防弾チョッキを着ないで銃で撃たれるような気分だった

──デビューから約1年が経って、Yun*chiさん自身や取り巻く環境に何か変化はありましたか？

自由度が増した気がします。好きなものを好きって言えるようになったとか。最初は「カッコよくしたものを見てもらいたい」って気持ちが強かったんですよ。1枚目のアー写は特にそうなんですけど、緊張していたし、怖いなって思いがたくさんあって。

──まあでも、初めてだからそうなりますよね。

しかもソロアーティストなので、私が1人でがんばっていかなければいけないっていう気持ちがすごく強かったんです。それで表情が固くなってしまったり。でもそれからライブや制作でいろんな経験を重ねさせてもらって、その中でファンも含めた「Yun*chiチーム」みたいなものができあがってきてるんだなって最近気付いて。チーム内に信頼関係が生まれたことで、だんだん素の部分をちょこっとずつ出せるようになってきて、最近は表情も柔らかくなってきたと思います。

──確かに「柔らかくなってきた」というのはわかります。

私は学生時代、知り合いは多かったけど、窓際で1人でマンガをカリカリ描いてるのが好きな子で。音楽も家でヘッドホンとかで聴くことが多かったんです。だから外に出てみんなと趣味を共有するってことが少なくて。

──へえ。意外ですね。

だからずっと、自分をさらけ出すってことは防弾チョッキを着ないで銃で撃たれるような気分だったんですよ。スタッフの方が「芸能界は怖いところだよ」とか言ってたので（笑）、最初の頃はライブでも、本当にお客さんが全員敵みたいに感じてたし。でもちょっとずつ聴いてくれる人が増えてきて、ファンの方とお話する機会ができると、その恥ずかしさを取っ払って自分の中身を観てもらおうって気になってきたんです。今でも防弾チョッキを脱ぐとスタッフやディレクターの方から撃たれるんですけど、「ううっ……」ってなりながらもだんだん表現できるようになってきました。打たれて強くなるってこういうことだと思って、日々人生の勉強をしているような感じで、本当に皆さんのおかげだなと思ってます。

kzさんの「Perfect days*」は今の関係があるからできた曲

──今回のアルバムは、そんな1年の集大成のような内容になりましたね。1曲目はデビューミニアルバムでも冒頭を飾ったkzプロデュースの「Reverb*」。

「Reverb*」をまた1曲目に持ってきたのは、何もない水面に波が広がっていくような曲のイメージが、このアルバムの始まりにピッタリだと思ったからです。そして2曲目には、「Reverb*」から1年経ってまたkzさんが作った新曲「Perfect days*」が入ってて。ストーリー性のあるアルバムにできたなと思ってます。私が最初にレコーディングした曲である「Believe*」を入れたのは、デビュー前からの活動に感謝しなきゃいけないって気持ちでもあったり。

──「Reverb*」から「Perfect days*」までの間で、kzさんとの関係性に変化はありましたか？

kzさんって制作のときもプライベートも、会うたびにすごく素敵な方になっていくので、毎回いろんなことを学ばさせてもらってますね。いっつも「怖い怖い。やだよー」みたいになるから、どうしたらいいのかわからなくなっちゃって爆発しそうなときに、夜な夜な電話で相談して「いやいや、Yun*chi先生なら大丈夫ですよ」って言ってもらったりしてました（笑）。ナタリーのニュースでkzさんのことを「盟友」って書いていただいたのを見て、本当にうれしいなと思ってて。でもこっそり、ライバルになれるように私もがんばらなければ、後ろから射撃するような勢いでいなければ、みたいにも思ってるんです。「Perfect days*」は今のそういう関係があってこそできた曲だなって、すごく思います。

──ちなみにさっき話に出た「Believe*」は、今改めて聴いてみてどうですか？

「Believe*」はちょっと恥ずかしいです。「本当にがむしゃらな子だったのね」って思います。今もがむしゃらなんですけど。どうやったら思いが伝わるのか、今もまだわからないけど、この頃はもっともっとわからなかったみたいで。だから声の表現の仕方がすごく無邪気というか、がむしゃらで。でも、そこがいいんじゃないかって気がしてます。まだ短い期間ですけど「Perfect days*」までの間に、Yun*chiがちょっと変わったのかなっていうのを感じてもらえると思いますし。