音楽ナタリー PowerPush - 夢みるアドレセンス
「好きっていいなよ。」葉月かなえと恋愛トーク
リアルないじめの表現に感情移入した
──「好きっていいなよ。」はどういった経緯で誕生したマンガなんでしょうか?
葉月 私自身が幼少の頃から周りからあまりよく思われていなくて、自分の経験をもとにいじめをテーマにした物語ができたらいいなと考えてました。でもそんな題材をテーマにしたときに、はたして自分の技量が追い付いていけるのか不安で長い間描くことができなかったんです。描きたいけど描けないっていう状態が長かったですね。でも憧れだったマンガ誌のデザートで連載が決まったときに、これは描くタイミングが来たって思って。やっぱり少女マンガ誌ですから、いじめだけを描くんじゃなくてちゃんと恋愛の要素も入れないとと思い、そういった要素を盛り込んで連載をスタートさせました。
山田 じゃあ、最初から恋愛をテーマにしてたわけじゃなかったんですね。
小林 物語の最初のほうのいじめを描いたところはリアルだなって思って、感情移入しちゃいました。
葉月 そこからだんだんと恋愛を織り交ぜていって、変わっていく主人公を描いていったんですけど、やっぱり私も楽しかったです。主人公が恋愛に関してまったくわからないっていう性格を踏まえて、男の人に詰め寄られたときの行動を描くのが本当に楽しくて。
──何か印象に残ったシーンはありますか?
小林 クリスマスの日に大和さんがめいにアルバムをプレゼントするじゃないですか。そのときの大和さんの気持ちが伝わってきてとても印象に残りました。あと、めいが妹と仲良くなるシーンですね。私も弟がいるんですけど、名前が似てたので共感しちゃって。恋愛の部分に関しては私はまだ経験がないので勝手にめいの気持ちになっちゃって。読むたびに超キュンキュンしてます。
葉月 そういうのってうらやましいです。私はそういう気持ちをどこかに置いてきちゃったみたいで(笑)。
今は恋愛はいいかなって思っちゃう
──夢アドの皆さんはアイドルなので難しいと思いますが、やっぱり恋愛には憧れますか?
小林 マンガみたいな恋には憧れますね。
荻野 マンガの世界に行きたいくらいですよ!
──立場上、やっぱり大手を振って恋愛するわけにもいきませんしね。
志田 いや、まったくモテないんですよ、私……。
全員 ……。
志田 ちょっと! そこは否定してよ!
葉月 アイドル活動をされていて男性から人気があると思うので、恋ってするのかなってずっと気になってたんですよ。
──実際はなかなか難しいようですね。だから先生のマンガを読んで疑似恋愛をする感じになっているんでしょうか。
小林 そんな感じだと思います。お仕事をさせてもらっているので今は恋愛はいいかなって思っちゃいます。マンガで入り込み過ぎるとどんどん理想が高くなっていっちゃうというのもありますけど……。
山田 それ! 私も小さい頃からマンガを読んでいて3次元の男の人にあまり魅力を感じなくなってしまってて……。マンガの男の子ばかりにキュンとしちゃって。セリフも全部カッコいいですし。
──男性キャラのセリフまわしってどのように生み出されるものですか?
葉月 場面ごとに違いますけど、キメゼリフみたいなものは「こんなこと言われたらどうしよう」って思うような言葉を考えてます。助言的なことは私ならこう返すなっていうものを書くようにしてますね。やっぱり自分が男ではないので考えながら慎重に作ってます。女の子ならある程度わかるんですけど、異性になると難しいものですね。
小林 でもセリフが自然に出てくるなって思って。例えば大和さんがめいを守るシーンで人を殴るじゃないですか。そのとき大和さんが「めいは俺のものだ!」って言うんですけど、もうそこがキュンとしちゃって!
荻野 ギャー! それはヤバい! 言われたい!
小林 そこはいつもの大和さんじゃなくて、すごい目の色が変わって男らしくて。
葉月 いつもとのギャップを出そうと、そこは考えてみました。
──皆さんもやっぱり男性からこういうセリフを言われたい?
山田 というか大和に言われたいです。
──あ、リアルな男性じゃダメなんですね。
山田 そこまでの過程があってのセリフですからね。やっぱり大和に言ってもらいたいんですよ。
荻野 ヤバい! 私、心臓ドキドキしてきたよ!!
「かわいいだけじゃない」って言われたい
──先生は夢アドにはどういった印象を受けましたか?
葉月 皆さん若いのにすごいですよね。10代から人前で歌ったりするのができるなんて。
──皆さんは何歳からお仕事してるんですか?
志田 私は小学6年生のときからですね。
荻野 ほかのみんなも中学1年生くらいからなので、みんな同じくらいから仕事してます。
──彼女たちの楽曲を聴いた感想はいかがですか?
葉月 何曲か聴かせていただいてPVも観ました。かわいいだけじゃなく10代の勢いが感じられてすごくいいなって思いました。
山田 超うれしいです! 私たちが見てもらいたいところをちゃんと見て、感じていただいていて。
荻野 「かわいいだけじゃない」って一番言われたいひと言なんですよ。
──PVはいかがでしたか?
葉月 「証明ティンエイジャー」のPVで衣装が砕け散るシーンがキレイだなって感じました。
山田 この曲は特に10代の皆さんに向けたメッセージソングなんですけど、歌詞もメッセージ性が強くて、10代以外の方にも聴いてもらいたいんです。
荻野 私、中学生とか高校生の頃は悩むことが多くて、自分ってなんだろうとか友達から見る私ってどう見えてるんだろうってずっと考えていたんですよ。でもそんなことを考えてる時間がもったいなかったなって、この曲を聴いて思いました。迷わずに行動で証明するほうがよかったんだなって。
山田 同じような悩みを抱えている人がたくさんいると思うんですけど、この曲を聴いて私たちに付いてきてほしいっていうメッセージも込められてます。
葉月 夢アドの楽曲ってすごくまとまってる印象があって聴きやすかったです。新曲もスッと入ってきました。
山田 葉月先生が私たちの曲をこんなに聴いてくれてるなんて……。自慢したい!
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- ニューシングル「証明ティンエイジャー」 / 2014年9月9日発売 / Project TK
- Type-A [CD] / 1080円 / ADCD-0014
- Type-B [CD] / 1080円 / ADCD-0015
- Type-C [CD] / 1080円 / ADCD-0016
- Type-D [CD] / 1080円 / ADCD-0017
- Type-E [CD] / 1080円 / ADCD-0018
- Type-F [CD] / 1080円 / ADCD-0019
収録曲(全仕様共通)
- 証明ティンエイジャー
- 絶対的シンパシー
- ヒロイン
- 証明ティンエイジャー(instrumental)
- 絶対的シンパシー(instrumental)
- ヒロイン(instrumental)
夢みるアドレセンス(ユメミルアドレセンス)
荻野可鈴、山田朱莉、志田友美、小林玲、京佳の5人からなる女性アイドルグループ。人気ティーンファッション誌モデルを中心として2012年にグループ結成。ひたむきなステージパフォーマンスが同世代だけでなく、 幅広い層の支持・共感を集めている。2013年、2枚のミニアルバム「泣き虫スナイパ→」、「純情マリオネット」をリリースし、2014年4月には初の全国流通盤シングル「マワルセカイ」を発表。同年8月にはグループ最大規模の単独ライブを日本青年館で行い、9月には新作「証明ティンエイジャー」をリリースする。
葉月かなえ(ハヅキカナエ)
神奈川県出身。2003年より「恋していいですか」「堀高 ハネモノレンジャー」「ラヴストーキン!」などティーンズラブ作品を中心に発表する。2007年にデザート(講談社)より短編集「あれもしたい、これもしたい」を刊行。2008年からは同じくデザートにて初の長編連載作「好きっていいなよ。」をスタートさせる。友達のいない主人公と学校イチのモテ男の恋を描いた同作は10代女子を中心に人気を博し、2012年10月にTVアニメ化、2014年7月に実写映画化を果たした。