音楽ナタリー Power Push - 夢みるアドレセンス×志磨遼平(ドレスコーズ)
志磨遼平が語るアイドルソングの可能性
タイムリープの呪縛から解き放たれてほしい
──「おしえてシュレディンガー」はタイムリープをテーマにした楽曲ということですが、そこに至った経緯は?
志磨 今回夢アドさんの楽曲を手がけるということで、いろいろなアイデアや意見をスタッフと交換しながら作ってて。本当に雑談みたいなことから始めました。それこそ最近のニュースで話題になってることとか音楽シーンの話とか。ざっくばらんに話をしてる中から曲のヒントを見つけていった感じです。そんな中でやっぱり女の子たちが歌う楽曲だから女の子が自分のために戦うっていう曲を作りたくて。やっぱり女性でもしっかり自分たちの居場所を確保するために強いメッセージを打ち出していってほしくて、パティ・スミスみたいなアイドル像を思い浮かべながらいろいろとパターンを考えていったんです。
京佳 最初はそんな感じだったんですね。
志磨 そうそう。それでアラビアンナイトの世界観だったりとかタイムリープの設定を入れてSFっぽい歌詞を考えてみたりとかして、実は曲自体はけっこう早くできあがりました。そこから歌詞を何パターンか試してみたんですけど、タイムリープという設定についてもう少し詰めていって。皆さん、10代後半くらいってすごくモヤモヤしません?
荻野 しますね。なんか気持ちがはっきりしないというか。
志磨 僕もその頃はすごく「なんだかなあ」って毎日思ってた。自分の未来がはっきり見えて来ないことについて。「こうなりたい」っていうのはおぼろげにあるんだけど「なんでこんなところでこんなことをしてるんだろう、自分は」っていうような、いつまで経っても前に進まない感じに不安を覚えていました。毎日毎日同じことの繰り返しっていうのがタイムリープみたいですねって話をしてて、これをモチーフにしようって考えたんです。
小林 確かに学生時代はそんな感じだったかもしれない。
──タイムリープの舞台がクラブっていう設定なのはなぜですか?
志磨 夢アドのファンの方は10代の女の子も多いと聞いたので、そういう子たちがちょっと勇気を出して足を踏み入れる場所がライブハウスやクラブなのかなって思って。そういう場所を僕らは「箱」って言うんですけど、タイムリープという設定と量子力学みたいな話から「シュレディンガーの猫」の話を思いついたんです。
荻野 ここで「シュレディンガー」というワードが出てくるんですね。
──夢アドの皆さんは「シュレディンガーの猫」って知ってましたか?
京佳 なんか箱の中に猫が入ってて……っていうくらいしか知らないです(笑)。
志磨 ざっくり説明すると箱の中にいる猫は生きてるのか、死んでるのかっていう話ですね。2つの可能性が同時にこの時空に存在してるっていう思考ゲームみたいな。僕は「シュレディンガーの猫」が入っている箱をクラブと捉えて、箱に入った女の子がその箱から出てきたときにまったく新しい明日が始まるっていうストーリーを思いついたんです。夢アドのライブに来た女の子がそこで人生が変わるような感動に遭遇してほしいというか「明日からの私は昨日までの私ではない。違う私になろう」って思ってほしくて。ずっと同じだと思っていた毎日が、変わらないと思っていた未来が、タイムリープの呪縛から解き放たれて、まったく別の人生が始まるという可能性がその箱の中ではあると。もちろん次の日になっても女の子は何も変わらないかもしれないんですけどね。
荻野 すごい! なんか志磨さんに今ご説明していただいて曲のことがすごく理解できました!
小林 鳥肌が立っちゃった(笑)。
荻野 なんでシュレディンガーって言葉が出てくるんだろうって考えてて。志磨さんがシュレディンガーを超リスペクトしてるのかと勝手に思ってました(笑)。
志磨 あはははは(笑)。僕は文系だからまったくわからないよ。完全に付け焼刃だけどね。
荻野 でも今回の曲があったから私もシュレディンガーのことを調べたんですよ。結局よくわからなかったんですけど(笑)。
小林 ね。猫が生きてるのか死んでるのかっていうこと以外は何が言いたいのかよくわからなくて。
志磨 でも夢アドのライブに置き換えるとすごくわかりやすくないですか?
京佳 はい! これからはそうやって説明します(笑)。
──今日いない2人は理解できますかね。
荻野 あー……。
志磨 どうしたの?
荻野 志田友美と山田朱莉っていうのが今日いないメンバーなんですけど、けっこうぶっ飛んでる子たちでして。
志磨 なるほど(笑)。
夢アドだけが時間の概念に縛られない存在
──3人は楽曲を最初に聴いたとき、どういう印象を受けましたか?
荻野 今まで夢アドが歌ってきたタイプの楽曲にはなかったから、また新しい出会いだなって。
京佳 歌詞がとても不思議でした。
志磨 初めて聴いたときはおそらくまだ違う歌詞だったかなと。
小林 たしかに違う歌詞でしたね。今でもベースは残ってはいますけど。
志磨 あとからアラビアンナイトのイメージでシタールの音色を入れてみたりと、どんどんコンセプトをレイヤーのように重ねていって、歌詞が決まったのはMV撮影の直前だったと思います。
荻野 タイトルもそれまでは未定で、今のタイトルになったからMVでも猫の格好になったという。振り付けも猫をイメージしたものを急遽取り入れてね。決まったのが撮影前日(笑)。
京佳 そうなんです。猫パンチみたいなやつ!
志磨 急遽変えてもらったんですよ。すごいスピード感でした。
──完成したMVと志磨さんのご説明で世界観がすべて補完できました。
荻野 本当にそれ! そういうことかって。
志磨 タイムリープって難しいイメージですけど、ただ夜にクラブへ遊びに行くってだけですからね(笑)。MVの中では夢アドだけが時間の概念に縛られてない存在で。
荻野 撮影は夜から朝につながるシーンを撮らないといけないので朝がすごく早かったです。
小林 撮影自体はラストシーンから撮りました。早朝の渋谷で撮影したのでクラブ帰りの人とか乱闘してパトカーに乗せられてる人とかいましたね(笑)。
──路上に猫の格好をした5人がいたら楽しそうですね。
小林 クラブの前でその格好でいたのでクラブのイベントだと思って入ろうとしてきちゃう人がいたりして。「やってる?」って(笑)。
志磨 そりゃ楽しそうだなって思いますよ。
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- 夢みるアドレセンス ニューシングル「おしえてシュレディンガー / ファンタスティックパレード」/ 2016年4月27日発売 / Sony Music Associated Records
- 初回生産限定盤A [CD+DVD] / 2000円 / AICL-3091~2
- 初回生産限定盤B [CD] / 1000円 / AICL-3093
- 初回生産限定盤C [CD] / 1000円 / AICL-3094
- 初回生産限定盤D [CD] / 1000円 / AICL-3095
- 初回生産限定盤E [CD] / 1000円 / AICL-3096
- 初回生産限定盤F [CD] / 1000円 / AICL-3097
- 通常盤 [CD] / 1000円 / AICL-3098
CD収録曲
- おしえてシュレディンガー
- ファンタスティックパレード
- おしえてシュレディンガー(Instrumental)
- ファンタスティックパレード(Instrumental)
初回限定盤A DVD収録内容
- おしえてシュレディンガー(Music Video)
- ファンタスティックパレード(Music Video)
- おしえてシュレディンガー(Making of Music Video)
- ファンタスティックパレード(Making of Music Video)
- 夢みるアドレセンス 東名阪ワンマンツアー「ようこそ!ユメ(トモ)の国ツアー2016」
- 2016年5月14日(土)大阪府 BIGCAT
OPEN 14:15 / START 15:00 - 2016年5月28日(土)愛知県 DIAMOND HALL
OPEN 15:15 / START 16:00 - 2016年6月17日(金)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
OPEN 18:00 / START 19:00 - チケット:名阪公演 3500円 / 東京公演 4000円(※ドリンク代別)
夢みるアドレセンス(ユメミルアドレセンス)
荻野可鈴、山田朱莉、志田友美、小林れい、京佳の5人からなる女性アイドルグループ。人気ティーンファッション誌モデルを中心として2012年にグループ結成。ひたむきなステージパフォーマンスが同世代だけでなく、 幅広い層の支持・共感を集めている。2013年、2枚のミニアルバム「泣き虫スナイパ→」、「純情マリオネット」をリリースし、2014年4月には初の全国流通盤シングル「マワルセカイ」を発表。2015年3月にはSony Music Associated Recordsより「Bye Bye My Days」でメジャーデビューを果たし、同年4月に東京・中野サンプラザホールでのライブを成功。同年10月から11月にかけて「#ユメトモの舞ツアー2015秋」と銘打った東名阪ツアーに挑戦し各地で大盛況を収めた。2016年1月にオカモトショウ(OKAMOTO'S)が手がけた「舞いジェネ!」、同年4月に志磨遼平(ドレスコーズ)が手がけた「おしえてシュレディンガー」、首藤義勝(KEYTALK)が手がけた「ファンタスティックパレード」の両A面シングルをリリース。同年5月、6月には2度目の東名阪ツアーに挑む。
- 夢みるアドレセンス公式ウェブサイト | yumeado.com
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- 夢みるアドレセンスの記事まとめ
ドレスコーズ
2012年1月1日に志磨遼平(Vo)、丸山康太(G)、菅大智(Dr)の3名で初ライブを実施し、同年2月に山中治雄(B)が加入する。6月には大阪、名古屋、横須賀で「Before The Beginning」と題したツアーを突如開催。7月に1stシングル「Trash」をリリースし、タイトル曲は映画「苦役列車」主題歌に採用され話題を集めた。12月に1stフルアルバム「the dresscodes」、2013年11月にフジテレビ系アニメ「トリコ」のエンディングテーマ「トートロジー」を含む2ndフルアルバム「バンド・デシネ」を発売。2014年9月にキングレコード内レーベル・EVIL LINE RECORDSへの移籍第1弾作品として5曲入りCD「Hippies E.P.」をリリースし、同時に丸山、菅、山中の脱退を発表した。ドレスコーズは志磨の単独体制となり、同年12月にフルアルバム「1」をリリース。2015年10月、ピエール中野(凛として時雨)、會田茂一、沙田瑞紀(ねごと)ら多数のゲストプレイヤーを迎えて制作した4thアルバム「オーディション」を発売。2016年5月には、LIVE Blu-ray & DVD「SWEET HAPPENING ~the dresscodes 2015 “Don’t Trust Ryohei Shima”JAPAN TOUR~」をリリースする。