yosugalaが6月22日に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)でワンマンライブ「progress the night -日比谷公園大音楽堂-」を開催することが決定した。
およそ1年前、音楽ナタリーではアイドルシーンで注目度高まるyosugalaの初インタビューを掲載した(参照:yosugalaロングインタビュー|アイドルシーンを駆け上がるニューカマー、2ndアルバム携え全国へ)。このインタビューで、東京・LIQUIDROOMでのワンマンライブを成功に終えたばかりのメンバー4人は野音について言及。「建て替えが延期になったのならワンマンをやってみたい」「でも野音のステージに立つyosugalaはまだくっきりとイメージできない」と話していた。その野音ワンマンが現実となった今、4人にとって「野音に立つyosugala」はリアルなものになっているのか?
2月中旬、初のホール公演にして初のバンドセットによるワンマンライブ(参照:yosugalaホールで初のバンドワンマン「みんなの喜怒哀楽が力になる」)を終えたばかりの黒坂未来、汐見まとい、未白ちあ、君島凪に話を聞き、1年前に行ったインタビューでの発言の“答え合わせ”をしてもらった。
取材・文 / 臼杵成晃撮影 / Masayo
初挑戦ホール&バンドセット公演の裏側、4人の心境は
──前回のインタビューがちょうど1年ほど前で、yosugalaの注目度も期待値も高まっているタイミングでした。その「期待値」の部分にはしっかり応えられた1年だったんじゃないかと思いますが、皆さん自身としては達成度はどの程度なのか。今日はその擦り合わせ、答え合わせをしましょう。
黒坂未来 前回のインタビューで、野音の話をしてましたよね。
──あー、そうですね。野音は建て替えが延期になったので間に合うなら立ってみたい……と話していたことが今年6月に実現の運びとなりました(参照:yosugala初の野外コンサートを日比谷野音で開催、全国9都市回るツアーも)。先日、初のホール公演が成功に終わったというタイミングですけど、LINE CUBE SHIBUYAのステージは自己評価としていかがでしょう?
未白ちあ うーん、実力的にはギリギリだったのかなと思います。会場を埋めるのもギリギリだったし、自分たちのパフォーマンスを3階席まで届けるとなると……それもギリギリだったかなって。今の私たちにできるギリギリ最大規模。課題はいっぱい見つかりました。
汐見まとい 自分はとにかく悔しかったですね……こんな声ですみません(かすれたささやき声で)。
──ライブが進むにつれて声がカスカスになってましたね。
汐見 少し前から体調を崩していて。通しリハもみんなに協力してもらってなるべく声を出さないようにしていたんですけど、当日のリハで声が出なくて……ライブの前半は正直パニックでした。あまり記憶がないくらい……いやあ、悔しかったですね。ファンの人たちもチケットが完売するようにSNSで宣伝したり、すっごい協力してくれたのに。申し訳ないという気持ちが強いです。リベンジしたい。でも、一方で手応えはすごく感じました。まだまだできることはいっぱいあるなって思いましたね。
黒坂 私も今までのライブの中で一番の手応えがありましたけど、もうちょっとできることがあったな、という気持ちと半々ですね。
君島凪 反省点はめっちゃあります。3階席まである2000人キャパのライブなんて初めてだったので、全員にパフォーマンスをちゃんと届けるのは難しいなと思いました。ただ……最近、緊張でライブを全然楽しめてなかったんですけど、LINE CUBEはひさしぶりにすごく楽しかったんですよ。
──それまでのライブで緊張していたのはなぜ?
君島 だんだん規模が大きくなっていくにつれ、怖くなってきて。
──「期待に見合っているんだろうか、自分は」みたいな。
君島 はい。LINE CUBEは、ステージでの立ち位置がいつもと違ったり、初めてのバンドセットということで、「これだけいろんな演出があれば、みんな喜んでくれるだろうな」という自信があったんだと思います。
未白 演出面で慣れないことが多かったので、私は楽しむ気持ちよりも準備とかに頭を使っちゃって。今までは、平地というか(笑)、何もないステージ上でファンの人とお互いに顔を合わせるのがライブ、という感じだったけど、この規模になると1人ひとりの顔がしっかり見えなくなった分「一緒に楽しむ」から「見せて楽しませる」にシフトチェンジしなくちゃいけない。これに慣れていかないと……。
──確かに、LINE CUBE公演は初のバンドセットというのが1つの注目ポイントでしたが、段差を入れた立体的なステージでの演出も大きな挑戦ですよね。プロ仕様というか、メジャー感のある演出で。ここで登場してここに移動、という演出的指示がいくつもあったんだろうなと。
汐見 そうなんですよ。事前に修学旅行のしおりみたいな分厚い資料を渡されて(笑)。通しリハも5回くらいやったのかな。頭に入れるのも精一杯。
──見てる分にはこれまで以上に華やかだし楽しいんですけど、演者側の立場を想像したらむちゃくちゃ大変だろうなと思うんですよ。そもそもアイドルは歌いながら立ち位置を考えたり大変だな……と“平地”のライブハウス公演でも思うところ、立体的なホールのステージではさらに複雑な動きがあって。
汐見 これまでなだらかにステップアップしてきたところから、急にボン!と求められるレベルが跳ね上がったような感じがありました。
──バンドセットに関しては、yosugalaの音楽はもともと生演奏が合うだろうと思っていましたけど、案の定という感じでしたね。楽曲の魅力がしっかり増幅していたように思います。
黒坂 はい。LINE CUBEはバンドの皆さんに助けられた部分がめちゃめちゃ大きいと思います。
汐見 やるまではオケから生演奏に変わる不安があったんですけど、リハの段階から「歌いにくい」と感じるメンバーは1人もいませんでしたね。ライブでギターを弾いてくれたEREN(AliA)さんが作った楽曲が多いからなのか、生演奏になったからといってガラッと変わるわけじゃなく、そのままバージョンアップした、という印象で。まったく違和感はなくて、ただ「カッケえ!」って感じでしたね。
君島 バンドの皆さんの技術力が高いからというのもあるかも。
汐見 ああ、そうだね。
未白 うん。でも4人じゃなくて8人でリズムを合わせなきゃいけなくなったから、そこは難しいなって感じました。
──そのあたりはこれから慣れていくのかなと思いますが、yosugalaとしては引き続きバンドセットをやっていきたい?
汐見 はい。続けていきたいですね。
基礎力とメンバーへの信頼度が高まった1年
──実際、yosugalaに対する期待値に対して、皆さん自身はどのくらい応えられていると思いますか?
汐見 どうなんだろう……そもそも、どのくらい期待されてるんだろう? 私たちはただがむしゃらだったからなあ。
未白 この1年はすごく基礎力を蓄えた感じがあって。ここからどんどん、1年で蓄えたものをちゃんと売りに出せるようにというか、知っていただけるようにしないとなと思っています。
──どのあたりが上がったと感じますか?
未白 基礎歌唱力とかダンス、あとは臨機応変に動いたりとか、楽しむポテンシャルとか……全体的に1段ぐらいは上がったと思います。どうですか?
汐見 うん。対応力とかはマジで上がったと思う。メンバーが欠けたときにうまく対応したり、ハコによってパフォーマンスを変えたり。この1年はそういうことが多かったので、それで培われたものなのかな。
黒坂 それ、私はLINE CUBEで実感しました。1年で培ってきたことをライブに反映できた。蓄えてきたもので対応できたことが多かったなと感じました。
──メンバーそれぞれの個人的な変化、成長はお互いどのように感じていますか?
汐見 みんな大人になったと思います(笑)。あと、ほかのメンバーへの信頼度がめっちゃ上がった。もし自分が折れたり欠けたりしても、きっとこのメンバーなら支えてくれるだろうなっていう気持ちがある。それは甘えてるんじゃなくて、信頼してるって意味で。だから自分もがんばれるし。
──それはなぜなんでしょうね。長く一緒にやっているうちに自然と?
汐見 自分もがんばってきたし、ほかのメンバーががんばってるのもずっと一緒にいると見えるから、自然と信頼できるようになった。これまで信頼してなかったわけじゃないけど、自分1人で「がんばらなきゃ」と抱えていた気持ちが、「4人でがんばっていくぞ」に変わっていったというか。
──ケンカするようなことはないんですか?
未白 2日に1回くらい。
君島 そんなに?(笑)
汐見 ケンカするときはしますけど(笑)、意味のないケンカはしない。無意味に関係が悪化するんじゃなくて、ケンカが終わったあとにどこかしら補強されてる感じ。
未白 昔よりは減りましたね。昔はまといとめっちゃケンカしてたんですけど。
君島 えへへへへへ。かわいい(笑)。
未白 大ゲンカってわけじゃなくて、毎日小さいことで揉めたりしたんですよ。全然ないですもん、最近。
君島 揉めてたって何?
未白 凪はあんまり見てないし、そもそも凪はあんまり気にしてない。
君島 確かに。私は「ケンカとか全然ないなー」って思ってた(笑)。
メンバー個人の変化は
──個人個人の変化はどうですか? 僕は未白さんが一番変化したように感じるんですが、それは去年の春に大学を卒業して学生じゃなくなったことも大きいのかなと。
未白 それはめちゃめちゃあります。大人になったかも。去年は卒業制作とかあってめっちゃ太ってたんですよ(笑)。大学を卒業してから見た目も大人になったし、心にも余裕ができたし、みたいな。それは自分でも大きいなと思う。
──君島さんは個人でナタリー主催の大喜利大会にも出てもらいましたし(参照:アイドル大喜利大会「おもカワ」で8名激突!“おも”と“カワ”を合わせ持つニュースターここに誕生)、活動の幅も認知度も広まってきたと思いますが……まだ親にはアイドル活動をしていることを話していない?
君島 はい。まだ知られずにいけてます。
──活躍すればするほど知られる身バレ率は上がるわけじゃないですか(笑)。そのへんどう踏ん切りを付けるんですか?
未白 親は絶対気付いてると思うけどね。
汐見 うん。気付いてないフリをしてくれているだけだよ。
君島 いや、気付いてないと思うよ?
黒坂 少なくとも正社員ではないと思ってるよ。
──え、どんな仕事をしているという話になってるんですか?
君島 「大学生の頃バイトしてた広告会社にそのまま雇ってもらった」って。
──カミングアウトしてしまえば、気持ちにも変化が出てきそうですけどね。
未白 キャパ何人になったら言うの?
君島 何人になっても言わないよ。
汐見 でもさ、バレても直接じゃなくてヌルッと言われるよ。「わかってますよ」ってことをカミングアウトされる。ウチがそうだったからさ。前置きなくヌルッと「あんたの入ってるグループさあ」みたいな話されるから。
君島 ……怖くて実家に帰れない(笑)。
──(笑)。4人の中では黒坂さんが一番安定してしっかりしている印象があって。逆に言うと黒坂さんが崩れたらグループ総崩れになってしまうのではないかというくらい。
黒坂 そう見えるだけですよ。安定してないわけじゃないんですけど、ほかの3人のキャラが濃すぎて普通に見えているだけで。
汐見 うん。未来ちゃんも普通じゃない(笑)。
──3人が暴走しても黒坂さんが安定していれば大丈夫、という見え方だったんですけど、そうでもない?
君島 うん(笑)。
──汐見さんは歌はもちろん言葉にも力があって、なんというか、カリスマ具合がエグい。そこは変わらない印象なんですが、1年前はそれがもっと極端に出ていた印象で。カリスマ性が突出しすぎるとグループとしてのバランスが悪くなりますけど、yosugalaは4人のバランスがよくて。汐見さん自身、メンバーに委ねる部分が大きくなってきたのかなと。
汐見 めっちゃ思います。それは。
──ファンの人たちも感じているであろうことをズバッと言語化して伝える発信力が汐見さんは高くて、それがyosugalaの武器にもなっていると思います。MCでは相変わらずいいこと言うなあと思いますし、発言がちょくちょくSNSでバズってますよね。
汐見 恥ずかしい……デビュー前の発言とかスクショで切り抜かれて載せられたりするんですよ。
未白 まといがバズってるの見て、怖くて消したもん。自分のデビュー前の発言(笑)。
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