youstiインタビュー|元櫻坂46小林由依がソロアーティストデビュー、ネガティブも強がりも抱きしめて (2/2)

“好き”があふれる「one-sided love」、深夜の感覚を描く「Take Me Away」

──「one-sided love」はかわいらしい曲ですね。僕は歌詞を深読みする癖があるので、“推し活”文化への批評のようにも思えました。

最初に曲を聴いた印象がまさに「かわいい曲」で、好きがあふれ出してくるようなイメージが湧いたので、そこを自分なりに歌詞に落とし込んでいきました。その意味では推し活について歌った側面もあるけど、なんというか、私個人が発するメッセージとして書いたわけではないんですよね。

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──心境を比喩的に吐露したのではなく、あくまで「好きがあふれ出す」から連想して出てきた言葉たち、という感じですか?

そうですね。歌っている人も、書いている人も私だけど、すべてが私の意見として捉えてほしくない部分は大きくて。誰かの思いを代弁していたりもします。

──「Take Me Away」の歌詞はKohei Tsukadaさんとの共作になっています。

この曲は物語みたいなものを私が書いて、それをTsukadaさんに渡して音にはめてもらいました。夜っぽいイメージ。深夜に「なんかつまんない」と感じているけど、別に何が嫌というわけでもない。「つまんないのはなんでだろう?」みたいな感じを出したかったんです。自分の生活を顧みても、物事を深く考えるのって深夜が多くて。そういうとき「違う場所に連れていってほしい」という感覚になるので、それを表現しました。

──この曲で踊っている由依さんを見てみたいです。ご自身で振付をしたりはしないんですか?

まず「できないだろうな」という先入観があるんですよね。でも「Take Me Away」は踊ってみたい曲ではあります。

自分の歌の方向性をつかみたい

──「Shabon」はたくさんのミュージシャンや作詞家がクレジットされていますが、セッションで制作されたんですか?

いや、これも候補の中から選んだトラックの1つです。このトラックの感じがすごく好きだったので、歌詞の意味があんまり強くならないようにしたいなと思いました。

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──とはいえ、youstiの未完成な淡い魅力が表現されたリリックだと思いました。

そうですね。この曲はリズム重視にしたくて、作詞家の麦野優衣さんに「何も押し付けない曲にしたいんです」とお伝えしました。そこから麦野さんが私にインタビューしてくださって。「自分の考えとかそういうものって結局は人に伝わり切らない部分があるし、それを伝えようとするのもエゴだと思う。この曲に関してはそういうのは全部いらなくて、完全に音に身を任せるというか、シャボン玉みたいに飛んでいくような感じにしたい。透明なままで、色が付かなくていい」みたいなことをお話ししました。それを麦野さんがきれいにまとめてくださいました。

──「Shabon」も然りですが、今作は歌の表現の幅がすごく広いと思いました。

正直、私自身が自分の歌のカラーをあまりよくわかっていなくて(笑)。だからいろんな楽曲を歌ってみて、自分の方向性をつかめたらいいなと思って今回のEPではいろんなタイプの曲にチャレンジしてみました。

──「second choice」はまあまあハードなシチュエーションの失恋ソングですが、なぜこのテーマで歌おうと思ったんですか?

これは私の好きなドラマからインスピレーションを受けました(笑)。「女神降臨」と「ソンジェ背負って走れ」という韓国ドラマです。

──韓国ドラマって、最終的に結ばれる2人のほかに、ものすごくいいやつなのに報われないキャラクターが出てきますよね。

私はそういう2番手が好きなタイプなんです(笑)。私はけっこうドラマを観ていて、影響も受けているから、今後もドラマをテーマにした曲を書くかも。

──「sing for you」にはTHE BOYZやNCT 127の楽曲も手がけている海外のトラックメイカーが参加していますね。

これはファンソングです。ライブの最後のほうで歌うことをイメージして書きました。みんなと楽しく歌える曲にしたいなと思ったけど、仮歌が英語だったので、メロディに日本語をはめていくのがすごく大変でした。でも個人的にいい遊び感が出たかなと思っています。

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日常生活の中の心休まる瞬間になれたら

──ご自身の作品についてしっかり話していただきました。

なんか変な感じです。曲を聴いても私の声しかしないし。私は自分自身のことが好きなタイプではないから、自分であふれている空間に「うわー」となるときがめっちゃあるんですけど、「これがソロなんだ」と思いながら、それと戦っています(笑)。

──「それ」とは照れ?

というか、なんか、「こんなに私だらけで皆さん飽きないかな?」って。

──全然そんなことないですよ。

私としては、自分ばっかり出てくるものに対して「ちょっと飽きるな」と思っちゃうけど、スタッフさんやほかの方々は「いや、大丈夫だから!」とおっしゃってくださるので、その言葉を信じて(笑)。

──ちなみに今作で最も苦戦した曲は?

レコーディングに関しては、「Take Me Away」ですね。8時間ぐらいかかりました。先に録っていた「day dreamer」「Fake-Perfect」「one-sided love」は声を作れたんです。「day dreamer」は明るい声、「Fake-Perfect」はカッコいい声、「one-sided love」はかわいい声、みたいな。でも「Take Me Away」はキーが合いすぎていて、素の自分の声すぎるというか。

──素を出したくない?

トラックを聴いたときにイメージした青っぽい、寒色系の声に寄せたかったんです。まず1番を歌ってみたらしっくりこなくて、そこからわけがわからなくなっちゃいました(笑)。1時間くらい休憩して、もう何も考えずに2番を歌ってみたらいい感じだったので、そのイメージで録り直したら、納得できる仕上がりになりました。

──本作を聴いて、由依さんという人の一端を感じることができました。

いろんなタイプの曲があるので、「これ」と1つのイメージに絞るのではなく、youstiの多様な姿を見てもらえたらうれしいですね。

──ストレス過多な現代社会において、youstiはどんな存在でありたいですか?

世の中には心打たれる歌や考えさせられる歌がたくさんあって、そういうのも好きなんですけど、同時に肩の力を抜いて聴けるような音楽も好きなんです。「今日は難しいことを考えたくないな」とか、日常生活の中で疲れちゃったり、行き詰まっちゃったりしたときの心休まる瞬間になれたらいいなと思っています。

──最後に、櫻坂46の小林由依からソロアーティスト・youstiになった今、どんな心境ですか?

そんなに今までと変わらないかも。完全に切り離していないし、私自身もそこは求めてないんです。今の私を応援してくれている人たちは、これまでの私を好きだった人たちがほとんどだと思うので、「これからは一緒にyoustiというもの作っていけたらいいよね」という感じでやっていきたいと思っています。

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プロフィール

yousti(ユースティー)

2024年に櫻坂46を卒業した小林由依のソロプロジェクト。アーティスト名は由依(yui)と“現実逃避”の意味を持つオーストリッチ(ostrich)をかけ合わせた造語で、「がんばりすぎず、時には逃げて、身を委ねていこう」というメッセージと、「私(i)には、あなた(you)が、最上級(st)だ」というファンへの思いが込められている。2025年8月27日に1stミニアルバム「yousti」をリリースした。