“超名曲”を大好きな作家にアレンジしてもらいたい

──では引き続き、1曲ずつアレンジャーさんの選定理由を聞かせてください。2曲目はアニメ「美鳥の日々」のオープニングテーマ、CooRie「センチメンタル」のカバーです。

この曲だけは曲ありきというか、周りの方が「『センチメンタル』を歌ってみたら？」って推してくれた曲ですね。もちろん私も知っていた曲なんですけど、聴き直してみたらrinoさん（CooRieはrinoのソロプロジェクト名）ワールド全開で。すごくポップでかわいらしいんだけど、本当にどこか“センチメンタル”で。で、今回のカバーではその切ないところは残しつつ、ポップな部分をもっと前面に押し出してみたくて……。

──sasakure.UKさんに白羽の矢を立てた？

sasakure.UKさんは細かいんだけど強いリズムトラックを作られる方なので、かなりパンチの効いた意外性のある「センチメンタル」を作ってくれるかなって。

──で、実際パンチを効かせてみた、と（笑）。そして3曲目は小沢健二「流星ビバップ」のYMCK・Yokemuraさんアレンジ。ある意味このカバー盤最大の事件ですよね（笑）。

ふふふふふ（笑）。実はずっと前から「この曲を8ビットにしたら面白いだろうな」と思っていて。それで日本の8ビットを代表するYokemuraさんにお願いしたら、いい意味で想像を裏切られました。すごくおしゃれな曲が返ってきたというか……。

──ピコピコしてはいるんだけど、その実、ヌケのいいスウィングにアレンジされてますもんね。で「流星ビバップ」に続く、小川七生「月灯りふんわり落ちてくる夜」は真部脩一さんがアレンジしています。

真部さんがプロデュースなさったハナエさんの「神様はじめました」がすごく好きなので。

──やなぎさんの考える真部楽曲の魅力って？

特に「神様はじめました」はメロディや全体の雰囲気は和テイストが入っている、ゆるっとした雰囲気なんだけど、ベースやギターは現代的だしすごくテクニカルっていうところに惹かれていて。で「月灯りふんわり落ちてくる夜」は、「クレヨンしんちゃん」のエンディングテーマだったこともあって、初めて聴いたのは子供の頃だったんですけど、そのときから私の中に“超名曲”として残っていた曲で。その“超名曲”を大好きな作家さんにアレンジしてもらいたかったんです。

kzが生み出すキラキラでおしゃれな「冬のオルカ」

──カバー盤のラストを飾るのはキリンジ「冬のオルカ」。原曲は、今回やなぎさんが共作した冨田恵一さんが参加していた1曲ですけど、なぜアレンジをkzさんに？

kzさんには前々から何かお願いしたいなって思っていたのと、特典CDの終わりにすごくテンションが上がって、しかもおしゃれな曲、ドライブ中に聴いたらアガるような曲が欲しかったからですね。冨田さんがアレンジした原曲自体おしゃれなんだけど、kzさんもゴリゴリのダンスナンバーだけを作る方じゃない。冨田さんとはまた違う、キラキラしたおしゃれな曲を書く方でもあるから、そのキラキラした音だらけで作ってほしいってお話をさせてもらいました。

──そして1曲戻って5曲目、NHK「みんなのうた」のナンバーである中川晃教「セルの恋」はやなぎさん自身がアレンジしています。

もともと「この曲を大人のための絵本や童話みたいな雰囲気にしてみたい」と思っていたので。そういう明確なイメージが自分の中にできていることだし、これは自分でアウトプットしてみてもいいかなと思ってアレンジしてみました。

ベース、ベース、ベース！ そして私

──年明けには全国6カ所を回るワンマンツアーが始まります。どういうライブにしましょう？

音作りももちろんなんですけど、私はライブでは視覚から得る情報を多くしたいと思っていて。

──前回の「エウアル」ツアーもビジュアルにかなりこだわりましたもんね（参照：やなぎなぎ、音と光と戯れる「エウアル」アンコールライブ）。

前回は2枚の大きなスクリーンをステージの前とうしろに張って、奥行きのある映像を投影したりしたんですけど、今回はまたそれとは違う映像演出を考えてます。

──で、そのツアーのあと、2015年は何をしましょう？

もうやっている方もけっこういるんですけど、チェロだけの曲とか、限定された楽器だけをバックに歌ってみたいなって思ってます。

──以前、ラジオ番組（FM FUJIで放送されていたレギュラー番組「green grass grow」）でレコメンドしていた、コントラバスのアンサンブルユニット・L'orchestre De Contrebassesとセッションする、みたいな感じ？

そうですね。（L'orchestre De Contrebassesの楽曲名）「ベース、ベース、ベース、ベース、ベース＆ベース！」、そして私、みたいな（笑）。