微分積分なんてやってる場合じゃない！

──もう上京して2年近く経ちますが、当時の心境は覚えてますか？

「ワー！ 東京すごい！」みたいなことは特になかったですね。でも東京は街中で線路を見れるのが好きです。北海道は地下鉄が多くて、線路がないんですよ。あとは夏が暑いことに驚いたのと、いつまでも雪が降らないからずっと秋って感じでした。

──詞には「都会には悪い人がたくさん居るんだと思っていた」とありますが、騙されて変なもの買わされたりしませんでした？

……しました、ついこの前。

──えっ!!

原宿で捕まって、服を買わされました。まあ2000円くらいなので、これ買って解放されるならいいやって。

──何十万円もする壷じゃなくてよかったです。

そうですよね、今後気を付けます（笑）。

──今回のアルバム、本当にいい曲がたくさんあるなあと思って聴いてたんです。ただストレートなポップスが並ぶ中で、「レイコさん」にはびっくりしました。この中で、かなり突飛ですよね。

これ、友達のお母さんの名前なんです。

──レイコさん、実在するんですか！

はい。当時からすごく強烈で、レイコさんの名言を書き残しておいたんですよ。それを見返しながら、面白おかしく作ってみました。

──アルバムに入れたい曲はほかにもたくさんあったと思うんです。その中で、なぜ「レイコさん」？

私は高校のとき、友達と楽器を持ち寄って適当に歌を作って遊んでたんですよ。「今日は演歌を作ろう！」みたいな。それがすごく楽しい時間で大好きだったんです。だからこのアルバムでも、楽しく作った曲を入れたくて。これも私の一面だよって。

──一方で「スコーレ」はめちゃくちゃさわやかですよね。イメージなんですけど、実際の山崎さんよりもかなりキラキラしている気がして。

あ、まさにそうです。高校生のときに「スコーレNo.4」という小説（※宮下奈都が2009年に発表した小説）を読んでいて、これぞ青春って内容だったんですよ。やっぱり女子はキラキラしてなきゃだめだな、微分積分なんてやってる場合じゃない！と思って、数学の時間に書いた詞です。

──こんな自分でありたいっていう願いも込めて。

そうですね、誰もが理想だと思えるものにしたいなと。

──曲は中学生の頃からもう作っていたんですよね？ 当時はどんなものを？

すごく背伸びしてましたね、「男は浮気する生き物だ」みたいな。今聴き返すと恥ずかしくて鳥肌立っちゃいます。完全に黒歴史（笑）。当時から1日の出来事を日記みたいに書いてから寝ていて、そのスタイルは変わらないんですけど、昔は本当にただの日記でした。今はもう少し客観的に見れるようになった気がするし、一歩引いて書くようにしています。

かわいい女の子の画像収集家です

──ところで山崎さんのプロフィールを調べたら、まずAKB48のぱるる（島崎遥香）が好きって出てきたんですが……。

あ、なんかすいません（笑）。

──かわいい女の子を見るのが好き？

正確には写真が好きなんです。私の周りにかわいい子があふれていても戸惑っちゃってむしろ疎外感しかないんですけど、写真なら一方的に見ていて楽しいじゃないですか。かなりの画像収集家です。

──じゃあ実際にAKB48に入れたとしてもうれしくない？

そんなの絶対無理ですよ！ 私はもうずっと地味に生きてきた子ですから、ああいう目立ち方はできないです。

──でもアーティスト活動をしていることは友達も知ってるんですよね？

知ってますけど、本当に得したことナシですよ！ カラオケに行くとちょっとだけ盛り上がるくらい。

──「自分の歌、歌ってよ！」とか？

そうそう、昨日も歌わされました（笑）。