yonawo|メンバー個々のこだわりを作品に バンドの今を詰め込んだ1stアルバム

それぞれのインプットを作品に

──「good job」は歌詞の言い回しが“なのよ調”なのも印象的でした。つまり、歌詞の語り手のジェンダーがほかの曲とは違うのかなと。

荒谷 それ、今言われて気付きました(笑)。確かにそうとも受け取れますね。僕としては別の人物というよりは、“1つの大きな私”から派生していろんな物語が生まれていくようなイメージなんですけど、曲によって人物が変わっているように聴こえるのだとしたら、それはそれでめちゃくちゃうれしいですね。

田中慧(B)

田中 俺、「麗らか」はおじいちゃんが過去に思いを馳せている曲なのかと思ってた。

荒谷 なるほど。もしかすると亡くなってる人かもしれないよね。

──「麗らか」の節回しは1970年代のフォークソングみたいですよね。

荒谷 俺も歌いながらそう思いました(笑)。青空の下で歌ってるイメージで書いたメロディなんですけど、僕は昔のフォークも好きだからきっと影響はあるんだと思います。

──yonawoの楽曲って、皆さんがリスナーとして吸収したものがしっかりアウトプットにつながってますよね。間違いなくそこはバンドとしての強みだと思うのですが、最近はどんな音楽に関心を向けてますか?

荒谷 Pinegroveじゃない?

斉藤 そうだね。The 1975の「The Birthday Party」の歌詞にPinegroveの名前が出てくるんですけど、実際にあの曲のアレンジってPinegroveそっくりで。僕はそれに触発されてラップスティールを買いました(笑)。

田中 俺はとにかくPortisheadの「Dummy」(1994年に発売されたPortisheadのデビューアルバム)に惚れ込んでいて、それこそ最初に聴いたときに「なんやこれ!?」と衝撃を受けて、もうずっとハマりっぱなしですね。なんというか、あのアルバムってバンドの主張というよりは、もはや映画のサントラみたいなんですよ。それは荒ちゃんの曲との共通点でもあると思っていて。今作で言うと「cart pool」のトラックは僕が作ったんですけど、あの曲にはいわゆるトリップホップの影響も表れていると思います。

野元喬文(Dr)

野元 「cart pool」はドラムパターンがけっこう複雑だよね。バスドラを2種類使っていたり、ずっとループしていたり、そのへんもトリップホップに通じるところがあるんじゃないかな。

田中 うん、トリップホップの陶酔感、沈み込んでいくような感覚を自分の音に取り入れたかったというのはありますね。

野元 僕は最近だとHONNEの「no song without you」をよく聴いてました。あのアルバムのリズムパターンが、シンプルだけど癖になるというか。音色もいいんですよね。丸みのあるバスとか、凹んだ感じのスネアがものすごく僕の好みで。あとはスティーヴ・レイシーやカリ・ウチスのドラムパターンも面白いのがけっこうあって、そのへんは今作を作るうえで何かしらの影響を受けているかもしれないです。

斉藤 俺はマック・ミラーの新作も大きいかな。あのアルバムに入ってる、後ろでずっとコーラスが鳴っている曲がすごくよくて、その影響で「蒲公英」にコーラスを入れたりしたので。

野元 とにかく今回はそれぞれやりたいようにやった感があるよね。ライブで再現するのはちょっと大変そうだけど(笑)。

斉藤 確かに今回はライブじゃできないようなことばかりやってるね(笑)。

消費されない作品作り

──収録曲が今後のライブでどう演奏されるのか、とても楽しみです。一方で今年はコロナ禍の影響もあってライブの開催にもいまだ制限がかかっています。それこそコロナ禍以前のように活動するのは難しい状況ですが、今後についてはどのような展望を抱いていますか?

斉藤 先のことは想像がつかないけど、現時点でツアーが決まっていますし、とにかく今やれることをやりたいですね。

荒谷 うん。これからまた作品を作ることになると思うんですけど、変な意味で急ぎたくないというか、消費されたくないんですよね。コロナ云々は関係なく、そこは大事にしていきたいです。

斉藤 その時々で作ったものを大事にしたいよね。

──現在のyonawoは福岡を拠点にプロモーションを展開していますよね。地元で活動していくことへの思いも、今また強くなっているのでは?

斉藤 そうですね。僕らはこの先もずっと福岡を拠点にやっていきたいと思ってます。それに今はプライベートスタジオの物件を探してるところで、そのスタジオができたら、すべて自分たちでレコーディングが完結できる環境にしたいなと。

荒谷 うん、今目指してるのはそこだね。その目標は実現させたいと思っています。

ライブ情報

yonawo 1st full album「明日は当然来ないでしょ」release one man live tour
  • 2020年11月22日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2020年11月23日(月・祝)大阪府 BIGCAT
  • 2020年11月28日(土)北海道 BESSIE HALL
  • 2020年12月20日(日)福岡県 BEAT STATION
  • 2020年12月23日(水)東京都 TSUTAYA O-EAST
yonawo
荒谷翔大(Vo)
ジャケット:SHO NAGATA シャツ:FUJI パンツ:saby リング:20/80 チェーン:KAIKO その他:スタイリスト私物
斉藤雄哉(G)
ジャケット:SEVEN BY SEVEN トップス:COGNOMEN パンツ:SEVEN BY SEVEN ソックス:Name. シューズ:ASICS Runwalk その他:スタイリスト私物
田中慧(B)
ジャケット:DISCOVERED パンツ:FACTOTUM シューズ:Keds ソックス:Name. その他:スタイリスト私物
野元喬文(Dr)
ニット:DISCOVERED インナー:[Milok] パンツ:COGNOMEN シューズ:space craft