガバ在宅ヒーローになっていけたらと思う。
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ヒコロヒー
1989年10月15日生まれ、愛媛県出身。大学在学中の2011年より大阪で活動をスタート。2014年に東京へと拠点を移す。「ヒッコロコント」と称する1人コントで知られるほか、「IPPONグランプリ」の予選会「IPPONスカウト」で評価されるなど大喜利でも魅力を発揮。「M-1グランプリ2019」には元ピーマンズスタンダードのみなみかわと組み、3回戦まで駒を進めた。松竹芸能所属。
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たまたま見た記事の最後のコメントに唸った。
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