ナタリー PowerPush - ZIGZO

2nd SCENEを突き進む4人の“10年”と“これから”

お互いがせめぎ合えるのがうれしい

──「THE BATTLE OF LOVE」を聴いたときに、解散前の曲と地続きな印象を受けたんですよね。結成当初の熱量と初期衝動を失っていない気がして。

岡本 まあ初期衝動は続いてるよね。でも40過ぎたオッサンだぜ、俺ら(笑)。

高野 でもさ「これ最高だぜ!」「これ好きだ!」ってのがロックだし、年齢関係ないじゃん。頭使ってやってたら面白くないし。なんかよくわかんないけどこの響きがカッコよくて、これを俺は鳴らしたいんだっていうのが大事だからさ。その音に対して周りが面白いぞって盛り上がって、それがお客さんに伝わっていくってのは最高じゃないですか。

岡本 そういう気持ちを湧き立たせてくれるバンドに参加できている喜びはありますね。

高野 参加とか何言ってんすか! 竜ちゃんは中心ですよ(笑)。

──皆さん仲良いですね。

高野 全然仲良しじゃないっすよ! このインタビューだって金もらってしゃべってますから(笑)。

大西啓之(B)

大西啓之(B) 冗談はさておき、俺は40過ぎてからお互いがせめぎ合いながらプレイできるなんて思わなかったから、ZIGZO再結成できてうれしいですよ。年食ってくると、自分が若手を引っ張っていかなきゃいけなくなるからさ。ZIGZOだと音に集中できるし、お互いが対等だから相乗効果でいいプレイができるんですよ。で、集まるとがんばっちゃうんですよ。がんばるのってあんま好きじゃないのに。

高野 他のバンドだと、みんなここまで必死じゃないかもね。まあ俺らの場合、バンドにまつわること全部好きなんだよね。集まって音を鳴らして、ライブをやって、打ち上げをして、次の会場に移動にするまでの運転とかの全ての流れが。

大西 ああ、その価値観は近いね。音楽性はばらばらだけど。

10年経って角が取れた

──2011年に久しぶりに音を合わせたときの感覚って覚えてますか? そのときに感じたメンバーの変化とかあれば教えてほしいのですが。

岡本竜治(G)

岡本 感慨があった気はするんだけど、今はもう忘れちゃったね。その時点でお互いに変わったことを感じるというよりは、次こういうことやりたいとか考えてたし。

──自然と次に進んでいたと。

岡本 うん。一緒にやってて違和感はなかったね。

──では実際にセッションをしていく中で気付いた変化ってありますか?

大西 そうだねえ……曲作りが早くなったことかな。誰かがこうしようって提案したときに、それに乗っかるスピードが早い。各自の経験値だと思うんだけど、引き出しが増えた分反応が早くなったね。あまり迷いがない。

高野 昔は喧喧諤諤やってたからね。

大西 10年も経てば角も取れるわけで。つるっつるのてっかてかになってるんで、ぶつかり合いも減るんですよ。

岡本 こういう方向にいったらつまんない曲になるっていうのも、過去の経験でわかるし。なんかスムーズですよ。

曲ができなくなったらストップする

──ZIGZOって10年ぶりに再結成したにも関わらず、懐古的な雰囲気があまりないですよね。メンバー全員のプレイやパフォーマンスに現役感があるとも感じていて。

大西 まあ俺らの場合、懐メロになるほど売れてなかったからね(笑)。レコード会社との契約も1年半しかなかったし。

櫻澤泰徳(Dr)

櫻澤 さっきも話したけどZIGZOをもう一度やろうってなったときに、1回限りって考えてる人間と、続けたいと思ってる人間と2種類いたんですよね。で、俺は後者で、なんでかっていったら全員が現役だったからなんですよ。もし1人でも音楽から足を洗ってて、ステージに上がってたのはかつてのこと、っていうメンバーがいたら違っただろうけど。

──ZIGZOを続けていこうとメンバー全員の意志が一致したタイミングはいつだったんですか?

岡本 去年のツアーだったんじゃないかなと思う。

高野 今のところはね。でも、何カ月か先にまたこうやって話をする機会があったら、また別のこと言ってるかもしれない。「2013年頭のツアーでやっとZIGZO続けられるって確信持てたんですよね」って言ってるかもしれないし……。今はわかんないですね。続けることにこだわりや強い意志があるわけでもないし。

──そうなんですか?

高野 うん。やってて楽しいだけだから。メンバー間で確かめ合うわけでもないし。約束もしてなけりゃ、プロポーズもしてない。暗黙の了解っていうか。

大西 そうそう。集まると頼まれてもいないのに曲を作っちゃうし。で、曲ができると発表したくなってっていう、バンドとしてごく自然な欲求が出てくるんだよね。あと「永遠に続けていくぞ!」って宣言しちゃうと変な足かせになっちゃう。

高野 断言できるのは、曲ができなくなったらストップするってことかな。喜びがなくなっちゃうわけだから。周りから言われてやるバンドじゃないし。

──楽しさがZIGZOの原動力だと。

左から櫻澤泰徳(Dr)、髙野哲(Vo, G)

高野 そうだね。

大西 スタンス的に非常にワガママなバンドだよね。作品作りの上で妥協しないし、時間もかかるし。

櫻澤 一応譜面を追えば形にはなるけど、時間をかけてそれぞれの体にしみ込ませないとバンドの音にならないからね。自分たちが納得できるものじゃないと、支えてくれるスタッフにも胸を張れないし、お客さんにも胸を張れないし。その胸を張れる曲でみんながハッピーになるんだったらこの上ない喜びだからさ。それくらいのワガママは許してよ、っていうのが俺らの言い分。スタッフがどう言ってるかは知らないけど(笑)。

ニューアルバム「THE BATTLE OF LOVE」 / 2012年10月10日発売 / 3000円 / 日本クラウン / CRCP-40330
ニューアルバム「THE BATTLE OF LOVE」
収録曲
  1. Day By Day
  2. アドレナリン ドライブ
  3. I Cult You
  4. Super Charger Star
  5. Medicine Man
  6. 炎は青く揺れる
  7. Beyond The Moment
  8. ぶらつく天使
  9. I'm in Love
  10. トロイメライ
  11. Hello, I Love You
  12. MADAMADA
ZIGZO (じぐぞ)

髙野哲(Vo, G)、岡本竜治(G)、大西啓之(B)、櫻澤泰徳(Dr)の4人によって1999年に結成。同年7月にシングル「血と汗と涙の裏側のハッピー」でメジャーデビューする。2002年3月に解散するまでに8枚のシングルと2枚のアルバムを発表。解散後、メンバーは個々に音楽シーンで活躍。2011年11月に再結成を発表。2012年3月に東京・赤坂BLITZでワンマンライブを行い、本格的に活動を再開した。


2013年1月11日更新