吉田山田|吉田の「変」と山田の「変」

吉田結威(G, Vo)ソロインタビュー

山田は今、一番変化している

──今作のアルバムタイトルが「変身」ということもあり、今回は1人ひとりのソロインタビューで吉田山田の変化を浮き彫りにできればと思っています。ライブで吉田さんは「相方の変化に気付くことで自分の変化にも気付けた」とおっしゃっていました。吉田さんが感じる山田さんの変化はどういうものですか?

吉田結威(G, Vo)

山田と出会ってからもう15年近く経つんですけど、僕から見て今が一番変化している時期だと思っているんです。一番わかりやすい変化は“歌う”ってことを頭で考えるようになったことですね。

──これまではもっと感覚的に歌っていたと。

そうですね。ある種の才能ではあるんですけど、これまで山田は思うがままに歌うだけで評価されてきたし、山田自身もそれで満足していた部分があったと思うんです。でもデビューして8年やってきて「もう1段階、ステップアップしたい」って思ったときに、才能に頼ってるだけだと限界が来るんですよね。例えばライブでうまくいかなかったとき、今までの山田って「なんかわからないけど今日はうまく歌えなかった」っていうようなタイプだった。だけど今は「今回はココがよくなかったからこうなった。次はこうやってみよう」って振り返ったり、レコーディングのときは歌い方を変えて録ってみて一緒にどっちがいいか考えたりするようになりました。すごくやりにくそうですけどね。レコーディングもすごく時間がかかるようになりましたし。なので最近はライブも変わってきました。

──ライブはどう変わりましたか?

傍から見てて「あ、頭で考えて歌ってるな」って僕はわかるんですよ。それと今ツアー中なんですけど、山田が「すごく楽しい」と言っていて。なんでだろうって考えたときに、おそらく自分で課題を決めてライブの本番を迎えて、そして次につながるように取り組んでる。そういうツアーの取り組み方ができてるし、それがうまくいってるんだろうなって思ってます。僕らは「変身」ってアルバムを出すわけですけれど、まだ実は変化の“序章”の部分にいて、このツアーを経て山田は大きく変わるし、これから先、来年のライブを経てもっと変われるのかなって思ってます。

“吉田と山田”から“吉田山田”へ

吉田結威(G, Vo)

──山田さんが変わっていく中で、吉田さん自身に何か変化はありますか?

僕と山田は同い年なんですけど、お互いに何か意見し合うのってけっこう難しいんですよ。例えば僕が何か山田に指摘したとして、どうしてもちょっと偉そうに聞こえちゃうんですよね。ある日今作のアレンジをお願いしたアレンジャーの涌井(啓一)くんが「吉田山田をもう1歩先に進めるんだったら、吉田くんはもっとプロデューサー的な目線を持たないといけない」と言ってくれて。僕がそうしたいからと言うより、僕自身、吉田山田のためにちゃんと思ったことを伝えることができるようになったし、山田もそれを素直に受け入れてくれるようになった。だから最近、僕個人の思いとかは全然口にしなくなったし、あまり意識もしないようになりました。吉田山田のために必要なことは何か考えて、吉田山田のためになることをする。それは僕の大きな変化ですね。

──山田さんの変化と吉田さんの変化が合わさって、吉田山田というユニットはどう変わりましたか?

実は僕、今年初めて吉田山田になれた感覚があるんです。今まではどこかそれぞれに自尊心があって、ユニットをやっている中で「自分が目指したカッコいい姿を吉田山田の中でやれているか」みたいな思いがお互いにあって、“吉田と山田”って感じだった。でも今は2人共意識が変わって「自分としてどうかより、吉田山田としてどうか」ってことを最優先で考えるようになって、ようやく吉田山田になれたんです。僕らはデビューから8年が経つんですけど「10周年に向けて最高の形で活動を上向きにしていきたい」って同じ目標を持っているから、今、僕らはあんまりブレてない自覚があるんです。10周年に向かっていく吉田山田としてアリかどうか、それを2人で話すだけですからすごくシンプルになりました。