初年度に出ていたバンドに帰ってきてほしい
──Wiennersは初年度ぶり。ひさしぶりの「YON FES」ですね。
GEN Wiennersはメンバーみんな好きで、毎年呼びたいくらいなんですけど、事務所が一緒なので「事務所が一緒だからだ」と思われると嫌だなと思って。僕ら、そういう癒着が嫌いで、同じ事務所や同郷のバンドに厳しくなっちゃうんですよ。でも今年は1年目のつもりなので、初年度に出ていたバンドに帰ってきてほしいという気持ちで、Wiennersに出てもらうことにしました。
──なるほど。
GEN しかも、僕的に1年目のWiennersのライブがあんまりよくなくて……。本人たちには言ってなかったんですけど、同じように思っていたみたいで、今回誘ったら「1年目の借りを返す!」と返事をくれました。気持ちの入ったライブをしてくれると思うので、Wiennersの本来のカッコよさでバンドマンをひっくり返してほしいですね。
──東京スカパラダイスオーケストラも2017年以来で、「YON FES」にはひさしぶりの出演ですね。オンラインイベント「マツリー vol.2」内で生配信されたライブ「PARADISE BOX」ではGENさんがスカパラとコラボパフォーマンスを披露されていましたが、いかがでしたか?(参照:スカパラが「PARADISE BOX」の中で描いた彩り豊かな世界、04LS・GENと熱狂の配信ライブ)
GEN 知ってるつもりではいましたが、改めて演奏力の高さにびっくりしました。「これ、生でやってるんだもんな」「これがプロだな」と思わされましたね。それを何十年もやっているのに、僕みたいな後輩にも気さくで。こういう先輩になりたいなと思いましたし、そう思わせてくれる存在がいるというのは心強いなと。
──2017年のスカパラのステージでは出演者が次々と登場した、まるでフィナーレのようなステージが印象的でしたが、今年はどんなステージを期待しますか?
GEN スカパラが出る2日目は特に、普段交わらないようなアーティストが並ぶ、組み合わせの面白い日。そこに、言語もシーンも飛び越えるノーボーダーなスカパラ先輩がいることで、いい感じに混ざったらいいなと思いますね。混ざらなくてもいいんですけど、面白くなったらいいなと。
刺激を与え合ってロックシーンを活性化したい
──パンクバンドが多い1日目はどんな1日になりそうですか?「YON FES」初出演のアーティストが多いですね。
GEN そうか、この日は半分以上が「YON FES」初出演なんですね。俺ら的にはしっくりくるけど、そう思うと新しさもある1日になりそう。
RYU-TA 個人的には、Track'sのライブが特に楽しみです。2018年にツアーに出てもらって以来ライブを観ていなくて。最近は曲の感じも変わったし、どんなライブをするのか気になります。
GEN あとSuspended 4thは、演奏力は誰もが認めるほどピカイチですけど、僕は彼らにはバンドマンシップが足りないと思っていて。この「YON FES」でそれを教えたいと思っています。バンドマンシップを教えるにはもってこいの場所なので(笑)。
──バンドマンシップという言葉が出ましたが、04 Limited Sazabysの交友関係やメンバーの皆さんの好きな音楽を考えると、「YON FES」にもっとラッパーやシンガーソングライターがラインナップされてもおかしくないのではと感じました。これまでの出演者は基本的にはバンドがメインですよね。そこには何か意図があるのでしょうか?
GEN 確かにそうですね。そう思うと、もうちょっと自分の中のサブカル要素を足したいような気持ちにもなります。でも別に意図的だったわけじゃなくて、自然と今年はバンド色強め、ライブハウス感強めになった感じで。
──それはどうしてだと思いますか?
GEN うーん……。ヒップホップも好きだし、アイドルも好きだし、音楽をやっている人はみんなリスペクトしていますけど、やっぱり僕はバンドが好きなので、そのカッコよさを伝える存在でいたいという気持ちがあるからかな。「YON FES」の出演者に関しては、特に意識しているわけではないんですけどね。あとは、コロナ禍のこの2年、ロックバンドが活動しづらい状況にあった気がして。「ロックバンドの反撃をしたい」みたいな気持ちは強いかもしれない。
──それこそ「YON FES」の出演者もそうですし、若手バンドとのツーマンライブ「Human Communication tour 2022」(参照:フォーリミ対バンツアーにTENDOUJI、Maki、KUZIRA、KALMA、FOMARE、kobore)の対バン相手もそうですが、コロナ禍で対バンライブやイベントの数が減っている中で、新たなバンドとの出会いも減ってきていると思うので、そこはどうしているのかということも、今回お伺いしたかったんです。
GEN そうですね。僕は以前より積極的にチェックするようになりました。人に聞いたり、紹介してもらったり。あとは名古屋に行ったとき後輩がそのまた後輩を連れてきてくれることもありますね。正直めんどくさいなと思うこともあるんですけど(笑)、やっぱり名古屋にまだまだ僕らが知らないバンドがいることがうれしい。でも本当に、この2年くらいって若手バンドにとっては活動しづらい世の中だったと思うんですよ。フェスにしたって、これまでは注目の若手がフックアップされて「そこで爪痕を残せるか」みたいなことがありましたけど、若手枠自体が減ってしまっていて。そういう意味でも「YON FES」はバンドの風通しをよくするようなフェスにできたらいいなと思っています。
──「YON FES」は出演者数も例年と同じですもんね。
GEN はい、そこは固辞しました。
──では最後に、改めて3年ぶりの開催となる今年の「YON FES」への意気込みを聞かせてください。
RYU-TA 3年ぶりということで、とにかく僕たち自身が楽しみたい。楽しんで、最後まで作り上げられたらと思っています。
HIROKAZ ひさしぶりに重たいバトンが回ってくるので、がんばらないとなと思います。あとはシンプルに晴れてほしい!
KOUHEI 最初にも言った通り、初年度を思い出しつつ、自分も「YON FES」を思い出しつつ楽しめたらと思っています。2年って短いようで、意外と「ここってどうだったっけ?」と忘れているような場面もけっこうあるので、感覚を取り戻しつつ。あとは無事に開催できることを祈っています。
GEN HIROKAZが「重たいバトン」という言い方をしましたけど、本当にそうで。「YON FES」って、周りの刺激を受けて自分たちが成長できる日なんです。対バンにとってもそうなるといいなと思っているので、刺激を与え合ってロックシーンを活性化できればと思っています。同時に、4月で今年度のフェスのスタートでもあるので、今年のフェスのムードを「YON FES」で勢い付けられたらと思っていて。少しでも何か前に進められたらと思っています。
プロフィール
04 Limited Sazabys(フォーリミテッドサザビーズ)
2008年に愛知県名古屋市にて結成された、GEN(B, Vo)、HIROKAZ(G)、RYU-TA(G, Cho)、KOUHEI(Dr, Cho)によるロックバンド。2013年5月に発表した2ndミニアルバム「sonor」より日本語詞を多く取り入れ、楽曲の幅を広げる。メロディックパンクやギターロック、ラウドロックなど、さまざまなジャンルのバンドと競演を重ね、2014年2月に3rdミニアルバム「monolith」、同年9月に1stシングル「YON」をリリース。2015年4月に1stフルアルバム「CAVU」を日本コロムビアから発売し、メジャーデビューを果たした。2016年4月に初の主催フェス「YON FES 2016」、2017年2月に初の東京・日本武道館公演を成功に収めた。2018年4月から5月にかけては、バンドの結成10周年を記念したライブ「04 Limited Sazabys 10th Anniversary Live」を実施。2019年9月には埼玉・さいたまスーパーアリーナで初の単独公演「YON EXPO」を開催した。2021年11月には千葉・幕張メッセでワンマンライブ「YON EXPO'21」を開催し、この模様を収録したライブBlu-ray / DVD「YON EXPO'21」が、2022年3月30日にバンドのオフィシャルWebストア「Yon Express」限定でリリースされる。
04 Limited Sazabys OFFICIAL WEB SITE