ナタリー PowerPush - Yun*chi

私生活バレバレの新作「Shake you*」

デビューから約5カ月。新たなポップアイコンとして大きな注目を集めるYun*chiが2ndミニアルバム「Shake you*」をリリースした。

kz(livetune)やU-SKE、細川拓久真(Avec Avec)といった前作から引き続き参加するメンツに加え、COR!SやHUMという新たなクリエイターの息吹をも取り込んだ本作。この作品でYun*chiは自らが持つ音楽性をより幅広いレンジで提示することに成功している。

ナタリー2度目の登場となる今回は初の単独インタビューを実施。デビューを経て見えてきた新たな課題や、音楽性のルーツを紐解きつつ、本作の魅力について話を聞いた。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 佐藤類

歌を仕事にするのは簡単じゃないと思って、進路から排除してた

──デビューして何か変化したことってありました?

Yun*chi

その質問、すごく難しいんですよねえ(笑)。大きく変わったことって特にはないんですよ。もちろん私の曲を聴いてくださった方からたくさん反応をいただけるようになったし、親戚のおばちゃんに「アンタがんばってるわねえ」って言ってもらえたりもして、それはデビュー前にはなかったことだからすごくうれしいことではあるんですけど、Yun*chiの音楽をもっとたくさん聴いてもらうためにまだまだがんばっていかなきゃっていう自分自身の気持ちは引き続き変わらないというか。

──ではデビューしたことで見えてきた新たな課題はどうです?

ああ、それはあるかも。デビューしてからライブをたくさんやらせてもらえるようになったことで、ライブをすごく楽しめるようになってきたんですよ。だから、お客さんと一緒に盛り上がるライブをもっともっとやっていきたいなっていう気持ちはデビュー前よりも強くなってきてるかもしれないですね。しっかり成長したいなって。

──ちなみにデビュー前のライブ経験ってどれくらいあったんですか?

人生初のライブが3年くらい前なんですよ。それが前回kzさんとの対談でお話した、kzさんと初めて会ったときのMOGRAでのイベントなんです。それ以降は1年に数えるほどしかやってなくて、デビューの前の年になるとようやく1カ月に2回くらいのペースになった感じですね。だから経験としてはまだまだ少ないんです。

──それはちょっと意外。幼い頃からシンガーを目指していたということなので、ステージ経験も豊富なのかと思ってました。

シンガーを本気で目指し始めたのも、実は5、6年くらい前からなんですよ。もちろん小さい頃から歌が好きだったし、ダンスをやっていたのでジュニアミュージカルのオーディションを受けたりもしてたけど、将来の夢としてはまだ漠然としていたというか。それに歌を仕事にするなんてそうそう簡単にできることじゃないと思っていたので、高校を卒業するときに進路としては一度、排除しちゃったところもあって。

──なるほど。でもその夢がまたリアルなものとして浮上するきっかけがあったわけですよね?

はい。その後、遊び仲間として出会った男の子たちに「歌をやってみない?」って誘われたんです。エレクトロとロックが混ざったような音楽をやってるグループだったんですけど、そこで歌うようになったのが大きなきっかけですね。彼らにはすごい感謝してます。

ライブがすごく楽しいので、みんなと楽しめる曲を作りたい

──今のYun*chiさんの楽曲はクラブミュージックの影響が強い印象なんですけど、そもそものルーツってどんな音楽なんですか?

えー、その時期ごとにほんとにいろいろ聴いてきたと思いますよ。ちっちゃい頃はバラードが特に好きで、いろんな曲を聴いていたし、映画音楽とかもけっこう好きでした。学生の頃はブリトニー(・スピアーズ)とかあゆ(浜崎あゆみ)とか。ほかにもマドンナとかカイリー・ミノーグも好きだし、ロックだと土屋アンナさんも好き。capsuleとかDAFT PUNKもよく聴いてましたね。

──かなり幅広く。

Yun*chi

そうですね。でも基本、私は歌モノが好きなんだと思うんですよ。歌えてなんぼ、みたいな。だからメロディのよさが一番大事。そこは今自分がやってる音楽でも大事にしているところですね。みんなにも歌ってもらえる音楽を作りたいなって。ジャンル的にも自分が聴いてきたいろんなものをコラージュのように盛り込みつつ、それがYun*chiになってますみたいな感じで。

──そういう意味で言うと、今回リリースされる2ndミニアルバムは、前作よりも音楽的な幅が広がった印象ですよね。Yun*chiさんの嗜好やルーツを垣間見せつつ、さらなる魅力がしっかりと提示されています。

はい。前回はどれだけキャッチーなものを詰め込めるかみたいな気持ちで作っていったんですけど、今回は前作で見せた路線の幅をさらに広げたいなって思ってたんです。音楽的な深みを出しつつ、自分のやりたいことにより近付けていく感じというか。大好きなドリーミーな雰囲気の曲はより世界観を拡大させて作ってみたし、バラードやトラップミュージックっていう新しいタイプの曲にチャレンジしたりもして。

──あとはライブを強く意識した曲もありますよね。

そうなんですよ。ライブがすごく楽しくなっているので、みんなと楽しめる曲を作りたくて。結果、自分の可能性が広がったアルバムになったと思うんですよね。

Yun*chi(ゆんち)

幼少期よりボーカリストになることに憧れ、日々の生活の中で音楽に触れて育つ。インディーズシーンでアーティストとして活動する一方で、モデルとしても活躍。そのキュートなルックスで注目を集める。音楽面でも独特の声と人懐っこいキャラクターが買われ、デビュー前からlivetuneをはじめさまざまなアーティストの作品に参加する。2012年11月にミニアルバム「Yun*chi」で日本クラウンよりメジャーデビュー。2013年4月には2ndミニアルバム「Shake you*」を発表した。