山本彩の新作ソロアルバム「identity」が発売された。
NMB48のキャプテンとしてアイドル活動を行いつつ、昨年10月にアルバム「Rainbow」をリリースし、ソロアーティストとしてのキャリアをスタートさせた山本。「identity」では前作から引き続き亀田誠治がサウンドプロデュースを手がけ、阿部真央、いしわたり淳治、水野良樹(いきものがかり)、Carlos K.、ヒロイズムといった豪華クリエイターが制作に参加した。加えて今作には、山本自身が作詞作曲した楽曲も数多く収められている。
音楽ナタリーでは、山本と今作に新曲「喝采」を書き下ろした阿部真央にインタビューを実施。「喝采」にまつわる話題をはじめ、シンガーソングライターとして活動する両者の創作活動についても語り合ってもらった。
取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 藤木裕之
なんでこんなかわいい子がTOP10に入らないんだ!
──山本さんはかねてから阿部さんのファンだと伺いました。
山本彩 私、学生時代から阿部さんの曲をよく聴いていたんです。歌詞に共感できるし、歌い方もすごく憧れていて。山本彩としてソロで活動する中で、何曲も作詞作曲をしてきたんですけど、自分では阿部さんのような曲を作ることができないなっていう感覚があったので、今回思い切って楽曲提供のオファーをさせていただきました。阿部さんの曲を私に宿らせてほしいなって思いでした。
阿部真央 すっごくうれしいです。
山本 阿部さんの曲は登下校のお供でした(笑)。1stアルバムの「ふりぃ」から大好きで、軽音部でギターをやっていたときは阿部さんの曲をコピーさせていただいてました。
阿部 ありがとうございます。私は4、5年前にたまたまテレビで「選抜総選挙」を観たことがあって、そのときから山本さんのことを「メッチャかわいい!」って思ってました。確かその頃はまだ10位以内に入ってなくて「なんでこんなかわいい子がTOP10に入らないんだ!」って思ってたんですよ。それと、2年くらい前の「NHK紅白歌合戦」に弾き語りで出てましたよね?
山本 はい。
阿部 それを観て「あ、こういう才能もある子なんだ。すごく素敵だな」って感じたんです。
曲を書く前に写真集とフォトエッセイを購入
阿部 今回楽曲提供のオファーをいただいて、まず山本さんの写真集とエッセイを買ったんですよ。
山本 ええ!?
阿部 赤い水着を着てバスルームで撮ってる写真、超セクシーでした。
山本 えー恥ずかしい。
阿部 エッセイのほうには山本さんの心情とか、アイドルとして活動するまでの経緯とかも書いてあって、まずそれをよく読むところから始めました。中でも「人の感情には敏感、自分の感情には鈍感」って書いてあったのが印象的で。あと実はちょっと根暗なんだってのも驚きでした(笑)。テレビで観たときの印象があった上でエッセイを読んでみて、山本さんはきっとすごく真面目で実直で、チームのことやファンのことをいつも考えて活動をしている。そういうイメージが写真集やエッセイから浮かんだんです。
山本 すごく研究していただいたんですね。
阿部 それはもう研究したくなる対象ですから(笑)。あとこれは私の個人的な性癖なんですけど、山本さんのようなかわいい女の子に「下手くそ!」とか怒ってほしいという思いがありまして。山本さんが曲を作るときには出てこなそうな言葉を使って、今まで見せたことない山本彩像を描ければなと思って曲を作りました。
──山本さんは「喝采」という曲を提供されて、どういう印象を持ちましたか?
山本 率直に「キター!」って思いました。まさにこういう曲がほしかったんだって。
阿部 うれしい!
山本 曲を作っていると、勝手に自分でセーブしてしまって外に出しきれない感情があるなって私は感じていて。そういう自分では出せない部分を阿部さんにはしっかり曲の中に込めていただいたって実感があったんです。それとデモの時点でギターの弾き方、歌い方に魂がこもっていて圧倒されました。
阿部 でも「喝采」は山本さんに歌ってもらって完成した曲ですから。山本さんのかわいい声でぶっきらぼうな感じの歌い方をするのがいいんですよ。完成版を聴いて「やっぱり私が思ってたことは間違いじゃなかったな」って思いましたから。ちなみに「喝采」の歌詞を読んでどう思いましたか?
山本 そうですね……いい意味で口が悪い感じにしていただいたのが、私はうれしかったです。
阿部 よかった。
山本 私が「喝采」のような曲を書こうとしたら、きっと本音と言うか核になる部分をキレイに隠しながら書いてしまうと思うんです。でも今回は阿部さんに協力してもらって隠さずに荒々しくやるからこそ、聴き手の方々に伝わるものがあるんじゃないかなと思いました。
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「喝采」の存在感
- 山本彩「identity」
- 2017年10月4日発売 / laugh out loud! records
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初回限定盤 [CD+DVD]
3564円 / YRCS-95088 -
通常盤 [CD]
3024円 / YRCS-95089
- CD収録曲
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- JOKER
[作詞:山本彩、いしわたり淳治 / 作曲:山本彩 / 編曲:亀田誠治] - Wings
[作詞・作曲:Carlos K. & Seiji Kameda / 編曲:亀田誠治 & Carlos K.] - 夢の声
[作詞・作曲:ヒロイズム & Seiji Kameda / 編曲:亀田誠治] - Let's go crazy
[作詞・作曲:山本彩 / 編曲:亀田誠治] - ゆびきり
[作詞・作曲:山本彩 / 編曲:亀田誠治] - サードマン
[作詞・作曲:山本彩 / 編曲:亀田誠治] - どうしてどうして
[作詞:山本彩、いしわたり淳治 / 作曲:山本彩 / 編曲:亀田誠治] - 愛せよ
[作詞:阿久悠 / 作曲:水野良樹 / 編曲:亀田誠治] - 何度でも
[作詞:吉田美和 / 作曲:中村正人、吉田美和 / 編曲:亀田誠治] - 喝采
[作詞・作曲:阿部真央 / 編曲:亀田誠治] - 陸の魚
[作詞:山本彩、いしわたり淳治 / 作曲:山本彩 / 編曲:亀田誠治] - 春はもうすぐ
[作詞・作曲:水野良樹 / 編曲:亀田誠治] - 蛍
[作詞・作曲:山本彩 / 編曲:亀田誠治]
- JOKER
- 初回限定盤DVD収録内容
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- JOKER(Music Video)
- JOKER(Music Video Making)
- 阿部真央
「阿部真央らいぶNo.7@東京国際フォーラム」 - 2017年9月20日発売 / ポニーキャニオン
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[Blu-ray]
5940円 / PCXP-50518 -
[DVD]
5400円 / PCBP-53218
- 収録曲
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- 愛みたいなもの
- 逝きそうなヒーローと糠に釘男
- Don't let me down
- ふりぃ
- You Said Goodbye
- 君を想った唄
- わかるの
- Don't leave me
- 母である為に
- いつの日も
- 背中
- 側にいて
- バイバイ
- Hello, Brand New Days
- この時を幸せと呼ぼう
- gasp
- POSE
- Believe in yourself
- ロンリー
- 伝えたいこと
- モットー。
- それぞれ歩き出そう
EC1 モンロー
EC2 I wanna see you
EC3 女たち
- 山本彩 ツアー情報
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- 2017年10月20日(金)広島県 広島文化学園HBGホール
- 2017年10月24日(火)福岡県 福岡サンパレス
- 2017年11月11日(土)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2017年11月13日(月)北海道 わくわくホリデーホール
- 2017年11月17日(金)宮城県 仙台サンプラザホール
- 2017年11月19日(日)東京都 NHKホール
- 2017年11月21日(火)大阪府 オリックス劇場
- 2017年11月22日(水)大阪府 オリックス劇場
- 山本彩(ヤマモトサヤカ)
- 2010年に結成されたNMB48に1期生として加入。同グループのキャプテンを務め、AKB48の選抜メンバーとしても活躍する。2015年より放送されたNHK「連続テレビ小説『あさが来た』」の主題歌「365日の紙飛行機」でセンターを務め、大きく注目を集めた。2016年10月には1stソロアルバム「Rainbow」をリリース。また同年大みそかにオンエアされた「第67回NHK紅白歌合戦」の番組内で実施された企画“夢の紅白選抜”では1位を獲得した。2017年10月には2ndソロアルバム「identity」をリリースした。
- 阿部真央(アベマオ)
- 1990年1月24日生まれ。大分県出身のシンガーソングライター。2009年1月にアルバム「ふりぃ」でポニーキャニオンからメジャーデビュー。等身大の歌詞とポップなメロディ、表現力豊かなボーカルが、同世代を中心に支持を集める。2010年1月に2ndアルバム「ポっぷ」、2011年6月に3rdアルバム「素。」をリリース。全国ツアーやアヴリル・ラヴィーンの来日公演にオープニングアクトとして出演するなど精力的なライブ活動を展開する。CDデビュー5周年を迎えた2014年8月、初のシングルコレクションアルバム「シングルコレクション 19-24」を発表。2017年2月には7枚目のオリジナルアルバム「Babe.」をリリースした。同年9月にはライブDVD / Blu-ray「阿部真央らいぶNo.7@東京国際フォーラム」を発表した。