水森先生に乗せられたフリして乗ってみよう

──お二人は福岡県出身の同郷なんですね。

山内惠介　そうなんです。松尾先生も高校を卒業されるまでは福岡にお住まいで。

松尾潔　昨年放送された惠ちゃんの「情熱大陸」を拝見していたら、ご実家のリビングに熊手が飾られていて。よく見ると僕が子供のときから毎年行ってる神社だったんです。だからこれは大げさでもなんでもなく、同じ神様に護られてきた2人なんだなと思いました。

──今回、シングル「愛が信じられないなら」で初のコラボレーションが実現しましたが、そもそもどういうきっかけで出会われたんでしょうか。

松尾　もともとは惠ちゃんのお師匠さんである水森英夫先生と歌番組の審査員として2度ほどご一緒させていただく機会があったんです。1度目はよくしゃべる男だなと思われたそうで（笑）。

山内　水森先生も人のこと言えないと思う（笑）。

松尾　（モノマネをしながら）「よくしゃべるよねえー」って。

山内　こういう口調なんです。水森先生（笑）。

松尾　それで2度目の収録後だったかな、「松尾さんは僕がやってるような仕事にも興味ありますか？」って話になって。今考えてみるとリップサービスだったのかもしれないんですけど、そこにリップサービスで応えるんじゃなく、乗せられたフリして乗ってみようと思って。お声がけいただくこと自体、光栄ですし、僕は共演経験を通して水森先生の歌に対する考え方にすごく共鳴していたんです。僕がやっているようなR&Bにしても、もとはアメリカの黒人にとっての歌謡曲ですから。

山内　そうですね。

EXILE「Ti Amo」で描いている男女のあり方と変わらない

松尾　海外に行った人がよく言うことですけど、海の向こうの視点を獲得して初めて日本で何気なく接していたもののありがたみもわかるし、立体的な視点が与えられる。その実践の場として……ましてや水森先生がステージを作ってくださるのであれば乗らない手はないと思ったんです。そしたらこれが最初から先生とハモっちゃったんです。（モノマネしながら）「ハモったねえー」。モノマネもやってるうちに本物になる（笑）。

山内　おっしゃる通りです（笑）。

松尾　それでけっこう早い時期に惠ちゃんを紹介していただくことがあって。ライブを何回かこっそり観させてもらったり。時期的にいうと「スポットライト」（2015年2月発売のシングル）のあたりかな。

山内　2年前ですね。ちょうど。

松尾　あの曲を聴いて、こういう世界だったら僕もお仕事ご一緒できる余地があるかもと思いました。例えば、僕がEXILEの「Ti Amo」で描いている男女のあり方と、実はそんなに変わらないんじゃないかって。それで惠ちゃんに会ってみたら、まあこの通りのイケメン。

山内　何をおっしゃいます（笑）。先生との会話はいつもこういう楽しいテンションですから、お酒もコーヒーもいらないんです。

松尾　今“珈琲カップ”はいらないって言った？ 1個割ろうか？

山内　それ、先生が書いてくださった「珈琲カップ」の歌詞の話じゃないですか（笑）。先生がいらっしゃると「楽しい、楽しい」ってスタッフもみんなすごく喜んでますよ。

松尾　スタッフの皆さんに陽気な方が多いことも大きいですね。ああ、このチームが今の山内惠介人気を作り出したんだなって説得力があります。

山内　うれしいです。

松尾　もちろんその真ん中に惠ちゃんがいるからっていうのが大前提としてあるわけで。皆さん、山内惠介のことを愛していると同時に山内惠介プロジェクトのことも愛してるんです。感動や興奮を共有したいから一緒に高い山を登っていく、みたいな。皆さんが確かな足取りでここまで来られたところ、僕なんて途中までズルしてケーブルカーで行ったような心苦しさもあります（笑）。

山内　いえいえ、それこそ先生に会うために僕たちはそこまで登らなくちゃいけなかったわけです。