──本日は撮影お疲れさまでした。1日を振り返って、改めていかがでしたか？

とても濃い1日でした！ 初めて経験することばかりで、Roverさんからもたくさん勉強させていただきました。

──和やかに談笑していたと思いきや、撮影が始まるとすぐにシリアスな表情で楽曲の世界に入り込む姿が印象的でした。撮影中はどんなことを考えていたんですか？

この曲で歌われている相手は、別れてしまった恋人なのか、今はもうそばにいない誰かなのか……聴いた人がいろいろ想像できる部分だと思うんです。だからMVを見た人それぞれが物語を想像しやすいような、さまざまな表情を見せることを意識しました。

──MV撮影ならではの難しさはありましたか？

台本やセリフがないので、そこが芝居との一番の違いですね。見せ方が無限にあるので難しいですけど、自分なりの表現をできたかなと思います。

──横浜さんは映画「キセキ ーあの日のソビトー」でGReeeeNの前身グループ・グリーンボーイズを演じた際、菅田将暉さん、成田凌さん、杉野遥亮さんと共にCDデビューをされています。今回、改めてソロアーティストとしてデビューが決まったときの率直な気持ちを教えてください。

まずはとにかく驚きました。もともと音楽を聴くのはすごく好きなんですけど、歌には自信がなくて。友達とカラオケに行っても僕だけ歌わないくらいだったんです。でも、グリーンボーイズとして「ミュージックステーション」に出たりGReeeeNさんのライブで歌わせてもらったりするうちに、少しずつ自信が付いてきて。そのタイミングで今回のお話をいただけたんです。

──そうだったんですね。

「Mステ」に出演したときは足もガクガクでした（笑）。グリーンボーイズは4人だったけど、ソロとなると「自分が音楽活動をやっていいのか」という気持ちもあったんです。でも、フィーチャリングゲストのRoverさんがいてくれる安心感もあるし、今はデビューさせてもらえるからには全力でやろうと思っています。新しい表現に挑戦できるのは役者としても絶対何かにつながると思いますし、役者として勉強してきたことも音楽に還元できるだろうし。より多くの方々に僕の表現が届けばいいなと思います。

──GReeeeNのプロデューサー・JINさんが手がけた楽曲を聴いたとき、どんな感想を抱きましたか？

JINさんらしくポップでキャッチーなんですけど、そのポップさとは裏腹に歌詞はすごく考えさせられる内容で。僕、このギャップのある歌詞がすごく好きなんです。若い方だけじゃなくて、幅広い年齢層の方に愛される楽曲になったらいいなと思いました。

──レコーディングの際にJINさんからアドバイスされたことは？

リズム感が大切な曲なので、「ハネのリズムを意識してほしい」とアドバイスをいただきました。あとは「思うままに、自信を持って楽しくやってみて」って。レコーディングは大変でしたけど、JINさんが最後に一言「いいじゃん」と言ってくれたときに心からほっとしました。Roverさんの歌声が全体を支えてくれている感じもうれしかったし、完成した曲を聴いたときは感動しましたね。

──最後にアーティストとしての今後のビジョンを教えてください。

正直まだ、自分に何ができるのかわからないんですけど……でも、一番は「皆さんが求めていること」をしっかりできるように実力をつけていきたいと思っています。それが、表現者として人を喜ばせるということにつながるのかなって。「自分は音楽活動をしているんだ」と自信を持って言えるようになるために、いつかは作詞作曲にも挑戦してみたいです。そうやって、今自分が思ってることを皆さんに伝える機会をどんどん増やしていけたらいいなと思います。

──フィーチャリングゲストのオファーを受けたとき、どんな思いでしたか？

僕は普段ベリーグッドマンとして3人で活動しているんですけど、ソロでほかのアーティストの楽曲に参加するのは今回が初めてだったんです。だから単純にお誘いいただいてうれしかったですね。流星くんのアーティストデビューを飾る曲ということで、正直恐れ多くもあったんですけど……でも、このご縁も運命だと考えるならば、役割を全うしようと思いました。僕、ベリーグッドマンの活動のときも「前に出たい」という気持ちがあまりないんですよ。体がデカイので自然と前に出てしまうんですけど（笑）。だから今回は特に、歌でもキャラクターでも流星くんを引き立てられたらいいなと思いました。

──楽曲を聴いたときの感想を教えてください。

弱々しい男の歌のようでいて、強く生きようとする人間の叫びのように聴こえる瞬間もあったり。単純に恋愛ソングとも受け取れるんですけど、恋愛以上の何かを感じさせるすごい世界観だなと思いました。トラックとメロディラインはポップだけど、ポップなだけの曲ではないんです。すごく切ない部分や、センチメンタルでアンニュイなところもあるし、でも力強いっていう。一言ではまとめられない、人間の思いの塊みたいなものを感じる曲だなと。そんな中で、僕のパートではまず力強さを見せようと思いました。それによって流星くんもスイッチが入ってくれたらいいなって。

──なるほど。

レコーディングのときにJINさんから「この曲は失恋ソングにも当てはまるけど、『失った母親に対する息子の思い』とも捉えられるんだよね」と教えていただいた瞬間、驚きと同時に腑に落ちたんです。恋愛とか恋とかのレベルを超えた、すごく大きな愛情を感じていたので「あ、やっぱり」って。「JINさん、さすがだな」と思いました。

──MV撮影はいかがでしたか？

リードするというほどではないですが、僕が自由にやってみせるのが彼にとって一番の安心材料になるのかなと思って、そこは意識しました。MV撮影って「顔で歌う」作業だと思うので、ここでも力強さを意識しましたね。

──Roverさんから見た、アーティスト・横浜流星の魅力は？

なんか……流星くんって「グラップラー刃牙」の刃牙みたいなんですよね（笑）。まっすぐなんです。二十代前半の男の子らしいかわいい部分もあるんですけど、空手の世界選手権大会で優勝してたりするんですよ。でもそれも納得と言うか。しっかりしてるしマジメやし、めっちゃ筋トレするし（笑）。職業病かもしれないですけど、多分もともとの性格がストイックなんだと思うんです。いざスイッチが入ったときの気迫が、いい意味で恐ろしくて。歌声もストレートですよね。すごく硬い、キレのあるパンチをまっすぐ打っているような感じ。この感じの歌声は初めて聞いたし、「すげえな」って思います。

──先輩として彼にアドバイスするとしたら、どんな言葉をかけますか？

流星くんの歌は、これから磨けば磨くほどテクニカルになるだろうし、柔軟になると思うんですけど、それ以外にも自分が表現したいことの幅をどんどん広げてもらいたいですね。僕も日々「もっと歌がうまくなりたい」と思うんですけど、それと同時にシンガーソングライターとして「もっといい曲を書きたい」「メッセージを伝えたい」と常に思っているので。難しく考えずに、作詞作曲といったクリエイティブな部分にも堂々とチャレンジしてもらいたいというのが、アドバイスと言うよりも願いです。俳優さんで言うところの、自分で監督をしたり脚本を書くという領域だと思うんですけど。もしかしたらすごい作詞家になる可能性もあるし、勝手ながらそれが役者としての表現の幅にもつながるかもしれないと思うので。今後も応援していきたいですね。