ZOC|メジャーデビュー、武道館公演、新メンバー加入を経て放つ渾身の初アルバム

「もしかして入れないつもり? 困るんだけど」

──いい状態で鎮目さんを迎え入れる形になったんですね。加入動画「"鎮目のどか"ZOC新メンバーオーディションドキュメンタリー」を観ましたが、ご本人は自分は受かるものだと入る気満々でしたよね。

鎮目 受かるものと思っていたというか、漠然と入る未来が見えていたというか。

大森 みんなは「憧れです」とか「受かりたいです」と言うけど、のどかは「私の居場所なんで」という感じだったのが印象に残っていて。あの映像の中で泣いてる場面があったと思うんですけど、あのときはのどかから「もしかして入れないつもり? 困るんだけど」というくらいの意志……というか圧を感じて(笑)、カッコいいなと。

鎮目 ……(無言で涙を流す)。

大森 自分のことをしゃべると涙が出ちゃうよね。のどかは今まで自分を出せないでいたから、いざしゃべるとなると、ね?

藍染 めっちゃわかる。

──ZOCもインタビュー苦手な人たちが多かったので、まったく問題ないですよ。

西井 人の発言をちょっとずつパクって同じこと言うといいよ(笑)。

──別のインタビューでほかのメンバーが話したことを、さも自分の考えのように発言するという(笑)。

大森 あるあるある。

西井 てか、それはただパクってるわけじゃないのよ。思いが一緒だからであって。

藍染 ひど(笑)。「うちが言いたかったのそれ」ってこと?

西井 そうそう。言いたかったのはそれやと思って、次のインタビューで言う。

雅雀 さすが語彙力泥棒。

鎮目のどか

──それはともかく(笑)、鎮目さんは合格の報せを聞いてどう思いましたか。

鎮目 受かると思ってたけど、いざ合格と言われたら、一気に不安になりました。けど、うれしいという感情とは違う、今まで感じたことないうれしさでした。

──メンバーの皆さんと会ったときはいかがでしたか。

鎮目 事務所で顔合わせがあって、自分的には受け入れてもらえるか不安だったんですけど、みんなすごく優しくて、本当にいい人たちだなと思いました。

 初めてのときは私も緊張しました。嫌われたらどうしよう、イメージと違ったらどうしようとか思ったり。当日はその前に予定があったんですけど、化粧を直してから行きました(笑)。

大森 のどかは、まろが好きなんだよね。

鎮目 はい。かわいいです。

──鎮目さんの推しメンなんですね。

 そこをもっとアピールしてほしい。

大森 (加入してから)一番印象が変わったのもまろなんでしょ?

鎮目 はい。めちゃくちゃ面白くて。

西井 ギャグセン高いから。

 よく言われます(笑)。

──15歳のメンバーが入ったというのも驚きました。

西井 のどかが入ってきてくれてうれしかった。普段は人の歳とか考えないけど、さすがに下すぎるじゃないですか。でもすごくしゃべりやすくて。年上だと気を使っちゃうから、下でよかった。

大森 のどか以外のメンバーが洗練されてきているので、フレッシュさという意味においていいなと思います。あとはやっぱり、私はそもそも私の体が動いて歌えるうちに、背中を見せられるうちに、自分をしっかり表現できる人を育てたい、という気持ちがあってZOCを始めているので。(鎮目は)自分をしっかり表現したいと言っていたから、しっかり育てていきたいなと思ってます。

──鎮目さんは上京してきてすぐにレコーディングが始まり、ライブの準備もしていったわけですよね。それまでの生活とはガラリと変わって大変だったのではないでしょうか。

鎮目 自分的には大変ということもなくて、うれしかったです。レコーディングも最初は緊張したけど、みなさんが温かくて、すぐに楽しみだなと思いました。

「頭に『ん』って入ってていいんですか?」

──このインタビュー時点ではお披露目ライブ前ですが、この6人で動き始めて、どんなことを感じていますか?

藍染 (鎮目は)振りを覚えるのが速い。初期メン(大森、藍染、西井)が一番遅いんです(笑)。

西井 私が一番遅いかも。鏡に映ったのどかを見ながら踊ってるもん。

大森 初期メンはのどか越しに目が合うんだよね(笑)。

藍染 り子は踊りを考えてくれてる人だし、まろさんはもともとものすごく速いんですけど、のどかも速かったんですよ。これまでの曲は私が振りを教えてて、覚えが速いということに気付かなかったんですけど、新曲はみんなで同じタイミングで覚えるじゃないですか。よーいどんで始めたら、「あれ、のどかもうできてる?」っていう。

──鎮目さんはダンス経験があるんですか?

鎮目 小学校の頃にダンスを3年間くらい習ってました。あとはいろんなグループの振りコピをやったりして。でも、自分では覚えるのが得意という認識はなかったです。

雅雀り子

──周りから見るとどうやら速いらしいぞと。

雅雀 でも初期メン3人はカッコいい。ZOCの踊り方のコツをつかんでいるので。り子の振りに慣れていて、言わなくても腰を落としてくれるし、ここは内股じゃなくガニ股で、みたいなのもわかってくれるのがうれしいです。

大森 道重(さゆみ)さんと一緒にやったときは大変だったよね(参照:1年越しでついに実現!道重さゆみ×ZOCの愛あふれた「RESPECT!」ツーマン)。いつも重心を下に下にって言われてるのに道重さんの曲では重心が上に上に行くから、コラボの振り付けで「どうしたらいいの?」っていう。道重さんは道重さんでZOCの「family name」でも16ビートを刻んでたのがよかった。まろも刻み出したし(笑)。

──ハロプロマナーが。

 やっと抜けてたクセが出てきて。

雅雀 いにしえの(笑)。

大森 まろはレコーディングのときも(ハロプロ独特の歌い方で)何回も頭に「ん」を入れていて。こっちとしてはどっちでもいいんですけど、レコーディング中も「入ってていいんですか?」って聞いてくるんです(笑)。

 それまでは頭に「ん」を入れて語尾は「な」で締めると教わっていたので、それを抜くようにがんばってきたんですけど、さすがにアルバムとなると覚える曲も多くてほかに気にすることが多すぎるので、自然と出てきちゃったんです。せっかくだから「ん」をなくし目で歌いたいなと思ってたので、録り直したりもしました。

──道重さんとコラボしたときに体が反応したんですね。

 16ビートを刻んじゃったり、「ん」とか「な」とか言ってしまった。悪いことじゃないんですけど、それがあるかないかで福田花音か巫まろか、みたいな線引きがあるんですよ。

ZOCとして表現したいものはその奥の奥に

──それはかなり面白い話ですね。ZOC初のアルバム「PvP」の話が少しずつ出てきているので、そのことについても伺っていきたいと思います。まずは2枚組というボリュームに驚きました。

大森 今のメンバーで既存曲を再録したいなというのがあったんですけど、それだけだと再録アルバムみたいになっちゃうじゃないですか。でもアルバムってグループにとって一番大切なものだし、ちゃんとした作品として、ZOCを伝える1枚にしたかったんです。だとしたら新曲いるな、ということになり、3日で6曲書きました。そしたら自然とDISC 1とDISC 2の2枚組になって。

──これまではシングルのリリースを続けてきたじゃないですか。シングルはシングルらしい曲というか、アイドルポップスのフォーマットにしっかり則ったキャッチーなものを作ってきたと思うんです。でも今回は、特にDISC 1の新曲を聴くと、そういうものを取っ払ったものがいくつもあって。

大森 そこはシングルのとき以外は気にしてないです。そもそもアイドルというものをもっと枠の広いものにすることによって、いろんな人が生きやすい世の中を作っていきたいんです。正直言うと、そのためにアイドルをやっているから。自分はアイドルに詳しいので、そういうシングル曲の形式もわかるから作れる。だからシングルのときは形式を利用させてもらうけど、もちろんそこに対しての敬意もすごくあるし、楽しんでやっているんです。でもやっぱり、ZOCとして表現したいものはその奥の奥にあるから、アルバムだと自然とこうなったという感じです。

──まさに大森さんの言う「奥の奥」が見えるような曲が次々と流れてくるので感動しました。歌い方にしても、これまでのZOCになかったものもありますし。

大森 それは、ステージに対して意識の高い5人でツアーを回っているときに作ったアルバムだったからというのもあると思います。このくらいやってもできるだろうなと。

藍染 もともと靖子ちゃんの持ち曲を何曲かライブで歌わせてもらってたという経緯があって、ライブでしかやってこなかった曲をいざCDに落とし込むというのが難しくて。歌い込んできたはずなのに新しい発見があったし、新曲のうちの「FLY IN THE DEEPRIVER」と「REPEAT THE END」はライブでやるのとレコーディングでやるのとでは歌の乗せ方も変わってきたんです。靖子ちゃんの表現したい深いところまで突っ込んでいけるような曲がたくさんありますよね。