大きな声では言えないけど、小さな声なら言える話
──今日ずっと汐見さんのささやき声を聞きながら、「大きい声では言えないけど 小さい声なら言える会」みたいでちょっと面白いんですけど。
君島 (笑)。見取り図さんのやつですね(テレビ朝日系「見取り図じゃん」の人気企画。見取り図とゲストが普段テレビで言えないような不満や疑問を小声で語り合う)。
──皆さんは今、大きな声では言えないけど、小さな声なら言える不満はありますか? 運営やアイドルシーン、メンバーなどに対して。
未白 そろそろカワイイ系アイドルの時代は終わっていいんじゃないかなと思っていて。
君島 声大きいよ!(笑)
未白 コロナ禍でロック系のアイドルがやりにくくなったときに、「カワイイ♡」って感じで見るアイドルが主流になったのかなって。(さらにいろいろと不満を述べたあとで)……これ絶対使わないでくださいよ?
──はい。
汐見 デジャヴかな? これ前回も言ってたような……。
君島 こういうこと言ってると対バンできなくなっちゃうよ(笑)。
黒坂 でも、ちょっとずつカワイイ系のアイドルさんのファンがyosugalaに来てくれるようになったよね。ちょっとずつだけど。
未白 みんな気付いちゃった?
黒坂 「かわいくってライブがカッコいいアイドルおるんや」って気付いてくれたんだよ(笑)。
──ほかに小声でなら言えそうなことはないですか?
汐見 ……ナメられてると感じることが多いですね。アイドルであるがゆえに。
未白 うん。でも私はアイドルが好きだから、アイドルのまま戦いたくて。アイドルという職業を下に見られるのがすごく嫌。アイドルもアーティストも変わんないじゃんって思うんです。
汐見 いろんな人から「yosugalaはこれからアーティストになっていくんだな」って言われるんですけど、ウチらこれからもずっとアイドルだし。ウチらはアイドルに誇りを持ってアイドルとしてやってるのに、そう言われると「私らがアイドルなの嫌なの?」みたいな。
未白 こだわってるわけじゃないんですよ。アイドルでいることもアーティストになることも。でも、そうやって言われるとなんかね、無意識に下に見てるのかなあって。たぶんそんな気はないと思うんですけどね。言ってる人は。
君島 無意識なのが逆にね。
──「もはやアイドルではない」「アイドルの域を超えた」みたいな言い方ありますよね。ただ、かつてそう言われた人たちが一気にブレイクした前例もあって。ももいろクローバーZとか、BiSHなんかもまさにそうですよね。そこで一気に、いわゆる“ドルヲタ”ではない客が付くという。その歴史を鑑みても、yosugalaはそういうことを言われそうなグループだなーとも思います(笑)。
未白 私たちは誇りを持ってアイドルをやっています。
──スタッフに言いたいことなどはないですか?
汐見 運営への不満とかはまったくなくて。いろんなチャンスをくれるので、小声で言うような不満は全然ない。
──メンバーへの不満もない?
汐見 最近はないですね。うん。(全員と顔を見合わせて)昔はあったけど、今はないかも。
未白 あ! 私、運営に不満あります。事務所が寒すぎる。しかも、なんであんな乾燥するの? 私、加湿器買ったんですけど、40%から上がんなくてマジ怖いよね。事務所引っ越してほしいです。もうちょっと私たちが稼げるようになったら。
君島 駅近にしてほしい。
未白 駅近にしてほしい!
黒坂 なんかちょっと暗いしね。
未白 暗い暗い! 暗いし古いし、床暖欲しいんだよ私。
──事務所自体の不満はめっちゃ饒舌ですね(笑)。事務所に全員で集まる機会がけっこう頻繁にあるってことですか? 話し合いをしたり。
汐見 いや、数カ月に1回くらいですけど、たまにプロデューサーたちに呼ばれて話し合いをします。
未白 「君はどう思ってる?」って1人ずつ聞かれます。去年の年末にそれがあって、そこでけっこうハッとして、めっちゃ危機感を感じました。現状維持に甘えてたというか。お給料的にも現状維持で別に満足してた。でも年末の話し合いで、数カ月後、何年後のことを考えて「ちょっとヤバいかも」って思うようになりました。LINE CUBEの2カ月前で、「このままだと埋まんないよ。当事者意識持ってる?」って言われたとき、私は「どうせ埋まる」ってどこかで思ってたなって。
汐見 1個1個のがんばりが明確に何かにつながっているという実感がなかったから、LINE CUBEもどこか夢の話のように思っちゃっていた節があって。消極的に過ごしちゃってたかもな、とそのときにすごく感じたんです。そこで「最近君たちよくないよ」とハッキリ言われたことによって、逆に「ちゃんとがんばったら結果がついてくる」とも思えた。1個1個コツコツやんなきゃなと思いました。ウチらの気が抜けてたときに的確なことを言ってくれたから、すごく感謝しています。
yosugalaにとっての“最高到達点”は?
──今現在のyosugalaが考える“最高到達点”ってどこなんですかね。ライブの規模とかだけじゃなく、ここをこう極めた状態がyosugalaにとっての最高到達点だ、という。
汐見 どうなんだろう……あまり考えたことなかったな。
未白 「yosugalaと言えば」みたいなものが、最初から私たちはガチガチに決めてなかったから……なんだろうな、もうちょっと背景が見えるようにしたい。自分たちの後ろに。なんかボヤボヤしてるんですよ。フリーダムさが売りだとか自分たちでは思ってたから、LINE CUBEのようにライブに演出が加わったりすると、固められちゃたことによるマイナス点もあったかなと思っていて。
──“魅せるyosugala”と“自由なyosugala”の折り合いがつかない?
未白 それを自分たちの中でどう咀嚼して、今までやってきたこととどう組み合わせていくか。それができるようになったら、もっと伸びるんじゃないかと思います。
汐見 でもすごく思うのは、それを考えすぎるとウチらのよさって死んじゃうかもなって。対バンのときなんかはすごくがむしゃらで「何がなんでもここにいるお客さん全員にワンマンのチケット買わせる」くらいの気持ちで挑んでるけど、あまり考えちゃうときっとよくないんですよ。無心になれたらいいんだけど、どうやったらなれるのか。
──なるほど。無心でステージに立って、決まっているのは曲目くらいで、あとはもう身を任せていればいくらでも表現できるという。それが4人にとっての最高到達点?
汐見 無心でがむしゃらにやるのと演出をしっかり見せていくのと、その折り合いがうまくつけられるようになったら、いい化学反応が起きると思いますね。
君島 考えつつ、がむしゃら感を残しつつ楽しめたらいいよね。
未白 うん。まずは演出ありのライブの場数を踏みたいですね。慣れたい。
君島 ホントそう! 慣れたい。
──yosugalaのライブはこれまでのライブハウス公演でも映像を作り込んでいたし、しっかり演出されている印象があったから、もしかしたら観客はそこまで大きな違いを感じなかったかもしれないです。
汐見 戸惑ってましたね。フリーズしそうになりました。
未白 でも、ちょっと気にしすぎた感じはあったかも。真面目すぎた。リハは真面目にやっておいて、本番は何も考えないくらいがいいかもしれない。
黒坂 そうだね。きれいすぎると個性が死ぬんだな、とはちょっと思いました。
汐見 それがわかっただけでも収穫だよね。
──メンバーだけじゃなく、ERENさんも「ここのギターソロでここに移動してください」とか指示があったんだろうな……と想像しながら見てました(笑)。
未白 あはははは! その通り。「ちょっと目を合わせてください」とか言われてました(笑)。
汐見 ERENさんは真面目な人だから、そういうときもカッチリ動くよね。見ててかわいかった(笑)。
黒坂 でも台に上がって演奏してるときだけすごく自由で、「これがライブだな」と思いました。
──野音は規模も大きいしバンドと息を合わせる必要があるし、もちろん大変なことは多いでしょうけど、あの会場ならではの開放感やムードは間違いなくyosugalaにとってアドバンテージとして働くと思いますよ。6月の17時開演だと、夕暮れ時からスタートして夜にかけてですね。セットリストもそのへん踏まえて考えることになるでしょうし。
未白 あー、「canvas」は夕方のうちにやりたい(笑)。「Indigo」は最後のほうにやりたいですね。
汐見 うん。最後に「僕たちの未来へ」って歌いたい。
未白 そうそう。藍色の空の下で歌いたいでしょ?
公演情報
yosugala presents -DREAMSCAPE-
- 2025年3月4日(火)東京都 Spotify O-EAST
<出演者>
yosugala / GANG PARADE - 2025年3月22日(土)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
<出演者>
yosugala / 清 竜人25 - 2025年3月23日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
<出演者>
yosugala / ファントムシータ
progress the night -日比谷公園大音楽堂-
- 2025年6月22日(日)東京都 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)
yosugala tour 2025
- 2025年6月28日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
- 2025年6月29日(日)大阪府 GORILLA HALL OSAKA
- 2025年7月5日(土)福岡県 DRUM Be-1
- 2025年7月6日(日)香川県 DIME
- 2025年7月11日(金)愛知県 ElectricLadyLand
- 2025年7月13日(日)宮城県 darwin
- 2025年7月19日(土)北海道 小樽GOLDSTONE
- 2025年7月21日(月・祝)北海道 札幌PENNY LANE24
- 2025年7月25日(金)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
プロフィール
yosugala(ヨスガラ)
黒坂未来、汐見まとい、未白ちあ、君島凪の4人からなるアイドルグループ。PassCodeらが所属する事務所・we-B studiosと、uijinを手がけていた事務所sakebiによるプロジェクト・WEXSが運営するグループとして2022年6月に活動を開始し、同年7月にはデビューシングル「prologue」を配信リリースした。その後もコンスタントに楽曲発表とライブを重ね、2023年5月には1stアルバム「ヨモスガラ」を発表。ワンマンライブや主催ライブは軒並みソールドアウトする人気を博し、同年12月には東京・LIQUIDROOMでのワンマンライブを大成功に収めた。2025年2月、初のホール公演にして初のバンドセットでのワンマンライブ「progress the night」を東京・LINE CUBE SHIBUYAで開催。このステージ上で、6月22日に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)でワンマンライブを行い、6月末から7月にかけて全国9会場を回るワンマンツアーを開催することを発表した。