ナタリー PowerPush - 山根万理奈

もっと自由に!もっと貪欲に!インディーズで見つけた“新しい自分”

ダメな男性に惹かれてしまう……

──アルバムの中には「君を好きになったんだろう」という曲が収録されています。これはかなり前からYouTubeにもアップされていましたし、ご自身の中でも特に思い入れの強い作品だそうですね。

山根万理奈

はい。大事ですね。それこそライブをやり始めた頃からずっと歌ってる曲でもあるし、ものすごくリアルなシーンが浮かんでくる曲でもあるので。何も言わずとも「これ実体験ですよね?」って言われちゃうっていう(笑)。

──ちょっとダメな男性に惹かれる山根さんの……いや女性の思いが歌われています(笑)。

あははは。女性の方だと「共感します!」って言われることもあるんですけど、男性からは「バカじゃないの?」みたいな感じで受け取られることが多いですね(笑)。

──こんな男やめとけよ、みたいな。

そうそう。「こんな男に引っかかる?」みたいな。いやいや、いろいろあるんだよっていうね(笑)。自分としても葛藤はあるんですけど、でも好きになることに理由はなかったりしますから。今もしこの曲と同じような恋をしてる人がいたら、応援の気持ちとして届いてくれたらいいなって思いますね。私もかなりツラいことがあったけど、今はこうやってあっけらかんとしていられるから大丈夫だよって(笑)。

“あだん”を流行らせたい!

──で、ここからが大きなトピックです。この度、「君を好きになったんだろう」をもとにした映画が完成したんですよね。

できました! 「十二人の変な恋。」というタイトルで、観る人によってはポカーンかもしれないし(笑)、観る人によっては「はあー」って共感しまくるであろうさまざまな恋愛模様が詰まった内容になっています。“変な”って言われる側はどんな気持ちだっていう感じですけど(笑)。

──映画化の話はどういう経緯で実現したものなんですか?

山根万理奈

最初は「君を好きになったんだろう」のPVを撮りたいねっていう話だったんですけど、楽曲が私のモロリアルを描いたものだったので思いきって映画にしちゃったら面白いんじゃないかなってことになったんです。で、この曲の私のように、周りから突っ込まれるような恋愛をしてる人はきっと多いはずだと思ったので、いろいろ聞き込み調査をしてみたところ、ボコボコそういう話が出てきたんですよ(笑)。じゃあ、そういったいろんな変な恋愛を詰め込んだドキュメンタリーのような映画にしようってことになって。

──台本を読ませてもらいましたけど、かなり刺激的な恋愛の形がたくさん登場してますよね。

ね。恋をしてる当人としては普通だと思っていても、周りから見たら普通じゃないことはけっこうありますからね。でもそれをネガティブにとらえるんではなく、恋は多種多様でいいんだよっていうことが伝わればいいですね。

──劇中には「川根万理奈」という役名の女性も登場していますが、これはもちろん山根さんのことなわけですよね。

はい。川根万理奈さんが私の変な恋を演じてくださいました(笑)。川根さん役の方の撮影を現場で見せていただいたんですけど、なんかもう自分のことなのにホロッとしちゃいましたね。「守ってあげたい!」みたいな(笑)。私の曲から派生して、こういった映画ができたことがとにかく楽しかったです。制作でいろいろバタバタしたので、結局アルバムからだいぶ離れたタイミングになっちゃったんですけど、やっと形になったのがすごくうれしいですね。山根万理奈を知らない人も含め、たくさんの人に観ていただいていろんな感想をもっていただけたらいいな。

──山根さんご自身も演奏シーンなどで出演されていますよね。

はい。楽しかったですよー! 演技をしてる部分は少ないですけど、実質女優デビューだと思っているので(笑)。すごくいい経験になりました。

──これをきっかけに女優活動をやってみたい気持ちもあります?

(窓の外に向かって大声で)ぜひよろしくお願いしまーす!(笑) だって、そういう経験ってなかなかできるものじゃないと思うので、人間としてもシンガーとしても絶対糧になると思うんですよね。普通に興味があります。「やまちゃん」とかどうですかね。

──「あまちゃん」みたいな(笑)。

島根の方言で“あだん”っていうビックリしたときに使う言葉があるんですよ。だから“じぇじぇじぇ”に代わって、今度は“あだん”を使ったドラマを作ってほしいですねー(笑)。すごくビックリしたときには長くなるんですよ、“あだーーーーん!”って。うれしいことにも悲しいことにも使えるので便利ですよ。あだんっ! 今のはうれしい感じです。伝わらないかな?(笑)

──文字だとね、なかなか難しいですけど(笑)。山根さんは音楽も含め、いろんなことに好奇心旺盛なんですね。

山根万理奈

アニソンとかも歌ってみたいですし、声優とかもやってみたいし、最近は新宿2丁目にも行ってみたいですし(笑)。経験したいことはたくさんあるので、待ってるだけじゃなくていろいろ動いていきたいなって思ってます。自分の世界をどんどん広げていきたいので。(窓の外に向かって大声で)皆さんよろしくお願いしまーす!(笑)

──口に出して言うことが実現への第一歩だったりしますからね。

そうですよね。今までは本をあまり読まないタイプだったんですけど、最近は曲作りの役に立つかなと思っていろいろ読むようになったんですよ。ライブに来てくれるお客さんにも「オススメの本があったら教えてください!」って言ったりもしてて。そうすると次のライブで「僕が読んで面白かった本です」って持ってきてくださったりするんですよ! そういうのってすごくうれしいですよね。なんかちょっと物乞いみたいですけど(笑)。

──物乞いって言うと聞こえが悪いですけど(笑)、すごくいいことだと思いますよ。

大丈夫ですかね? いろんなことにハングリーで行きたいなって思いますね。

「君を好きになったんだろう」をもとにしたオリジナル映画完成!ニコニコ生放送オフィシャルチャンネルにて
2013年11月17日(日)21:00~22:30に試写会実施。

MotionGallery(モーションギャラリー)- クラウドファンディング

ニューアルバム「好きで悩んでるわけじゃない」/ 2013年5月29日発売 / 3150円 / BURGER INN RECORDS / BUCA-1035
収録曲
  1. 努力の歌プランA
  2. あなたに
  3. へなへなん
  4. かくれんぼ
  5. 君へのなみだ
  6. 努力の歌プランB
  7. 冬の歌
  8. あたしの気持ち
  9. 星の見える晴れた夜に
  10. おやすみnight
  11. 君を好きになったんだろう
山根万理奈(やまねまりな)

島根県在住のシンガーソングライター。2009年よりYouTubeで、カバー曲やオリジナルの弾き語り映像を公開する。透明感あふれる声やおっとりしたキャラクターが注目を集める。その存在が現在所属する事務所スタッフの目に留まり、2011年6月に山音まー名義でニコニコ動画で人気を博している楽曲をカバーしたミニアルバム「人のオンガクを笑うな!」をリリースし、同年7月にワーナーミュージック・ジャパンからシングル「ジャンヌダルク」でメジャーデビューした。同年11月にカバーアルバム「ざっくばらん」で、自身のルーツとも言える名曲の数々を弾き語りで披露。2012年1月に「STAR e.p.」、3月に「スタートライン」という2枚のシングルを発表したのち、4月に満を持して1stフルアルバム「空な色」をリリースする。その後ワーナーを離れ、2013年5月にインディーズレーベルより「好きで悩んでるわけじゃない」を発表。年間100本を超えるライブを通じて着実にファンを獲得している。