ナタリー PowerPush - 矢井田瞳

自分を出し切った新曲「もぎたての憂鬱」

どうせ出すなら、これくらい振り切ってる方がいいかなって

──ライブ直前のリリースになったニューシングル「もぎたての憂鬱」はライブの光景が目に浮かぶような曲ですね。

やるのが楽しみですね。この曲はライブの再現性も重視していて、小編成で成り立つ割と男らしいサウンドになっています。何もダビングしてないのでとてもソリッドな仕上がりになりました。

──そのむきだしのバンドサウンドが実にスリリングです。なおかつ歌詞はグサグサと来るという。個人的には「『そのうちやる』っていつなんだ」というフレーズが刺さってきました。

そこが刺さりましたか(笑)。男性陣の間でも結構意見が分かれていて、「大したリスクも背負わないで」っていうところが痛かったという人もいました。

──この曲はいつ頃作ったのですか?

5月末くらいですね。

──じゃあ本当にもぎたての楽曲なんですね。

矢井田瞳

ホントですね。実は次のアルバム用の曲が6~7割は出揃ってて、ほかの曲がシングル候補になってたんです。チームとしてもそれで行きましょうってことになっていたんですが、ふとこの曲が生まれてくれて。ちょっと変わってる曲だと思うんですけど、私としても出し切った感があったんですよ。どうせ出すならこれくらい振り切っているほうがいいかなってことで、大逆転が起きてシングルになりました。

──日本的な要素のあるメロディとソリッドなバンドサウンドの融合というのが実にユニークですよね。

私の中にあるものを正直に出そうと思っていたんですよ。自分のルーツを考えると、フォークソングも流れているし和風のメロディも好きだから、そういう日本的なものと、デビューして12年くらいやってきたからこそのバンドサウンドを融合させたら面白いんじゃないかなって。日本的になりそうでならないというか。行ったり来たりする面白さがあるんじゃないかな。

──確かにクセになるような独特の世界観を備えた曲ですね。歌詞はネガティブな要素がこれでもかと描かれていますが、このサウンドが全てをひっくり返していくパワーを持っていると感じました。

これはエレキで書いたんですけど、もしアコギでコードをジャカジャカ弾き鳴らしちゃうと、怨念フォークソングみたいになっちゃっていると思うんですよ。アレンジをここまで振り切ると決めていたから書けた歌詞というか。このアレンジじゃないと歌えていないかもしれないですね。

ニューシングル「もぎたての憂鬱」 / 2012年7月11日発売 / UNIVERSAL SIGMA

収録曲
  1. もぎたての憂鬱
  2. LooP
  3. もぎたての憂鬱 (instrumental)
  4. LooP (instrumental)
DVD収録内容
  • もぎたての憂鬱 MUSIC VIDEO
矢井田瞳 夏の元気祭り 728・815
  • 2012年7月28日(土) 東京都 新木場STUDIO COAST
    OPEN 17:00 / START 18:00
  • 2012年8月15日(水) 大阪府 Zepp Namba
    OPEN 18:00 / START 19:00
矢井田瞳(やいだひとみ)

1978年大阪生まれ。19歳でギターを始め、同時に作曲活動も開始する。デモテープ作りを繰り返す中、2000年5月にシングル「Howling」をインディーズからリリース。同年7月にはシングル「B'coz I Love You」でメジャーデビューを果たすと同時に、イギリスのインディレーベルと契約する。また2005年10月には新たなレコードメーカー「青空レコード」を発足し、2006年に「IT'S A NEW DAY」と2008年に「colorhythm」という2枚のアルバムを発売。結婚と産休を経て、2010年より所属事務所をヤマハミュージックアーティストへ移籍し活動を再開する。2012年7月にシングル「もぎたての憂鬱」をリリース。