音楽ナタリー PowerPush - 安田レイ

彼女の“新年”を飾る 3人のヒロイン

ハートの問題をクリアできればどんな曲でも大丈夫

安田レイ

──カップリング1曲目の「Just for you」は、さっきのライブでのお話ではないけれど、皆さんが期待する安田レイ像に応える1曲に仕上がっています。

そうですね。デジタル感があってハッピーで。安田レイらしい曲だなって思ってます。恋のスタートにドキドキしている歌詞自体も私らしいものになっていますし。恋しているとすべての悩みが消え去るわけではないんだけど、その好きな人との明るい未来ばかりが輝いて見えるじゃないですか。そういう前向きで真っ直ぐで楽しい気持ちを表した1曲で、歌っている私自身うしろを振り向かないというか、振り向かなすぎて怒られちゃうタイプなので(笑)。

──以前もそうおっしゃってましたよね。

もちろん毎日いろんな失敗を繰り返してはいるし、それを後悔したり反省したりはするんですけど、超プラス思考なんです(笑)。そのことを引きずらないし、引きずりたくないんですよね。失敗してめっちゃヘコんで、涙を流しても、その夜寝て、次の朝起きたらもう私は生まれ変わっているというか。むしろ失敗から学んだ自分が変化や進化できることが楽しいんです。

──エラいなあ(笑)。であればレコーディングもスムーズでした?

はい。とても順調に進みました。

──ただ、この曲ってサウンドも歌詞も安田さんらしいものではあるけど、キーは高いし、実は難しい1曲だよなあ、という気もするんですけど。

そうなんですよね。自分で言うのもアレなんですけど、実は安田レイの曲って……。

──おおむね難しいですよね(笑)。

おっしゃる通り「Just for you」は最初のキーがすごく高めですし、「これどこで息を吸うの!?」ってくらいブレスのタイミングを見つけにくい曲もありますし(笑)。

安田レイ

──でもスムーズに歌えてしまう。

この曲を歌うときは「恋詩」のときのように別の誰かになりきったわけではない。むしろ等身大の安田レイに近い存在として歌ってはいるんですけど、それでも主人公になりきれないと、共感できる部分を見つけられないと「なんか違う」「なんか違う」っていうのが続いちゃって歌えなかったはずなんですけど……。

──主人公像を見つけられれば、すごく高いキーですら出てしまう?

はい。結局ハートの問題になってしまいますね。気持ちが乗らないとどんなに簡単な曲も歌えないですし、逆に乗ってしまえば、これまで出したことのない高いキーもなぜか出てしまうし、なぜかノンブレスのまま一気にサビを歌いきることができちゃう(笑)。

──「恋詩」と「Just for you」ではヒロインのキャラクターが大きく違いますけど、そのなりきるキャラクターの往復に悩むことは……。

それもないんですよね。一晩寝たら新しい私になれる気がするのと一緒で、主人公像が見つかってしまえば、どんなに振り幅の大きい2曲でも一瞬で気持ちを切り替えられる。それぞれの主人公になれるんです。だからもし次のライブで「恋詩」と「Just for you」が並ぶことになっても全然大丈夫だと思います(笑)。

デビュー3年目だから歌える“熱い”メッセージ

──カップリング2曲目の「My way, My life」もまた安田さんの楽曲群の振り幅の大きさを示すような1曲ですしね。スタジアムクラスのライブやフェスで大観衆と一緒に歌うのがよく似合いそうなパワーバラードです。

私自身、ギターを持って大きなステージの真ん中に立っている自分をイメージしながら歌ってみました(笑)。

安田レイ

──「人と違う事をしたい訳じゃない 心の声従ったら 自分を誇れるの」というストレートなメッセージソングを歌うのって初めてですよね?

そうですね。これまでの安田レイの楽曲は夢について歌うものであっても「Just for you」的というか、どこかハッピーだったので。この曲はもっと温度が違う。熱い曲ですよね。でも私自身、夢を見ることやそれを実現することに対する熱い思い自体は持っているので。「この思いをたくさんの人に届けたい!」っていう気持ちで歌えた。歌っていて熱くなれました。小学6年生のときにアーティストになりたいって思ったのは、別に親に言われたからでも、友達に勧められたからでもなくて、自分で決めたことですし。それからいろんなことがあって。少なからず悔しい思いをしたり、何かを犠牲にしたりはしてきているんですけど……。

──確かにいわゆる普通の生活、普通の青春みたいなものはあきらめざるを得なかったはずですよね。部活動に打ち込んだり、誰か同級生とデートしたり、みたいなものは犠牲にせざるを得ないというか。

ええ。それでもあきらめずに活動を続けてきて、まだまだ未熟ではあるんですけど、今のソロのアーティスト・安田レイになれたので。夢に向かってがんばってると、失うことも多いかもしれないけど、それはその夢を叶えるためのステップだから、あきらめないでほしいなって思ってます。

──で、この曲が面白いのが、実は安田さんが詞を書いているわけではない。作詞は玉井健二さんとKoto Hamanaさんです。

元気ロケッツ時代から玉井さんには自分の夢について熱く語っていましたから。

安田レイ

──安田さんがこういう思いを抱いていることは……。

バレちゃってたみたいです(笑)。

──その秘めたる思いを歌うのって勇気要りません?

むしろこういう思いはいずれ歌いたいと思っていたので。確かに私が作詞したわけではないんですけど、やっぱり私のメッセージソングなんです。私のことを知ってくださっている方の中には、元気ロケッツのLumiのイメージがまだまだ残っていると思うんですけど、今はLumiじゃない。1人の人間・安田レイとして歌っているんだよっていうことをさらけ出したかったので、自分の夢について歌えたのはうれしかったですね。ただこの曲を2年前のソロデビューのときに歌えたかというと……。

──当時はまださらけ出す勇気がなかった?

そうだと思います。でも今は、シングルやアルバムを何枚もリリースさせていただいて、ツアーもそうですし、イベントもそうなんですけど、いろんなステージを経験させていただいて……。

──ついには桑田佳祐さんの耳にも留まり。

はい! 最初の頃は何をやるにも緊張のあまりドドドドドって早く鳴ってた心臓も、そういういろんな経験をさせていただいたおかげでちょっとは強くなって(笑)。だからこそすんなり歌えたんだと思います。

安田レイ
ニューシングル「恋詩」2015年2月25日発売 / SME Records
初回限定盤 [CD+DVD] 1620円 / SECL-1651~2
通常盤 [CD] 1260円 / SECL-1653
iTunesにて配信中!
CD収録曲
  1. 恋詩
  2. Just for you
  3. My way, My life
初回限定盤DVD収録内容
  • 恋詩 ビデオクリップ
安田レイ TOUR 2015“WILL”~JUST FOR YOU~
  • 2015年5月22日(金)愛知県 ell.FITS ALL
  • 2015年5月23日(土)大阪府 SUNHALL
  • 2015年5月31日(日)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
安田レイ(ヤスダレイ)
安田レイ

1993年4月15日、アメリカ・ノースカロライナ州で生まれる。3歳で日本へ移住し10歳の頃に母親が聴いていた宇多田ヒカルの楽曲に衝撃を受けてシンガーを志す。モデル活動を始めたことがきっかけとなり、13歳のときに元気ロケッツのオーディションに合格。架空の女性「Lumi」のモデルとなりボーカリストとしてもプロジェクトに参加する。2013年7月に「Best of my Love」でメジャーデビューを果たし、12月には配信限定の「Let It Snow」を発売。2014年2月に「Brand New Day」をリリースし、同年6月にはテレビアニメ「金田一少年の事件簿R」のエンディングテーマ「パスコード4854」を発表。そして同年10月、個人名義としては初めてのアルバム「Will」をリリース。翌2015年には初のワンマンツアーを成功させ、2月にTBS系ドラマ「美しき罠~残花繚乱~」の主題歌にして、いきものがかりのカバー曲「恋詩」を発表した。