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こんなユアソン見たことない? いや、これこそが本当の彼らの姿なのかも! 約11ヵ月ぶりのリリースとなる「THE ReACTION E.P.」は、グイッとパンク寄りなアプローチへとシフトしたYOUR SONG IS GOODの新境地。今回のPOWER PUSHではバンマス/オルガン担当のJxJxとギターのモーリスが登場! 今年結成10年目を迎える彼らの「ロック化宣言」の真意を訊いてみた。
取材・文/宮内 健(ramblin')
もっと自由に、パンクロックでぶっ壊す
──去年リリースされた、アルバム「HOT! HOT! HOT! HOT! HOT! HOT!」(以下「THE HOT!」)から今回のEPまでを振り返ると、どんな時間だったと思いますか?
サイトウ“JxJx”ジュン アルバムのレコ発ツアーってことで、ワンマンで全国10ヶ所ぐらいまわって一区切りついて。それからCOMEBACK MY DAUGHTERS(以下CBMD)とツーマンでツアーをやって、これでバンドのテンションがさらにあがっていったというか。1曲目から尋常じゃない勢いだったんですよ(笑)。前はもうちょっと、もうちょっと最後にドタバタがあるような(笑)、ソウル・レビュー形式じゃないけど、エンタテインメントする見せ方でやるっていうのにこだわってたし、そこに新鮮さを感じてたんだけど、それも5年ぐらいやってきて、だいぶやりきった感もあったんで。だから、それをぶっ壊すようなツアーでもあったんですよね。違う見せ方というか、こっちも行けたんだ、そういや、みたいな(笑)。久しぶりに、昔のパンク時代のね。
ヨシザワ“モーリス”マサトモ 1曲目からジュンくんが客席に飛び込んでったり(笑)そういう方向にベクトルが向いてて。CBMDとのツアーの最初が水戸だったんですけど、僕らは気合い十分で臨んで、1曲目からワッ!とやったら、意外と最初お客さんの反応が薄くて(笑)。
JxJx なんかビックリしてたよね(笑)。それで、なんだよ!と思って、もっとやってやれ!と思って、逆に飛び込んじゃえばいいんじゃねぇかみたいな(笑)。そしたら、あ!これはやっぱり楽しいなって。昔のやり方を今のお客さんにぶつけるっていうのはすごくいいぞと思って。なおかつ、「THE HOT!」のワンマンツアーで、積み上げていくような盛り上げ方も出来るようになってたから、それが両方混ざってたらすっごく面白いなって。
──なるほどね。
JxJx そこからバンドが自由になれたっていうのもあったし、去年出した「THE HOT!」でいろんなことをやって、ホントに自由なことになってたんですよ。YSIGっていうのはこうじゃなきゃ、みたいなところもゼロになってて。だから自由な気持ちで新曲も作っていこうと。ただ、そういう意気込みを一体どうやって次の表現に持っていけばいいのかなって、なんとなくぼんやり思いつつも、なんも思いついてなかったんですよ(笑)。このままこのやり方で精度を上げていくのか? とかあれこれ考えてたときに、去年の下半期にいろいろ新譜も聴いて……ここ数年、DJをやる機会も増えたこともあって、ルーツ・ディスクばっか掘って聴いてて。そういえば、最近のバンドとか最新の音を真剣に聴いてなかったなって思って。で、なんのきっかけか覚えてないけど、マジメに聴いてみたんですよね。そしたら、たとえばジャスティスしかり、アークティック・モンキーズしかり、聴いてみたらすっごいカッコよかったんですよ。
──ジャスティスにアークティックって、めちゃくちゃフツーじゃないですか?(笑)
JxJx いやいや(笑)これがね、新しいロックをずっと追っかけてる人だったらフツーなんだろうけど、俺みたいに50~60年代のニューオーリンズのイナタいR&Bとかをずっと聴いてた耳でいきなり聴くと、オォーッ!って思うんですよ。ま、もちろんみんなには笑われましたけどね(笑)。だけど、そういうのを聴いてて、YSIGにもロック的なグルーヴ感の良さみたいなのをもうちょい出せるんじゃないかって思うようになって。そうなってくると、今まで取り上げていたような音楽とはちょっと音楽的な構造が違うというか、文法が違うって言い方が正しいかもしれないですけど、アレンジのヒントが意外と転がってるなって。
モーリス ひとつきっかけになったのが、CBMDとツアー中、高松のライブの後にアフターパーティがあって。そこでメンバー全員がDJをやるっていう、お楽しみ会的なことをやったんですよ。古いものから新しいものまでお互いに結構いろんなもんかけあって。ベースの高田くんなんかはどファンクをかけて“やっぱり高田くんこういうの好きなんだな”とか、ズィ~レイがジェネレーションXかけて“「100 Punks」やっぱ名曲だな”とか。みんなそれぞれの趣味をドバっと出し合ったみたいな感じがあって、そこで、これがYSIGになれば面白いんだなっていうのに、あらためて気付いたっていうのはありましたね。今まではルーツミュージック的なところを、ウチらなりにポップに仕上げるっていうのが命題というか、ひとつの目標みたいに捉えてたところがあって。カリプソの構造はこうだとか、研究したり掘り下げていく楽しみもあるんだけど、今度はもっと自由に、ぶっ壊す作業かなって。
JxJx どういう風にいろいろな素敵な音楽と向き合うかっていうのが、つねにバンドのテーマとしてあったけど、その向き合い方に、そういえばパンクってやり方もあったわ!って。だから愛のある壊し方ができたと思うし、ましてや、壊す道具が昔から自分たちが使ってきたサウンドだから。こんなに面白い解体作業はないなって。それに10年前のパンク時代だったら、ホントにウワーッっていう勢いしかなかったけど、バンドを続けてきたぶん、表現するレンジも広くなってますからね。
初回限定盤(CD+DVD)
2008年4月23日発売 / 1575円(税込)
UPCH-89023 / KAKUBARYTHM/NAYUTAWAVE RECORDS
通常盤(CD)
2008年4月23日発売 / 1260円(税込)
UPCH-80073 / KAKUBARYTHM/NAYUTAWAVE RECORDS
*初回限定盤は、最新ライヴ映像(2008年1月14日@恵比寿リキッドルーム)8曲と、年内に発売予定の10周年記念DVDから超早出しの予告編(必見!)を収録したDVD付き2枚組
CD収録曲
- A MAN FROM THE NEW TOWN
- MOVE OR DIE
- 10 INCH STOP
- THE REACTION BABY
DVD収録内容(初回盤のみ)
- SUPER SOUL MEETIN’
- 6人は南を目指す
- JUMP UP!SHINBASHI JUMP UP!
- 10 INCH STOMP
- あいつによろしく
- ブガルー超特急
- THE OUTRO
(予告編)
超!予告編 10th anniversary Special DVD Trailer
配信
PC 収録曲4月23日配信開始
着うた 収録曲4月23日配信開始
プロフィール
YOUR SONG IS GOOD
(ユア・ソング・イズ・グッド)
FRUITYのヴォーカルだったサイトウ“JxJx”ジュン(オルガン担当)と、NUTS & MILKのヨシザワ“モーリス”マサトモ(ギター)、シライシコウジ(ギター)、タナカ“ズィ~レイ”レイジ(ドラムス)らが結成したSCHOOL JACKETSが母体となり、1998年結成。2001年、ハットリ“ショーティ”ヤスヒコ、タカダ“ダ~タカ”ヒロユキが加入し現在の布陣に。一時期はポスト・ロックに傾倒していたりと試行錯誤を経て、ダンス・ミュージックをプレイすることに落ち着いた彼らは、その後、アツいライヴ・パフォーマンスで観客を集め、現在では野外フェスなどに引っ張りだこの存在に。4月23日にはセカンド・シングル『THE ReACTION E.P.』をリリース。5月3日の名古屋クラブクアトロを皮切りに、全国11ヶ所をまわるツアーを開催。各地、赤犬やSPECIAL OTHERS、サンボマスターなど多彩な対バンゲストを予定。東京は5月18日@渋谷クラブクアトロ(w/Frontier Backyard)